トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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「イーラーショシュとカロタセグのきらめく伝統刺繍」展を終えて

娘と二人きりの里帰りの旅。
その幕開けはパリだった。
「羽田へ向かうお客さま、どうぞご搭乗ください。」

その声にはっとしたのは、
私が思い描いていた到着先と微妙に違ったからだった。
母はその日、すでに成田空港付近のホテルに待機し、
今か今かと私たちの到着を待っている。
どうにも連絡のつきようがなく、
そわそわした気持ちでシートベルトを締めた。

娘の鳴き声に耐えられなくなり、
暗く狭い通路を行ったり来たり・・。
時に歌い、時に全身ゆりかごとなりながら。
12時間のフライトがやっと終わろうとしたとき、
窓の外には群青色の空、
ぼんやりと白くなだらかな山が迎えてくれた。

やがて、東京駅八重洲口で
リムジンバスが止まると娘と母の初めての対面となった。
ボストンバッグを23キロのスーツケースの上に載せ、
背中に大きなリュックを背負って行く。
母はベビーカーに娘を載せて運ぶ。
こんな労働が苦にならなかったのも、
再会の弾んだ空気のせいかもしれない。
15分ほどで新富町の会場についた。

ANNEXとの出会いは、
去年の春のことだった。
大学時代の親友が「ぜひ紹介したい人がいる」というので
映画の試写会に参加することになった。
青木さんはやさしい眼差しの中に、
大きく包み込むような何かを持っている方。
半分お客様、半分お手伝いのスタッフのように
暖かく迎えていただいた。

どこを見ても同じような灰色のビルが立ち並ぶ町の一角に、
ひとつだけ変わった建物がある。
真っ白な壁面に青々と蔦が生い茂る。
そこに足を踏み入れるだけで、
ほっと心が安らぐようである。

annex1.jpg

青木さんと母と三人でお茶をのみ、
一息ついたあと搬入に取り掛かる。
たくさんの方の助力のもとで、
白い壁が一つ、また一つと埋まっていき、
ふと息がかかったようにカロタセグの色に染まった。

うららかに晴れた日は、勝どき橋をわたって、
隅田川の堤防を散歩して会場へと向かう。
この非日常を楽しみながら、
母は「この10日間は神様がくれたもの。」という。

annex2.jpg

会場は3つの部屋に分かれる。
二階は、住まいの空間。
枕カバーにベッドカバー、タペストリーなど。
住空間を彩るための品々が、カロタセグ地方では
今も「清潔の部屋」と呼ばれる一室に収められている。

DSC00255.jpg

美しくしつらえられた「飾りベッド」は、花嫁道具の象徴。
刺繍や織り、レースなどの様々な技術をほどこしてできた中に、
人々の美意識が息づいている。
(本来なら、赤は祝いや若さを、黒は喪や老いを表すのだが、
ここではやむを得ず色が混ざっている。)

DSC00253.jpg

おばあさんのアトリエをイメージして、
イーラーショシュの図案のための型や油紙を置いた。

DSC00260.jpg

一階のガラス張りの部屋は、
トランシルヴァニアを代表する刺繍イーラーショシュ。
おおらかな曲線でふちどられた植物が
赤や黒、青、白の単色で刺繍される。

DSC00267.jpg

手作りキットのための見本と、
文化出版局「イーラーショシュ」のための作品見本が
モダンな白い空間にすっきりと映える。

DSC00270.jpg

そして、エントランスの木目を生かした空間には、
きらびやかなカロタセグの衣装が並べられた。
最も刺繍の美しいブラウスとエプロンをはじめ、
スカーフやボンネット、ベストに手編みの服、リボンなど。
飾り装うことをこの上なく好む、
カロタセグの精神が宿るような品々を選んだ。

全く疲れを感じずに9日間の会期を終えられたのは、
さまざまな出会いがあったから。

新しい世界に触れること、
手仕事の素晴らしさを発見すること、
さまざまな人がいるということ・・。

出発前の慌ただしさで案内状も送ることができず、
気がかりでいながらも、
その人たちがわざわざ会いに来てくれたということ。

DSC00313.jpg

ハンガリー文化を愛する人、
ルーマニアという国を愛する人、
刺繍をすること、見ることが好きな人・・・。

さまざまな縁で結び付けられた人たちが、
再びどこかで集い、会話に花を咲かせ、
何かを感じることができる場。
そういうきっかけになれば幸いだと思う。

DSC00314.jpg

次はあなたの住む町へ
この品々を運んで行くことができるだろうか。

会場に足を運んでくださった方々、
気にかけブログを覗いてくださった方々、
この展示を手伝ってくださった方々に心からの感謝の気持ちを込めて・・。
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Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

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