トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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春の梅雨と「イーラーショシュとビーズ刺繍」展

ひとつ季節を先取りして、
私たちが再び日本の大地を踏んだのは4月の初めのことだった。
30時間の長い長い旅の終着点は、
夜の滑走路。そして、九州の小さな町だった。

満開の桜は見遅れてしまったが、
惜しげもなく淡いピンク色の花びらを落とす様を
ほのかな太陽の光を通して見つめていた。
3年ぶりの春。

たっぷりと注いだ水が、あたりを湖のように変えてしまう。
昼はどこか神秘的で静かな水田も、
夜にはカエルの大合唱がはじまり、そのコーラスは朝まで続く。
故郷の日常が、あまりにも輝かしくて、
毎日がコマ送りのようにただ流れていった。

イーラーショシュとビーズ (11)

それから、私たちを待っていたのは、
うららかな春の日差しではなく、季節外れの梅雨だった。
毎日、毎日飽きもせず降り注ぐ、
雨、雨、雨。
あふれるほどの水が大地を濡らし、
いつ空っぽになるのだろうとねずみ色の雲を眺める。

イーラーショシュとビーズ (8)

ついに天の水も枯れ尽きたと見え、
大地に太陽の光が舞い戻ってきた。
眠い目をこするようにして野の花が次々とひらいては、
光を体いっぱいに受け止める。
ぷんと甘い春の香りが、あたり一面に立ちこめた。

イーラーショシュとビーズ (10)

シロツメ草があまりに綺麗だったので、
花の冠を作り、娘の頭にそっとのせてやる。
春の王女さまが出来上がった。

イーラーショシュとビーズ (12)

休息の時間は、刻々と終わりが近づいてきて、
出発の時がやってきた。
町のネオンが灯り始めるころ、
船が沖を離れて真っ黒い海へ向けて旅立った。

イーラーショシュとビーズ (14)

大阪に4年ぶりにやってきたのは、展示会をするためだった。
今回もまた、中崎町にある小さな古民家ギャラリーを会場に決めた。
ツタの葉がからむ表口から玄関をひらくと、
小さな空間に白塗りの壁が広がっていた。

イーラーショシュとビーズ (15)

今回のテーマは、「イーラーショシュとビーズ刺繍」。
白壁の空間を、色とりどりにきらめくビーズで飾り立て、
来る夏を思わせる華やかさを表す。

イーラーショシュとビーズ

美しいものを身に纏いたい、誰しも思う欲求を
これほど強く、そして創造性豊かに表す例は珍しい。
カロタセグ、特にナーダシュ地域の人々の持つ、
類稀なる色彩感覚に酔いしれることのできる空間になった。

イーラーショシュとビーズ (5)

狭く長い階段を上にのぼると、
今度は一転して深い茶色をした木の壁が立ちはだかる。
ここには、イーラーショシュのダイナミックさがぴたりと肌にあった。
40年代に製作された古いタペストリーやテーブルクロスが圧巻の存在感で壁面に寄り添う。
そこに現代の作家による、クッションやクロス類がさらに彩りを加えていた。

イーラーショシュとビーズ (1)

年代によって、また地方によって違う図案の多様さを感じることができる。

イーラーショシュとビーズ (6)

今では作ることのない大きなテーブルクロス。
イーラーショシュの本によって、
日本からカロタセグの村へと注文ができるようになった。
こうした橋渡しを今後もしていきたいと思う。

イーラーショシュとビーズ (3)

トランシルヴァニアの空気をいっぱいに、
大阪の一空間に滞在した週末。
遠方からもお越しいただいた方々、
そして一目本物を目にしようと駆けつけて下さった方々に、
心から感謝の気持ちを込めて・・。

イーラーショシュとビーズ (4)

またこの展示は、6月半ばから末まで、
東京のあるギャラリーにてこのまま移動させていただくことになった。
素敵な機会を与えてくださった、
ANNEXの青木さんに感謝申し上げます。


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comments(6)|trackback(0)|イベント|2015-05-01_12:06|page top