トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルヴァニアの大みそか

大みそかというと、私にはトラウマがある。

ヨーロッパで迎えた大みそかは、それまで3回。
中でも、2003年を目前とした時期に
ホームシックにかかってしまった。
ちょうど大学時代、
苦痛な試験を目前としていたせいかもしれない。
または、懐かしい日本の友人たちとクリスマスを過ごした後で、
日本が恋しくなっていたせいかもしれない。

20代中ごろのの男女の集まってのパーティといえば
聞こえがいいが、
ひっそりとした村の民家で、会話も大して盛り上がらずに
ただ食べてばかり・・・

そしてルーマニアでも1、2を争う寒冷地でもあった。
村の幼稚園を兼ねた小さな家は
簡易の薪ストーブだったから、
寒さで夜中に何度も目が覚めた。
特に、朝目覚めたときの寒さといったら・・・

そういうわけで、大みそかのパーティというものには
あまり期待はしていなかった。

31日の日暮れ前に、友人ペーテルの迎えで
ザラーンに向かった。
大人5人と子供、そして大量の荷物がのった車は
心なしか重く感じられた。
曇った窓ガラスから見える景色は、真っ白。
明るい空に、もう三日月が輝いていた。

山の斜面を登って、友人宅に到着。
中に入ると、すでにテーブルの上には
たくさんの料理や飲み物が準備されていた。
私たちも、包みを解く。

その頃はもう5時を過ぎていた。
日本では、もう除夜の鐘が鳴り響いた後だろう。

あのときの静かさとは違って、
今回は子供たちがいるせいか、
家庭的なゆったりとした雰囲気だった。

ふと外に出ようとした友人に続いて、
息子も行くと言い出した。
あたたかい空気に慣れてしまった私も、
コートを羽織って、その後に続いた。

表に飛び出すと、
しっとりと冷たい空気が体を包む。
寒いのはほんの最初だけで、
すぐに慣れてしまう。

足元をキュッキュッと鳴らして、ティメアが言った。
「 この雪の感触が好きなのよ。」
彼女の生まれ故郷の村は、
世界遺産に登録された教会がある美しいところだ。
まるで隠れ家のように、四方を丘に囲まれた谷あいの村。
きっと雪に親しんでいたのだろう。

ふと見上げると空一杯の星たち。
私の吐く白い息が
その星空を包んだかと思うと、
ゆっくりと暗闇の中に解けていった。

星空と真っ白な雪で、暗闇も気にならない。
それなのに息子は、家の方へと私を引っ張る。

ティメアが、雪をつかんで
そばに来ていた犬にかけた。
キラキラと雪が舞うと、息子は大喜び。
今度は、フワフワした
銀色の毛並みのネコにかける。

冷たい空気を一杯に吸った後、
あたたかい室内に入った時の感覚の気持ちよさ。
冷たくなった手が少しずつふやけていく。
そして顔の辺りが熱くなってくる。

やがて赤ちゃんのベッドの脇で、
息子も眠りについた。

12時が近づくと、表へ繰り出す。
目指すのは、教会の鐘つき台。
つるつるとすべる氷の道をゆっくりと歩んで、
教会の白い壁の前までやってきた。
ペーテルはシャンパンを抱え、
皆はガラスのコップをコートに忍ばせて。

鐘つき台の木のはしごを
用心しながらゆっくり伝って上る。

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ペンライトのわずかな光を頼りに、
2階まで上がりきると、
やがて甲高い鐘の音が鳴り響いた。
ちょうど3階に鐘があるようだ。
頭の上からカーンと、物凄い音の振動が伝わってきた。

ICIIPICRIRI12 303

「 もう0時?」と言うと、
0時を迎える前にも鐘を鳴らすのだという返事。
普段は一人で鳴らすそうだが、
新年は2人で縄の両端を持って下に引っ張る。
だから、こんなに激しい音がするのだ。

上には、もうこれ以上は入れないようだ。
そして0時が間近になると、
「 どうする、下に行く?」
「 こんなときに急いだら、一年間がせわしくなるかも。」
と皆があたふた始めた。
仕方なく、この埃っぽい石の鐘つき台の中で
新年を迎えることとなった。

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「 Boldog Uj Evet!(新年おめでとう!)」
とグラスを鳴らし合う。

ICIIPICRIRI12 298

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こうして明けた2009年。
今年はどんな出来事が待っているのだろう。



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comments(0)|trackback(0)|文化、習慣|2009-01-03_15:09|page top

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