トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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大阪にて

湿った風の吹きすさぶ、7月半ば。
東京の街を離れ、
トランシルヴァニアの手仕事は西へと移動する。

学生時代をすごした町を眺めた。
あれから月日は随分と流れているはずなのに、変わらない。
故郷から帰ってくると辛かったこの町は、
今では、ゆったりと大きく手を広げて迎えてくれるようだ。

japankialliras2011 233

そして、私の知らない大阪が待っていた。
梅田のひとつ先の中崎町の駅を上がると、
どこか懐かしくなるような軒先が連なっている。

瓦屋根の二階建て、
黒ずんだ木の戸に小紋のような硝子がはめ込まれている。
銭湯に駄菓子やさんがあったと思えば、
お花屋さんやカフェ、ブティックなどが立ち並ぶ。
まさに昭和にタイムスリップしたような小さな通り。

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昔は煙草屋さんだった古い民家の二階、
シロツメ舎さんのギャラリーにて明日から展示会が幕を開ける。

japankialliras2011 214


「トランシルヴァニア-手芸の旅へ」
シロツメ舎(大阪中崎町)
7月22~25日 13:00~19:00
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comments(8)|trackback(0)|その他|2011-07-21_23:36|page top

東京にて.2

いつもより早く家を出て、
その日は寄り道をして展示場へ出かけることに決めた。
神保町で都営地下鉄に乗り換えて、
巣鴨駅へと向かう。

その目的は、
念願の夢であった偉人の墓参り。
おおよその目星をつけて来たものの、
住所や寺の名前を調べることはしなかった。
きっと見つかるはずだという漠然とした自信があった。

駅前の地図によると、付近に大きな墓地があるらしい。
そちらを目指して、ひたすらに大通りを歩いていく。
途中、小さな自転車屋さんのご主人に声をかける。
卓上の地図を引っ張り出して、地図とにらめっこ。
おおよその見当がついた。

しばらく行くと、警備員の青年に道を尋ねた。
険しい顔で少し考えたあと、わざわざ通信機で同僚に連絡をしている様子。
すぐに敷地内の小屋から、初老の男性が出てきて言う。
「このすぐ裏手ですよ。」

自転車がやっとすれ違うほどの小道が、ぐるりと囲んでいた。
じりじりと肌を焦がす太陽を避けながら、
木立の影を探して歩きつづける。
吸い込むと肺の底にずっしりとたまる、重い空気にもようやく慣れてきた。
まだセミの音は聴こえてこない。

japankialliras2011 116

墓地と墓地の合間を進んでいくと、
左手に視界が開けて小さなお寺が見えた。
石畳に導かれるようにして、小さな敷地内をゆっくりと散策した。

japankialliras2011 119

焼けつくような光を浴びて、体中から汗が噴き出す。
木立に囲まれた一角にたどり着くと、
アゲハ蝶が一羽、目の前に飛び込んできた。
3本の木がたっぷりと影を落とす、その中に
ささやかな墓石がふたつ並んでいた。

もうすぐ7月24日。
故人の命日が再び巡ってくる。
桐の紋が正方形の石に、ふっくらと浮かび上がっていた。

japankialliras2011 120

夜の地下鉄。
真っ白な肌をした赤ちゃんが、
愛らしい笑顔をふりまいていた。
脇に立つ息子と目の高さがほぼ同じになる。
日に焼けた浅黒い手とやわらかな白い手。
ほんの数十分の時間を過ごす、
ふたりの手が静かに触れ合った。

japankialliras2011 021

東京の夏。
たくさんの出会いをありがとう。
comments(7)|trackback(0)|その他|2011-07-18_00:39|page top

東京にて

神保町の一角にある小さな書店。
和書洋書の手芸の本を専門とするアートブックショップさんが、
展示会の会場となる。
レジから左側は、ガラス張りの小さなギャラリーとなっている。
この空間を、トランシルヴァニアの空気でいっぱいにするのが私の役目。

japankialliras2011 006

トランシルヴァニアから運んできたスーツケースを開くと、
古い衣装や布が次々と、手品のように飛び出してくる。
ずっしりと重い刺しゅうブラウスや色とりどりのエプロン、
赤いクロスや枕カバーで白い壁面を埋めていく。
柱にかかる白い布を、写真や言葉で覆いかぶせた。

搬入の二日目の夕方ちかく、ふと息子が静かなことに気がついた。
それまで会場に気をとられていたのが、
ふとそばを見るとスーツケースの中でぐっすりと寝息を立てている。

japankialliras2011 014

東京のオフィス街で、小さな水溜りを見つけては、
小さな虫を探し出し遊んでいた。
日本帰国、4日目のことだった。

japankialliras2011 015

こうして二日たっぷりとかけて飾りは終えると、
トランシルヴァニアの風が東京の小さな展示場にそっと吹いてきた。

japankialliras2011 026

展示会当日。
腹がキリキリと痛み、その夜はあまり眠れなかった。
荷物でいっぱいのリュックが重く、体を歪めるようだ。
電車で乗り網棚に荷物をのせようとすると、丸く膨らんだリュックから水筒が滑りだす。
あっと声を立てる間もなく、
鈍い音を立てて座席に座る白髪の男性の手に当たって落ちた。

「痛いよ、アンタ!」
静かな車内に怒りの声が響き渡る。
「すみません!・・・申し訳ございませんでした。」
その老人はしばらく手をさすった後、かばんから新聞と老眼鏡を出して読みはじめた。
ほっと安堵する。
また電車は、沈黙に包まれる。

電車は、いつしか暗いトンネルの中へと吸い込まれていった。
東京の心臓部へと近づき、
車内の乗客は少しずつ減っていくのに何故か心は重かった。
地下鉄は止まっては走り、
目に映るのは冷たい鼠色をした列車の車体と黒い革靴ばかり。
肩にかけていたポシェットにそっと手を当ててみる。
手のうちには、リネンの固い繊維と
赤と青の刺しゅうがあった。

すると、どうしたことだろう。
暗い地下道の中に、つい先日までいた村の風景がさっと目に浮かんできた。
それほどまでにも親しくなかった作り手のおばさんが、
「早く帰っておいで。」と微笑んでいるような気がした。
それは、トランシルヴァニアが故郷へと変わった瞬間だった。

私の心の眼は手の平になり、
その刺しゅうから何かを感じ取ったに違いない。
きっと、その何かを伝えるためにここにいるのだろう。

japankialliras2011 047

*トランシルヴァニア-手芸の旅へ
 展示品はこちらでご覧いただけます。
 ICIRI・PICIRIの小さな窓
comments(17)|trackback(0)|その他|2011-07-08_19:32|page top

トランシルヴァニア-手芸の旅へ

ルーマニアの西部、トランシルヴァニア地方。
ラテン語で「森の彼方」という意味のように、
深い森やなだらかな丘に囲まれた豊かな自然あふれるところ。

ルーマニア人、ハンガリー人、ドイツ系のザクセン人、ロマ(ジプシー)・・。
ここでは古くからさまざまな民族が、その風土に見あった文化を生みだしてきました。

IMG_2997.jpg

農村に暮らす女性たちにとって、大切な仕事のひとつが
糸を紡ぎ、機を織り、刺しゅうやレースで美しく飾りたてることでした。

IMG_2854.jpg

彼女らは厳しい村の仕事の合間をぬっては、ひたすらに手を動かし、
かずかずの美しい手仕事を生みだしました。

IMG_8118.jpg

子供たちのため、夫のため、恋人のため、そして自分のために。

kalotaszeg1.jpg

展示では、あたかもトランシルヴァニアの魅力的な村々を旅するような感覚で、
極上の手仕事の数々をご覧いただけます。

templom1.jpg

ブラウスやエプロン、スカートなどの民俗衣装を主とした、
約30点の展示品が会場を彩ります。

paraszti muzeum 045
(バナート地方ルーマニア人女性のブラウス)

paraszti muzeum 044
(カロタセグ地方ハンガリー人女性の肩刺しゅうブラウス)

paraszti muzeum 051
(カロタセグ地方の祝日用エプロン)

展示品に関しての解説や、手芸のテクニックの説明、
また今の手芸の作り手にまつわるエピソード。
トランシルヴァニアの村々を周って撮影した風景や民家の室内、手芸の作り手の写真は、
さらに色鮮やかに作品の生まれた原風景を物語ります。

SzekesKalotaszeg 767

森に囲まれたトランシルヴァニアという風土の中に脈々と流れる、
多様性と文化の奥深さを感じていただけたらと思います。
トランシルヴァニア手芸の旅へようこそ。

kepeslap.jpg

「トランシルヴァニア-手芸の旅へ」展示会は、
以下の会場にて開催されます。

7/7~18日まで art-bookshop&cafe神保町店(東京)
7/22~25日まで シロツメ舎(大阪梅田)

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(4)|trackback(0)|イベント|2011-07-01_05:01|page top
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