トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ヘレンド・カフェの女性

クリスマスを過ぎ、年の暮れが近づいたころ、
日本の実家にプレゼントが届いた。
大きな白い箱を開けると、
中からたくさんのケーキが出てきた。
四国のフルーツをふんだんに使ったシフォンケーキ。

トランシルヴァニアで食べるどっしりと重く甘いケーキとは違い、
やさしく溶けるような口当たりで
ほんのりとした甘さと果物の香りが広がった。

IMG_0933.jpg

受話器を手にして、四国へとつながるのを待つ。
送り主の方は、手紙やメールで何度かやり取りはさせてもらったものの、
声を聴くのははじめて。
ちょうど、最後のお客さまを見送り、
年の暮れの片付けをされているころだろうか。

やがて、受話器から弾けるような声がこぼれた。
あまりに元気があふれる様子だったので、
気後れするように、それでも、
荷物が届いたことのお礼と、お店の邪魔にならない時間であるかを尋ねた。

ようやく今年一年のお仕事を終えられたこと、
そして、東京から故郷の高松に引っ越され、
お一人で二人の子どもさんを育てながら
喫茶店を20年も経営されていらしゃること、
ルーマニアを旅行して周られたお話・・・。
いろいろな話題に花が咲いた。

ハンガリーやルーマニアの民俗衣装に身をつつみ、
ハンガリーの高級磁器へレンドが輝く店内で、
お菓子やお食事をお出しになる姿を目に浮かべた。
いつか、四国のハンガリー喫茶店へ足を運びたいと思う。

瀬戸内海から程近く、香川大学のすぐ正面にある素敵な喫茶店。
カフェハウス・へレンドは、
赤、白、緑のハンガリーのトリコロールが目印です。
四国のフルーツをふんだんに使った無添加のシフォンケーキは、
全国発送されています。

logo.jpg


cafehouse HEREND
香川県高松市番町4-9-14田所ビル1F
087-861-1223
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Theme:スイーツ
Genre:グルメ

comments(2)|trackback(0)|その他|2013-01-29_17:53|page top

ふるさとの青い空

遠い遠い北の国からきた私たちをむかえてくれたのは、
限りなく青い空だった。

風はまだ冷たいものの、
太陽の光があたたかく包みこむ。
波の音に耳をすますと、
心地よいリズムが体の中に染み入り、
いつしかその遥かな海そのものと一体化していくようだ。
思いきり、潮のかおりを吸いこんだ。

IMG_1168.jpg

もう12月だというのに、
ひまわりの花びらが黄色い色を残したまま、立ち枯れている。
畑道をとおって、親戚のおばさんの所へとぬけていく散歩道。

「まあ、帰ってきたの。」
やさしい笑顔をむけるおばさんたち。
「今年は不作だったけれど、
あなたのために手をつけずにとっておいたのよ。」
ふるさとで一番に食べる味は、子みかんだった。
息子は木に登って、お気に入りの場所を見つけたようだ。
気持ちよさそうに寝そべりながら、みかんに手をのばす。

IMG_0992.jpg

窓を開け放した縁側に、惜しげもなく太陽の恵みがふりそそぐ。
お手製の漬物をつまみながら、お茶をいただいていた。
するとお隣さんが畑から、大きな大きな大根を引きぬいて持ってきてくれた。
「珍しいもんか、分からんけど。」
青々とした葉をつけた大根は、先のほうは雪のように白い。
魚やイカの味をよくしみ込ませて、
ほおばる大根の甘く美味しいこと。

やっとのことで一本を肩にかついで、運んでいった。
道すがら、ふと考える。
あの細い体のおばさんは、一度に3本も引き抜いてきてくれた。
どこにあんな力があるのだろう。

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二人目の子供が今、胎内にいる。
親戚総動員で、観音様参りにでかけた。
私が母のお腹にいたときも、
母が祖母の中にいたときも、
ずっと変わらずに続けられてきた行事のようだ。
私たちはこの地に生まれ、周りでも数知れず
生命の誕生を目にしてきた。
それでも、自分の知らないところで
ひそかに祈り、誕生を願ってきた人たちがこんなにいるということ。

私は、皆といっしょに祈りをこめた。
念仏がひびき、体の中の何かを呼び覚ますような力強い音を聞いたとき、
何か大きな力を授かったように感じた。
これから待ち受けるさまざまな困難に立ち向かう自覚なのかもしれない。

3枚のお札の中に、小さな生命のような米粒があった。
おばさんたちは、大事な薬を渡すようにして言う。
「これを、飲むのを忘れないでね。」
その乾いた小さな粒は、私の体に呑みこまれていった。

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ふるさとでの日々は、まるで手の間からこぼれ落ちていく砂のように、
あっという間に過ぎていった。

飛行機に乗る前に、最後にひと目見ようと海へと向かった。
襲いかかってきそうな、荒々しい波が目の前にあった。
幾度も打ち寄せて、そして帰っていく波のように、
私たちもこの地に見えない力で引き寄せられ、
そして離れていかなければならない。

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日本で向かえた新年。
今年はどんな出会い、そして出来事が待っているのだろうか。

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comments(2)|trackback(0)|その他|2013-01-24_13:31|page top