トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

2017年の夏

2017年、夏が目覚めるよりすこし早くに、
私たちはルーマニアを飛び立った。

フレデリック・ショパン空港で、
8時間の待ち合わせ。
ぴかぴかの、とびきり高価な玩具を見つけて、大喜びのふたり。
散らばったおもちゃ箱のように、にぎやかな音がはじける。
3人の子供たちを連れて、長い長い旅がはじまった。

japannyar(6).jpg 
飛行機に揺られて10時間。
成田空港で、おばあちゃんと合流。
久しぶりの再会に胸を躍らせながら、電車に揺られて宿泊所へ向かった。
それから、眠たい目をこする暇もなく浅草へ。
いつものように、手には大きなスーツケース。
宝箱から大切な珠玉の衣装や手仕事をひとつひとつ広げて、
これから白い壁面をトランシルヴァニアの色彩に塗り替えていく。

浅草のオレンジ通りに位置する、老舗の手ぬぐい屋さん。
かまわぬさんとのめぐり合わせは、青木さんを通じてだった。
古くからハンガリーの刺繍を愛するかまわぬの清水さんが企画していただき、実現したもの。
日本の伝統文化を伝える店舗にて、
異国のトランシルヴァニアの装いの文化を紐解く。
思いも及ばない場所との縁をいただいて、
展示会、トークショー、ワークショップと幅広く文化紹介をすることができた。
中でも、まるで展示会のプレオープンのようなトークショーでは、
トランシルヴァニアの衣食住について幅広くお話させていただく機会となった。

japannyar (7)

思いもよらぬ人との出会い、再会は
人生のスパイスのようなもの。
長男と長女をまるで実の孫のように半日お守りしてくださったHさま、
音楽やハンガリー文化について造詣の深いHさまはワークショップに参加いただき、
いつも私の右腕として刺繍の指導に当たっていただく伊藤さま・・。
映画業界で活躍する大学時代の親友と、
我が家族のように私たちを迎えてくれる親友のお母さん、
世界を股に駆け回る日本語教師の先輩に、
ルーマニアで撮影活動を続ける写真家の堀内さん御夫妻、
京都で活動をつづける刺繍作家Molindaさんに、
私に筆の楽しさを教えてくれたEchoさん、
大学時代の恩師早稲田先生・・・。

午後のワークショップに、開始から少し遅れて
松葉杖をつき会場に駆けつけてくださったMさま。
「今日の日のために、5年前の展示会で求めた図案を完成させて、
洋服に仕立てたんです。」
イーラーショシュの大作に参加者からため息がもれた。

 japannyar (6)
 
1年前から予定されていたハンガリーフェスティバルでは、
ハンガリーで日本文学の第一人者であられるVihar先生、
在日ハンガリー大使にピアニストの赤松麟太郎氏など立派な方々に気後れしながらも、
トランシルヴァニア地方で暮らすハンガリー人の多種多様な民俗衣装や刺繍について
お話させていただいた。

名古屋は、私にとって思い出深い、祖父母の家があったところ。
墓参りに、ご無沙汰していた親戚一同と会することができ、
特別なひとときを過ごすことができた。

それから、大阪へと舞台は映る。
母校の大学で講演をさせていただいた後、
懐かしい山沿いのバスに揺られて箕面駅へと向かった。
ひと駅歩いた牧落駅に、「けんちくの種」がある。
一級建築士の中谷さま御夫妻がお持ちの事務所を、
こうした文化イベントにも大きく放たれている。

一年前の大阪梅田のNHKカルチャーの講座に参加いただいた、
中谷さまにお声をかけていただいた。
話し合ううちに、「トランシルヴァニアの多種多様な民俗衣装や刺繍文化」をテーマにした
展示にすることに決まった。
ルーマニア、ハンガリー、ザクセンにロマ、
多民族が互いに影響し、または分離して培った文化は大きな特徴でもある。
初めて日本に運び展示する品も多く、
背景とする村や地方が数多くあった。

japannyar (5) 
台風のように慌ただしかった旅行も終わり、
今度は宮崎で穏やかな生活がはじまった。
緑の鮮やかさが勢いをました稲、
足元の小さい池ではさまざまな生き物の息遣いが聞こえてきた。

japannyar (2) 
楠の木が見たいという長男に誘われて、
近くの神社に足を運んだこともあった。
巨大な木々のふもとに立つと心が休まるのはどうしてだろう。

japannyar (3) 
長男が小学校に通う最後の夏。
家族や大人からすこし距離を置きはじめたこの頃、
友人と一緒の時間が何より楽しいらしい。
親友になったゆうま君たちと過ごす思い出深い夏になった。

japannyar (4) 
茹だるような熱気に悩まされた日々もまた、良き思い出だ。
やがて稲の穂も黄金色に垂れてきた。
稲の刈りどきを知るために、昔の人たちは
鎌を大きく田の上に投げ入れたそうだ。
稲がその重みで支えられたら、
初めて穂が実ったということらしい。
祖父が教えてくれた知恵を、また母の口から知った。

稲かすっかり刈り取られて空き地になった頃、
私たちの日本での夏が終わった。

japannyar (1) 
旅の終わりに、成田空港の近くの佐原に住む
貝戸さんご一家のお宅に寄せていただいた。
5年ぶりに、ルーマニアを訪れたいというご家族と、
成田へ向かうにぎやかな車中で、
このまま一緒にルーマニアを目指しているかのような楽しい空想に襲われた。
「今度はルーマニアで。」を合言葉に、成田空港で別れた。

japannyar.jpg 
 
スポンサーサイト
comments(6)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2017-08-05_13:49|page top

「カロタセグ -装いの文化」展



karotasegu_img_text3.jpg

ラテン語で「森のかなたの国」を意味するトランシルヴァニア。
 現在のルーマニア西部に、カロタセグ地方はあります。
原風景広がるのどかな村に暮らす女性たちは、 
先祖代々に受け継ぐ美しく彩られた衣装を、大切に身に纏ってきました。
カロタセグをはじめ、トランシルヴァニアから届いた美しい衣装や手仕事の数々を、 
是非店頭でご覧ください。 

カロタセグ-装いの文化 
2017.6.10 Sat. - 6.25 Sun. open10:30 | close19:00 
KAMAWANU Utensils Store 2F “piece”
 
  ●トークショー【カロタセグの装いと手しごと】 

ルーマニア西部カロタセグ地方。 
そこには装うことを文化として大切に守り、楽しんでいる人々がいます。
目を惹きつけてやまない美しい伝統衣装。
繊細で細やかな手しごとの数々。 
現地の写真を交えながら、カロタセグの衣装のこと、生活や文化、手しごとのお話を伺います。
 日時:6/9(金)19時~20時  

※会期前日 話:谷崎聖子 参加人数:先着20名まで 参加費:1000円(税別)
(カロタセグ地方のお菓子とハーブティ・お土産付き)

 ●ワークショップ【イーラー ショシュ刺繍のサンプラートートバッグ】 
日時:6/10(土) ①午前/10時30分~12時30分 
        ②午後/14時~16時 

講師:谷崎聖子 参加費:6500円(講習費・材料費含む・税別) 
参加人数:各回10名  
持ち物:はさみ

*トークショー・ワークショップに参加ご希望の方は、
店頭またはお電話にて事前にご予約ください
TEL
03-6231-6466(かまわぬ浅草店)
*DMご希望の方はこちらまでご連絡ください。

カロタセグDM-JP

comments(4)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2017-05-26_16:38|page top

「イーラーショシュ刺繍のサンプラー トートバッグ」

100年以上昔にハンガリーで出版された
アンティークの刺繍図案から選んだ、
 6つの端モチーフをサンプラー(刺繍見本)にしました。

P1060047.jpg 
 簡単なものから複雑な図案まで、ボーダー状にならんだモチーフ。 

P1060048.jpg 
進んでいくにつれて難易度が上がり、 
一つ一つの刺繍を終えた頃にはどんどん腕が上がっていきます。

P1060049.jpg 
肩紐は、昔、アルコールランプの芯に使われた織り紐を使用します。

P1060051.jpg 
裏には、プリント、またはジャガード織り生地をあわせて、 
トートバッグに仕立てることができます。

P1060052.jpg  
サイズ 縦43cm 横31cm  マチ8cm
費用 講習費3000円 材料費3500円

東京浅草かまわぬさん (tel 03-6231-6466)
6/10(土) 10:3012:3014:00~16:00

大阪箕面けんちくの種さん(tel 072-734-6343)
6/17(土)、18(日) 13:30~16:00

アミカス福岡(tououzakka_iciripiciri@yahoo.co.jp)
7/19(土) 9:30~12:00
comments(6)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2017-05-23_21:24|page top

トランシルヴァニア地方の伝統文化と刺繍

東京から名古屋、そして大阪へ。
母校の大阪大学で講演+初心者向けの刺繍のワークショップが開催されます。
ハンガリーの隣国、ルーマニア。
現在も数多く暮らしているハンガリー少数民族。
地域によって異なる衣装や刺繍について
プロジェクターを使ってお話いたします。







20170615谷崎聖子講演会 
 また、講演会の後にワークショップがございます。 
トランシルヴァニアの伝統刺繍イーラ-ショシュを体験してみませんか?
 チューリップやバラ、鳥のちいさなブックマークを作ります。(材料費300円) 


37859576_o1.jpg

お問い合わせは、こちらまで。
ml-cir@library.osaka-u.ac.jp



comments(0)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2017-05-23_12:37|page top

Fangさんとカロタセグの新刊

Fangさんとの出会いは、
今から2年以上前のことだった。
イーラーショシュの本を手にし感銘をうけたことから、
台湾との不思議な縁がはじまった。

台湾でもこのような本が欲しい、
はじめは出版社へ直々にメールを送って
どうにか中国語版を作ろうと働きかけてくれた。
さまざまな規定のため、それも実らず終わろうとしていたのに、
彼女の情熱はそれでも冷めやらなかった。

今度は、新しく本を作ろうというのだ。
台湾とルーマニア。
遠い距離をはさんで、
英文によるたどたどしいコミュニケーションが幾度ともなく繰り返された。
やがて、産後のため期限までの提出は不可能だと諦めそうになったとき、
それでは、自分一人でも作りたいと、
彼女の強い意思が再び私を突き動かした。

2016年12月終わりに原稿を書き上げ、
さらに写真撮影を翌年1月に終わらせて、
あとは出来上がるのを待つだけだった。
しかしその後、本は編集やデザインに手間取り、
予定していた6月になっても出来上がらなかった。

私の仕事の条件は、
翌年の台湾での展示会のための渡航費だった。
3人の子供たちをつれて、
日本を経由して台湾に行くことができる。
何事にも勝る、ご褒美だった。

7月中旬、私はお守役の母親と3人の子供たちをつれて、
台湾の地を踏んだ。
台北中央駅の近くのユースホステルの前で、
巨大なスーツケースを引いているとき初めて彼女と出会った。
長身で色白の肌、切れ長の目をした女性は、
もじもじとお土産のお菓子を携えて立っていた。

ホステルで荷物を置くやすぐに、
彼女と打ち合わせのために喫茶店へ。
巨大なタピオカ入りの甘いミルクティーを飲みながら、
この数日と本について話し合った。

翌日は、飾り付けのために彼女の経営するギャラリーMad.Lを訪ねる。
迪化街(てきかがい)と呼ばれる問屋街の一角にある。
古き良き台湾の情緒が垣間見える場所。
天井の高く広い壁をどうやって埋めようかと頭を悩ませていると、
体調に不思議な変化が起こった。
腹痛がだんだん強くなり、冷や汗が出そうになった。
恐らく、昨夜のお茶の中の氷に違いない。
知人から忠告を受けていたのに、大事な初日からすでに体調を崩してしまった。

Fangさんは女王のように、切れ長の目を滑らせては壁を見、
陶芸家のご主人さまと妹さんが小間使いのようによく働く。
途中で、生後3ヶ月の赤ちゃんを連れて登場したり、
トイレで閉じ込められた猫たちがギャーギャーと泣き叫んだり。
3人で黙々と作業をしていると、
一緒に展示させて頂く竹永絵里さんとお父さまがやってきた。
朗らかな竹永さんの存在感と穏やかなお父様のご助力で大いに救われ、
息子も手を貸してくれたので、
一番難航していた枕カバーの詰め物を終えて、
会場がだんだんとカロタセグ色に塗り替えられていった。

夕方には、台湾の親友Zitonが自転車をこいでふらりと訪れた。
はじめの二日だけはホステルで、後の滞在は彼女の家で5人まとめて居候させてもらい、
まるで賑やかな家族のように、あちこちを出歩いた。

展示会のオープニングでは、
展示のコンセプト、展示物の説明などをして、
会場と書店とで二回にわたるワークショップと、
3人の台湾人通訳者の手を借りてなんとかこなすことができた。

展示会の後、彼女はこう書いた。
「この展示会が私とギャラリーにとって新たな出発だったの。
これまでの現代美術の路線から、工芸美術の方へと進もうと決めたわ。」
彼女は、心の中に燃える情熱を持ち、さまざまな困難に屈せず、
これからも次々と開拓していくことだろう。
ご主人さまが制作された美しい土の器を手にのせるとき、
会場でいただいた野菜スープや甘い豆乳の味が蘇り、
ふたりの優しさが思い起こされる。

そうした台湾の思い出を振り返りながら、
私は印刷したばかりの新刊を手にしている。
白い背景に、赤いイーラーショシュ、
そして刺繍のようにも見える「美麗刺繍」のタイトル。
中国語繁体字と英語が一冊になった本。


18118794_1502157856496310_8583097574469212185_n.jpg 
こちらでお求めいただけます。
また6月の東京浅草、大阪箕面の展示会場でもご覧いただけます。




















comments(0)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2017-05-20_23:03|page top