トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

08 ≪│2009/09│≫ 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

絢爛豪華なカロタセグ地方

ブダペスト留学時代の知人に誘われて
向かったのは、8月終わりのカロタセグ地方。

トランシルヴァニアの都市クルージ・ナポカから西側には、
なだらかな丘がずっと続いている。
息子といっしょに、ナーダシュ川を走るローカル電車に揺られていた。

DSC04370.jpg

無人駅に降り立つと、
懐かしい知人の顔と初めて出会う息子さんの姿。
「 ヨージくん、道案内をお願いしますよ。」とすっかり母親になられた彼女の声。
風花がそよそよとゆらぐ
小さな一本道を歩いた。

DSC04372.jpg

まだ残暑の日差しの中、
風に揺られる音が涼しげ。
息子は、さっそく小さなカタツムリを見つけて大喜び。

DSC04371.jpg

小さなボガールテルケ村では、
最近になってやっと道にアスファルトができたようだ。
真新しい濡れたような道を歩いて、家に到着。
中に入ると、いいにおいが漂ってきて、
ご主人のアティラさんが迎えてくれた。

ブドウの棚が軒先に伸びている、心地の良い一軒屋。
ヨージくんは、青リンゴが落ちている庭で元気よく走り回る。
「 ボク、世界でルーマニアが一番好きだよ。」と
三歳の子どもが目を輝かせた。

DSC04593.jpg

ネコたちも、居心地がよさそう。

DSC04400.jpg

家の裏には、小さな畑があって
食べ物はほとんどそこで手に入る。
ジャガイモに、トウモロコシ、豆ににんじん、たまねぎ、キュウリ。
掘りたての野菜を、ご主人さまが腕をふるって
料理してくれた。

大塚さんご夫妻は、
ハンガリーの民俗舞踊に携わっている。
ご主人さんは、近くの村に民俗舞踊団を作って
その指導に当たっているそうだ。

DSC04401.jpg

その日は、ハンガリーの祝日。
聖イシュトヴァーンの建国を祝うため、
トランシルヴァニアのハンガリー人たちも町で催しをする。
バーンフィ・フニャドで、民俗舞踊を披露すべく
若い民俗舞踊団も参加するという。

村はずれでバスを待つ。
やがて、やってきたマイクロバスに乗り込むと、
中は目もくらむほどの鮮やかな色と輝きで満ちていた。

まさか、チャーター便だったなんて知らなかったので、
目をぱちくり。

DSC04404.jpg

バスの窓は、丘のなだらかな曲線を映しだし、
中では、きらめくビーズや色の洪水・・・。
そして、激しいヴァイオリンの音とリズムが、
バスの揺れとともに高まってゆく。
もうすっかり、カロタセグの色と音の世界に引きこまれてしまった。

バーンフィ・フニャドは、カロタセグ地方
唯一の町である。
中心には、木造のとんがり屋根の
カルバン派教会がそびえ立つ。
この広場が、イベント会場となるようだ。

DSC04415.jpg

まだ待ち時間があるようなので、
牧師さんの案内で教会の施設に通してもらった。
その待合室の中でも、
若い踊り手たちは動きを確かめるように
くるくると回りはじめた。

DSC04444.jpg

もともと、このビーズで埋められた衣装は
踊るためのものではなかったという。
日曜日に教会のミサに通うためのものだったようだ。
ペチコートに、スカート、そしてエプロンを重ねた衣装は、
ずっしりと重みがある。

DSC04460.jpg

やがて市長さんなどの長いあいさつが続き、
子どもたちは待ちどおしそう。
いつか聞いたことがある。
「 カロタセグの女性たちはね、あの衣装を着ると
背筋がしゃんとなって、本当に別人のようになるの。」
その立ち姿まで美しい。

DSC04477.jpg

男性の帽子と胸には、豪華なビーズ飾りが付いている。
カロタセグの女性たちは、
農閑期の冬の時期にこうした手仕事で生活を潤わせていた。
それにしても、どうしてこの地方は
こんなにも飾ることを好むのだろう。

DSC04522.jpg

生の演奏に導かれて、
やがて踊りがはじまった。
男性のソロの踊りと、女性の円になる踊り。
パチパチと足や腿を打つ、
男性の踊りはまるで音楽のひとつのよう。

DSC04482.jpg

今度は、男女のカップルダンスがはじまる。
チャールダーシュというステップで、
お互いの動きをしっかりと合わせる。

DSC04553.jpg

それから回転の動き。
あの重そうなプリーツスカートが
ひらりと宙に舞った。
彩色されたコマのように、色と色とが混ざり合う。
やはり、民俗衣装は踊ると
さらにその美しさが増すようだ。

DSC04572.jpg

やがて全ての踊りが終わった。
まだ中学生くらいの少年少女たちの夢は、
いつか日本で民俗舞踊を披露することだという。
カロタセグの文化は、こうした若者たちがいる限り
ずっと守られていくだろう。

DSC04580.jpg

帰り道もまた、あの色と音の洪水に身をまかせて
バスに揺られていった。


トランシルヴァニアをあなたの心に・・・
              クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ


*カロタセグ地方の刺しゅうについて詳しくは、
もうひとつのブログにて。
スポンサーサイト

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(4)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2009-09-28_23:20|page top

タラフの故郷、クレジャニ村へ

7月の終わり、カルパチア山脈を越えて
ワラキア地方へ向かった。
もうそこは緑の国トランシルヴァニアではない。
乾いた空気に、平たい野原が広がる地方。

車を南へ南へと走らせ、
もうブルガリアの国境にも近い村、
クレジャニ村を目指す。

ここはジプシー楽団「タラフ・ドゥ・ハイドゥクス」の故郷として
有名な村。
その躍動感あふれるリズムと、
メランコリックでどこか神秘的な雰囲気は
世界中の音楽ファンを魅了している。



トニー・ガトリフの映画「ラッチョ・ドローム」は、
ジプシーの音楽のルーツを東から西へとめぐり、
探るというもの。
トルコからハンガリーへとわたる途中の、
ここルーマニアは音楽的にも西と東の要素が混ざり合い、
独特の味を出しているようだ。

長い道のりもそろそろ終わりに近づくと、
ふと前方に、幌馬車の列が見られる。

IMG_0012.jpg

かつてジプシーたちは、この小さな馬車に家族をのせて
各地を流浪して回ったのであろう。
今は、木材をのせるための馬車。

IMG_0018.jpg

もう日も暮れる頃、ようやくクレジャニ村に到着。
10時間ほどの長い長いたびが終わる。

タラフのメンバー、マリウスの実家の庭で車を置かせてもらう。
娘のティナに誘われて、
息子を連れて散歩に出かけた。
イヌの吼える声におびえながら、
真っ暗な村の中を歩いた。

その日は、車の中で就寝。

朝になると、また昨日の幌馬車と出会えた。
二階には男の子が寝そべっている。

IMG_0051.jpg

真夏の太陽が頭の上から、容赦なく降りそそぐ。
その光をいっぱいに集めるかのように、
お皿をかかげて歩く少女。
もう、この暑さの中では洋服も要らない。
子どもたちは裸で走り回っている。

clejani3.jpg

とある家の前で、
レンガのような四角い土の塊がたくさん並んでいた。
子どもたちが、ひとつずつ起して乾かしている。

IMG_0074.jpg

銀色のキラキラ光るタイコを抱いて、歩いてくる男の子。

clejani1.jpg

よく見ると、葉っぱやお花のうつくしい模様も。
どんなリズムが刻まれるのだろう。

IMG_0086.jpg

暑さをしのぎに、家へと戻る。
ここは、アコーディオン奏者マリウスのおばさんの暮らす家。
二人の姉妹が、庭でお茶をしている。

clejani4.jpg

ジプシー村を歩くなら、夕暮れ時がおすすめ。
日が傾き、暑さが和らぐと
人々は通りのあちこちで集っている。

今度は少年がタイコをもって行くところ。

IMG_0139.jpg

「 まあ、素敵な楽器!」とほめると、
ほら、こんな風にご披露してくれる。

IMG_0140.jpg

今度は、アコーディオン引きの少年。
楽器を持っている人は見かけるのに、
生の音楽にはなかなか接することができない。

IMG_0147.jpg

一日の仕事が終わって、
これからどこかで音楽が始まるのだろうか。

IMG_0148.jpg

通りにじゅうたんを敷いて、
こどもから大人までがくつろぐ。
国境に近いせいか、トルコ風な装いの女性も見られる。

IMG_0153.jpg

空君も、息子ももうジプシーの子ども顔負け。
パンツと下着ですごすことに、
何の違和感も感じない。
電柱の穴にはいって、一休み。

IMG_0162.jpg

お手製のお人形をむねに抱いて、
夕暮れ時の村を歩く少女。

IMG_0172.jpg

若者たちは、
さいころを転がし、賭け事に興じているようだ。
カメラを向けると、白い歯がこぼれる。

IMG_0189.jpg

子どもたちの楽しそうな声が響いてきた。
上からそっと覗いてみると、
レンガで作った壁におもちゃの車を入れて遊んでいるようだ。

IMG_0201.jpg

人と人とが、素朴にありのままの姿で生活している村。
嬉しいことも、悲しいことも、悔しいことも・・・・
すべてがこの夕陽とともに消えていく。

いくら世界のすみずみでライトを浴びても、
こうして村へと帰ってくるメンバーたち。
その故郷は、きっとこのまま変わらないだろう。

IMG_0121.jpg



トランシルヴァニアをあなたの心に・・・
              クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(3)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-09-20_16:41|page top

チャーヴァーシュのヴァイオリン弾き

雨の日曜日、
私たちはチャーヴァーシュに向かって車を走らせた。
いくつもの緑の丘をこえて、
ひっそりと静かな村を越えて・・・。
やがて、ヒマワリ畑の鮮やかな黄色、
麦のやさしい茶色の段々畑のふもとにちいさな村が見えてきた。

kopjafa 625

このククッルー川流域の地域は、
ハンガリーの昔話でも有名なところ。
民話やダンス、音楽・・・フォークロアの豊かな
いかにもトランシルヴァニアらしい、
緑に抱かれた田園風景が広がっていた。

ハンガリー語では、
サース・チャーヴァーシュと呼ばれる。
ザクセン人の文化が残る村。
今はそこにハンガリー人とジプシーが共存している。

ジプシー楽師の住む、珍しい村。
中でも、ヴァイオリン弾きは
ドゥムネアゼウ(神)と呼ばれるほどの名手だとのこと。

村に入って、
「 ヴァイオリン弾きのイシュトヴァーンさんは、どちらですか?」
と聞くと、すぐに答えが返ってきた。
「 あの細い道をずっといった山の下よ。」

その山のふもとに見える家を訪ねる。
どうやら主人は不在のようだ。
仕方がなく、待たせてもらうことになった。

私たちのような外国人には慣れている様子で、
すぐに居間へと通された。

ちいさな男の子たちに、若い少女たち、おばあさんたち・・・・
一体ここの家族構成はどうなっているのだろう、との疑問を持ちつつ
世間話がはじまる。

kopjafa 422

「 ここには、外国からたくさんの人が音楽や踊りを学びにきたんだよ。
何泊かここで泊まっていくから、お客様にはもう慣れているの。」
突然の訪問客なのにかかわらず、
宿泊の準備もできているとわかって、安心。

その外国人たちは、どんな言葉を話すのかときいたら
「 ハンガリー語かジプシー語。」という話。
彼ら同士は、もちろんジプシー語で会話している。

壁にかかった大きなクジャクのタペストリーは
いかにもジプシー風。
うつくしく磨かれたヴァイオリンの音色が、
気になるところ。

kopjafa 428

ご主人がなかなか帰らない。
もてなすために、この土地の音楽をかけてくれた。
はじめにかかったのは、
ずっしりと重みのあるヴィオラとコントラバスの響きに、
ヴァイオリンの音がのってゆったりとしたリズムを作る。
ハンガリーの民俗音楽。

それから、
一転して小刻みの軽快なリズムのジプシー音楽。
その響きに耳を傾けていると、
隣で座っていたおばあさんがすっと立ち上がって足でリズムを刻みはじめた。

kopjafa 431

周りの人たちの視線を浴びて、
指でリズムを奏で、ゆるい動作で体を揺らす。
その自然なしぐさが、彼女の年齢の味を出している。

kopjafa 441

やがて踊りが盛り上がってくると、
今度は少年も加わった。
おばあさんと少年の踊りは、
その場にいた私たちに微笑みを与えてくれた。
最高のダンス。

kopjafa 445

やがてご主人が帰ると、
周りの空気は一変した。
どっしりした体格のおじさんを中心に、周りが動く。
娘たちがすぐに、夕飯のしたくにかかる。
その一家の大黒柱の、イシュトヴァーンさんに対する
家族の信頼と尊敬がすぐに感じとられた。

やがて呼ばれると、テーブルの上には
大きなトウモロコシのパン(ママリガ)が置かれ、
ヒツジ肉のジャガイモ煮込みが出来上がっていた。

kopjafa 460

ご馳走をいただいて、その日は就寝。




次の日は、雨がすっきりとあがって
まぶしい太陽が顔を出していた。
早起きをして、まだ眠たそうな家並みを横目に
一人で散歩にでかけた。

kopjafa 473

ジプシーの居住する場所を聞くと、
やはり村はずれ。
前日の雨でどろどろになった通りを
上へ上へと歩いていく。

csavas3.jpg

小高い丘に出た。
ちいさな村が目の下に広がっている。

kopjafa 484

早起きの子どもに、ごあいさつ。
静かな朝、動物の声や息づかいが聞こえてくる。

kopjafa 486

夏の間は、外で煮炊きをする。
私たちも、朝食をいただく。

csavas4.jpg

ご主人のイシュトヴァーンさんに
楽器を演奏しているところを写真に撮らせていただくことになった。

やさしい黒い瞳が誠実そうなイシュトヴァーンおじさんは、
ご自分の経歴を語ってくださった。
「 俺の父親もヴァイオリン弾きで、みんながドゥムネアゼウ(神)と呼んでいたんだ。
 音楽だけでなく、大工や畑仕事・・・あらゆる部分に長けていたからね。
 でも俺は、そう呼ばれるのが好きじゃない。
 だって、神さまは天にいるただ一人だから。」

8歳ですでに、父親といっしょに演奏に出かけ、
13歳には自分のバンドを持っていたイシュトヴァーンさん。
ジプシー音楽、ハンガリー音楽のみならず、
昔その村に住んでいたザクセン人のドイツ系のものや、
近郊に住むルーマニア人のもの・・・、
ありとあらゆる曲目を演奏できるとのこと。

まさにトランシルヴァニアの多様な文化を
しっかりと受け継いできた、すばらしい音楽家。

白いシャツに黒いベスト姿、
帽子をかぶった姿は、いかにも音楽家らしい。
弦が触れると、澄んだ音色が空気を漂いはじめる。

kopjafa 555

昨夜のおばあさんが、
その音色に誘われるようにして舞いはじめた。
演奏とダンス・・・そのふたつを担うもの同士の呼吸には、
ある種の緊張感が感じられる。

csavas5.jpg

ゆっくりと確かなリズムを刻むおばあさん。
もう20分ほども踊っているのに、疲れないのだろうか。
さもヴァイオリンの弦が、彼女の体を操っているかのように
音楽がつづく限り、その体は休むことができないようだ。

kopjafa 570

kopjafa 575

やがて、細い体が動きを止めた。
ジプシーのおばあさんは、肩で息をついていた。
全身全霊の踊りに、
そして熟練の音楽に心からの礼を述べた。

チャーヴァーシュの音楽と、自然と踊りは、
これからもずっと人々を魅了し続けるだろう。


トランシルヴァニアをあなたの心に・・・
              クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(0)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-09-18_14:14|page top

トランシルヴァニア名物、焼きナスのパテ

7月から9月にかけて、
どこからか焼きナスの香ばしい香りがただよってくる。
ナスを焼いていたら、
きっとあの「焼きナスのパテ」を作っているに違いない。

イェッド村でも、ナスを買っていくと
カティおばさんが
「 じゃあ、ビネテ(焼きナスのパテのこと)を作りましょうか。」
とさっそく、大きなナスをかまどの中へ次々と入れていった。

木を燃やしたあとの炭でナスをじっくりと焼く。
中までやわらかくなったら、
取り出して手で皮をむく。
「 水を入れた器をよこにおいて、
手をぬらしながらむくといい。」とカティおばさん。

真っ黒い皮をきれいにむいたら、
中を開いてまな板の上におく。
少しななめにして、中の汁を流すといいそう。
「 この汁は、苦いからね。」

kopjafa 368

こうしている間に、おしゃべりをして時間をつぶす。
ほら、お隣さんもやってきた。

kopjafa 367

やがて、ナスの汁が出てしまったら
木のべらでナスをしっかりたたく。
包丁でしたら、ナスが黒く変色してしまうので
木製を使うのがポイント。

kopjafa 149

それから、刻んだたまねぎを
油でよくいためる。
旦那のレシピでは生たまねぎを入れるのだが、
ここでいためるとたまねぎが甘くなって、
やさしい舌触りになる。

それから、クライマックスは
なすとたまねぎに油を入れてかき混ぜる。
ここでしっかり混ぜると、
味がしっかりと混ざり合う。
お塩も少々。
「 見て。ナスが白くなってきたでしょう。」

kopjafa 373

これで出来上がり。
焼きたてのパンをスライスして、
たっぷりとペーストをのせたら、
炭の香ばしさとナスの甘さがとろけるよう。




イェッドの生活も4日目をすぎたとき、
カティおばさんの息子さんからの電話があった。

生まれたばかりのお孫さんの洗礼があるので、
カティおばさんをハンガリーへと呼び寄せるという話。
おばさんは、「 もう、あんな遠くへ行くのは億劫なんだけど・・・。」
といいながらも、愛する末息子と孫に会えるのがうれしそう。

村とのお別れの日は、こうして突然にやってきた。

息子は、カティおばさんのひ孫のクリスティーナと
もう仲良しになった。
いっしょにお花をつんだり、
カタツムリを捕まえたり・・・初めてのジプシーのお友達。

kopjafa 398

カティおばさんの娘さんのご家族。
夕暮れ時の通りで集う、
いつもの風景。

jeddi csalad1

よそ者をあたたかく迎えてくれるジプシーの村、
イェッド村とこうして別れを告げた。


トランシルヴァニアをあなたの心に・・・
              クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(6)|trackback(0)|トランシルヴァニア食文化|2009-09-17_11:46|page top

ジプシー女性の秘密

ジプシー女性の美しさのひみつは、
きっとあの色と柄のせめぎあうプリーツスカートと長い髪・・・。

cigany ruha1

もっとその秘密を近くで見てみたい。
そう思っていると、村に仕立て屋がいるという話を耳にした。
カティおばさんにお願いして、
連れて行ってもらうことになった。

マリアおばさんは、ハンガリー人の女性。
ジプシーにたいしても対等におもてなしをしてくれると、
村のひとたちにも評判の人物。
突然の訪問客の私たちに、
コーヒーやお菓子をすぐに出してくれた。

「 私はここ、25年もの間
ジプシーたちに洋服を作っているの。
遠くからも、注文が来るのよ。ブカレストやバカウなどからね。」
とニコニコと笑顔で語ってくれ、
その注文の品々を見せてくれる。

kopjafa 297

細やかなプリーツが柄と色の間を
やさしく波打つ。
そしてレースで飾るのが、ジプシーの好み。

kopjafa 298

「 ここが私のアトリエよ。」と案内してもらうと、
アンティークの足踏みミシンが待ちかまえていた。
黒光りしたボディに、大きな木製のテーブルが使いこまれた味を出している。

kopjafa 301

これだけの細やかなプリーツをどうやって作るのかと疑問がわいてきた。
「 これはね、ひとつずつ手で寄せてアイロンをかけてから
ミシンでステッチするの。
エプロンには、2~3メーター。
スカートには、5~10メーターほどの生地を使うから。
もう大変な作業よ。」
と手で少し生地をつまんで見せてくれる。
定規も使わず、自分の手の感覚で
プリーツの厚みが分かるようだ。

kopjafa 306

問題は、洋服をとりに来ずに
2,3年とそのままのお客もいるということ。
それならば前払い制にすればいいのにと話すと、
「 彼らは、これだけの材料を買うだけで精一杯なの。
お金がないのよ。」
とやさしく微笑んだ。

本物の職人さん。
彼女は、ジプシーの女性の美しさを影でささえる人。
このような職人さんのあとを継ぐ人物は
もういないだろう。
マリアおばさんのご家族といっしょに、記念撮影。

kopjafa 319



カティおばさんの部屋で、いつものようにおしゃべりをしていたら
「 ねぇ、あなたの髪を結ってもらったらどう。」という話になった。

「 ジプシーの女はね、
結婚式の日の真夜中になると、
長い髪をおだんごにしてスカーフをかぶるの。
それからは、ずっと頭にスカーフをかぶったままなのよ。」
そう、この髪を結い上げるという行為は
少女が大人の女性へと変身する儀式なのだ。

ムンドラがやってきて、私の髪をくしですくと
中央で髪をふたつにわけて、お下げを編みはじめた。
「 リボンはない?」と聞かれたので、
つい先日、ジプシーの生地やさんで買った
蛍光オレンジとピンクのリボンを差し出した。
そのたっぷりと長いリボンを惜しげもなく、
真っ二つにハサミでカットして
私の黒い髪のなかに編みこんでゆく。

kopjafa 377

腰のちかくまではある私の髪を、
二色のリボンがさらに長くみせる。
先はそのままに垂らしておくと、
通りで見かけるジプシー少女の三つ編みヘアのよう。

kopjafa 374

少女の髪型では、少し無理がある。
このままで終わりなのかと内心
ハラハラとしていると、さらにそのお下げを後ろでひとつに結び、
何度も何度も結んでアップのようになった。
ムンドラの美容師なみの、
髪結いの腕を感心しながら眺めていた。

kopjafa 382

やがて、完成。
黒い髪と、蛍光の色がまざりあい、
うねりあい、独特のハーモニーを生み出している。
ピンひとつ使わずにできる、
ジプシーのアップスタイル。

kopjafa 383

いつものゆるく結んだ髪とは違い、
顔の皮膚が髪といっしょに上へと持ち上げられるような感じ。
自然と背筋がぴんと伸びるような気がした。

さらにムンドラが家から衣装をもってきて、
着るように勧める。
たっぷりとしたプリーツスカートを腰にまわして、
ボタンで留める。
するとカティおばさんが、ポケットをちょうど正面にもってきた。
ちょうど、手を入れるとど真ん中にくる秘密のポケット・・・
「 外のエプロンのポケットには、ハンカチとか入れて、
その真ん中のポケットには、大事なものをいれるのよ。
お金とかね。」
その発想には、思わず苦笑してしまった。

エプロンを結んで二重にかさなるスカートは、
どっしりと重みがある。
また派手派手なブラウスを羽織って、
今度はカティおばさんが革のベストを持ってきた。
スカーフを頭に結んで、ジプシースタイルの完成。

kopjafa 384

私が着ると、まるでチンピラのように見える。
少々恥ずかしいが、皆の期待にこたえるために少し近所を散歩。
「 テー・バフタロー!(幸運でありますように)」と
ジプシーのあいさつを道行くひとにすると、
その顔がとたんに大笑いに変わる。
それでも、いやな気はしない。

その笑いのなかには、
不思議と友情が感じられた。
よそ者がジプシーの衣装を着て、
村を歩いている。
あたたかい視線を感じながら、
イェッド村を歩いた。


トランシルヴァニアをあなたの心に・・・
              クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(8)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-09-07_16:42|page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。