トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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「白雪姫幼稚園」の保護者会議

いつもの通りに子供を幼稚園に送り出すと、
先生に呼び止められた。
次の日の12時から10分だけ、保護者の会があるから、
できたら参加してほしいということであった。
その会に出るのに、少し怖いような不安な心持であった。

今週の火曜日、ちょうどイースターの祝日の次の日のこと、
ある事件がおきてしまった。
タマーシュくんという、金髪の背が低い男の子がいすに立っているところを、うちの息子が引っ張って落ちてしまい、運悪く鉄パイプの部分で腕を打ってしまったということだった。
事故の直後は、それほど重大なことではなかったのだが、子供の親が迎えに来たときに、
タマーシュくんの腕が動かなかったという。
それで病院に駆けつけ、レントゲンをとったところ、
どこかを骨折しているという。

私はあまりのショックに気が重く、
どう子供に事故のことを説明してよいか分からなかった。
事故の翌日であったから、息子もそのことをよく理解していない風。
とにかく子供の怪我が後遺症にならないよう祈るばかりであった。

その次の日、
先生に思い切って聞いてみると、
「タマーシュくんは、二週間したら幼稚園に帰ってくるそうよ。」
と明るい表情で言ったので、私は心の荷が少し下りたような
心持だった。
しかし、その保護者会でその保護者が来るとすると・・・
私は気が気ではなかった。

私は早めに幼稚園に向かった。
子供たちは、色とりどりの粘土で遊んでいた。
すると先生が、歌を歌う。
「お日様よ、のぼれ。 
 光り輝くお日様よ。
 お庭では小さな子羊が凍えてしまうから。」

すると、粘土をこねながら子供たちも続く。
「シャーンドル、ヨージェフ、ベネデク
袋に暖かいものを入れて、持ってくる。」
これは、ハンガリーの古い言い伝えで、
三人の名前の日がすぎると春がやってくるというもの。

保護者たちの姿が現れると、
子供たちは仲良く手をつなぎ、体育館に連れて行かれる。

私たちは、子供たちの小さないすに腰掛けて待つ。
すると先生が、名札を持ってきた。
ほかの顔ぶれを見ると、ジュジャやアッティラ、リリアナなど、
性ではなく名前で呼び合うらしい。
私の親よりも年配の保護者を名前で呼ぶなんて・・。

「話し合いを始める前に、少し遊びましょう。」
と言って、先生は小さなまりを手渡す。
「一人ずつ、
 『・・・・のような気分です。』と言ってみてください。」

「私は、昨日も幼稚園の集まりがあったので、
 小さな子供用のいすに座らされて、すごく疲れちゃったのよね。
 ほら私ってこんなに小さいから。
(もちろん冗談である。体格の良い人であった。)
 小さな紙を切ったりして・・・
 子供のような気分、かしらね。」

児童会の会長らしい男性は、書記の役割を受け持っていたから・・
「私は、タイプライターかな。
 ほら、今こうして書いているから。
 昨日も出張で、明日もブカレストに行かないといけないから、
 本当に毎日忙しい。」

「私は、春の花のような気分です。
 もう、春が待ち遠しいので。
 最近は滞在許可証の手続きに追われて、
 明日までには終わらせて、早く開放されたい。」
と私も答える。
普通なら、こんな個人的なことを初対面の人たちの前で言わないのだが・・
こんなゲームをする目的は、こんな風にして打ち解けるためだと感じたからだ。

それから、本題に入る。
私は何しろ初めてのことだし、まだ話を理解するので
精一杯だから、ただ聞き役でいるだけだった。

一つ目は、幼稚園の会費のようなもの
(ルーマニアでは、教育は基本的に無料なので、月謝ではない)を
毎月いくらにするか、そして何に使うかということであった。

初めは議論の焦点は、園でだされるお茶について。
私も飲ませてもらったが、ピンク色のフルーツティーで
ジャムのように甘く、うちの子供の好物である。
それが、保護者には余計な出費であるという。
園で調理係が、毎日作るらしいが、確かに少し甘すぎる。
それで、今の材料が切れたら終わりということになった。

また、月の会費は10レイ(2.3レイ=100円)で、
あまり園に出席しない子供の保護者は、半額にするということ。

「私は、自分の子供を二人育てて、
 今また二人の子供を受け入れています。
 育児書の類もいろいろと読んでいるけれど、
 ここではおもちゃが足りないと思うの。
 子供の手先の感覚を伸ばすような、そういう教材があってもいいのじゃないかしら。」
とインテリっぽい保護者が言う。

しかし実情は、その会費にしても、
ほとんどが日々の雑費として消えてしまい、CDプレイヤーとか
カーテンとか必要なものが買える状態ではないという。

「例えば、トゥンデの家庭にしても、両親は外国に出稼ぎに行って
しまって、祖父母が見ているから、経済的に苦しいらしいし・・・」と先生。
ある保護者も、うちも最低限の収入なので苦しい、と応じる。

そういう、個人の経済状況も普通に話題にしてしまうことは、
まったくの驚きであった。

そして、この「白雪姫幼稚園」がHPを作るというので、
クラスも何か紹介しないといけないという。
何かアイデアがあれば、ということであった。

最後になってようやく旦那がフラリと現れる。
私は小声で何を話し合ったかを伝えた。

そして、最後にまたゲームで締めくくりとなる。
「あなたが、・・・だから好き。」という文章を隣の相手について作ることである。
何だか愛の告白のような気恥ずかしさである。

ある子供のおばあちゃんは、隣の保護者に対して
「あなたは顔が大きいから、好きよ。」
(ハンガリー語で、顔が大きい=態度がでかい)
一応笑ってみたものの、よく考えると、なんと恐ろしいことを言うのか。
冗談にしてもちょっとひどい。

旦那に対してある保護者は、
「通りで見かけたとき、家庭を大事にする人のように思えたわ。」
と社交辞令のようなことを述べた。

そして、旦那は私に対して、
「妻だからね。」とだけ。
何の皮肉だか。

私は、まだ話さえろくにしたことのない保護者に、
「私は・・・・
 あなたが良い母親のように見えるから、
好きです。」と多少苦し紛れに答えた。

こういう類のゲームは、
人の輪の関係を築くために大切であるという。
大学の教育系の講義でも、こういうゲームを推奨するという。

日本のPTA会などには出席したことがないが、
こんな風に砕けた話し合いもたまには必要でないかと思った。
議論をするというのは、お互いをよりよく知る手段でもあるからだ。




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Theme:海外の子育て
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