トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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アパーツァ村のオンドリ射ち

イースターの水掛けの日の
すぐ前の日曜日。
アパーツァ村では、
毎年恒例のカカシュヴェーシュ(オンドリ射ち)が行われる。

朝早くおきるのが苦痛だったので、
もうヒッチハイクで行くことに決めていた。
町外れの一本道に立って、
車を待ちかまえる。

祝日のせいか、あまり車の数は多くない。
やがて一時間弱で、一台とまってくれた。
「アーラパタクまで。」といわれ、
一瞬迷ったが車に乗り込んだ。

4月も中旬。
森の木々こそ枯れたままの色だが、
野原はふさふさとした緑で覆われ、
羊たちの姿も見られた。

アーラパタクで降りた後は、
手芸で有名なエテルカおばあちゃんをついでに訪ねる。
お嫁さんとお孫さんがすぐに、
おばあちゃんを呼んでくれ、
お元気そうに微笑むエテルカおばあちゃんにご挨拶。
息子に、真っ赤なタマゴをくれた。

昔はタマゴの絵付けでも有名だった、エテルカおばあちゃん。
今では、真っ赤に染めただけのタマゴだった。

その後もヒッチハイクは功を奏して、
目指すアパーツァ村の二つほど手前の村で下ろされた。
ここからは徒歩で隣町を目指す。
うっすらと緑のヴェールで覆われた村を見ながら、
うららかな春の日差しを浴びてのお散歩。

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途中で木造の橋が現れた。
古いがしっかりとしたつくりで、
馬車でも車でもものともしない。

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ここは、もともとはドイツ系のザクセン人が住んでいた村。
その名残は、もはや建物に見られるばかり。
腰掛けていたおじさんにアパーツァ村の方角を聞くと、
実際とは反対側を指差して微笑んだ。

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結局後で、分かって逆戻り。
最低でも二人は同じことを言わない限り、
道案内は信用してはならない。

途中でヒッチハイクをしながら、
6kmの道のりをひたすら歩く。
なかなか車は止まってくれない。
なだらかな丘に、
プルーンの白い花がちょうど花を咲かせようとしていた。
歩くこと一時間、やっとアパーツァにたどり着いた。

時刻はちょうどお昼時。
持参したサンドイッチとお茶で、お昼ご飯。
村のはずれの丘で一息ついていると、
コウノトリが遠くで丘を歩んでいた。
彼らもお昼ご飯を探しているのかもしれない。

Clipboard04.jpg

ここは、村の墓地のすぐ横。
黒服に身を包んだおばあちゃんたちが、
並んでゆっくりと向かってきた。
イースター休日の、こののどかな昼下がりに
喪服を見かけるのは
非現実的な感じ。

IMG_5561.jpg

アパーツァの墓は美しい。
星やチューリップなどの原始的なモチーフの世界が、
しっかりと受け継がれている。
若い人が亡くなった場合には
木を赤く染め、上にチューリップ(王冠)を彫るのがここの慣わし。

apaca2.jpg

村に戻ると、衣装に着替えた子供たちが
弓を手に歩いていた。
彼らについて行ってみることにする。

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とある民家の前で、
たくさんの人が集まっていた。
制服をまとった子供たちは、家に入っていく。
どうやらここが出発地点のようだ。

ブラスバンドの演奏が始まると、
いよいよお祭りのムードも高まってくる。
たくさんの村の人、観光客、カメラマンの見守る中、
行列が出発。
セーケイの民俗衣装を着た少女たちのうしろに、
オンドリの的が見られる。

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それから兵士たちが続く。
中には、自分の背丈ほどの大きさの弓を抱えて
歩く小さな男の子たちの姿も。

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「右、左、右、左!」と勇ましく掛け声をかける将校に、
しょんぼりと後をついてくる兵隊さん。

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村の人たちばかりでなく、
遠くからも恒例のオンドリ射ちを見に来る
人たちがいる。

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途中、村の中心の教会の前、
そして学校の前で止まってご挨拶。
ハンガリー革命の英雄、コシュート・ラヨシュの歌を披露する。

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大きな木製の弓を掲げる。
兵役はもうなくなったルーマニアだが、
こうした伝統がしっかり守られている。

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やがて、村のはずれの
丘へとやってきた。
芽吹いたばかりの新緑が目にまぶしい。

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丘のちょうどくぼみの部分に円く陣取り、
ここがオンドリ射ちの舞台となる。

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まずはじめに、赤い服を着た将校たちが
長いせりふを諳んじはじめた。
これは、昔タタール人(モンゴル)が襲来したときに、
アパーツァの民がとりでに立てこもっていたところ、
オンドリがないて、敵に隠れ場所を教えてしまったという
伝説からきている。

そのオンドリに対する恨みを晴らすため、
トリを死刑にするべきだとの裁判が行われているのだ。

IMG_5637.jpg

やがて長い討論の後、
死刑執行の判決が下されて、
晴れてオンドリ射ちの儀式が始まる。
昔は、本物のトリを撃っていたといわれる。
他にも、オンドリ叩きの習慣が残る地域もあるそうだ。
(ここでは、目隠しをして生きているオンドリをたたくそう・・・・。)

IMG_5675.jpg

狙いを定めて・・・
的に見事命中した。

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同じくらいの年の子供が、
勇ましく矢を放っている様子を見て
息子はどう感じるのだろう?
「 後で弓で討たせてもらおうか?」とたずねたら、
首を振っていた。

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兵士の習慣とはうらはらに、
春の一番美しい時期に、
こうして村の人たちと一緒にピクニックをしに来たような
そんな空気が漂う。

IMG_5671.jpg

子供たちがしっかりと
古くからの伝統行事を受け継いでいるのは、
見ていて頼もしいことである。

24.jpg

オンドリ討ちとともに、
春の到来を感じるアパーツァ村の人々。
こうして育つ子供たちの心にも、
ふるさとを愛する気持ちがはぐくまれているに違いない。

25.jpg

春を祝う祭りの余韻は、
ブラスバンドの演奏とともになかなか消え去らなかった。

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comments(4)|trackback(0)|イベント|2009-04-23_22:31|page top

イースターと水掛け

春と同時にやってきたイースター。

今年はイースターエッグを作って、
お菓子を焼き、準備も万端。

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キリスト教のイベントとして知られるイースターも、
実はその土地土地で
祝い方も違い、
キリスト教以前の信仰が
うまく混ざり合いながら残っている。

ハンガリー人にとって
一番大切なイベントは、すなわち「水掛け」。
女の子をお花にたとえて、
例えばこんな詩を読む。

「 朝早くおきて、
  何も食べず何も飲んでいません。
  そこでたくさんのお花を見つけました。
  赤いタマゴに白いウサギ、
  お水をかけたら、たくさんのキス。

  お水をかけてもいいですか」

昔は、バケツいっぱいの水を引っ掛けていたそうだが、
町中、ほとんどはアパート暮らしなので
これでは少し礼儀に反する。
ということで、
少し上品に、香水を振り掛けるというのが
最近の習慣だ。

きれいに身支度を済ませたら、
ダンナは息子を連れて、
知人から知人へと練り歩く。
朝は主に子供たち、
夕方から夜にかけては
大人が町をうろうろしている。

昔から、この町にいるならともかく、
そう知人友人の多くない私は
いつも待ちぼうけを食らわされて、
ひどく退屈な習慣である。

それでも珍しく、
きれいに部屋を整えてお客様を待つ。

01.jpg

やがて
「ピンポーン!」の音に、
飛び跳ねて、覗き穴を見ると、
見慣れない男の姿・・・

空けてみると、
ジプシーの男が娘を連れている。
何だか手も汚いし、
ボロボロの服を着ている。

スプレーを見せて、
「ほら、かけに来たんだ。」というので、
仕方なくクッキーを差し出した。

すると、その男
「おい・・・なんかパンになるものはないのかい?」と聞く。
お菓子では足りず、
おかずをくれというのかと誤解した私は、
「悪いけど・・・うちにはこれしかないの。」
と一応、誤りながら丁寧に追い払う。

男と娘は、汚れた手で
クッキーを虫掴みにして帰っていった。

それから、何人かがやってきては
帰っていった。
やがてセーケイの民俗衣装に身を包んだ、
身長2Mほどの大男が
大きな壷に水を入れてやってきた。
「ほら、水をかけるから風呂場に行くぞ。」と
真剣な顔で言うから怖い。

去年はバケツを持ってきていたが、
今回は水差しの壷。
穴が上に開いているので、
そこから冷たい水を注がれ
今回も勘弁してもらった。

もう日も暮れたというのに、
「あと20人ほど訪ねないといけないから。」と
町でも有名人のゾリは
風のように去っていった。

後で聞いたところによると、
パンになるものとは、すなわちお金のことらしい。
タマゴやお菓子を差し出す習慣なのが、
最近ではお金を上げるようになってきたそうだ。

昔はきれいに身支度を整えた、子供や大人が
通りを歩く姿がよく見られたが、
最近では車で移動し、
あまり知人を訪ねなくなってしまった。

せっかくの伝統的な習慣も、
だんだん味気なくなってきてしまって残念である。
息子がこれから
大きくなっても水掛けの習慣は
ずっと残っていくだろうか。



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comments(0)|trackback(0)|文化、習慣|2009-04-23_21:18|page top

目覚めの季節

トランシルヴァニアの春は足元からやってくる。
まずは黒くからからの大地に、
輝くばかりの緑のじゅうたん。

やがてタンポポやスミレ、マーガレットなどの
小さく可憐な妖精たちが姿を現す。

それから、春の魔法は木々へと広がる。
固いつぼみがほころび、
あっという間に緑が吹く。
まさにあらゆる生命が目覚める季節。
キリストの復活を祝うイースターが
この時期にあるのも偶然ではない気がする。

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4月のはじめ。
ダンナのおばあちゃんの住む村ツォーファルバで
息子と二人、春を探しに散歩に出る。
そうしたらチビもついてきた。

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亡きおじいさんの後を
いつもついて行っていたチビ。

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緑の芝を踏む感覚などずっと忘れていた。
まっすぐに野原を行くと、
小川に出合った。
水の流れる音とすがすがしい空気が
ひとつになる。

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こんなところに花が咲いている。
ぶんぶんとハチの羽音が聞こえてくる。
ついこの前までは
銀色の毛並みが輝いていたのが、
小さな黄色いお花が開いていた。
ネコヤナギの花の色は、春の太陽そのもの。

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黄色と緑が一体になると、
こんなにも華やか。
小さな菜の花みたい。

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これは、カタクリの花だそう。
野生の花って、こんなにも端整。
根っこから、あの真っ白な片栗が取れるのだろうか。

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それから電車で町へ帰った。
ジャガイモを植える前の、
よく肥えた土の茶色と
いま伸び盛りの麦の緑のコントラストが美しい。

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セントジュルジの町でも、
オルト川のほとりでは芝に寝そべる人たち。
ずっと太陽の光に焦がれていたのは、
人間も同じ。

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私たちの住む健康通り。
緑の膜が少しずつここにも・・・・。

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comments(4)|trackback(0)|自然、動物|2009-04-19_08:09|page top

トランシルヴァニアの人々と花

ある友人が、わたしに語ってくれたエピソード。


友人Iが11、12歳のころ、
時は共産主義時代。
レーチの湖のほとりで、
昔はスイレンが咲いていたそうで、
「 スイレン・フェスティバル」と題したお祭りが開かれていた。

昔は栄華を誇っていたレーチのスイレンも
その頃はだいぶん廃れてきていて、
たった二つの花が見られるばかり。

それでも特設ステージが設けられ、
歌に踊りで大盛り上がり。
ふとそのステージから目を湖の方へ向けると、
何者かが水の中へ足を踏み入れ、
どんどん花のほうへと近づいていく。

それは、まぎれもなくIのお父さんの姿だった。
やがてその二本のスイレンに手を伸ばしていた。
「 お父さん、やめて。」と心で叫ぶ
彼女の願いもむなしく、
無残にも最後のスイレンはちぎられて、
お父さんは悠々と
その花を妻に差し出したという。

その後、哀れなお父さんは警官に取り押さえられて、
両親の一月のお給料が差し押さえられたそうだ。


そのお父さんに関するエピソードはまだまだあるらしい。
両手で抱えきれないような
バラの花束(もちろんどこからか取ってきた)を抱えて
お母さんに差しだした。
お父さんはなんともなかったのに、
妻の指にトゲが刺さって
病院へ行ったとか・・・

そう、トランシルヴァニアの人たちは
花が本当にすきなのだ。
どこでも手入れの行き届いた庭に、
いろいろな種類の花でいっぱいである。

花や緑のない冬が半分を占めるので、
それだけ花に対する憧れも強いのだろう。

そして驚くべきことには、
個人の庭のものでも
木の花を取ることは許されるということだ。

どんなに美しい花を摘んでもいいけれど、
どんなに古くても果物を取ることは許されない。

花で満ち溢れる春のトランシルヴァニア。
息子と散歩するたびに、
いろいろな花でいっぱいになる。
「 あれ、とって。」と言われて
周りを見回してから背伸びをして枝を折っていたが、
これを聞いて
少し心が軽くなった気がする。


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comments(0)|trackback(0)|文化、習慣|2009-04-19_07:05|page top

マジャローシュの乗馬日和

4月のはじめ、
いまだ春の奇跡がトランシルヴァニアを訪れる前のこと。
友人に誘われて、
マジャローシュという村へ向かった。

朝早くバスに乗って、
レーチのシラカバ林のところで降りる。
すると私たちを待っていたのは、
馬に引かれた馬車。

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そう、ここからこの馬車に乗って
シラカバ林の向こうにある
村へと向かおうというのだ。

大人6人と子供一人を
茶色と灰色の馬が引いていく。
私たちが座っているのは、
干草のいす。
フワフワとした座り心地で、
心地よい香りに包まれ、
カッポ、カッポという馬の足音を聞いて、
まだ夢の中にいるよう。

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後ろからは、いたずら盛りの子馬もついてくる。

シラカバ林は、まだ裸のまま。
松林を越えると、目の前に広がったのは
なんとゴミの山だった・・・。
風が吹けば、
ゴミは林の中へも飛んでくる。

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保護林であるはずの、レーチのシラカバ林は
国道からは見えないものの、
裏は近郊の村から大量に運ばれてくる
家庭ごみの置き場となっている。
「 本当に残念なことだけど、
 村の人たちのこの考えはなかなか変えられないんだよ。
 ほら、昔は家庭ごみでも
 自然にかえるものばかりだった。
 今はゴミの質が違うのに、
 昔からの習慣は変わらず、そのままなんだ。」
とラヨシュのおじさん。

気分を取り直して、
馬車の旅はまだ続く。
暗い松林から、ぱっと視界が開けて
なだやかな丘が広がっていた。
あの丘のふもとに見えるのが、マジャローシュの村。

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ここで馬も一休み。
あたたかな春の日差しを浴び、
生まれたばかりの新鮮な草をはんで、
栄養補給をしていた。
その毛並みにそっと触れてみると、
しっとりと汗ばんでいた。

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馬車には、もちろんベルトがないから
しっかりとつかまっていないといけない。
心なしか、少し右に傾いているようにも感じられる。

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マジャローシュは、人口が80人ほどの小さな村。
セントジュルジの町からは、そう距離が離れているわけではないのに、
人里はなれた所へやってきたような気がする。

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村の中に入った。
ひっそりと静かな感じ。
半分ほどの村は、空き家のようだ。
町へ出稼ぎにいける距離なのに、
舗装道路がない。
だから若い人たちも町へと出てしまうのだろう。

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一本道をつっきって、
教会のとなりがラヨシュの家。
坂道を最後の力をふりぼって駆け上がる馬たち。

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やっと我が家にたどり着くと、
馬具をはずしてやり、
干草のご褒美をたっぷりと用意する。
わき目も振らずに、
ただ草を食む。

思えばこんなに近くで、馬に接するのは初めて。
じっと馬を観察する私に、
「 君、あんまり馬が好きじゃないだろう?」とラヨシュ。

「 いや、嫌いなわけじゃないけれど。
  こんな大きな動物にあまり接したことないから・・・。」というと、
こんな風に説明してくれた。

まず横から近づいていって、
体をやさしくなでながら、話しかける。
こういうふれあいが大切なのだそうだ。

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やがて鐘の音が響いた。
急いで教会の前へかけていくと、
教会の入り口で鐘を突いているところだった。

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ついでに中を見せてもらう。
真っ白い壁に、古く黒ずんだ家具が浮き彫りになる。

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ちょうど修復の途中の家具のペイント。
なんともいえない、
複雑な色合いに息を呑む。

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お花の刺しゅうのされたタペストリーも、
古い家具にしっかりとなじんでいる。

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暗く狭い階段を上って、
今度は教会の塔へ。
やっと身動きがとれるほどの小さな空間。
真ん中には、青銅色の鐘がふたつ。

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小さな窓枠の隙間から、
やっと表の様子が見渡せた。
遠くの方に村が見える。
緑が到来する前の、
早い春のトランシルヴァニアが広がっていた。

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教会見物のあとは、
丘の上へと散歩に出かける。
村のはずれには、シラカバ林も見られる。
昔は、あのレーチの林とつながっていたのだそうだ。
ほっそりと白い幹が、
空の青に溶け込んでしまいそうだ。

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暗い森をこえると、
丘の上にはまだ冬の名残が。

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雪解けの水が小川になって、
丘の上を流れている。

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うららかな陽気に誘われて、
ミツバチも土の中から出てきた。

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新鮮なこい紫。
色のなかった冬から、
今度は色に満ち溢れた季節がやってくる。

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丘の上でピクニック。
風景が何よりものご馳走。
のどが渇いたので、雪解けの水を飲んだら
なんとも透明な味だった。

やがてなだらかな丘を下ってゆく。
そのままゴロゴロと転がっていけそうなくらい。

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「 なんていう森の色!」
思わず、ダンナに聞いてみた。
赤紫のような、魅惑的な表情をしている。
「 これは、緑を吹く前の森の色だよ。
 ちょうど、春の初めの今の時期だけに見られるんだ。」

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まさに冬の間中溜め込んできた
エネルギーが、一気に吹き出てくる前の、
そんな自然の色なのだ。

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夏時間に変わった今、
一日は驚くほど長くなっていく。
ピクニックの後で、今度は乗馬の時間。
裏庭の向こうには、立派な乗馬の広場があった。
雪が解けたために、土はまだぬかるんでいる。

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まさか乗馬をするなんて思ってもいなかったから、
こんなスカート姿・・・・。
はじめは、手綱を引いてもらってから、
徐々に慣れて、今度は自分で綱を握る。
ちゃんと仕付けられたお利口の馬だから、
なんとか乗ることが出来た。

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ラヨシュは調教師の免許ももっているので、
私たちも安心して乗馬を楽しむことが出来た。
彼は、馬に乗って弓を引くスポーツにも
秀でているとのこと。

皆さんもトランシルヴァニアの大自然に包まれて、
乗馬を楽しんでみませんか?



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comments(4)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2009-04-14_23:21|page top

冬時間さいごの遠足

3月も終わり、最後の冬時間。
次の日からは、ヨーロッパ中がいっせいに
夏時間に切り替わる。
朝が一時間早くなり、
日の暮れるのも一時間遅くなる。

最近親しくなった、ブラーガ一家に呼ばれて
キャンピングカーで遠足へ行くことになった。
「小麦を挽くので、
 製粉所へ行こう。」というお誘い。
麦を挽くために、
2家族そろって遠足というのもユニークだ。

大人4人、子供4人を乗せ、
車が町を出る。
畑は見わたす限りに、
深い緑と黒に近い茶色で
しましま模様が続いていた。

麦は冬が来る前に植えられ、
雪の中でずっと耐えてきたから
春にはぐんと成長するのだそう。
まだ土のままのところには、
もうすぐジャガイモが植えられる。

ダンナのおばあちゃんが住む村を横切って、
ガタガタの砂利道を進み
テレクにやってきた。
この村の知人を訪ねる様子なので、
私たちも一緒させてもらう。

庭の先には、家よりも大きな納屋がたっている。
子供たちは一足先に中へ。
町の中とはちがって、
子供たちもずっと生き生きとして見える。

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薄暗い納屋の中、
空気もひんやりと冷たい。
動物の体だけが、闇の中で浮きあがって見える。
ブタさんたちは
思ったよりも白くて清潔。
なんか不思議な瞳・・・
よく見ると、片方が青、もう一方が茶色だった。

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なめらかな茶色の体が
ぬっと現れる。
馬が二頭。
トランシルヴァニアでは町でも
馬車はよく見かけるが、
こんなに近くに大きな体の馬がいると
さすがに圧倒される。
体をXの字に交差させて、
じっとしている。
何かの彫刻のようだ。

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変なニワトリ!
その名も、「裸の首」というらしい。
トランシルヴァニア発祥の種のようだ。
それでも味は、普通のニワトリと変わらないそう。

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ちょっと外へと散歩。
この村は舗装されていないので、
昔ながらの村の風景が残っている。
ベンチに座っておしゃべりするお年寄りや、
通りでサッカーをする子供たち・・・

あっ、巣の中にコウノトリが立っている!
・・・・半年振りに帰ってきたのだ。

IMG_4614.jpg

南アフリカからの長い長い工程を経て、
今はゆっくりと旅の疲れを癒しているのだろう。
これから子育てが始まる。
季節を大まかに、夏と冬に分けるとしたら、
まさにトランシルヴァニアの夏は、
コウノトリとともに来て、
コウノトリとともに去っていく。

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どうやら村の製粉所は閉まっているらしい。
「うちでよかったら、粉を挽いてあげるよ。」と
ご主人様が家の粉挽き器を見せてくれた。

「あなたも、ロッジュの粉いる?」と聞かれて、
戸惑う。
何か聞きなれない言葉・・・
麦の種類なのだろうが、よく分からない。
玄米のことかな?と思っていたら、
麦の種類そのもののようだ。

ご主人様が、屋根裏から持ってきて見せてくれた。
左側が普通の麦、
右の上のほうの、少し青っぽいものがそうらしい。

IMG_4622.jpg

大きなかまどに、小さなジャガイモがたくさん。
ゆでたおイモをいただくと、
ホクホクでおいしい。
しかも、これブタの飼料なのだそう。
ブタの分を横取りして、
自家製のヨーグルトと茹でたジャガイモをいただく。
素朴な味って、本当に飽きない。

IMG_4637.jpg

ご主人から自家製のベーコン、
10kgほどのジャガイモ、ヨーグルトの
お土産を抱えて車に乗り込んだ。
村の人たちのこうしたおもてなしには、
いつも頭が下がる思いがする。

telek6.jpg

村を出ると、
すっきりと抜けるような青空に、
雪を頂いた山並みが美しく映える。
このままどこまでも車を走らせたい気分。

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やがて車を止めて一休み。
キャンピングカーでは、ジプシー音楽が鳴り響き、
子供たちも音楽に合わせて踊りだす。
歌と踊りと旅の生活・・・
なんとなくジプシーになったような気分。

IMG_4730.jpg

小川沿いには、
ススキとネコヤナギが立ち並ぶ。
ここでは、秋と春が混在している。

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子供たちは、あれをとって
これをとってと親たちをこき使う。
車の中では、ススキの穂がフワフワ舞い、
銀色のネコヤナギの芽がきらきら光っている。

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これからお昼ご飯にするため、
白樺林へと向かった。
夏にはキャンプ客でにぎわう避暑地だが、
今はまだ緑が吹いていないので
私たちだけ。

自家製の夏野菜のペーストをパンに塗って、
頂いたばかりのヨーグルトとチーズといっしょに。
ちょっとしたピクニック気分。

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枯葉のじゅうたんの中を散策して、
小さな虫や緑のコケを見つけて
自然観察がはじまった。
裸の白樺は、真っ白なひょろりとした
幹がまだ寒々しい。

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4月には、風景が見る見るうちに変わっていく。
これから目を凝らして、
春がやってくる奇跡をしっかりと観察しよう。



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comments(2)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2009-04-03_08:29|page top

白雪姫幼稚園でひな祭り

息子の通う白雪姫幼稚園で、
今年二回目の日本の日。
今回は、ひな祭りを真似て
甘酒と白玉団子の素、そしてお箸を手に
教室へ向かった。

幼稚園の給食室を借りて
一袋の白玉団子を作り、
甘酒用に熱湯を沸かす。
給食のおばさんたちも興味津々のようす。

出来上がった白玉に
黄な粉を混ぜて、お皿に盛る。
甘酒もすこし冷まして。

子供たちはいつものように円になって、
ハンガリー語、ルーマニア語、そして日本語で人数を数えていた。
家でも日本語で数をいい、
保護者を驚かす子供もいるそうだ。

20.jpg

私も中に加わって、
2月に教えたばかりの「ひらいた、ひらいた」を
一緒になって歌う。
前よりも、ずっと確かな声で
日本語が聞こえてきた。


これもローマ字の歌詞カードを手に、
先生が教えてくださったおかげ。
初めての日本の歌が部屋の中いっぱいに響き渡る。

二回繰り返した後は、
「 今度は、あなたたちだけで歌ってね。
  はじめは女の子。」と先生。
はにかみ屋が多いのか、
消え入りそうな細い声。

obi1.jpg

次は男の子。
息子とチャナードは
ピンクのマイクを取り合った挙句、
交代で持つことになった様子。
女の子よりもずっと、元気がいい。
マイクを手に熱唱。

obi2.jpg

IMG_4525.jpg

歌の後は、
お待ちかねのお箸の練習。
あらかじめ切っておいた
綿と毛糸をボールの中に入れる。

実は、私は箸を正しくもてない。
ずっと鉛筆にぎりの要領で、
この30年間通してきた。
それでも鉄砲を手で作ってから、
親指と人差し指の間に箸をおいて、
中指を間にはさんで・・・
形だけでも見せて教えることが出来た。

子供たちも一心に
ボールの中めがけて、
慣れない箸を突き出していた。

IMG_4533.jpg

IMG_4536.jpg

お箸をもつことは、こんなにも楽しい事なのだ。
思えば、日本の保育園で
お箸を持つことを教えたときには、
箸を持つ=(イコール)食べなくてはいけない、
つまりお箸で食べることを強要していた感があった。

遊び感覚で教えたら、
こんなにも子供たちは夢中になる・・・
新しい発見だった。

「今度は、お箸をつかって
 本物の食べ物を食べてみましょう。」と
ひとりひとりに白玉をつまんでもらう。

IMG_4539.jpg

・・・しかし白玉団子は思いのほか、
不評だった。
第一、あのゴムをかむような
不思議な触感がダメらしい。
味見もせずに、食べないという子供も多かった。
ほとんど、息子一人で平らげる。

obi3.jpg

甘酒も同様に、
あの発酵したような独特の風味がいけないようだ。

ユーリア先生が、慰めの言葉をかけてくれる。
「 子供たちが食べなかったことで、
 がっかりしないでね。
 うちの主人もそうだけど、
 ここのセーケイ人は、右も左も見えないほどに
 頑固だから・・・。
 ロールキャベツに、サロンナ(ブタの脂身)じゃないと
 ダメなんだから!」

小さな輪ではあるけれど、
こんな風に自分の国の文化を
子供たちに伝えていくことは喜びでもある。
息子も胸を張って、
日本というもうひとつの故郷に
誇りを持ってもらいたい。
そのためには、もっともっと
たくさんの子供たちに
日本のことを知ってもらいたい。

白雪姫幼稚園の日本の日は、
これからも続くだろう。

 

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comments(4)|trackback(0)|ルーマニアの育児|2009-04-02_05:25|page top
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