トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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年の暮の里帰り

故郷の自然がこんなにもあたたかく、
実家がこんなにも居心地が良いと感じるようになったのは、
自分が遠くへ生活を移してからかもしれない。

大きな窓から降り注ぐ太陽の光や、
冬でも感じられる草の匂い、
笑顔で迎えてくれる家族や、親戚、友達の顔・・。
穏やかな日常が、嘘のように早く流れていく。

子どもが生まれてからずっと楽しみにしていたのが、
お宮参りをすること。
日本人として重要な通過儀礼(イニシエーション)のような気がしていた。

実家に着いて翌日に、その夢に見ていた日がやってきた。
黄金の菊を形どった門を通って、
これから日本の神々と初めて対面する。

宮崎3

35年前、私が生まれて初めて着た晴れ着を娘にもかけてやった。
やがて3歳になったら、今度はこの着物を着せてあげる日がくるだろう。

宮崎2

払い清められた、きりっとした空気の漂う本殿に通される。
式がはじまると、ちょうど眠くなった頃合いだったため、
案の定、娘がぐずり始める。
名前を呼ばれ、黄金の錫杖が頭上で鳴らされたとたん、
魔法をかけられたかのようにぴたりと泣き止んだ。



一年前に、息子もいっしょに親戚一同で参った観音さま巡り。
春に生まれる親戚の子どものために、
そして無事に生まれてきた娘のお礼のために祈りを捧げた。
生命が誕生することの不思議は、
私たち人の力では及ばない次元にある。
だから、私たちは遠い昔からしていたように、
今でも神々に祈り、その助けを請うのだろう。

miya6.jpg



12月の土曜日、
長い間迷ったあと、ついに決心をして出かけることに決めた。
深夜に起きて、父に運転してもらい、
娘を伴って山間の村へと車を走らせる。
真っ暗な道を車のライトが照らす先だけ明るく、対向車は見られない。
ダムとなった人口湖のほとりにある山の上。
児原稲荷神社に着いたのは午前4時だった。

朱赤の鳥居が何重にも折り重なる階段を、
焼酎一升を抱いて駆け上った。
すでに宴は始まっていた。
灯りで照らされた舞台で舞を披露する神官や、
鬼の面をつけた神や土着の神々・・。
厚い毛布にくるまって熱燗をのみ、
夜通し宴を共にする人々。

山の民にとって夜神楽とは、
一年の収穫を感謝する行事でもある。
祭壇には焼酎とともに地元の野菜や果物が並べられ、
天を突くほどに高くそびえる木の柱には色とりどりの紙の飾りが揺れる。

お囃子の笛の音や太鼓のリズム、
繰り返される舞いの動作で意識はもうろうと、
寒さと眠気が交互に襲ってくる。
その長い夜に区切りをつけるように、
東の空が白々と明るくなってゆく瞬間の
なんと劇的で美しいこと。

宮崎5

一年で最も夜が長いこの時期に、
岩戸隠れの一幕を舞うことは決して偶然ではない。
太陽の女神アマテラスが再びこの世に現れて、
私たちに生をもたらすあらゆるものが育まれる。

やがて山里に明るさが取り戻されると、
私たちは地元の温泉でゆっくり冷えた体を温めた。

宮崎4

一年の終わりに、日本の神々の神秘に触れ、
私たちは再び羽田の空を飛び立った。
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Theme:史跡・神社・仏閣
Genre:写真

comments(4)|trackback(0)|その他|2014-01-20_10:41|page top

2014年の始まり

娘と二人きりの長い長い旅が終わり、
私たちを待っていたのは冬まっさかりの風景だった。

霧はすべてを凍らせて、
あらゆるものを丹精な銀細工に変えてしまった。
白い景色を、まばゆいばかりに太陽が照らし出す。
厚いガラス窓を通して見えるものすべてが目新しかった。

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小さな氷の粒が結晶となって、葉や枝にはりつく。
雪景色の見事さに、手がかじかむのも忘れてしまう。

IMG_0644.jpg

ふだん見慣れた町の風景も、雪の魔法で光り輝いて見える。

IMG_0645.jpg

今年のクリスマスは、炭酸水通りの家で穏やかに過ごすことに決めていた。
一ヶ月、お留守番をしてくれた息子と旦那は、
家族で過ごす休暇を心待ちにしていた。

IMG_0686.jpg

普段は暗く締め切った家も、
この時ばかりは明かりを灯したかのように生き生きとしている。
モミの木を運び込んで、
毎日薪をくべに旦那が通ったおかげで
血が通ったかのように暖かく、快適になった。

クリスマスの秘密を知ってしまった息子が、
今年は初めて自分でツリーを飾ることを引き受けた。
午後の日差しが差し込む中、
何か大切な儀式のように箱から一つずつ
飾りを取り出してはモミの木に巻きつけ、引っ掛けていく。
こうして出来上がったクリスマスツリーは、
我が家にとって最高の贈り物となった。

IMG_0737.jpg

クリスマスの素晴らしさは、宗教的な記念日でもあるのだが、
それまでもらう側だった者が、
与えることを喜びと感じるようになることにもある。
これからは、兄が小さな妹のために
天使の魔法をかけてあげることができるだろう。

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クリスマス休暇は穏やかに過ぎていった。
足早に大晦日がやってくると、
友人たちからその年最後のパーティへ誘いがかかる。

まず家族同然のつきあいのブラーガ一家と過ごすためにカールノクへ。
ガチョウのスープやグリルのご馳走を頂いたあと、
午後5時に日本時間の新年を祝うためワイングラスで乾杯。
夜9時頃までゆっくりしてから、
今度はビクファルヴァの友人宅へと車を走らせる。

その日は、他にも同じ村に住む友人一家が来ることになっていた。
すでにパーティが始まっているのかと思っていたら、
まだ手つかずの食卓と優しい家族が待っていた。

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小さな子供二人が病気をしたようで、急遽来られなくなったという。
午後10時、奥さんの故郷ロシアのウドムルト時間を待って
家族といっしょに新年を祝った。
小さな部屋二つだけの家。
明かりの灯った食卓を囲んで、二つの家族が集う。
それだけで、もう何もいらないほどの満足感でいっぱいになる。

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それから深夜が迫ると、子供さんが病気の友人宅へ皆で歩いていく。
子供が小さい時の病気の辛さは、私たちも経験済みなのでよくわかる。
ひっそりと静まり返った家に、
今度は私たちが喜びを運んであげよう。

ついに0時を切った。
「明けましておめでとう!」
シャンパンの泡が勢いよく弾むグラスをカチンと鳴らして、
口々に皆がそう言う。

今年一年に起こったさまざまなことをすべて洗い流して、
私たちは再び新しいスタートを切る。
そのまま1時間経ったので、ついでに
ブダペスト出身の友人のためにハンガリー時間の新年も祝った。

道すがら、帰省中の友人の扉をたたいて寄り道をしたあと、
友人宅で眠りについたのは深夜4時だった。
ぐっすりと深い眠りを遮ったのは、
夜が明けて娘が目覚め泣く声だった。
こうして、私たちの一年もまた始まるのだ。


Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(2)|trackback(0)|イベント|2014-01-10_05:53|page top
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