トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ブログ翻訳

カロタセグ舞踊と文化

郷愁をそそる音楽の調べと、
色鮮やかな衣装に身を包み
くるくると回転する舞いの高揚感・・・。
ハンガリーの舞踊の
魅力にとりつかれる人は数多い。

DSC04444.jpg

大塚奈美さんは、
90年代からハンガリー、
そしてトランシルヴァニアへ通い、
本場の民俗舞踊を学んでこられました。

2000年以降には
踊り手から研究家として、
日本やハンガリーの大学にも在籍していらした第一人者。

やがてフォークロアの豊かな
カロタセグ地方出身の舞踊家ラーザール・アッティラさんとご結婚され、
ご夫婦でトランシルヴァニアの舞踊と文化の紹介に
尽力していらっしゃいます。

5月末から6月末にかけて、
ハンガリー、トランシルヴァニアから、
音楽家をふたりとラーザール氏を招いて、
日本の各地で公演活動をなさいます。

美しいヴァイオリンの調べと、
時にゆるやかに時に激しく舞う
ハンガリー舞踊のリズム、
そして刺しゅうやビーズのきらめきや色彩。

古くから、村での唯一の娯楽であり、
男女が知り合い、結ばれるまでを
彩ってきた踊りという文化。
どうぞ本物のトランシルヴァニアを
体験なさってください。

DSC04522.jpg

魅力的なプログラムでいっぱいのHPは
こちらでご覧いただけます。
トランシルヴァニア・カロタセグの舞踊と文化
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Theme:ルーマニア
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comments(4)|trackback(0)|その他|2010-05-29_15:45|page top

アーラパタクの宝石

すっきりと晴れた、
風が吹きすさぶ5月の日曜日。
ヒッチハイクするべく、
町のはずれに向かった。
一時間半が経過して、ややあきらめかけたとき、
一台の車が止まった。

この周辺でも、特に交通の便の悪いと評判の
森深い道をこえていくと、
二番目に見えてくる村がアーラパタク。

半数以上がルーマニア系ジプシーという、この村。
あまりの治安の悪さに
警察も手が出せず、
一人暮らしの老人は暮らせないほどである。

つい最近、
手芸で有名なエテルカおばあさんの家にも強盗が入り、
あの美しく整えられた部屋も荒らされ、
家を引き払うこととなったと聞いていた。

1月に不在だった、
エテルカおばあさんの後継者たちを探しに、
再びこの村にやってきた。

arapatakihimzes 234

村の中心から小さな通りに入ると、
ハンガリー系の住人が多い通りに差し掛かる。
合間合間にジプシーの家らしきものが挟まり、

門の前から
「 ごめんください。」と叫ぶ。
おそるおそる姿を現したのは、
話に聞いていたピロシュカおばあさん。

用件を伝えると、
日曜日の昼時にもかかわらず
快く中へと通してくれた。
「 今ちょうど、日曜のミサから帰ってきたところよ。」

病気がちのご主人さんと、
ふたりきりで暮らしている。
「 前はブラショフまでも車で通っていたんだけれど、
 もう車も売ってしまったのよ。」

arapatakihimzes 229

「 料理に火をかけているところだから、
 ちょっと待って。」
おばあさんは、家の向かいにある
小さな小屋へと入り、
やがて私たちを中へ招いた。

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「 夏のキッチン」と呼ばれる、
煮炊きをする小さな部屋。
蒔きオーブンに、ガス・コンロ、
奥にはベッドもある。
おままごとのような、小さな空間にも
刺しゅうで飾ることは忘れない。

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今度は、家の中へと通される。

arapatakihimzes 105

はじめの部屋に入ると、
いきなりエメラルド・グリーンの壁が目に飛び込んでくる。
赤の刺しゅうをなんて、
ドラマチックに見せるのだろう。

arapatakihimzes 122

「家の祝福」といわれる
キリスト教の教えを説いたもの。

信仰ありき処に 愛あり、
愛ありき処に 平和あり、
平和ありき処に 祝福あり、
祝福ありき処に 神あり。
神ありき処に 必要なことなし。

トランシルヴァニアで17世紀以降に広まった
カルバン派教会では、その土地土地の
フォークアートと教会文化が溶けあった。
「 ここの教会にも、
 たくさんの作品を寄付したわ。」

オンドリの刺しゅうがかけてある、
小さな額縁の写真。
左側がおばあちゃんの父親、右側が母親。

「 お父さんはね、戦争で
 ロシアに捕虜として連れて行かれて、
 帰らぬ人となったわ。
 
 私たち兄弟は、母親の手ひとつで育てられたの。
 当時は何も生活補助なんてなかったから、
 お母さんは
 それはそれは辛い思いをして働いたわ。
 少しのベーコンをもらうために、
 農家の手伝いをしたりしてね・・・。」

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フライパンの底は時計になっている。
おばあさんの名前が刺しゅうされた、
はさみ入れがちょこんと並んでいる。
ピロシュカは、赤ちゃんという意味。

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うす暗い、村の民家に入ると
時代を遡ったような、
不思議な感覚にとらわれる。

長い長いトンネルをくぐって、
不思議の国へと導かれてきたかのようだ。

arapatakihimzes.jpg

白熱光で照らされた空間は、
ピロシュカおばあちゃんの赤い部屋。

arapatakihimzes 143

ミニチュアのベッドには、
おばあさんと同じくらいの年の
小さな人形が座っている。

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スポンジのリボン飾りをつけた
アンティーク人形。
かつての少女はおばあさんになってしまったのに、
青い瞳の女の子は永遠に少女のまま。

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「 若い頃は、ブラショフの町で
 電気修理屋の学校にも通ったのよ。」
華やかで美しい手仕事の影には、
決して楽ではなかった、
おばあさんの歴史が刻まれている。

次々に古いたんすから、
家に伝わる手仕事の財産が姿を現した。

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畑仕事をする人の、日に焼けた手。
農村の生み出したフォーク・アートは、
決して繊細な、貴族の手仕事ではない。
庭で栽培された麻から紡がれた糸で機を織り、
その粗い繊維のひとつひとつをすくって刺す、
繰り返しの仕事。

それゆえに心を打つのは、
きっとその作り手の手が
どこかしら
働き者だった祖母や曾祖母のそれを思い出させるものが
あるからではないだろうか。

arapatakihimzes 169

彼らの生活空間に欠かすことのできない、
刺しゅう文化。
おばあちゃんにとって針を持つということは、
きっと食事の用意をしたり、
洗濯をしたりするのと同じように、
その生活の中の一部となっている。

arapatakihimzes 206

古いクッションは、
彼女のおばあさんから伝わるもの。
針目は、生きていた証として
ずっと布の中なかに封印される。

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働きものの、ピロシュカおばあさん。
この女性の手こそが、
アーラパタクの宝である。

arapatakihimzes 226



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*ハンドメイドブログ、
 ICIRI・PICIRIの小さな窓では、
 ピロシュカおばあちゃんの手仕事を詳しく紹介しています。

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comments(8)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2010-05-25_07:20|page top

白雪姫幼稚園の母の日

ここ一週間ほどつづく
曇り空のなか、
白雪姫幼稚園のミツバチ組では、
母の日を祝う催しが行われた。

中世から近世にかけて
特権階級の兵士であったセーケイの衣装は、
この地域の人々の誇りでもある。

赤と黒のしま模様のスカートは、
昔は村によって違う色や模様を持っていたといわれる。
それぞれの家庭で織られたものだった。

白いフェルトのスリムパンツは、
紐模様でコーチング・ステッチされてある。
19世紀の貴族文化の影響がうかがわれる。

シャツやブラウスは、
ひじのところがふんわりと広がる
シルエットが美しい。

子供たちは時にはにかみながら、
列を組んで行進していた。

arapatakihimzes 241

こうして、13人もの子供たちがそろう。
担任のユーリア先生は、
おおらかで時に熱心に子どもたちとかかわってきた。

arapatakihimzes 259

一人ずつ、母の日の詩を暗誦する。
母国語のリズムを体で感じるために、
詩の教育は欠かせない。

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リゴーと陽気なツィメゲを
呼び起こそう。
それぞれが、一番素敵な歌を歌うように。

僕のこころも呼び起こそう。
熱く脈打つように。
僕のお母さんが、いつも笑顔でいるように。

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週に一度、民俗舞踊の時間がある。
子供たちは、土地に根ざした音楽の調べに
あわせてリズムをとる。

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今回の主役は、
この年長さんたち。
やがて9月からは小学校へあがるから、
もうすぐ幼稚園ともお別れ。

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実はここ数ヶ月、
私は子供たちに英語を教えている。
Where is thambkin?(親指さんはどこ?)
という指遊びを披露。

それから、日本の遊戯。
ひらいた、ひらいた。
この歌はもう一年ほど教えているので、
子供たちも驚くほど
発音が上手になった。

すごいのは、すべて耳から覚えるということ。
私たち大人や大きい学生たちは
文字から入るから、
長い外国語には拒絶反応を示してしまう。
どんな言葉でも、先入観なしに
吸収してしまう素晴らしい脳の順応力。

母国語のハンガリー語に加え、
国の言葉のルーマニア語。
英語に日本語・・・。
生まれながらにして、
不利でもあり有利でもある環境を生かして、
がんばってほしいと祈るばかり。

arapatakihimzes 297

ハンガリー舞踊は、
ほとんどが男女対で踊るカップルダンス。

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パリおじさんのヴァイオリンの調べに、
仕掛け人形のようにくるくると回る子供たち。

arapatakihimzes 408

発表会が幕を閉じると、
民俗舞踊の指導をしてきた先生たちに
手作りのプレゼントを渡す。

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それから、お母さんたちの元へ。
子供たちにプレゼントを受け取ると、
親はやさしくキスをして、
ぎゅっと抱きしめる。

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手作りの箱のなかには、
ペイントされた小石とビーズの腕輪、小さなチョコレート。
そして、一枚の紙。

息子からの言葉はこうあった。
「 だからママが好き。
  一番いい日本のアニメを見せてくれるから。」
これには、思わず苦笑してしまった。

保護者の差し入れの、
トランシルヴァニア名物
ホームメイド・チョコレートを食べながら。

arapatakihimzes 452

仲良しのお友達とももうすぐお別れ。
早いものであと一年で、小学生になる。

居心地のよいクラスに
恵まれたことに心から感謝して・・・。

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comments(2)|trackback(0)|ルーマニアの育児|2010-05-23_10:03|page top

花薫る季節

「 5月の夜に町を歩くのが、
 どんなに素敵なことか知っている?」
友人が目を輝かせ、こう尋ねた。

「 暗闇の中で、
 町のどこそこに植えてあるライラックの花が
 強い薫りを運んでくるの。」

5月に花開くライラックは、
この季節を象徴する花として知られている。

29.04.2010 17-36-03

 ライラックの枝よ、
 アプリコットの花よ。
 新しい服に着替えなさい。
 母の日の明け方に、いい香りを漂わせて。

 森はざわざわと音をたて、
 風はそよそよとささやく。
 枝や緑が、こう伝えている。
 いつも幸せでありますように、お母さん。

この季節になると、どこからともなく
かすかに流れてくる子どもたちの歌声。
やさしいライラックのうす紫と、
甘い香りが母親を思い起こさせるのだろう。

29.04.2010 17-36-17

5月に入り、
緑が一面に町をおおうようになると、
ひときわ目を引くのが、西洋トチの木。

団扇のような大きな葉っぱが、
灰色の建物に、町の遊具の上に垂れ下がる。
真っ白な大きな花は、
天に向かって一直線にのびている。

08.05.2010 19-24-57

この小さな花たちをよく見てみると、
花の中心が、可愛いパステルカラーで
色づけされていることを、
子どもたちが教えてくれた。
レモン色、オレンジ色、ピンク・・・。

08.05.2010 19-25-07

子どもたちのために、
大人は時に背伸びをして、
時に飛び上がって枝を折り、
子どもたちの前にそっと差しだす。

08.05.2010 19-22-41

やがてこの木は、10月になると
たくさんの茶色い子どもたちを生みだす。
子どもたちは宝探しのように
夢中で、その大きなクリの実を
ポケットがパンパンになるまでしまいこむ。

花の薫る、
5月のトランシルヴァニアの風景。


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comments(2)|trackback(0)|自然、動物|2010-05-22_17:27|page top

ジプシーの舞い

うすどんよりとした空。
町のはずれにあるジプシー居住区、
ウルクーへ来ていた。

舗装のされていない道は、
あっちからもこっちからものびてくる。
小さな柵のなかは、外から丸見え。
野良犬と、家畜のブタが歩いている中を、
人が行きかう。

orkoikep 061

その土地のもの以外、あまりよそ者は入ってこないから、
私たち日本人グループを見ると、
すぐに声がかかる。
子どもたちは周りをとりまき、
「 アメちょうだい。」
「 写真とって。」
となかなかそばを離れようとしない。

orkoikep 057

鮮やかな紫色の小さな家から、
顔を知ったおじさんが出てきた。
「 おーい。
 よく来てくれた。さあ、中へ。」
いつか、踊りを見せてくれたご夫婦のお宅。

orkoikep 001

小さな刺しゅうで飾り付けられた、こじんまりとした客間に呼ばれる。
去年手術をしたという奥さんに
体の具合をたずねると、無言で首をふった。
先ほどから口数が少なく、
まだ回復には時間がかかりそうだ。

部屋でひときわ目立つのは、
立派なCDコンポ。
さっそく、スタンバイが始まる。

スピーカーからは、
大音量の音が響きわたる。
ドアも開けっ放しなので、
ご近所はおろか、地区全体にまで聞こえるに違いない。

ボリュームを少し落として、
「 これが、ウルクーの伝統的な音楽さ!」とおじさん。
楽団もいるが、
村から村へ演奏してまわっているそうだ。
「 残念ながら、今日はいないよ。」

そして、ソファーに腰かけていた奥さんが
すっと立ちあがった。

orkoikep 004

ヴァイオリンやビオラの深くしなやかな音が、
情感あふれるメロディーを奏でる。
ゆるやかな身のこなしで
ゆっくりと回り、足は小刻みに確実なステップを踏む。
まるで、儀式かなにかのように。

orkoikep 016

弦楽器の調べにあわせて、
パチパチとはじく指のリズムが
ひとつにとけあう。
若い踊り手のスピード感や躍動感あふれるものとは違い、
熟年の、落ち着いた味のある舞い。

orkoikep 023

ひらひらと蝶のように優雅な舞いは、
動きつづける間は、
彼女を10年も20年も若返らせる。
その美しいしぐさには、確かな女性を感じさせた。

orkoikep 024

やがて音楽が途切れると、
操り人形の糸がふつと切れたかのように動きをとめた。
小さな会場に、拍手がはじけた。
「 素晴らしい!
 動きはゆるやかなのに、美しい身のこなしですね。」
「 まだまだ。これからさ。
 次は、もっと動きが早くなるよ。」とおじさん。

ふいに音楽は、リズムを早め、
急に激しい曲調のものへと変わった。
今度はカップルダンス。

先ほどの踊りから、
息もつかぬ内に・・・それでも、
彼女の身体はいつまでも回りつづける。

orkoikep 032

ご主人さんがしばらくいっしょに踊った後、
息子さんと入れかわる。
男性の踊りは、力強くて激しい。
手の平で、ひざを打ち付けるチャパーシュは
豪快な動き。

女性は、あくまで男性を引き立てながら控えめに、
それでもリズムはしっかりと早く。

orkoikep 043

ウルクーの小さな民家で
行われたショウは、こうして幕を閉じた。

ほとんど身動きをしていないはずなのに、
上着の下は汗ばむくらいだった。
渾身の踊りを見せてくれた
おばさんに心から敬意を示して、
小さな民家を後にした。

orkoikep 056






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comments(10)|trackback(0)|ジプシー文化|2010-05-18_00:55|page top

黄色い畑を求めて

春の太陽のひかりを
いっぱいに吸いこんで、
そのまま花びらに変えた、
まさにそんな色。

ICIRIPICIRI21 036

4月の終わりごろになると、
トランシルヴァニアの畑は
このように色づく。
黄色い畑を求めて、町を離れた。

町のそとには、
「美しい畑」と呼ばれる平野が広がる。
秋に蒔かれた麦の芽は、
厚い雪に閉じ込められながらも
厳しい寒さにじっと耐え、
やがて春になると
青々とした姿を一番に見せてくれる。

それから、一番に
花を咲かせるのがタンポポ。
種を蒔いたのかとでも思うくらいに、
仲間をたくさん増やして咲いている。

ICIRIPICIRI21 046

遠く南アフリカから海を越え、
再びこの地に帰ってきたコウノトリ。
どちらも春の風物詩。

ICIRIPICIRI21 041


ここ最近、見られるようになった風景は
菜の花畑。
ヒマワリに代わって、
食用油として栽培されるようになったようだ。

はてしなく続く、
このレモン色の海のなかに
身を埋めて甘い香りを腹いっぱいに吸いこみ、
黄色い粉にまみれてみたい。
そう思うのは、
きっとミツバチだけではないだろう。



青い空、白い雲、
そして途方もなく大きな
レモン色の畑。
5月はじめのトランシルヴァニアから。


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comments(8)|trackback(0)|自然、動物|2010-05-14_07:10|page top

虫の雨ふる、5月

5月に入り、本格的に春がやってきた。

リンゴやプルーンが
ちょうど白い粉砂糖をふったかのように、
花を満開に咲かせる。

A nap fiai 033

上ドボイ村にある、
もうひとつの我が家に到着。
すると、ご近所さんのジョンビが
ペットボトルを手にやってきた。

「 ほら見てよ。
 どこもかしこも、虫だらけだよ。」
と大人の親指ほどもある、
大きな茶色い虫を差し出した。

昆虫好きの息子は大喜びで、
その虫をもてあそぶ。
その触覚は、ちょうど
開いた扇子みたい。

bogareso3.jpg

葉っぱをよじ登ろうと、
手を広げたり閉じたり。
まるで挨拶をしているようだ。
黒く丸い瞳も、なかなか愛嬌がある。

bogareso2.jpg

「 この虫はね、7年間土の中にいて、
 それから外に出てきて、
 一週間したらもう死んでしまうんだよ。」
それから、オスとメスの見分け方だの、
交尾をしているところだの、
小学生の男の子に理科の授業の手ほどきを受ける。

茂みを見ると、
枝には黒い塊りがいくつも見えた。
こんなにたくさん。
組み体操でもしているのだろうか。

A nap fiai 019

5月のコガネムシ(Majusi Cserebogar)
というのが、ここでの呼び名。
5月の今の季節にしか見ることができない虫で、
4年に一度ほど大発生をするという。
ちょうど今年が、その当たり年。

「 この虫は、木の花を食べてしまうから害虫なんだ。
 木を揺らして、取ってしまわないと。」
ということで、子どもふたりをお供に
害虫駆除がはじまった。

木を揺さぶると、
高いところからボトボトボト・・
大きな虫が次々と落ちてくる。
襟首をしっかりとふさがないと、
うっかり中へ入ったら大変。
「 虫の雨だね!」と子どもたちは大喜び。

青々とした草の中で、
虫たちはしばらく固まったあと、
モゾモゾと動き出して、やがて飛び立つ。
その前にかき集めて、
小さなボトルの口へと投入。

やがて2リットルがいっぱいになると、
ジョンビが家に持ち帰るという。
相手をかまわず倒し、
上へ上へと登ろうとする虫たち。
ガサガサとたえず這いまわる、
そこは修羅場である。

A nap fiai 068

この害虫を大好物とする動物は、
こちらじゃなくて・・。

A nap fiai 020

なんと、ニワトリたち。
Cockchafer(オンドリ・コガネムシ)
という英語名。
その名の通り、
ニワトリたちの格好のえさのようだ。

bogareso4.jpg

コガネムシのあとは、
息子はカタツムリ採集。
いわゆるエスカルゴだけれど、
ここでは食べる人はいない。

「 チガビガ(でんでんむし)、出ておいで。
 おうちが焼けるよ、さあおいで。
 出てこないんなら、知らないよ。
 友達になってあげないよ。」
おまじないのように、歌をくりかえす。

A nap fiai 044

まだ材木置き場の家の庭が、
キッチンである。
太ったラツィおじさんは、料理の腕も達者。

A nap fiai 062

ベーコンを焼いたあとの脂で、
ジャガイモと鶏肉を焼く。
味付けはパプリカ風味。

A nap fiai 061

ヨーシュカおじさんの羊たちは、
草を求めて村を散歩する。

A nap fiai 075

ここが私の庭。
まぶしいほどの若草色に包みこまれる。
坂になった庭を、
上へ上へと登ってゆくと。

A nap fiai 083

遠くには霞がかった原っぱや、
教会の尖塔が姿をあらわす。

A nap fiai 085

美しい花を咲かせた木々は、
秋には実りをつけるだろうか。
ドボイ村の一日が、
ゆっくりと静かに暮れていった。

A nap fiai 080



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comments(6)|trackback(0)|自然、動物|2010-05-09_01:05|page top

森の中のお花畑

4月の終わり。
まだ町の中さえも、
緑の屋根にすっぽりと覆われてしまう前のこと。

にごりのない青空と
太陽のひかりが惜しげもなく
降りそそぐ、日曜日の午後。
森の中へと入った。

道には、馬車の車輪がつくった
水たまりがカエルたちに宿を与えている。

18.04.2010 18-04-20

いつもよりもずいぶんと明るい森の中。
か細い木の幹が、
これから緑をいっせいに吹こうと
力を溜めているようだ。

18.04.2010 18-12-00

鮮やかな紫色を垂らした
スミレのような野の花。

18.04.2010 18-15-31

聖ジュルジの名前の日のあたりに
生えてくるといわれる、その名も「聖ジュルジのサラダ」。
そのやわらかな舌触りは、
春のみずみずしさを存分に感じさせてくれる。

18.04.2010 18-43-35

夢のようにやさしい、淡い藍色。
枯れ色のなかから、
こんな美しい色が現われる、
それがまさに春の奇跡。

18.04.2010 19-37-45

甘酸っぱいようなレモン色の花びらが
たわわになっている。
カンカリンという花。

18.04.2010 19-43-58

中でも圧巻なのは、
真っ白なお花が密集して咲いているすがた。
太陽のひかりが
春の地面にまでゆきとどき、
やがて緑で隠れてしまうまえに
今にだけ見られるお花畑。

まだ肌寒いこの時期を
わざわざ選んで咲くのには、ちゃんと意味がある。

18.04.2010 19-58-56

どんどん花を咲かせなさい。
今のうちに、
森がまだ明るいうちに。
気がつくと、森のなかは一面がお花畑になっている。

18.04.2010 19-34-41

めまぐるしく形を変える
自然のすがた。
トランシルヴァニアにも、春がやってきた。

18.04.2010 20-12-05


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comments(8)|trackback(0)|自然、動物|2010-05-07_08:15|page top

ウルクーの日常

4月の終わり頃。
ふとしたことから、
町はずれのジプシー地区へ行くことになった。
ふらりとやってこられた
旅の方は、日本で音楽をしているという。
インドからヨーロッパまで渡ってこられ、
各地の民俗音楽を吸収していくというのが旅の目的。

ジプシーを音楽から、
興味を持つようになったという人は少なくないと思う。
実のところ、彼らの生活と音楽が
イコールで結ばれるほどではないのだが、
ここウルクーでは
豊かな音楽と舞踊の文化がしっかりと息づいている。

子どもが多いジプシーの地区を訪ねるときには、
いつも小さなお菓子を持ってゆく。
その地域に足を踏み入れたなら、
すぐに好奇心いっぱいの視線が降り注がれ、
「 どこへ行くんだ?」
「 誰を探しているんだ?」と必ず声がかかる。

子どもたちはそれに輪をかけて、興味津々。
私たちはすぐに、わっと取り囲まれてしまった。
「 森の方へ散歩するだけよ。」といっても、
もう7、8人の子どもたちがずっとついてくる。

ウルクーとは、
見張りの岩という意味。
昔は、町を守る砦のようなものがあったらしい。

ここにジプシーの人たちが移住してきたのは、
18世紀の終わり頃のようだ。
昔はそれぞれに、レンガ作りやスプーン作りなど
職を持っていたのが、今では
ほとんどが生活保護で暮らしている。

10.04.2010 16-52-45

袋からお菓子を出して配ると、
その手が次々に伸びてきて、きりがない。
「 おじさん、こっちにも。」
「 まだ、もらっていないよ。」と口々に訴える。
しまいには、子どもたちは
袋を叩きはじめる始末。

いい加減、私も疲れて何もいう気力がなくなった。
音楽家のHさんは耳がいいせいか、
子どもたちの言葉をすぐに真似して、
オウム返しをして遊んでいる。
笑顔を見せながら、まったく気にならない様子。

きっと、このジプシー村の雰囲気を楽しむコツは、
この遠慮のない子どもたちと
どう接することができるかだろう。

10.04.2010 16-55-32

旅行者を見ると、すぐに
自慢の子ども、孫を腕に抱えてやってくる。
写真にとってくれと頼むから、
なかなかいやとは言えない。
子どもは、昔から弱い立場にあった
彼らにとっての強みであり、
大切な宝でもある。

10.04.2010 17-06-42

下水路がないために、
垂れ流された井戸の水が、絶えず
泥だらけの道を作っている。

坂の途中で、見知った顔を見つけた。
エルヌーおじさんの孫の、リベゼラ。
まだ二十歳の彼女の嫁入り先では、
小さな部屋に夫婦と二人の子どもとで
暮らしている。

10.04.2010 17-17-55

つい先日、近所で葬式があった。
夜から朝があけるまで、
弔いの歌を歌いつづけるという。
叔父さんも、のどが枯れるまで歌ったのだが、
少しだけその歌を披露してくれた。

10.04.2010 17-11-46

やがて、夫婦のダンスが始まった。
ほとんど身動きもとれないほどの空間なのに、
それを感じさせない。
スピードあふれるステップや回転の身のこなし、
指ではじくリズムは、
息もつけないほどの激しさ、強さ。
親の踊りを見ながら、
子どもは自然と学んでゆく。

10.04.2010 17-29-10

お姑さんが、帰り際に呼び止めた。
「 うちの亡くなったダンナの写真が、 
 ひとつしかないのよ。
 墓石にそえるのに、もう一枚作ってくれない?」

ジプシーの人たちは写真が好きだ。
数少ない写真を、大切に部屋に飾り、
嬉しそうに人に見せる。

キノコの壁絵と、最後の夫婦の姿。
思い出の詰まった写真を、しっかりとカメラに焼き付けた。

10.04.2010 17-36-00

白い馬を大切に抱いた少年。
彼らの生活に欠かせない馬。
ルーマニアの道路がほとんどコンクリートで塗り固まれても、
まだ彼らの生活の変わらない部分。
ひらりと背中にまたがって
野を駆けるその姿に、
彼ら独特のロマンを感じてしまう。

10.04.2010 19-28-22

めまぐるしく変わりゆく世の中で、
古いものに固執せざるを得ない生活。
その中に、きらりと光る美しさを見出すのは
きっと私たちだけでないだろう。


トランシルヴァニアをこころに・・・。

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