トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルヴァニアの秋の一日

秋晴れの美しい10月のある日のこと、
おばあちゃんの住む村ツォーファルバからダンナと二人、散歩に行くことにした。

茶色の野原に、鮮やかな赤い実が目に留まる。
野ばらの実、ローズヒップ。
この小さな実はビタミンCの宝庫で、
ハーブティーにしたり、
ジャムにしたりと重宝されている。

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透けるような淡いピンクの花は芙蓉の一種か。
この花のがくは食べられるので、「神父のチーズ」と呼ばれる。
味はそう、粘り気があってちょうどオクラのようだ。

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秋の風物詩は、「牛のよだれ」。
つまりは、くもの巣のことである。

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この真っ白く、細長い糸のようなものが、秋の青空を漂う光景は、
何でもこの時期にしか見られない、季節限定の風景らしい。
中には2mほどの長さのものもあるという。
このよだれが長ければ長いほど、
その年は秋が長くなるという言い伝えもあるそうだ。

吸い込まれそうな青空の下、
枯れ色の草原を踏んで、とある丘を目指して歩いた。
これは、12、3世紀に作られたのが、
19世紀のハプスブルク統制時代に、
反乱を起こして壊されてしまったという城の跡。
確かに遠くからでも目立つほどに、
いかにも人工的な形をした丘である。

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「土の城」と呼ばれるこの丘では、
考古学の代物も見つかるという話。

ダンナがこう話してくれた。
「小学生低学年の頃、近所の女の子と発掘をしにここまできたことがあるんだ。
 スコップを手にしてね。
 一生懸命に掘って、掘って・・・
 何10cmかの穴を掘ったけど、何にも見つからなくてあきらめて帰ったよ。」

そんな古い遺跡の跡をよじ登ってみた。
崖というほどの急斜面ではないが、少し息も荒くなる。
なるほど、ちゃんと堀の跡も残っている。

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360度と見通しもよく、砦にはぴったりの場所だったのだろう。
私たちの家が建つ、フェルドボイはあちらの方角だ。

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その丘の上を散策していると、
不意に目の前に牛がのっしのっしと歩んでいた。

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牛のあとは、羊にヤギの群れも続く。
一心に足元の草を見て、歩んでいる動物たちの群れは、
海や川のように流れるといったほうが近いかもしれない。
昔の城の跡に、今はこうして動物の放牧がされている光景は、なんとも不思議だ。

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西日に照らされた動物たちを眺めていると、
その後ろから10歳くらいの少女が二人現れた。
手には棒を持って、家畜の番をしているようだ。

foldvar.jpg

「ねえ、ちょっと写真を撮らせてくれない?」と声を張り上げてみたが、
二人は顔を見合わせてちょっと笑ったあと、
すぐに家畜を追って行ってしまった。

今年最後のトランシルヴァニアの秋の光景であった。


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Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(2)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2008-11-28_08:09|page top

ふたたびトランシルヴァニアへ

この一ヶ月すごした
故郷の宮崎を離れ・・・
太平洋を渡ってはるばる大阪へとわたる。
大阪港の灰色の海も、
朝日に包まれてキラキラと輝く。
だから、私は船旅が好きだ。

ゆったりと海の流れを体で感じながら、
水平線から沈む太陽、昇る太陽を拝むという
普段の生活では考えられないような
ゆったりとした時間を味わうことが出来る。

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大阪では学生時代から通い続けている
Uさん一家にお世話になる。
この大阪の下町は、私の学生時代の大阪のイメージを吹き飛ばしてしまうほど
人の血が通う、人間味あふれる町である。
私はこのUさん一家とお知り合いにならなければ、
この大阪という場所をきっと好きにはならかなっただろう。

細長く上に長く伸びた家々がひしめく
この住宅地帯では、
絶えず自転車が通りを行きかい、
ご近所さん通しのやり取りが聞こえてくる。
こんな環境で育った、友人Sちゃんの
暖かさ、人情味もこの町を見れば納得してしまう。

今はなかなかお目にかかることの出来ない、
昔なつかしの商店街もこの辺りでは珍しくない。
豆腐屋さん、鰹節やさん、昆布やさん、
お魚屋さん、八百屋さん・・・
スーパーマーケットが出来る前の町は
どこもこんな風だったのだろう。

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乾物屋さんの軒先にぶら下がった長い魚を見て、
驚いて聞いてみた。

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「あれは、タラの干し物や。
俺らの小さい頃はな、
正月には新鮮な魚がなかったから、
どこでもタラの干したのを食べてたんや。」

あいづちを打つ私に、
おじさんはなおも語り続ける。

「戦争があった頃なんてな、
何でも干したものを食べてたんや。
今では考えられへんけど、
蛇のベルトなんかあって、
それをお腹がすいたときには食べていた。

だからうちんとこは、みんな乾物をあつかってるんや。」

ただの冷やかしの私に、こんな貴重な戦争時の話まで聞かせてくれて・・・
今はお正月のおせちくらいしか
使わない乾物類。
それでも私たちの先祖の知恵が生きた、素晴らしい食文化だ。
と感動を覚える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして翌日は、関西国際空港から私たちを乗せた飛行機はとんだ。
新たなヨーロッパの窓となりつつある
フィンランドの国際空港に着いたのは、10時間後。
日本からは、モスクワと同じ最短距離で
ヨーロッパのどの都市に乗り継ぐにも便利である。

フィンランドの大地に、か細い木々が見えてきた。
10月中旬の時とは違って、
あの黄色い葉っぱは跡形もなく姿を消していた。

今回は2時間の乗り継ぎ時間だったため、
すぐにゲートに向かう。
ブダペスト行きの私たちは、バスに揺られて飛行機へと向かった。

外に出て、もろに北欧の寒い空気が体の中に忍び込んでくる。
私たちの乗る飛行機は、前方一箇所の入り口しかないミニ飛行機なので
入り口は思ったよりも混雑した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハンガリーはブダペストの空港に到着したのは、夜7時。
15kgほどの車輪つきかばんと、6,7kgはあるリュックを背に
ブダペストの町に繰り出した。

夜のブダペストは、退廃的な香りがして
なんとも独特な趣がある。
オレンジ色の街灯に照らされて、
うす汚れた建物のジャングルの中を
どこまでも歩いて見たいような欲望に駆られることがある。
特に表面の崩れ落ちたレンガの建物などを見ると、
何だかゾクゾクしてくる。

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次の日、国際列車が出る東駅で荷物を預けて、
町を観光した。

私たちが向かったのは、学生時代にほんの一ヶ月ほど住んでいた
Nefelejcs Utca(忘れな草通り)にある
ブダペスト世紀末の美の仕掛け人であった
Roth Miksa(ロート・ミクシャ)の記念館。
王宮のガラス絵職人である。

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ロートの生前の様子をそのままに残した
部屋の様子、そしてアール・ヌーヴォーの珠玉である
ステンドグラスやモザイク画の作品にしばし包まれる。
リスト音楽アカデミーの記事でご覧いただけます。

中庭の向こう側の建物は、当時のアトリエであったという。
今はその中の様子を見ることが出来ないのが残念である。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕方5時すぎの列車でブダペストを離れる。
ハンガリーとルーマニアの国境までは約4時間。
それからは10時間ほどトランシルヴァニアを走って
スフントゥ・ゲオルゲへ。

初めは寒かった車内も、徐々に暖房が効いてきたようだ、
気がつくとぐっすりと眠りについていた。

夜中にふと目を覚まして外を見やると、
こちらがわの暗い闇色の建物の奥には
オレンジ色に照らされた町並みが覗き、
一段高いところには教会がライトアップされている。
絵本の中のような風景。

そして手前を流れる小川は、キラキラと輝いて、
よく見るとカチカチに凍っている。
改めて外の世界の寒さを思い知らされた。

それに比べて、この車内は・・・
出来るだけ洋服を脱いでもまだ汗ばむくらいに、暑い。
プラス40度はあるだろうか。
途中で、窓を開けて涼しい空気を入れないと
我慢できなくなる。

こんな風に外気を入れて「寒いな。」と思った頃に窓を閉めて寝入り、
また暑くなって目が覚めるを繰り返すうちに、目的地に到着。

あの重い荷物を引きずってバスに乗り、
我が家の前に着いた。

久しぶりの家から覗く風景には、
秋の名残をとどめる黄色く色づいた松。
目を凝らすと枝には、フクロウが乗っているではないか。
それも2、3・・・4羽もいる。
このフクロウは、昼間はじっと目を瞑っているようだ。
まるで瞑想をしてたたずむ姿が、
ヨーロッパでは知恵の象徴とされ、
古本屋のトレードマークとなっているのも頷ける。

こんな可愛い動物が身近にいるのも
やっぱりトランシルヴァニア。
まるで「おかえり。」と私たちを出迎えてくれたかのように。

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やげてトランシルヴァニアの冬もやってくる。


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comments(4)|trackback(0)|その他|2008-11-22_19:25|page top

トランシルヴァニアへ

ここ一ヶ月間お休みしていたブログは、
来週には更新される予定です。

宮崎~大阪をフェリーで一晩、
大阪~ヘルシンキを飛行機で10時間、
ヘルシンキ~ブダペストを飛行機で2時間半。
ブダペスト~ルーマニアのトランシルヴァニア地方の都市セントジュルジまで一晩・・・

私達の旅が、また始まります。

comments(2)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2008-11-15_17:03|page top