トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

09 ≪│2010/10│≫ 11
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
comments(-)|trackback(-)|スポンサー広告|--------_--:--|page top

黄金いろの世界

ピリピリと肌を刺す冷たい空気が表一面にたちこめる、
10月の終わり。
秋の風景を探しに、町のはずれへと出かけた。

自宅から徒歩10分ほどで、
手付かずの自然が目の前に広がる。
赤茶色に色を落とした森の木々。

nepviselet2 163

原っぱから、
今度は薄暗い森の中へ。
いつもは薄暗い影の世界のはずが、
今日ばかりは
まばゆい照明に当てられた舞台の上のようだ。

nepviselet2 176

木々は生まれるときと、
散るときと。
ふたつの時期にとびきり美しい表情を見せる。

nepviselet2 178

気がつくと、あたり一面が黄金色の世界。
時間を止めたかのように音も立てず、
ただその色彩をこちらに投げかけている。

nepviselet2 174

フカフカの落ち葉の中に、
何かを見つけたようだ。

nepviselet2 167

三角錐のかたちをしたブナの種。
とげのついたお花のような実から、
生まれ落ちてきた。

薄い皮をはがして口に入れると、
ほのかに甘く香ばしい味がする。

nepviselet2 171

新鮮な落ち葉の合間からは、
新しい生命もすがたを現す。
乳白色にうっすらと紫がかった、
美しいキノコ。

nepviselet2 180

夏に美しさを誇った野の花。
小さな種も雪の中に身を沈めて、
ただじっと次の春を待つ。

nepviselet2 187

真っ赤に色を染めた、ローズヒップ。
触るとまだ固い。
これから霜がおりると中がやわらかくなり、
トマトの味を濃く甘くしたようなペースト状になるそうだ。

nepviselet2 189

ブナの森を出て野原が開けると、
スフントゥ・ゲオルゲの町はもう目の前にあった。

太陽の光ももうだいぶん暖かい、
そろそろ昼を回ったころだ。

nepviselet2 191





トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

スポンサーサイト

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(6)|trackback(0)|自然、動物|2010-10-29_21:27|page top

フォークアートの花模様-ビカルの天井画

空にまたたく星ひとつひとつのように、

その花もようはじっと私たちを見下ろしている。

永い年月をかけて、

その美しさはさらに輝きを増したかのようだ。

ビカルの教会の天井画。





トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(0)|trackback(0)|カロタセグ地方の村|2010-10-23_06:59|page top

ビカルの教会

ちょうど市の開かれている間のこと。
お祭りの喧騒を逃れて、
カロタセグ地方の村へ散策にでかけた。

丘をひとつ越えると、
新しい世界が開けてきた。
眼下に広がっているのが、ビカルの村。

bikal.jpg

丘の斜面にひっそりとたたずむ村。
透かし彫りの扇の形が外に取り付けられた、
カロタセグの古い民家も見られる。

feketeto2010 091

村のシンボルといえる、
とんがり屋根のカルバン派教会。
入り口の門は、小さな木の板を張り合わせる
伝統的な技術が見られる。

feketeto2010 098

牧師さんの奥様の案内で、
教会の中へと通される。
かつてのカトリックの影を塗りつぶすように、
白く塗られた教会の壁。

feketeto2010 100

そのプロテスタントでさえ、
装飾をすべて取り払うわけには行かなかった。
美に対する素朴な欲求の表れなのであろうか。
天井にぎっしり敷き詰められた四角い板には、
ナイーブなタッチで植物や動物などが描かれている。

力強い筆使いは、
ひび割れた板や剥がれかけたペンキを通して、
なおもこちらに訴えかける何かを感じさせる。

feketeto2010 111

神の言葉を預かった牧師は、
「言葉の椅子」と呼ばれる台にあがって説教をする。
その頭上には王冠が輝く。

雛に餌付けするペリカンは、
カルバン派のシンボルとなっている。

feketeto2010 104

その台に向き合うようにして配置されたベンチ。
村の女性たちの手で縫われたクロスをひるがえすと、
天使の姿が現れた。

feketeto2010 102

二階のバルコニーにも、絵付けのモチーフが
一連の物語のようにして並んでいる。
「 そういえば、この地方の教会には
 鳥のモチーフがよく見られますが、
 その意味はなんだか分かりますか?」ダンナが尋ねる。

「 鳥は豊穣のシンボルだと思われます。
 その証拠に、刺しゅうや民謡にもよく登場しますから。」

聖書には、イブがリンゴの実を食べて
天上から追放されたが、
ここではたわわになった洋ナシの実が描かれている。

feketeto2010 121

「 教会の鐘つき台に上ってみますか?」
そういわれて、狭い木造の階段を
おそるおそる上っていく。

教会の尖塔のちょうど先の部分、
板で張り巡らされたところ。
強い風が真っ向から吹きつけてくる。
教会の木造の屋根の先には、
秋の草原が広がっていた。

feketeto2010 135

ビカルの小さな村も、
手の平のなかのように見渡せる。
そろそろ日が暮れそうだ。

feketeto2010 136

村では20世紀のはじめに、
木彫りの学校が開かれていたそうだ。
カロタセグの美しい木彫りを作ったのは、
こうした村人たちの手によるものに違いない。

feketeto2010 141

古い木造の家がだんだんと
新しい家に建て替えられている村の中。
木彫りの門や家を発見するのは、
まるで宝探しのように楽しい。
飾ることをこよなく愛する、
カロタセグの民の心が、
彫刻が夕日に照らされて浮き彫りになるように
ありありと感じられた。

feketeto2010 142




トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(4)|trackback(0)|カロタセグ地方の村|2010-10-22_01:42|page top

ルーマニア人とハンガリー人の飲み屋

3日間にわたるトランシルヴァニアの市では、
決まって飲み屋の屋台が立つ。

古い友人たちが再会を果たす舞台ともなる場所。
朝から晩まで、
人々のおしゃべり、食べ物の匂い、
生演奏のリズムやメロディーでいっぱいに満たされる。

軽快なリズムにつられて、
屋台の外側には自然と人の和ができていた。

何気ない夜の飲み屋の風景が、
一晩空けてとんでもない出来事に変わろうとは、
そのときは誰も知る由がなかった。



こちらは、セーク村からの屋台。
まだ午後をまわったばかりなのに、
すでにお酒が入って、ご機嫌な男たちのコーラスが響いていた。
ヴァイオリンの深い音色と哀愁に満ちたメロディー。







トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(3)|trackback(0)|文化、習慣|2010-10-17_17:20|page top

トランシルヴァニアの市とクラリネット吹き

まだ人の足もまばらな金曜日。
トランシルヴァニアの骨董市を歩いていると、
ふとクラリネットの旋律が聴こえてきた。

いつも夜が明けるころ、
決まって聴こえてくるクラリネットの音。
細長い羊毛の帽子をかぶり、
杖をついたおじいさんの姿が見えた。

ヒツジ使いなのだろうか。
この正体不明のおじいさんは、
3日間の市の間もあちこちをふらついていた。

愛用のクラリネットを若い奏者に手渡し、
軽やかなメロディーが通りを踊った。






トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(3)|trackback(0)|イベント|2010-10-17_16:14|page top

ザクセン地方の町並み

10月の秋晴れの空の下、
トランシルヴァニアのザクセン地方を縦断した。
かつてドイツ系ザクセン人が住んでいた所。
小高い丘に点在する小さな村や町は、
まるで中世そのものの趣を今に伝えている。





トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(0)|trackback(0)|トランシルヴァニアの町|2010-10-16_14:54|page top

黒い湖の市で

日がだんだんと短くなり、
太陽の光も次第に和らいできた10月。
友人のキャンピングカーに乗り込み、
クルージ方面を目指していく。

黒い湖と名のついた、
一年で一度開かれる市で4連泊をする。
生まれて初めての試み。

この市の時期には、必ず雨が降る。
そういう話を学生時代にも聞いたことがあった。

重いグレーの曇り空の町を昼前に出て、
一山こえると嘘のようにくっきりと青空が広がっていた。
太陽をすかして見える
黄色く色づいた木の葉を眺めながら、
長い旅がはじまった。

かつてザクセン人の暮らしていた
おとぎ話さながらの古い村をいくつもすぎ、
小川沿いに小さな村の並ぶトゥルグムレシュの村を通りこして、
緩やかな丘陵地帯のクルージナポカへとたどり着いた。

山のふもとにある黒い湖にくると、
河川敷はたくさんの車でひしめき合っていた。
市がはじまるのは2日後だというのに、
もう場所取り争いが白熱している。

黒い湖の市は歴史が古く、
かつては娘市場と呼ばれていた。
近隣の農村から若い男女が集まり、
結婚相手を探しにくる。
物だけでなく、
人の交流の場でもあった。
今では、学生たちや骨董品愛好家などによって
知られている。

友人の車の場所がやっと確保できると、
薄暗くなった会場を散策しはじめた。
祭りの前。
活気があるのは、屋台の前だけ。

feketeto2010 037

火を燃やし、暖をとる人々。
山並みのせいか、本当に肌寒い。

feketeto2010 024

飲み屋では、民謡を唄う歌手の歌声に
自然と人の和ができていた。

feketeto2010 034

キャンピングカーの二階。
ぐるりと布を張ったものに、
防寒用のシートを内側からかぶせてある。
寝袋に包まって就寝。



目が覚める。
天井にある小さな窓からは、
夜明けの空が見渡せた。
ふとどこからか、
金管楽器の調べが聴こえてくる。
その姿を捉えようと、
いそいで車から飛び出した。

あたりは小さなテントがいっぱいにひしめき、
朝もやのなかを起きたばかりの人々が行き交う。
先ほどから、何度も同じメロディーが耳を打つ。

feketeto2010 153

音のするほうを注意してみてみると、
山の中腹ほどに小さな人の影が見られた。

やがて山を降りてきたのが、
このおじいさん。
このクラリネットの音で目を覚ますのが、
朝の日課となった。

feketeto2010 228

会場の様子を見定めようと、
ダンナと二人で繰り出した。
テーブルを並べ、
車から色々なものを広げるのを眺めながら歩く。
ふと、昨日の飲み屋の前で足が止まった。

feketeto2010 152

パトロールカー。
そして地面には血の跡。
夜中に喧嘩でもあったのだろうか。

嫌な予感がしながらも、
不思議な光景に眉をひそめてそのまま去ろうとした。
すると、ダンナが通行人に何かを尋ねている。
重い面持ちでこう言った。
「 夜中に誰かが刺されて死んだそうだ。」

まだ市も開けていないのに。
昨日の夜、ちょうど足を止めていた
まさにあの場所で・・。




市は日に日に大きくなり、活気を帯びていった。
いつもと変わらず朝は楽器の音で幕が開けると、
すっきりと青空が広がった。

feketeto2010 021

山の向こうに日が沈むと、
小川は黒く色を濁していく。

feketeto2010 144

金曜の朝には霜が降った。
屋外に出された家具の上も、
うっすらと白く色づいている。

feketeto2010 146

朝早く散策をしていると
セークの麦藁帽子をかぶったおじさんが呼び止めた。
「 今日一番のお客さんだからね。
  シャツを安くしてあげるよ。」
一番目のお客さまを優遇すると、
後がうまくいくというジンクスがあるそうだ。

feketeto2010 176

洗濯物もきれいに乾きそうな秋晴れ。
美しい手仕事のクロスが、
風に吹かれて舞っていた。

feketeto2010 183

ジプシーの職人たちは、
木を彫り、やすりをかけて家具を作る。
市の合間にも仕事に精を出していた。

feketeto2010 089

土曜日が最大の市。
午後には、木の橋がきしむほどの
大勢の人でにぎわう。

feketeto2010 244

人ごみとざわめき、音楽の音・・・、
祭りの興奮は最高潮に達する。
これだけの人が求めにくるのは、
必ずしも物ばかりではないはず。

feketeto2010 243

こうして3日間の祭りも
幕を閉じた。
村では収穫祭の後、
夏の仕事をすべて終えたあとの休息でもあった
この市。

来年も、この川のほとりで
どれだけの人と物が出会い、別れるのだろう。

feketeto2010 149





トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村




Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(5)|trackback(0)|イベント|2010-10-15_02:05|page top

アールコシュの郷土博物館

日曜の昼の鐘の音をきいてから、
ふとアールコシュへ行こうと考えた。

一年半前のこと、
ヨーロッパの古いものをこよなく愛する
貝戸さんご夫妻を連れて、
アールコシュの博物館へ行こうと計画したが、
中止となった。

今回は、秋の気配の忍び寄る季節となった。
のどかな村を散策しながら、村の中心を目指す。

Arkos2010 192

村の中心にある城砦教会の壁を見たら、
左の小道へと入る。
アールコシュ郷土博物館の館長は、
村に住む青年ゾリである。

ちょうど収穫の季節、
秋には村では何かと仕事が多い。
それ自体が骨董品のような器具は、
リンゴを切り刻むためのもの。

Arkos2010 198

「 これは、パーリンカになるんだよ。」
熟成させたリンゴや洋ナシやブドウ、プルーン、
あらゆる果実を混ぜ合わせて蒸留させる。

例えば弁護士や医者などにこれで支払うと、
あらゆる物事を解決できるそうだ。
ここでは、パーリンカが物を言う。

Arkos2010 201

ここでも、家を建設中。
どこかの村から収集した古い門。
鳥の頭から植物がのび、
花が開いている。
メルヘンチックなハンガリー独特の動物文様。

Arkos2010 207

城砦教会は、戦火にまみれた
ここトランシルヴァニア地方の各地に見られる。
分厚い壁をもつ城壁が、教会をぐるりと囲むように作られた。
人々は教会に立てこもり、敵と戦った。
この石ひとつひとつが、
歴史の証言者である。

Arkos2010 208

トランシルヴァニア発祥の宗派、
ユニタリウス派の教会。
中の赤い刺しゅうは、
トロツコーと呼ばれる手芸で有名な村から贈られたという。

Arkos2010 214

4つの砦のなかの一つは、
アールコシュ郷土博物館として
多くの来客の目を楽しませている。

Arkos2010 211

EUの補助によって、
ゆっくりと城壁の修復も行われている。
少し急な階段をゆっくりと上ってみよう。

Arkos2010 244

城壁の、古い見張り窓は必見。
子供ひとりがすっぽりと納まるほどの大きさから、
外へ向けて小さく作られている。
ここから遠くの敵を見張っていた。

Arkos2010 220

ゾリが10年かけて集めた、
総数5000をこえる古いもの。
特に鉄のアイロンコレクションが自慢のようだ。

Arkos2010 226

曲線の美しい鉄の白鳥は、
ランプのよう。

Arkos2010 221

小さな展示室にもかかわらず、
機織も飾られている。
布を裂いて、横糸にして織った、
裂き織りは今でも民家のじゅうたんとして使われる。

Arkos2010 229

「ここだよ!」
教会の秘密の入り口を登って、
腰掛けるふたり。
野ばらがこんなに高いところまで這ってきている。

Arkos2010 232

丸い窓に腰掛けると心地よい。
中世の壁に囲まれた教会が
村人たちに与えた安心感というものが
分かるような気がした。

Arkos2010 243

教会の外へ出ると、
今日一日の曇り空がうそのように
夕暮れ時のオレンジ色の太陽の光が降りかかる。

Arkos2010 249

ゾリの家のダリアの花も、
オレンジ色に輝く。

Arkos2010 252

セントジュルジの隣村、アールコシュ。
古く美しいものを愛する人たちの手で、
博物館は教会とともに守られていくだろう。

Arkos2010 254




トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(6)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2010-10-06_05:16|page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。