トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ブログ翻訳

クリスマス村の商人ジプシー

「 美しい衣装を着たジプシーを見たいなら、
カラーチョニ(クリスマス)村へ行くといいよ。」
まず誰に聞いてもそう返ってきた。

ここのジプシーたちは、
なんでも並みのハンガリー人やルーマニア人より裕福だという話。
きれいな家に住み、美しい衣装を着て、
ちゃんと学校も出ているという。

トルグ・ムレシュから車で
30分ほど行くと、そのクリスマス村へとついた。
その楽しそうな名前と似合わず、
土曜の朝の村は行きかう人もなく、
どことなくひっそりしていた。

この村のジプシーたちは、土曜日にミサをするという
情報を聞いていたので、
車をのんびり走らせて、人を探した。

karacsonyfalva6.jpg

ちょうど門からでてきた
民族衣装をひらめかせた女性に、尋ねてみる。
そのついでに、その衣装のすばらしさを褒めたたえた。

すると、ジプシー女性は真剣な表情になって、
「 あなた、こんな衣装がほしいのなら譲ってあげるわよ。」
と家の中へ招きよせた。

部屋に入ると、さっそく商談が始まった。
色とりどりの華やかなスカートを取り出して、
これはいくらで・・・という話になってきた。

「 まだジプシー村へきて、初日。
もちろん衣装に興味はあるが、
まだ買うつもりはない。」と伝えても、
しつこく迫ってきた。
ジプシーの太ったおばさんが3人だと、
それはものすごい迫力だ。

はじめの値段よりも、大幅な値下げ攻撃が
繰り広げられ、あまりの押しの強さにもう買う意欲も失われてしまった。
車のドアを開けて、乗り込もうとすると、
YUUMIさんが紙幣を出して
「 この値段なら買うから。」ときっぱり言った。

私の手にはすでに、ずっしりと重いスカートとエプロンがのっていた。
その倍の値段を言うジプシー女性3人、
半分の値段でしか買おうとしない日本人女性。
その間に立ち、行き場のないスカートを抱える私。

しまいには愛想をつかして
車に乗り込んで、スカートを返してしまった。
ひとりが表情を変えて、
「 今、お金に困っているから、この値段で仕方ないわ。」
とスカートを車の中へ投げ込んだ。

こうしてバラ模様の赤いスカートを乗せて、
私たちは村の教会へと向かった。

庭には、口ひげをはやした黒いスーツ姿の男たちが
立ち並んでいた。
これはアドベント派の教会。

ciganyi falvak 262

中の信者も、ほとんどがジプシーのようす。
色の洪水のような女性の装いと、
ぜんぶが黒の男性のそれは全く対照的。

ciganyi falvak 263

一時間のミサをなんとか克服すると、
恰幅のよく、礼儀正しい紳士が
「 これから、私の家族と昼食にお誘いしたいのですが・・・」
と声をかけてきてくれた。
車で後からつづくと、
白い鉄格子の大きな家へと行き着いた。

karacsonyfalva1.jpg

ピシュタおじさんは、穏やかで敬虔なキリスト教徒。
その丁寧で礼儀正しい口調は、いままで出会ったジプシーの
イメージをくつがえすものだった。

土曜日は、彼らにとっての大切な祝日。
午前中ずっとお料理をしていた奥さまにも紹介され、
ベランダのソファーでいすにかけていると、
息子たち、孫たちの
大家族がぞくぞくと集まってきた。

大家族がテーブルにつくと、
奥からはロールキャベツに、シュニッツェルにサラダ・・・と
ご馳走が次々に運ばれてくる。

karacsonyfalva2.jpg

お肉を食しないYUUMIさんのことを
主人に話すと、
「 なんてことない。肉なしのスープや野菜料理もあるよ。
 何を隠そう、私もベジタリアンだからね。」と笑顔で答えた。

karacsonyfalva3.jpg

食後のデザートは、10人分ほどある大きなスイカ。

ciganyi falvak 270

ピシュタおじさんは、若いころは
パラボナアンテナを作る仕事をしていたそう。
今では需要が減ったので、アトリエは売って、
革製品の取引をしているという話。

家の中を案内してもらう
すぐに目を惹かれたのは、
壁一面にかけてあるハンガリーの古いお皿。
Hollohazaというメーカーのもの。

ciganyi falvak 276

うすむらさきの壁には、
巨大なペルシャじゅうたんが飾られ、
棚にはデコラティブな磁器の人形が白くかがやく。

karacsonyfalva4.jpg

おくの部屋は、娘さんたちのもの。
きらびやかなカーテンの色がかかった
真っ白いフランスベッドには、
ジプシー女性たちがくつろいでいる。
中へ男の子が飛び込むと、
その様子はまるでアラビアのハーレムさながら。

ciganyi falvak 274

クリスマス村の豪邸を出てからも、
なんだかキツネにつままれたような
夢から覚めやらぬような気分だった。



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*ジプシー村のカラフルなインテリアについては、
 もうひとつのブログにてご紹介しています。

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comments(6)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-07-30_20:09|page top

「流浪ジプシー」を訪ねる旅

7月1日。
きりのいい日付で、旅がはじまった。
ジプシーを訪ねる旅、
私の住むコバスナ県では見られない
美しい衣装を着、ロマ語を話す
「流浪ジプシー」を探しにトゥルグムレシュへと向かった。

コバスナ県とハルギタ県の境は、
国定公園となっている。
村が途絶えると、あとに続くのは丘だけ。

mezei ut

煙が立ち上がっているのを見つけて、
車を止めて探索すると、
かまどで何かを焼いているようだ。

この辺りの家の内装に使う、
漆喰を作っているところ。
オレンジがかった石を燃やすと、
白い塗料になる。
私たちも家作りの参考に、値段を聞いておいた。

ciganyi falvak 061

並木が美しい道。
ここからはアスファルトは姿を消し、
砂利道の上を車はゆっくりと走る。

あたりには、原っぱに寝そべるウシや
ヒツジたちが見られる。
時が止まったかのような、のどかな風景。

kopjafa 652

原っぱで、お昼ご飯。
食べながらも、息子は花や虫が気がかりの様子。
草のにおい、虫の羽音、
小鳥のさえずりを聞きながらの食事。

ciganyi falvak 063

空くんも、きれいなお花を見つけて大喜び。
紫と黄色が、なんて鮮やか。

kopjafa 653

やがてガタガタ道を越えると、
丘の合間に可愛らしい村がいくつも見えてくる。

mezei ut1

セーケイ・ウドヴァルヘイ(オドルヘイ・セクイエスク)を過ぎる。
通りを行きかう美しいジプシー女性のスカート、
村の民家に干された緑や赤の洋服を見ると、
思わずむねが高鳴った。



コロンドという陶芸で有名な村に差し掛かったとき、
村の通りをあるくジプシー女性の美しさに目をとられ
急に車を止めたい衝動に駆られた。
「 止まってみましょうか?」と尋ねながらも、
すでにハンドルを横に切っていた。

車を寄せてみたはいいものの、
雑草で覆われた溝に気づかず
「 ガタン!」と音を立てて車が傾いた。

突然のことに呆然としていると、
黒いハットをかぶったジプシー男性の群れが
走りよってくる。
一言も声を発しないうちに、
彼らは車の周りを取り巻き、
どう救出していいか話し合っていた。

「もう、写真どころじゃないわね。」とつぶやく
YUUMIさんにハンドルを預けて、旦那と外へ出る。
あるジプシー男性が、
「 後ろから押すから、
 はやくエンジンかけて。」とせかした。

非常事態に、5、6人の男手で車を押す。
「 ほら、ハンドルもっと左!」
などど声が行きかう。

やっとのことで、車が浮かび上がって
元の道へと戻ってきた。
「 どうもありがとう!」と大喜びで叫ぶ。
車のトランクに買い込んでいたものの中から、
ワインのボトルとチョコレートを取り出して、手渡した。

すると、がめついジプシーのおばさんが
「 私、まだもらってないわ。」といい始め、
くれ、くれコールが起こった。

気まずい雰囲気に、大慌てで車に乗り込む。
エンジンをかけたら、
今度は後ろのトランクを開ける音。
「・・・まさか、物がとられた?」とドアを開けて、
うしろを見る。

すると、誰かが中にワインのボトルを戻していた。
もう一人の男が、
「 大丈夫。俺たちは、泥棒じゃないから。」と笑っていった。
トランクの中をざっと調べると、
大丈夫のようだ。
「 なんてこった。」と旦那は、
怒りのせいか表情が硬くなっていた。

ほっと、安心すると
急におかしさがこみ上げてきた。
「 これ、写真に撮ったらよかったですね。」というと、
「 あんな状況で、カメラ出して撮ってたら、
  きっとムカついたでしょう。」とYUUMIさん。

道はやがて、都市マロシュ・ヴァーシャールヘイ(トゥルグ・ムレシュ)へと
続く大通りと合流した。
田舎道を走った約5時間の旅も終わり、
私たちは友人のすすめる
初対面の家族のもとへと向かった。




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comments(0)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-07-25_14:58|page top

7月のマーガレット畑

7月のとある日の夕方。
電話で呼び出しに出ると、
ブラーガ一家からのお誘いだった。

トランシルヴァニアの夏は日が長い。
子どもたちが昼寝から目覚めるのを待って、
セントキラーイに向かったのは6時ころだった。

車をジープに乗り換え、
原っぱの中を駆け抜けていく。
その野原の真ん中に、巨大なわらの山が見えてくると
もうそこはブラーガ一家の土地である。

Egy júliusi délután megcserrent a telefon. Felvettem,
Blágáék szoltak, hogy menjünk ki a most épülő szép tanyájukra.

Hosszú az európai nyári nap.
(Japánban akár nyáron is 7 óra után már sötétedik.)
Miután a déli alvásból felebrednek a gyerekek,
indultunk Szentkirályba.
Az óra már 6-ot mutat.

A kocsit egy terepjáróra váltva
tovább utaztunk a falu dombos határán.
Amikor megérkeztünk, egy óriási szalma kazalt láttunk
a vadnovenyek mezejen.

szentkiraly 037

野原の本当の美しさは、初めてでは分からない。
季節がひとつ変わるごとに、
新しい植物、花に囲まれるので、
飽きることがない。

むらさきの海の中に漂う、
白いくらげのような花を見つけた。

A vadmezőnek az igazi szépsége akkor
tünik elő, amikor már többször meglátogattuk.
Egy két hét alatt már
új növénnyekkel, virágokkal találkozunk.
Sose lehet megunni.

Megtalaltam a feher
mediuzas viragokat, a lila viragok tengeren.

iciripiciri19 256

子どもたちもそれぞれ、
楽しみを見つけた様子。
今回のお客さまの空くんは都会育ちで、
東京のアスファルトの中でしか歩いたことがない。

この大自然の中で、はじめは戸惑ったようすだったが、
野いちごのありかを教えてあげると、
一緒に草むらの中へ入っていった。

A gyerekek is jól feltalálták magukat.
A mai vendeg,
Sorakun( "Ege"t jelent japánul)
a nagyvárosi kisfiu,
csak tokioi aszfalt úton járt eddig.

A legelején nem tudta hova tegye magát
a nagy természetben.
Amikor megmutattuk, hol van a finom mezei eper,
felbátrodott es belement a mezőbe.

szentkiraly 045

もう日がかげってきたのに、
建設作業をはじめた夫婦。
丸太が土の湿気で腐らないように、
木の棒で押しながら避難させないといけない。
木の棒をかかえたり、持ち上げたりすると、
すぐに汗がひたいを流れ始めた。

Botiék elkezdtek dolgozni,
pedig már a nap lefele kezd dőlni.
A fa anyagot ki kell menteni
a föld nedvességétől,
úgy, hogy a fákat ruddal mozgatjuk,
Fa rúddal emelve dolgozunk,
az izadtság kezd folyni a homlokunkon.

szentkiraly 073

szentkiraly 047

作業がひと段落して、お茶を一服。
今のちょうど日没前が
一番美しい。

Elvégeztük a munkát.
Egy kávé szünet.
Most a legszebb pillanat,
amikor a nap le akar menni.

szentkiraly 051

ふと見ると、
これまではなかった白い畑。
近くへ行って、その正体を確かめてみよう・・・
その白かったのは、
マーガレットの花びら。
誰が植えたわけでもないのに、
ここ一帯だけマーガレット畑ができていた。

Megpillantottam egy fehér mezőt,
amit eddig nem vettem észre.
Közelébe mentem, hogy lássam mi az.
Akkor derült ki, hogy az a feher mind a
margaréta virágának szirma.
Egy nagy terület tele volt margarétával,
pedig senki nem gondozta,


szentkiraly 067

腰の高さほどもある、白い野の花に囲まれる。
町で売っているどんな花束よりも美しい。
なんて贅沢。

Körbevettek a feher vadviragok,
amelyek szinte a derekamig érnek.
Szebbek, mint a akármilyen városban kapható
kerti virágok.
Micsoda gazdag élet....

szentkiraly 070

こちらからだんだんと、
闇が忍び寄ってくる。
最後の力をふりしぼるように、
太陽はこれまでより
いっそう明るい光を投げかけている。

Az árnyék egyre jobban kezd hozzánk érni.
A nap az utolsó erejével
próbál még világosabb fényt adni a mezőre.

szentkiraly 081

やがて日は、森の向こうへと沈んでしまった。

Azután, a nap lemerült az erdő mögé,

szentkiraly 086

子どもたちはまだまだ元気。
息子とボギは、あの白いマーガレット畑へと
入っていった。

「 いち、に、さん・・・・じゅう。
 隠れてても、隠れてなくっても探しにいくよ。」
かくれんぼがはじまった。
子どもがしゃがむと、
白い花がすっかり覆ってしまう。

A gyerekek még mindig aktivak.
A fiam és Bogi belementek
a fehér virágmezőbe

" egy, kettő, három....tiz! Aki bujt, bujt, aki nem, nem, megyek!"
Megkezdődött a bujócskázás.
Ha lefekszik egy gyerek,
a feher viragok egészen betakarják.

szentkiraly 102 uj

一面の花畑のなかで、
子どもたちはまるで花の妖精のよう。
今の季節だけの花畑。
その贅沢な遊びを、
薄暗くなるまでずっと見届けていた。

Tele mezei virágokkal,
a gyerekek olyanok mint a virágtündérek,
Ez a virág mező rövid ideig tart.
Addig néztem azt a csoda játékot,
amig teljesen besötétedett a táj.

szentkiraly 107 uj




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comments(0)|trackback(0)|自然、動物|2009-07-24_22:09|page top

山のふもとのジプシー村-ヘテ

「 ヘテのジプシーに会いたければ、
町の市場へ行けばいい。」
そういう話はどこからともなく、耳にはしていた。

電気が通ったのも10年ほどまえとのこと。
エルーパタクの奥にあるそうで、
文明社会から程遠い
昔のままの生活をしているということ。
とある写真家のハンガリー人がその村を訪ねたところ、
殴られたたかれ、
ほとんど身包みをはがされそうになって
散々な目にあって帰ったとのこと・・・

ヘテという村については、
常にそのようなエピソードを聞いていた。
だから青空市場の入り口で、
テーブルにキノコや薬草を広げて、
立っているジプシーたちを見かけても、
どこか遠い存在であった。
それに、彼らの日常会話がルーマニア語で
あるせいもあるかもしれない。

その日は
写真家のYUUMIさんの運転で、
町から西へと向けて車を走らせていた。
トランシルヴァニアのジプシーを撮影するべく、
3歳まえの子供さんと二人、
はるばる東京からやって来られたお客様。

「 まずは、ゆっくりと下見をするような感じで
ドライブでもしましょう。」
その提案にうなづいた。

エルーパタク、アーラパタク、ヒドヴェーグにブルン・・・
この地方には、ドイツ系のザクセン人の去ったあとに
数多くのジプシーが移住してきた。

6月の終わりの初夏の太陽がふり注ぎ、
むこうには深く生い茂った森、
道路わきの緑の丘には白いヒツジの群れが
まるで青空に浮かぶ雲のよう。

美しいドライブウェイを進むと
HOTELの看板の下に馬車が立ち並んでいた。
すぐに車を寄せる。

orko 080

ジプシー一家は、
みんなお洒落をしてどこかへお出かけだろうか。
縞のセーターの下には、
くるぶしまでの花柄スカート、
そしてチェックのソックス。
彼らのファッションは、
誰にも真似できない。

orko 083

女の子も赤でおめかし。

hete5.jpg

エルーパタクを過ぎて、
細い山道を見つけた。
これがあのヘテへと通じる道に間違いない。

いったんは通り過ぎたものの、
「 そのヘテという所へ行ってみましょうか。」
とYUUMIさん。
Uターンをして、その車がすれすれで入れる位の道を登っていった。

舗装のなでこぼこ道をゆっくりと行くと、
左には数知れないほどの野生の花がしげる丘、
右には崖・・・
その先にはどんな風景が待っているのだろう。
不思議とワクワクしてくる。

szentkiraly 159

あちらから馬車の姿が現れたので、
ぎりぎりまで車を寄せる。
すれ違う馬車の人に手を挙げると、
向こうも同じように挨拶を返してきた。

ひとつの馬車に乗っていた、
年寄りのおじいさんと、おばあさんに
道を尋ねた。
「 このまま、まっすぐだよ。」という返事にほっと一安心。

細い道を先へ先へと進むと
景色が開け、
目の前には小さな集落があった。

小さな橋を渡って車を止めると、
どこからともなく人が集まってきていた。

hete 1

つたないルーマニア語でなんとか会話をつなげて
村に興味があることを説明した。
その不安と好奇心の入り混じった瞳が
少しずつやわらかく、やさしくなっていく。

見回すと、家は数えるほどしかない様子。
「 何人くらい住んでいるの?」と聞けば、
「 200、300・・・とにかく、たくさんよ。」との返事。

窓がついていなかったり、
壁は中身が見えたままで
まだ建設中といった様子。

hete 4

「 教会はどこ?」と聞くと、
坂をのぼった先まで案内される。
廃墟のような建物の影からは、
ヤギが何匹か出てきた。
聞くと家が斜めになっているそうだ。

szentkiraly 124

広告でできた屋根。

orko 121

そばにいた子どもに
「 何歳?」と聞くと、
みな思ったよりもずっと年は大きい。
5歳の息子とそう変わらないのに、
8歳、10歳・・・と答える。

不意に低く険しいうなり声とともに、
何匹かの犬が狂ったように暴れだした。
思わず、息子の名を呼んでその姿を探した。
ジプシーの子どもたちと一緒に、
逃げ出した様子。

すぐに少年が、ムチで犬たちを打ちはじめた。
通りはもう、大騒ぎ。
手を打って喜ぶもの、
逃げてはみたものの楽しそうに眺めるもの。
その騒ぎが、まるで何かのショウのよう。

szentkiraly 141

呼び止められる声を聞いて、振り返ると、
いすに腰掛けた年配のおばさんだった。
よくお聞きなさい。
と諭すように話しかけた。

szentkiraly 150

「 この村にはね、
よそ者が何度もやってきたんだよ。
オランダから、ベルギーから・・・いろいろね。
悪いことは言わないから、
人の家の中に入るのはおよしなさい。
女性と子どもでこんなところに来るのは、本当に危ないからね。」

その日は、おばさんの忠告に従って
すぐに村を出た。

そして数日後。
ろくに言葉も通じない私たちに、
二度目はもっと喜びをあらわにしてくれた。
車から降りると、以前の警戒したような
表情はもう見られなかった。

orko 100

hete 2

orko 105

hete3.jpg

orko 129

一通り写真を撮って、
帰るときにこんな出来事があった。

私は息子の手をとったと思ったら、
実は村のジプシーの少女の手だった。
瞳には、驚きと喜びの色がさっと浮かんだ。
私は手をそのままつないでいると、
今度はもう片方の手を、
ほかの女の子が握ってきた。

気がつくと、私の横には
たくさんの女の子たちが並んでいた。

手のあたたかみ、ふれあいは
ときに言葉以上に人の心を通じ合わせる。
奇跡のような瞬間。
子どもたち、
みんなの手を握ってみたくなった。

別れの時には
私たちが車に乗り込むと、
窓越しにたくさんの瞳に包まれた。

orko 136

車がゆっくりと村を去り、
小さな橋をこえてずっと遠くへいくまで
どこまでも
子どもたちが車のあとを走ってついてきた。
走りながら手を振る子どもたちに、
いつまでも手を振った。



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comments(2)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-07-14_15:40|page top

ジプシー居住区の日曜日

日曜日の朝早く、
ふたたびジプシー地区へと向かった。

カトリック教会のミサが行われるというので、
めずらししく早起きをして待ち合わせ場所へやってきたのだが、
どうも時間を間違えたらしい。
すでに教会の中はいっぱいで、入れないほど。
仕方なく、ドアのところで様子をうかがった。

部屋の隅から、中を興味深そうに見つめていると、
前へ前へと促される。
カトリックのお祝いがあるようで、
小さな子どもからお年寄りまで
部屋の中は活気で包まれている。

IMG_8347.jpg

清潔感のある白い壁には、
イエスキリストの像や十字架があちこちに見受けられる。
正面に掛けられた絵画の中の聖人は、
心なしかジプシーのように浅黒く黒髪の人物のように見える。

IMG_8345.jpg

やがてミサが終わると、
花嫁衣裳のような白いドレスに実を包んだ
女の子たちがシスターのあとについて出てきた。

orkoi templom1

少女たちはしっかりと手を合わせて、
厳かに歩みをすすめている。

orkoi templom2

きれいに着飾った人たちが表にあふれ出る。
何人かの少女が私の姿を見ると、
写真、写真とねだってきた。

orkoi templom3

あっという間に子どもたちに囲まれてしまった。
身動きができずに困っていると、
約束の時間に会う予定だった
アニコーおばさんが遠くで呼ぶ声。

あわてて高い門の中へとすべりこんだ。
その中庭には白いドレスの花嫁と、
黒いスーツの花婿がずらりと一列に並んでいた。

IMG_8364.jpg

orkoi templom 4

やがてシスターたちが、
次々にお祝いのケーキを運んで、
子どもたちに手渡す。

IMG_8375.jpg

かんかん照りの日差しの下、
乾いたアスファルトに映る白いドレスの少女たちと、
白衣のシスターたち。

IMG_8377.jpg

子どもたちへと注がれる
その献身的な愛情は、すぐに見てとれた。
母親のようなあたたかなまなざしで
お世話をしている。

IMG_8379.jpg

正装した子どもたちが帰っていくと、
今度は数人の男の子たちが集まっていた。
耳に紙の飾りをつけて、
何が始まるのだろう・・・・。

誰かがドラム缶を持ってきて
タイコ代わりにしてたたき、
ハンドクラップや口でリズムを鳴らしはじめた。
もう音楽はこれで十分。
ジプシーダンスが始まった。

チョッキ姿の少年は、
指でリズムを刻みながら、
飛んだり、はねたり、ステップを踏んだり・・・
その身軽な物腰と
目にもとまらぬスピードには、
思わず目を見張った。

IMG_8402.jpg

orkoi templom7

orkoi templom5

たった一人ですばらしいショウを見せてくれた少年に、
「 カッコいいわね!
 誰から習ったの?」と聞くと、
「 お父さんだよ。」とまだ肩で息をつきながら答えた。

そう、実はここウルクーは
ジプシーのフォークダンスで有名なところ。
夏には、民俗舞踊の講習会が開かれるほど。

「 あなたの名前は?」
「 ・・・・・・。」
なんだかよく聞き取れなかったので、もう一度たずねる。
「 ロッキー。」

ああ・・・
ジプシーは、ハリウッド映画の影響を受けて
名前をつけるとは聞いていたが、
本当のようだ。

帰り道に、アニコーおばさんと話をした。
「 私はもう5年も、シスターたちにハンガリー語を教えているのよ。
  もちろんボランティアで。
  彼女たちは、私たち教師よりももっと
  ジプシーの子どもたちと深く係わっているのだから
  本当に偉いわ。」

肌の色も国籍もさまざまな女性たちが、
この小さなジプシー地区の子どもたちと生活をともにしている。
学校からは知識を、
教会からは愛情を受けて
少しずつ変化が生まれはじめている。


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