トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ヴィシュターフォークロアが息づくカロタセグ地方の村

10月のはじめ、
私たちは再びカロタセグ地方にいた。
私たちの暮らすスフントゥ・ゲオルゲから
車で6時間あまり。
なだらかな丘と丘の合間で
車を降りた。

ぼんやりとしたくもり空、
乾ききった色のススキ野原。
涼しげな風がそよいでいる。

IMG_3980.jpg

まだ日が暮れるまで時間がありそうだ。
さて、ここからどこへ行こう。
地図を広げてみると、
ヴィシュタという村が近くにあるらしい。

むかし、6年前にブダペストでまだ学生だったころ。
建築史を専攻する日本人留学生の方と、
私たちでカロタセグの村を見てまわったことがある。

ヴィシュタの駅で降りて歩いていると、
声をかけて馬車に乗せてくれた人がいた。
村を歩いていたら、
手招きをして家のナシを分けてくれた人もいた。
大きな洋ナシを両手にいっぱいのせながら、
「 小さい人間は、小さい人間を助けるものさ。」とおじさん。
そんな素敵な思い出のある村。

村に入ると、可愛らしい石造りの家が立ちならんでいる。
壁には、カロタセグの衣装を着た人々が彫ってあり、
門にはイノシシの子のような彫刻がのっている。

IMG_3986.jpg

カロタセグ地方は、門や建物の飾りも華やか。
雨どいの上には、小さなこんなオブジェも。
モミの木と小鳥たち、1976という年号も入っている。
あのジプシー職人が作ったものだろうか。

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バラと兵隊さんのレリーフ。

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黒い衣装のおばあさんが道を横切った。
革のベストを手に持っていたので、
たずねて見せてもらう。
この地方のおばあさんは、
ご主人をなくすと喪服が日常着となる。

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ちょうど中心の広場のちかくに
新興宗教のアドベント派の集会場があったので、
トイレを借りる。
番をしていたおばさんに、
「 この村で、刺しゅうをする人をご存じないですか。」とたずねると、
「 さあね・・。
 あなた、ハンガリー語読める?
 この本をプレゼントするわ。」といって、
宗教冊子を手わたした。

IMG_4039.jpg

この村のカルバン派教会は、歴史が古い。
宗教改革が起こって、
トランシルヴァニアにプロテスタント教が伝わったのは17世紀ごろ。

偶像崇拝をきらい、
よりシンプルに教会を作ろうとする起こりがはじまって、
教会の壁は白く塗りかえられた。
イエスの像、マリアや聖人の絵の代わりに
地方の手芸や工芸が使われるようになった。

中を案内してくれたのは、女性の牧師さん。
「 写真は、撮ってはいけないことに決まっているの。
 私じゃなくて、教会の決まりだからね。」

かつて6年前に会ったのと、同じ牧師さん。
その日は、村の収穫祭の準備で忙しいからか
意外とそっけない。
「 私たち、6年前にもここにきて、
 あなたとお会いしましたよね。」と嬉しそうに話すと、
思い出したようだ。
「 そうね、少しだけなら。」と許可をもらって、
写真を撮らせてもらう。

IMG_4023.jpg

この教会の新しい遺産は、
漆喰の壁から発見されたフレスコ画。
カトリック時代の、古い絵画が
こうして何百年もの時をへて見つかることもある。

IMG_4022.jpg

天井を見上げると、植物もようのギャラリー。
花や植物に加えて、
星や月、太陽、動物などのシンボリックな世界観。

IMG_4024.jpg

牧師さんがお説教をする台。
王冠のうえには、
カルバン派の象徴であるペリカンの像も見られる。
古いイーラーショシュの刺しゅうクロスが、
古い絵付け家具にぴったりと寄りそう。

IMG_4027.jpg

牧師さんにお礼を言って、
刺しゅうをするおばさんを尋ねると、
「 バルタ・イボヤ・・・。それしか知らないわ。」という返事。

その手芸のおばさんを探したずねる。
通りでは、可愛らしいおばあさんがお孫さんを
お散歩させているところ。

IMG_4044.jpg

「 教会から数えて、6件目の古いおうち。」
と話に聞いた家がこちら。
木造の透かしもようがうつくしい、カロタセグの古い民家。

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「 バルタ・イボヤさんを探しているんですけど。」と
おそるおそる尋ねると、家にご在宅のようす。
おじさんに促されて、部屋のなかへ。

可愛らしい衣装をきたおばさんに、
教会の牧師さんの紹介できたことを告げると、
「 あっ、あなた・・。」と驚く。
暗い室内でよく分からなかったが、
先ほどアドベント派の教会で留守をしていたおばさんだった。

それにしても、先ほど刺しゅうについて尋ねたのに・・。
おばさんはさっそく、お手製のベストを見せてくれた。
「 使っているのは、この糸。」と
光沢のすばらしい絹糸を手にもって。

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1ミリのすき間もないほどに、
密集した糸のうつくしさ。
息が詰まるほどの、
たくさんの文様がうごめいている。

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お部屋の壁にかかっている
クロスステッチのタペストリー。
バラの森とシカ、キノコがかわいい。

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この細長いふくろは、
お菓子やパン作りにつかう麺棒いれ。
バラのクロスステッチが素敵です。

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古い木造の家の縁側では、
ブドウのつたが日陰をつくっている。

IMG_4108.jpg

イボヤおばさんは、その古く趣のある部屋をすみから
すみまで見せてくれた。
ふと部屋の中でみた、分厚いコットンのギャザースカート。
「 これはスカートの下にはくものよ。
 ほらね、こんな風にきれいに見えるようにね。」
驚いた。
てっきり、おばあさんたちの体型が腰張りなのかと思っていたら、
作りこまれた理想のからだつきだったのだ。
民俗モチーフでも見られる、
女性の象徴であるTulipan(チューリップ)のようなからだ。

突然の訪問だったにもかかわらず、
親切におもてなしくださったバルタ夫妻。

vista5.jpg

そして、再びあの谷間を歩いていた。
もう日は傾いてきている。
目指す村は、まだ遠く。
丘にさえぎられていて、見えてこない。

ヒッチハイク成功で、
ボガールテルケに着いたのは、日没前。
いつもの小さな一本道。

IMG_4160.jpg

菊芋のお花が伸びている。
「 めしどろぼう」といわれるほど、
ジャガイモのような根っこは美味しいと母が話していた。

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トウモロコシの葉も、すっかり干からびている。
秋はますます深くなり、
これから長い長い冬がはじまる。

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*バルタ・イボヤさんの刺しゅうベストに関して、
 詳しくはもうひとつのブログにて。
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comments(4)|trackback(0)|カロタセグ地方の村|2009-10-31_11:43|page top

黒い湖の市

トランシルヴァニアで一年に一度開かれる、
黒い湖の市。
クルージ・ナポカから近くの、
小さな村が舞台となっている。

車ではるばる6時間。
クルージ・ナポカから西側へ。
カロタセグ地方で車を降りる。
ボガール・テルケ村の知人宅で就寝。

朝8時の電車にのるべく、
無人駅をめざす。
秋のトランシルヴァニアに特有の、
濃い霧があたり一面にたちこめる。
まだ夢の中をさまよっているようだ。

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小さなプラットフォームでは、
年に一度の市で売りにいくもの、
買いにいくものがたたずんでいる。

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「 何を探しにいくの?」
「 何を売りにいくの?」
村の知った顔同士の、会話がはじまる。
友人のアティラさんに、
「 キレイなブーツがあるよ。どう?」と
すぐに商談がはじまった。

カロタセグのプリーツ・ブーツ。
かかとには、小鳥のモチーフが刺しゅうされていて
うつくしい。

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遅れてやってきた、空色の列車にとびのる。
中はすでにギュウギュウ詰め。
コンパートメントに入ることさえできない。
大学生らしい団体が、通路のあらゆる場所を占領して
座っていた。
「 こんなに満員じゃ、
 検察もきっとこないだろうね。」と笑う。

満員列車の旅も、
話し相手がいれば楽しいもの。
よじれた体は苦しいけれど、
やがてローカル列車は小さな村に停車した。

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降りたら、もう市場は目の前に広がっていた。
無数のテント、ごった返す人々・・・。

外国人と一見して分かる
私をおいて、ダンナもさっさと自分の目的に向かって
行ってしまった。

かつて「娘市場」と呼ばれていた
この伝統ある市では、
結婚相手を探す場所だったそうだ。
お金さえあれば、何でも手に入る。

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ちいさな橋のしたに、
テントとビニールシートが広がっている。
色鮮やかなジプシー・スカートに見とれていると、
「 ほら、あんた。ちょっとおいで!」
とジプシーのおばさんに声をかけられた。

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「 どんなものを探しているの?」と
次から次にシートにばらまかれた
衣装を持ってきて、見せてくれる。

「 私は、ジプシーのダンス講習会でも、
 衣装を売っているのよ。安くしとくからね。」と
積極的に商談をすすめてくるおばさん。

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セーク地方の皮のジャケットが、
思ったよりも安かったので、買うことにした。
不意にやってきたダンナに、相談。

試着した後で、からだにたくさんの羊毛がついていたので
裏返してよく見ると・・・。
羊の毛がどんどん手で取れていく。
虫にやられてしまったようだ。

もうすぐの所で、買ってしまうところだった。
次からは気をつけよう。

また独りでぶらぶらしていると、
織りの素敵な袋を見つける。
「 こうしてね、肩にかけて使うのよ。」と見せてくれた、
ルーマニア人のおばさん。
農作業用に使っていたかばんは、
前と後ろが袋になっている。

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珍しい手仕事を発見したので、
思わず立ち止まってしまう。
ゴブラン織りのような、立体感。
裏をひっくり返すと、チェーンステッチのようになっている。
どうやって作ったのだろう。

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おばあちゃんが、可愛らしいペチコートをはいて
お客さんに見せている。
値段を小耳にはさんだが、
一瞬にして忘れてしまうほど高価だった。

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なんてエレガントなエプロン。
エプロンは、民俗衣装の中でも花形。
飾ること、見せることに中心がおかれるので
その土地土地の美意識を、
見事にあらわしている。

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チロリアン・テープがはりめぐらされたエプロン。
簡単なのになんて、おしゃれ。
「 さあ、どう?」とおばあさん。
「 ごめんなさい。お金がないの。」というと、
「 それは、大変だわね。」という返事。
思った以上に、お金がいる市・・・。

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村の民家によく見られる、
ハンガリーのラーコーツィ王の絵。
ナイーブ・アートの、こってりとした色使いがいい。

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先ほど見た、セークの革ジャケットを見つける。
「 そんなに高くは、しないよ。」という女性。
聞くと、案外手ごろな値段だったので、
すぐに購入。
セークの女性の紅色は、
なんて気品のある色なんだろう。

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橋をわたって、向こう岸に。
白いテントが、どこまでもどこまでも続いている。

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上からこうして眺めているだけで、
一日が過ぎてしまいそう・・。

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フォークアートで有名な、カロタセグ地方は
ここ一帯に集まっている。
ティスタ・ソバから、少しずつあの宝物を持ちだして
売っているおばさんたち。

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川岸に並んだ刺しゅうや織物の数々。
ルーマニア人の手芸は、大柄で色使いも濃く、はっきりしている。
まるで展示でもしているかのよう。

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ボガールテルケ村のカティおばあさん。
80すぎのおばあさんが、はるばる独りで
ものを売りに来ている。
「 ちょっと、お待ちなさい。」と
値段に不服のお客を呼び止めている。

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どこからともなく、音楽が流れてきた。
誰に聴かせるということでもなく、
自然に弾いている、その感じが
この市の雰囲気にぴったりとあっている。

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深い赤と黒のエキゾチックな配色の布がいっぱい。
「 この布は、イスラエルから直輸入だよ。」とおじさん。
セークのおばさんも買い求めている。
いつか、この布地が民俗衣装に生まれ変わるのだろうか。

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見るからに暖かそうな、
羊使いのコートを羽織ったおじいさん。
ジプシーの青年たちといっしょに。

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ここだけがインドみたい。
キラキラと金糸が輝く、
目の覚めるような衣装を着た
ジプシーの女性たち。

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フェルトのコートには、
1934年の刺しゅうが刻まれている。
今は数のすくない、ドイツ系の民俗衣装。

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壊れた古いヴァイオリンたち。
長い年月のほこりを吸って、
どんな音が鳴りひびくのだろう。

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その隣には、湿気をふくんだ古い布きれが山になっている。
よく見ると、ヘブライ文字や星マークの刺しゅうがある。
これはユダヤ人のもの。
小さな袋をひっくり返すと、
お守りのようなものが転がりでてきた。

行きの車の中で、
友人のお父さんが話した言葉が思い出される。
「 俺たちが小さいときには、
 町にハンガリー人も、ルーマニア人も、
 ジプシーも、ユダヤ人もいたから、
 民族が違ったって何の問題もなかった。
 
 大学時代にクルージ・ナポカに出て、
 はじめてそうじゃないって分かったんだ。」

ドイツ人はドイツへ移住し、
ユダヤ人はイスラエルに渡っていった。
それでも、なおこうした古い品々は、
そうした民族の痕跡をしっかりと残している。

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黒い湖の骨董市は、
長い年月を通じて人とモノとの出会いの場所であった。

次の年の1月ごろには、自然とこういう会話が聞かれるようになるそうだ。
「 今年の黒い湖にはいく?」
私は、迷わずきっとこう答える。
「 もちろん。」


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*黒い湖の骨董市で見た、
 トランシルヴァニアの手芸品の数々はこちらで。
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comments(2)|trackback(0)|イベント|2009-10-27_16:20|page top

カリウのサイン

ところはクレジャニ村、
ときは10月18日の午後。

タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのメンバー、
カリウの演奏のあとで
サインをもらった。

写真家の加藤アラタさんは、
日ごろお使いの
カメラのフィルターに。
「 今まで、どんなに憧れた人と仕事しても、
 サインをもらったことはなかった。」と後で話してくださった。
シャッターを切るごとに、この筆跡は
だんだんと擦り切れて消えていってしまうものらしい。

写真家のYUUMIさんは、
ジャケットの裏がわの左むね部分に。
「 こうして、守っていてくれるようにね。」と
大切そうに、カーキ色のジャケットを抱きしめた。

私もお二人に便乗するかたちで、
何か書いてもらうものを探す。
カメラは黒いから筆跡が見えないし、
ジャケットの裏地も黒。
それとも、めがねケース?

仕方なく、ジプシー旅行のメモ帳代わりに
使っていた、くたくたのノート。

その裏表紙を差しだすと、
カリウが快くサインに応じてくれた。
「 2009年、18日。オクトンブリエ(10月)。」
この10月のスペルは、やや自信なさそうに
考えながら書いていた。

ブロック体の文字で、カリウ。
それから、筆記体でサイン。
彼の本名は、ゲオルゲ・アンゲル。
ちなみにアンゲルは、天使という意味。

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このノートには、旅の思い出が詰まっている。

以前、イェッド村で学んだロマ(ジプシー)語。
ニャーラシュパタクで、
出会ったジプシーたちに書いてもらった名前。
クレジャニで、
詰めこみ勉強したルーマニア語。
タラフのメンバーの名前・・・。

本当にうつくしい場面は、きっと写真には撮れない。
本当にすばらしい音楽は、おそらくレコーダーに残らない。

記録にのこらなかった
たくさんのうつくしいものを見て、聴いた。
それは、私の記憶のなかで
ずっと生き続ける。

もしかしたら、あの日の夕方に目にし耳にした、
アコーディオンとヴァイオリンの演奏は
私の中で、もっと美化されてゆくのかもしれない。

カリウの演奏をはじめて聴いた衝撃も。
弾くときの彼の表情も・・・。

それでも、
ずっと生き続ける。

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*デザイナー、丹羽俊介さん
クレジャニ村から大切に持ち帰られたヴァイオリン。
このケースにも、カリウのサインが見られます。

本日からはじまった、
ファッションブランドMeanの展示会の成功を祈って・・。




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comments(0)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-10-27_13:54|page top

ジプシー撮影の旅ーMeanの服とともに

Meanのファッションデザイナー丹羽俊介さんが、
ふらりとトランシルヴァニアの町を
たずねてこられたのは今年の8月。

ある夏の日の夕方に、
町のジプシー居住区をご案内することになった。

「 ジプシーをテーマに、
ファッションのデザインをしたい。」と言われる丹羽さん。
バックパックを背に、
ヴァイオリン引きの村サースチャヴァーシュ、
民俗衣装を着たジプシーの村イェッド、
最後に世界的ジプシーバンドの村
クレジャニを取材され、
日本へ帰っていかれた。



そして10月、
約束どおり、春夏コレクションの洋服とともに
撮影旅行がはじまった。
写真担当は、7月にいっしょに
ジプシーの村々をまわったYUUMIさん。
映像担当は、写真家の加藤アラタさん。

12日に
ブカレストからスフントゥ・ゲオルゲに入ると、
すぐにロケハン。
場所はヘテと、ニャーラシュパタク。

アスファルトのない小さな道をゆくと、
あたりはもうすっかり紅葉してしまっている。

IMG_4335.jpg

「春、夏コレクションなのに、大丈夫ですか?」と聞くと、
「白黒フィルムなので、大丈夫。」とのこと。

小高い丘のくぼみに、
ヘテの集落が見えてくる。
まるで時代がさかのぼったかのように、
その村は横たわっていた。

以前お世話になったゲオルゲさんの家に、
車を置かせてもらう。
よそ者がくると、
すぐにたくさんの人が集まってきた。

車を止めて、モデルハントがはじまる。
子どもたちが、あとからあとからついてくる。
こんな状態で、大掛かりな撮影は難しそうだ。

ふとYUUMIさんが、
ひとりのおじいさんを見つけた。
「 このおじいさん、前、撮影して
大好評だったんだよね。」とモデルが見つかった様子。

IMG_4345.jpg

おじさんに名前を聞いて、
モデルを承諾してもらえるか尋ねる。
返事はO.K.
すぐに先ほど駐車した家へとお連れして、
紳士服の撮影が始まった。

帽子が素敵なおじいさん。
「 どこで買ったんですか?」と聞くと、
私の住むセントジュルジの町だという。

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家の門をしめても、なお多い見物人。
子どもたちも興味津々。

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紳士服の撮影が終わって、
先ほど一声かけておいたモデルを探すと、
「 キノコを売りに、隣村へ行ってしまった。」ということ。

モデルにお礼を渡すと、
口々に周りの人も要求を始めて、
ちょっと変な雲行きになってきた。
家の主人にもお礼をしてから、
急いで車に乗り込む。
するとオノを誰かが、振り上げて
威嚇しだした。

車は大きなエンジンの音をあげて
バックする。
ヘテの村は遠ざかっていった。


次は、ニャーラシュパタク。
私が5年前に出産したとき、
隣のベッドにいた少女のいる村。
彼女は、ハンガリー人とジプシーの血を受け継いでいる。

ルーマニア語の通訳を当てにしていたのに、
彼女はいま、家の改装で手が離せないと言う。
仕方なく、私たちだけで
村はずれのジプシー居住区へ。

丘が細長くつづくところに、
小さな家が立ち並んでいる。
車を止めると、予想通り
たくさんの人が集まってきた。

IMG_4366.jpg

その中で選ばれた、
ひとりの女性。
カルメンという名の彼女に、
モデルの話を説明すると、
はにかんだような顔で了解してくれた。

さっそくワンピースに着替えてもらう。
コーティング・ステッチのうつくしいベストを
まとって。

IMG_4373.jpg

周りは、面白ろおかしそうに
カルメンのモデルを見守っているようす。
時々、「 カルメン、もっと笑って。」などと
声が飛び交う。

IMG_4383.jpg

もうあたりは薄暗くなりかけ、
雨もぱらついてきた。

無事、その日の撮影は終了した。



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*トランシルヴァニアのジプシーモデルの
ファッションフォト、クレジャニのミュージッククリップは
来週、Meanの春夏コレクション展示会でごらんいただけます。
詳しくは、こちらまで。
Mean

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comments(2)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-10-23_09:55|page top

イェッド村での再会ーMeanの服とともに

撮影三日目で
トランシルヴァニアに初雪がふった。

トゥルグムレシュに近づくとみられる、
なだらかな丘もほのかに
白く色づいた。

祈るような思いで
撮影の日を待つと、
雲のあい間から明るい光がさしていた。

その日は、思い出ぶかいイェッド村へ。
「 イェッドには晴れの日が似合うから、
 晴れていてよかった。」とYUUMIさん。

いつもの通りに、
カティおばさんの家の横に車を止める。
中からは、あの張りのあるおばさんの声が聞こえてこない。
外出中かと、お隣さんに聞いてみたら
「 カティおばさんはね、今ハンガリーに出稼ぎに行っているよ。
 クリスマスまでは、帰らないだろうね。」という返事。

仕方なく、友達のムンドラの家の前に止めさせてもらう。
ムンドラは、いつもの笑顔で
息子さんを抱いて現れた。

「 前のダンナがね、
 この前、うちに来たのよ。」と嬉しそうに話す。
この付近の町に暮らす、
ハンガリー人の男性と結婚したが、
ご主人さまの暴力で家に帰ってきたムンドラ。
まだ年は、20歳。
「 でもね、お母さんがすぐに出て行けって言ったわ。」と彼女の
表情がすぐに曇った。

ジプシーの女性は、一度実家に帰ると
子どもは里親の手で育てられるという。
彼女がもし新しい相手を見つけたら、
子どもとは別れないといけない。

これからモデルを探しにいくため、
あの見えない境界をこえて
村の端の方へいくことを告げた。
ここから先は、ハンガリー語もあまり通じないので
彼女に通訳をお願いした。

雪はないものの、
冷たい風が吹きすさぶ。
Mean
春夏コレクションに置きかえると、
春一番の風といったところだろうか。

IMG_4538.jpg

何人か目ぼしいモデルの女性が見つかり、
写真撮影がはじまった。

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小さな女の子を抱いた女性。
私たちに写真を撮ってほしいせいか、
赤ちゃんはうすい夏物のワンピース姿。
冷たい風は、
その小さなからだに容赦なく吹き付ける。
撮影の合間、
しばらくその子を抱いた。

ジプシーの女性は、
誰の子どもにでも同じように
愛情をそそぐ。
母親になるとはどういうことか、
教えられる気がする。

暖房のない小さな家。
まだ20歳の女性は、
この家でご主人さんと赤ちゃんと暮らしている。

お乳のでない彼女は、
まだ5ヶ月の赤ちゃんに粉ミルクを買うこともできず、
きのうは煮たお豆を与えたと話す。

頭にかぶったスカーフをはずすと、
思ったよりも若々しく、
かわいい女性。

彼女の部屋で、スーツケースを広げて
スタイリングをはじめるデザイナーの丹羽さん。
子どもたちが、
もの珍しそうにのぞいていた。

IMG_4571.jpg

最後に、
「 ムンドラとムンドラの妹さんを
撮りたい。」という言葉で
私もすっかり嬉しくなる。

もうここの村を訪ねて、4度目。
何だか妹のように思えてくるムンドラと
ご家族にとって、
きっと素敵な思い出になるに違いない。

まだお嫁入り前のテレーズは、
生成りとブルーの
チュニック風ワンピースに、
レースのボレロを羽織って。
これにはアンティーク風の加工がしてあって、素敵。
ムンドラは、ベージュにピンクと黄色の花柄ワンピース。
彼女のやさしい人柄にぴったりの配色。

おもてのベランダのところで、
かわいい姉妹が並ぶ。
明るい太陽の光がふりかかる。
冷たい風はいまだに吹きつけるけれど、
春がここだけ訪れたような感じがするのは、
Meanのファッションのせいかもしれない。

mindra en terez1

いっしょにおしゃべりをしたり、
くすぐりあったり・・・
姉妹ならではの、
ほほえましい風景を見ていると
こちらからも自然と笑みがこぼれてしまう。

mindra en terez

最後に、
クマさんのようなムンドラのお母さんに
Meanのメンズのニットを着させたら、
おばさんの胸部がくっきり見えてしまって
こちらはNG。
照れ笑いをするお母さんに、
思わず噴出してしまった。

撮った写真を持ってくることを約束し、
「 カティおばさんが見たら、
 いったい何て言うかしら?」と笑いあった。

またイェッド村に
足を運ぶことになりそうだ。

mindra.jpg


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クレジャニのヴァイオリン弾き(前)

まだ表は建設中、
中はピカピカの新築の家の窓に
あのスターの姿があった。
タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、カリウをはるばる探しにきた。

黒いスーツに身を包んだヴァイオリニストは、
「 日本からのお客さまは大歓迎だよ。」
とご機嫌そう。
紳士的な身のこなし、黒い瞳には何か
大きなものを感じた。

演奏で世界各地をまわったこと、
日本ではとてもあたたかく迎えられたことを
熱っぽく語るカリウ。

私は拙いルーマニア語を駆使して、
Meanの服を着て、演奏をしてほしいことを伝えると、
「 喜んで。
 もちろん、払ってくれるんだろう?」と
満面の笑みをうかべ両手を広げた。

こうも自信ありげに言われると
しどろもどろになり、
撮影旅行の予算のことを話して、
お願いをする。

カリウと息子のロベルトが
演奏してくれることで、
一応の話は付いた。

ふとカリウが、
部屋のベッドの上にあるヴァイオリンを手にとった。



弓がやさしく振りおろされ、
ヴァイオリンの弦に触れると、
私たちのからだはすっかり固まってしまった。
まるで耳と目だけが動いているかのよう。

リズムとともに、しなやかに動くカリウのからだ。
黒いひとみがきらきらと輝き、
白い歯がこぼれると、彼の顔いっぱいに
音楽の喜びがあふれていた。

低く胸をえぐるような曲調から、
こんどは透きとおるような高い音色がひびく。
ヴァイオリンの音色は、
だんだんと強く、はやく、激しくなっていく。

演奏は、
不意にあけられたドアで止まった。
奥さまがコーヒーを持って、
入ってくる。

その5分ほどの演奏は、
私たちに十分すぎるほどの感動と喜びを与えてくれた。
帰ってからも、その幸福な余韻に浸っていた。
まさに、このためにクレジャニにいるのだ。




18日、最終日は
重く灰色のそらが広がっていた。
天気予報によると、雨。

ギャラに満足していないマリウス出現のトラブルで、
10時よりすこしおくれてカリウの家に向かった。

カリウの案内で、
お姉さんの家へと向かう。
楽師通りから、すこし中へ入ると
通りのないところに小さな家が集まっている。

「 俺の家はかつては、ここにあったんだ。」と語る
カリウの目の先には、
さみしげな原っぱが広がっていた。

IMG_4679.jpg

「 ここで小さいときはすごし、
それからキャリアを重ねていって、
やっと今の生活がある。」

「 姉さんの家は、ここだよ。」
すぐそばに、エメラルドグリーンの壁の
小さな民家があった。
部屋の壁には、ジプシー独特のペルシャじゅうたんがかかっていた。
撮影はどうやら、ここに決まりそうだ。

洋服の詰まったスーツケースを
いっぱい抱えて、
部屋でスタイリングの準備。
丹羽さんは真剣な表情で、
モデルの洋服を選ぶ。

カリウは生成りのシャツと、
ネクタイ風にスカーフを巻いた
おしゃれなスーツ姿。
中年のからだに、若者向けのサイズの服が
少しきつそう。
それでも、「大丈夫だよ。」と笑顔。

息子のロベルトは、
ベストにカウボーイハットの
カジュアルなスタイル。
浅黒い肌に、
シックな色合いがとてもよく似合っている。
本人も、「いいね、この服。」とお気に入りのようす。

カリウには、
はじめに少年時代をすごした家のあった場所で
ヴァイオリンを弾いてもらうことになった。

あの晩、部屋で私たちに演奏してもらったのと
同じ曲目。
やっぱり演奏がはじまると、
カリウはものすごいオーラを発しはじめる。
ヴァイオリンは時に哀しく、
時に楽しげにうたう。

撮影用のビデオに気を配り、
周りをとりまく子どもたちに気をつけながらの撮影、収録。
だんだん収録現場に近づいてきたり、
ビデオの前に飛び出してくる子さえいる。

今度は柳の木のしたで、
息子のロベルトと競演。
ロベルトも天才ヴァイオリニストの血を
しっかりと受け継いでいるようだ。
息子を引き立てるような、
カリウの演奏もまた素晴らしかった。

それから、お姉さんの部屋で
演奏とインタヴュー。

カリウは、あの熱い瞳で
日本をリスペクトしていること、
日本での演奏を強く望んでいることを訴えた。
最後にキスを投げ、
日本語で「アリガトウ」と言った。

アラタさんが、
「そう言ってもらおうと思ったんだけどね。」
と嬉しそうだった。
きっと、想いが通じたのだ。

それから、今度は
ロベルトとカリウのデュオが
室内ではじまる。

お孫さんのタイコのリズムに合わせて、
ヴァイオリンを鳴らすカリウ。

IMG_4643.jpg

音楽を生みだすときの、
彼の表情が好きだ。

IMG_4665.jpg

小さな部屋なので、
ビデオカメラも、いっぱいいっぱい。
私たちは部屋の外で待っていると、
おぼろげにヴァイオリンの激しい音色が
聴こえてくる。
みなで中の様子を見守った。

IMG_4673.jpg

やがて演奏が終わった。
感謝の気持ちを伝えに、
部屋の中に飛び込むと、
演奏のあとの熱気が部屋にたちこめていた。
「 カリウ、ありがとう!」と抱きつくと、
彼のからだは驚くほど熱かった。

演奏のあとは、いつも
演奏者に感謝をあらわそうと心がけている。
カリウは毎回、私を抱きしめて
頬にキスをしてくれる。
こういうところが、また愛情深くて紳士的なのだ。

こうして収録は無事終了した。


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comments(0)|trackback(1)|ジプシー文化|2009-10-21_16:11|page top

クレジャニのヴァイオリン弾き (後)

収録のあと、
タラフのメンバー、イオンも加わって
カリウの家で昼食をご馳走になる。
映画「 ラッチョ・ドローム」の演奏場面で
ツィンバロムを弾いていた少年は、
小腹のでた青年になっていた。

キャベツと鶏肉のトマト煮込みと
ルーマニア名物のハンバーグ、ミッチ。

「 もう、演奏でおなかがいっぱい。」
といいながらも、美味しい食事をいただく。
ビールの栓もぬかれて、
もう宴会気分。

カリウは、
「 君たちに敬意をしめして、
ヴァイオリンを譲るよ。」と話す。
おじいさんから伝わる古いヴァイオリン。
丹羽さんは、
「 ぜひ、来週のMeanの展示会で飾りたい。」と
嬉しそう。

それから、小さな衣裳部屋でも
カリウの演奏が始まった。
「 君たちのために心を込めて。」と
哀しげなバラードを弾きはじめる。
YUUMIさんは涙をながしていた。

あとで見たら、
そのヴァイオリンには弦が一本足りなかった。
そんなことを微塵も感じさせないのは、
まさしくプロ。
カリウの人柄、そして素晴らしい演奏に
感服した。

撮影旅行、最終日の午後。
普通なら、これで大満足で
一日を終えたかったのだが、
その足でモデル撮影に出かけた。

やがて疲れて帰ってくる私たちに、
「 問題があるんだ。」と困った表情でカリウ。
イオンが借りた車を今日返すとかで、
お金を貸してほしいとの話。

いつものパターン。
どうしてもジプシーの撮影では、
こうしたお金の問題がつきまとう。
きっと呼び寄せたイオンにお金が必要だったのだ。
何度も、もうお金がないことを説明した。
それでも必死で、食い下がらない彼ら。

YUUMIさんは、
「 お願い、カリウ。
もうそれ以上、言わないで。
あなたのこと、好きでいたいから。」と相手の目を見つめる。
すっかり困り果ててしまう、私たち。

急いで、荷物をたたんで
ここから出ないと。
丹羽さんに伝え、
私たちは荷造りをはじめた。
その間も、廊下では
ヴァイオリンの音がこだましていた。
まるで追い立てられるかのように、必死だった。

おもての様子をみにいくと、
例のキッチンの扉のすきまから
ヴァイオリンを練習するカリウのすがた。

ヴァイオリンの弦に
糸を結びつけて、ひっぱる。
ヴァイオリンが啜り泣くような、
胸を引っかかれるような音。
かつて、偉大なヴァイオニスト、
ニコラエがやっていたのと同じように。

私は後ろ髪ひかれる思いで、
発つことを覚悟した。
荷物を外に出すと、
音楽がこだましていた。
その音のほうへいく。

オレンジ色のスポットライト、
その扉のさきに
ヴァイオリンを弾くカリウとアコーディオンのマリンが立っていた。
私たちを見ていた。
何もなかったかのように、
満面の笑みを浮かべて演奏するカリウ。

キッチンには、カリウの小さな孫たちもいっしょだった。
可愛らしい表情で、
声をふりしぼって唄う男の子。
やさしくヴァイオリンを向けるカリウ。

あまりにうつくしすぎる光景に、
胸がふるえた。
気が付くと、冷たいものが
頬をながれていた。

これがジプシーの姿。
私たち、ガッジョ(よそ者)とは
一線を引く同胞意識の強さ。
そして、憎くむことのできない人間臭さ・・・。

先ほどの出来事をすっかり放り投げて、
抱きしめてしまいたくなる愛らしさ。
涙が止まらなかった。

デザイナーであり、
社長である丹羽さんにみなの目が向かう。
どうしたら、いいのだろう・・・。
丹羽さんは、長年のパートナーであるアラタさんに相談した。
「 ここは、お前の判断に任せる。」という返事に、
丹羽さんは、しばらく考えているようだ。

「 やっぱり、やりたいですね。」
ときっぱりした丹羽さんの一声で、
現場はまた動いた。

少ないけれども最後のお金を渡して、
交渉が成立。

薄暗いガレージの中で、
裸電球をともして演奏がはじまった。
カリウの指先が
ナイロンの糸を引っぱり、
ヴァイオリンの音が
痛々しいほど唸る。

アコーディオンがリズムを奏で、
マリンの歌がくわわった。
「 チャウセスク・二コラエは・・・」と映画でも取り上げられた、
あの有名なバラード。



かつてはヴァイオリンと歌を
ニコラエおじいさんがしていたのが、
今度はこのふたり。
熱く、素晴らしい演奏が終わりを告げ、
ビデオカメラの電源を切ると、
あたたかい拍手が鳴り響いた。

後は、モデル撮影をして終了。
キッチンに戻ると、
最後にまた、演奏をプレゼントしてくれるとのこと。

再びヴァイオリン、アコーディオンと
歌声が私たちを包みこむ。
レコーダーもビデオもまわっていない。
私たちスタッフひとりひとりの顔を
見つめ、演奏が流れていく。

もうすぐに肩が触れてしまうほどの
最高の客席で、
彼らの音楽のエネルギーを受けていると
また涙がこぼれた。
音楽で
こころが救われる、
そんな気がした。

部屋の中で、ただ独り
カリウとロベルトの演奏を収録したアラタさんの言葉を思い出す。
「 たまげるってね、
 魂が消えるという意味なんだけど、
 まさにそんな感じだったな。」
ビデオを撮影する手が震えたそうだ。

外に出て別れるときには、
もう寒さのせいか興奮のせいか
からだがガタガタ震えていた。

カリウが言う。
「 俺たちも、イニマ(こころ)をこめて弾いた。
そうしたら、君たちもイニマ(こころ)で聴いてくれたね。
それが確かに伝わってきたよ。」

「 良い旅を!」という言葉に、
私たちも「ありがとう。」と返す。
こんなときに、何かふさわしい言葉がないだろうか。

YUUMIさんが
ふと思いついたように、
「 ラッチョ・ドローム!」と言った。

彼らタラフも出演した、
ジプシーを追った映画のタイトル。
彼らの言葉、ロマ語で「 良い旅を!」という意味だ。

みなで口々に、「 ラッチョ・ドローム!」と言う。
そして、私たちは
最後の村クレジャニをあとにした。

一週間の撮影旅行が、これで終わった。

まだ頭の中では、
ぐるぐると彼らの音楽が鳴り響いて止まなかった。



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comments(4)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-10-20_09:56|page top

BABERE(老婆)の奇石群

10月のはじめ、
ふとしたことから山登りの計画があがった。
ちょうど日本から来ていたお客さまが
観光局のパンフレットで見た、洞窟の教会へ行きたいとのこと。

かねてからブカレスト行きの電車から眺めていた、
ブチェジ山・・・。
険しい山の頂に、十字架をかかげたあの山には
あこがれていたので、ご一緒することになった。

朝まだ太陽がのぼるまえに電車に乗って、
ブラショフで乗り換えて、ブカレスト方面へと向かう。
ブチェジの駅についた頃には、もう9時ごろだった。
普段ならくっきりと見えるはずの山並みも、
その日は、厚い雲がおおいかぶさっていた。

IMG_3212.jpg

登山をすれば4、5時間はかかるといわれる山。
私たちのような子供づれには、
ありがたいことにロープーウェーという手段がある。
ルーマニアで最大の山モルドヴェアヌに4日間かけて登ったダンナには、
こんな快適すぎる遠足は物足りないようす。
運賃のあまりの高さに驚いて、
ダンナは今回は辞退した。

このときには、やっと太陽の日もさしはじめる。

IMG_3214.jpg

ダンナを山の下において、
私たちはロープーウェーに乗り込んだ。
はじめは、紅葉をはじめた山の美しさに見入っていたのが、
岩すれすれに急上昇してゆくのに恐怖を感じはじめた。
そして、ロープーウェーの速度の速いこと!
手にも汗がにじんできた。
息子は泣きっ面で、地面にしゃがみこむ始末。
そうして、ようやく2000m級の山の頂上に到着。

足元から真っ白い雲がせまってくる。

IMG_3217.jpg

澄みきった山々、そして原っぱをうめつくす高原植物。
すぐにロープウェーの恐怖も忘れてしまった。

IMG_3226.jpg

息子も紫色の、背の低い花に夢中。

IMG_3221.jpg

冷たい風をよけるために、
こんなに茎が小さく育ったのだろう。
大きな星型のはなびら。

IMG_3222.jpg

太陽はずっと近く、あたたかく照りつけるのに、
頭、とくに耳が冷たい。

下界とは、別世界の山の上は
空気も風景の色も違う。
その不思議な感覚をからだで味わいながら、
歩いてゆくと、岩にたどり着いた。

人の顔をしている大きな岩。
不思議と、足がそちらに向かってしまう。

babere.jpg

このバベレ(老婆)という呼び名も、
この不思議な岩の形からきたという。
地層が生み出した見事な造形美。
見方によって、いろいろな形を見出すことができる。

先ほどの、人の顔の大岩には、
子どもがすっぽり入る穴もある。

IMG_3302.jpg

こちらも人の横顔のよう。

IMG_3272.jpg

キノコのような形の岩もある。
空の青の色が、抜けるように鮮やか。

IMG_3309.jpg

旅行者を食べようとする、横顔の岩。

IMG_3326.jpg

どうして、こんな不思議な岩のかたちができたのだろう。

IMG_3336.jpg

「 見て、ママ!これタイキが作ったの。」と叫ぶ息子。
もちろん、冗談。
誰が作ったのだろう。

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山の斜面の向こう側に来ると、
突然に横から冷たい風が吹きつけてきた。

IMG_3362.jpg

向こうから、雲が波のように襲ってくると
急にあたりは薄暗くなり、寒くなる。
この真っ白い雲は、
山の斜面にぶつかると
波のしぶきが上にはじけるように
青空にぐるりと円を描いて逆流していった。

IMG_3372.jpg

暖かい場所を探しにゆこう。
山の反対側にひきかえす。

IMG_3376.jpg

この岩たちに魅せられて、時間がたったことも忘れてしまった。
もうお昼はとうに過ぎ、
食料は、ダンナのリュックに入ったままだったことに気がついた。
かばんを探ると、プフレツ(トウモロコシのお菓子)があった。

IMG_3385.jpg

プフレツで、Hの文字をつくって
思わずにんまり。

IMG_3389.jpg

日本人なら陰陽石と名づけて、
ご神体にしてしまいそうな岩。
そして、その奥に・・・。

IMG_3394.jpg

かの有名なスフィンクスのかたちの岩が見えた。
昔、ルーマニアの紙幣にも使われていた
このスフィンクスの岩。
神々しさを感じさせる、横顔。

IMG_3421.jpg

さあ、日が暮れる前に下へ降りよう。
息子の手をとって、山をおりるロープウェー乗り場へ向かった。
4時間ほどたっぷりと、
上空散歩を味わった一日だった。

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comments(12)|trackback(0)|自然、動物|2009-10-11_22:19|page top

秋のトランシルヴァニアへ

朝晩がだんだん肌寒くなり、
森や町の街路樹が黄色や赤に色づきはじめたころ、
日本から母がひとりで訪ねてきた。

ブカレストへの長い汽車の道のりも苦にならない。
息子もひさしぶりのおばあちゃんとの対面で、嬉しそう。

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汽車の遅れで、5時間ほどかかって
スフントゥ・ゲオルゲの町に到着。
家について一息したあと、
夜にお誘いがかかった。

今年の夏に、ダンナが村で柵作りを手伝いにいっていたので
その完成祝いが今夜あるという。
私たちは、夕暮れ時にまた電車に揺られていた。

ビクファルヴァの村は、
都市ブラショフに近いせいもあって
昔から貴族のお屋敷が立ち並ぶ場所だった。
ダンナの友人のご両親は、築200年のお屋敷を買い取り
リフォームをして素敵な住まいを作り上げた。

深夜おそくまで続いた、キャンプファイヤー。
そのあとで、静かな週末の朝がはじまった。
休みの日でも、ダリヤの花はいつも早起きをして
住人を待っている。

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きれいに手入れをされたお庭を散策。

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たわわに実った、緑色の洋ナシにびっくり。

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今度はリンゴ。
トランシルヴァニアには、実にいろいろな種類のリンゴが見られる。
これは、「ジプシーリンゴ」と呼ばれるもの。

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九州生まれの母は、語る。
「 私のちいさい頃はね、
 リンゴっていったら、お正月のときにしか食べられなかった。
 だから、今回の旅の目的のひとつは
 リンゴをたくさん食べること。」

そう、こういう環境の違いが
実る果物や野菜がけっこう衝撃的だったりする。

私たちが泊まらせていただいた部屋。
黒光りした柱がうつくしい。
石造りの家の中は、地面のそこから冷えてくる。
私たちは、屋根裏の部屋で眠ったので
暖かかった。

IMG_1248.jpg

こちらの人は、朝からパーリンカといって
食前酒をのむ習慣がある。
プルーンでできた自家製酒は、アルコール度数40~50%はあるという。

IMG_1256.jpg

美しい庭を眺めながらの朝食。

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村の食事は、ほとんどが自家製。
一切手が加わっていない新鮮なチーズ、
庭でとれたトマト、ジャムにディップ。
ベーコンの脂身はハンガリー人の食事には欠かせない。
トマトと夏野菜を煮込んだディップは絶品。

IMG_1263.jpg

町の芸術学校の校長先生をなさっているご主人さま、
奥さまともに音楽の先生。
息子はおおきな花束をいただいて、満足そう。

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セントキラーイ村の原っぱも、もう枯れ草と緑色が
混ざり合っていた。
母は小さな野の花に、日本では園芸品種と知られている花のかたちを
見出して感激していた。

IMG_1343.jpg

夏のうちにここまで進んだ、ワラの家。
手前に見られる枝つきの柱は、生命の樹。
家の守護神なのだろうか。

IMG_1338.jpg

スイカを切って、一休みしようとしたら
不意に雨がきた。
夕立・・・・まだまだ夏の名残があるのかもしれない。

IMG_1351.jpg

このあと、キャンピングカーに子ども大人合わせて
総勢14人がギュウギュウ詰めで乗りこんで
すぐに避難。
ボティは、「 まだ、この車に最高で19人は乗ったことがあるんだ。」と笑った。
湿った草のにおい、土のにおいに
まだ夏の香りが漂っていた。




町の街路樹もこの通り。
野生のクリの木には、
緑色のイガイガの実がまんまるに太っていた。

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町の公園でも、一番好きなクリの並木。
まだまだこちらは、おおきな緑色の葉っぱが
通り道に影をつくっている。

IMG_1672.jpg

昼間は太陽のしたでは、まだ夏の余韻がのこる。
日陰では、もう肌寒いくらい。
あるとき、友人が母にたずねた。
「 トランシルヴァニアの秋はいかがですか?」

それから、私に話してくれた。
「 ハンガリー人のある作家がね。
 秋のことを、朝は冬がきたようで、 
 昼間はまだ夏のようであり、
 晩は春のようだ・・・と形容したことがあるのよ。」

4月の誕生日にもらったばかりの自転車をこいでゆく、息子。
補助つきなのに、なぜか車の一部を捕まっておかないと
こげないようだ。

IMG_1611.jpg




3週間の滞在も、飛ぶようにすぎていった。
明日は空港から発つという、最後の日の夕方。
ふと思い立って、町はずれの森へと向かった。
何度ともなく通った、この場所は
町の生活での憩いの場所であり、
人といっしょにいながらも
独りの自分になれる大切な場所。

今は緑が見られる森のなかも、
もうすぐ新しい落ち葉でいっぱいになるだろう。

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もう出てきてもいいはずなのに、
今年の秋はなかなか姿をあらわしてくれないものがある。
それは、キノコ。
今の時期は、「小鹿の足」と呼ばれる大きなキノコが
いっぱい出てくるはずなのに・・・雨がふらないせいだろう。
それでも、3個ほど乾燥した小鹿の足を見つけた。
切り株に、こんなキノコも。

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森の中を唯一
鮮やかな色彩で彩っているのは、イヌサフランの花。
こちらでは秋を告げる花として
知られている。
通称、「秋ちゃん」。

IMG_3031.jpg

今の時期は、野原でも見られる。
それでも、日陰の森の中で育った花は
より色が濃くて、発色が美しい。
その透きとおった体、紫の花びらは
まさしく秋の妖精。

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こうして秋の一日も、しずかに暮れていった。
たくさんの思い出とともに。

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comments(8)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2009-10-09_05:19|page top

カロタセグの手芸を訪ねる旅

9月の中旬、
私たちはまたカロタセグ地方にいた。
前回からわずか半月ほどしか経っていないはずなのに、
あの青々としていた丘も
黄色く色づきはじめ、すっかり秋の様相をみせていた。

IMG_2334.jpg

トランシルヴァニアの都市クルージナポカ周辺にある
カロタセグ地方は、古くから手芸や工芸、音楽に舞踊で有名な土地。
日本から来ていた
母親にカロタセグの手芸をみせたい気持ちから、
今回は手芸を訪ねるたびを計画した。

お世話になるのは、また民俗舞踊の指導者である
アティラさんのお宅。
その日は、ちょうど近くのテュレ村で踊りがあるからと誘われたが、
全く踊れない私たちは辞退した。

次の日の朝、
まだお日様も眠っているころに、
カラカラと家畜の鈴の音が聴こえて、目がさめた。
6時になると、ご主人につれられて
牛の乳搾りにでかけた。

村でも一番美しい家。
電灯の光をたよりに大きな納屋へと入る。
牛の生あたたかい乳を引っぱるのは、
同じ女性には心ぐるしい。

慣れた手つきの主人の手のなかから、
真っ白い乳が吹いてでてくるのを、
そのリズムとともにじっと見るだけだった。
こんなふうに動物とともに目覚めるのが、
本当の村の生活。
絞ったばかりの新鮮なミルクを2L譲ってもらった。

乳搾りからかえって、軽く朝食を食べると
「 畑に草を刈りに来るかい?」とアティラさん。
まだ朝日ものぼったばかり。

馬車に農具をつみこみ、私たちも乗り込む。
パカパカと音をたて馬車は
村をどんどん過ぎて、
丘の合間をくぐりぬけてゆく。
まだ風景もぼんやり霞がかっていて、
心なしかまだ眠たそう。

IMG_1898.jpg

隣駅のあたりにある、畑にやってきた。
朝露をふくんだ草は、しっとりと鮮やかに輝くようだ。
悪魔がもつような、大きなカマを左右に振りまわすアティラさん。
田舎育ちのはずの母も、それに加わる。

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「 そんな道具、使ったことあるの?」と聞くと、
「 いいえ、初めてよ。」といいながらも、
だんだんカンがつかめてきたようだ。

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あの大きなカマも試しに使ったみた。
腰の重心を深く、
そして左手を心もちあげながら、水平に振る・・・
なんだか美容体操のようである。
もしかしたら、民俗舞踊の動きも
こんな所から来ているのかもしれない。

IMG_1912.jpg

やがて馬車いっぱいに新鮮な草を積んで、
私たちも乗り込む。
まだしっとりと草は濡れていて、冷たい。
馬車の動きに、心地よく揺られて家路につく。


IMG_1915.jpg

やっと、朝日が廊下にさしてきた。
軒先にも、収穫されたお豆がたくさん。

IMG_1924.jpg

その日は、村の女性から
ビーズ刺しゅうを習うことになっていた。
カロタセグのナーダシュ川流域は、
「 絢爛豪華なカロタセグ」と呼ばれるほど
ビーズの飾りが有名。

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ハイニさんのお手本を見ながら、
ビーズの目を数えて、星のモチーフを作る。
ひとつモチーフを作るのにも数時間。
民俗衣装のエプロンの手仕事の、
大変さが改めてよく分かった。

IMG_1974.jpg

カロタセグの村を歩く、おばあさんと孫。

IMG_2001.jpg

プリーツ工場を見に行くのも、楽しみのひとつ。
カロタセグの衣装にもプリーツは欠かせない。
てきぱきと職人の腕を見せていただく。
大きな厚紙に、生地をはさんで
蒸気で一晩蒸すと、あの滑らかなプリーツもようができる。

IMG_2132.jpg

その魔法のような道具を、
息子も不思議そうに眺める。

IMG_2107.jpg

そおプリーツの寄りかたは、
素材によってさまざま。
3M以上の生地が、折り曲げられて
こんなに小さくなる。
ものすごい、弾力性。

IMG_2118.jpg

また電車に揺られて、
今度は民俗舞踊団のあるテュレ村へ向かった。
駅から4kmほどの道を、
ひたすら歩いてゆく。

IMG_2153.jpg

道には、こんな可愛らしい十字架が。
旅行者の無事を祈っている。

IMG_2156.jpg

カロタセグの代表的なものといえば、
このイラーショシュという刺しゅうのテクニック。
太い糸で密に刺されたモチーフは、
連続模様になっている。
ここでも、村の女性に刺しゅうの手ほどきを受けた。

IMG_2166.jpg

カロタセグの村を歩くだけでも、
フォークアートの美しさに触れることができる。

乳絞りをした家は、村でももっとも立派な古い家。
扇のような形のすかし模様に、
どんぐりのモチーフがついた柵。

DSC04397.jpg

ドラゴンが、魔よけの渦巻き模様に
襲いかかろうとしている。
木彫りの門のモチーフ。

IMG_2353.jpg

こちらもすかし模様が美しい屋根の飾り。
太陽の光が透けて、影絵のよう。
手を取りあう男女と、天使のすがたが
メルヘンチックで素敵。

DSC05074.jpg

民俗衣装をきたおばあさんも、
村の風景をいっそう特別なものにしている。

IMG_2467.jpg

気さくなおばあさんたちは、
代々家に伝わる手仕事を可愛らしい家具に
しっかりと収めている。
このティスタ・ソバ(清潔な部屋)こそが、
カロタセグの女性の誇りである。
IMG_2281.jpg

喪服を着たおばあさん。
その手で娘を孫娘を祝福するために、
あの煌びやかな衣装を作りつづけてきたのだろうか。

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今もなお、現役で手芸に携わるおばあさん。
アンティーク・ミシンを使ったジャケットから、
ビーズの施されたエプロンの仕立て、
刺しゅうにいたるまで・・・
もうその仕事は、職人といってもいい。

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「 トゲのないバラはなく、
 また苦しみを伴わない愛もない。」とある、
ロマンティックなタペストリー。
民俗衣装といっしょに。

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歩き疲れた母と息子を置いて、
一人で村を歩いて訪ねたおうち。
今は亡き民俗学者の奥様だったおばさんが、
カロタセグの伝統を守るため、
民俗衣装を作りつづけている。

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風花もすでに、
乾いた色を帯びてきた9月のカロタセグ旅行。
秋はこれから収穫祭が始まり、
雪に閉ざされるとまた手仕事の季節がはじまる。

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電車を待っていると、
馬車がカタカタ音をたててやってきた。

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旅の終わりに、
さまざまな出会いを思いおこす。
また何度でも足を運びたくなる、カロタセグ。
女性が手仕事を続ける限りは、
カロタセグ地方はその輝きをとどめているだろう。

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*カロタセグの手芸にかんして、詳しくはもうひとつのブログにて。
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comments(4)|trackback(0)|カロタセグ地方の村|2009-10-03_16:21|page top
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