トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルヴァニアに家を建てる(11)

村に土地を買ったのは、2006年の夏。
やがて2008年の夏に、家の建設を始めた。
ほとんどを自分たちの手でする、
手作りの家。
家の設計から、基礎、組み立て、内装・・・

「ドボイの村は、もう舗装されているよ。」とラツィおじさんが言うので、
半信半疑で聞いていた。
10月に行ったときにはもちろん、そんな様子はなかったし、
冬に道路工事をするとは思えない。

とある晴れた日曜日に、ドボイの村へと向かった。
10月の中旬に、私と息子は里帰りをしたので、
ドボイの家を訪ねるのはもう約3ヶ月ぶり。

青い空と、なだらかな白い丘との境界がはっきりと見えた。
夏なら緑に覆われて、一目では見つけられない村も
裸の木々の間にさらされている。

63333.jpg

そして肝心の道路のほうも・・・
確かに真新しい、セメントの色が、
主要道路から村へと続く細い道へと続いていた。
「 ほら、言ったとおりだろう!」とラツィおじさんも得意げ。
ただ舗装道路は、まだ村の手前で終わっていた。

それから先は、いつもの砂利道。
雪に覆われて真っ白の道を、ひたすら上へと登っていく。
タイヤが滑らないか、ハラハラとするが
無事、家の前へとやってきた。

doboly 025

村全体が山の北向きの斜面に、寄り添うようにしてできているため、
まだ雪が驚くほどたくさん残っている。
雪の影に青く照らされている庭、
いかにも寒そうな家・・・・

有り合わせで作ったような、
ぎこちないはしごを上って二階へ。

doboly 026

中は、当然真っ暗。
通りに面して、窓がひとつだけ開かれている。
ここは私たちの寝室になる予定。

doboly 027

それにしても、この屋根の高さはどうも落ち着かない・・・
私のように、身の丈が普通のものですら感じるのだから、
長身の男が入ってくるのは、危険である。
「 どうしてこんなに屋根が低いの?」と私が非難の目を向けると、
「 お金があればもっと屋根を高くしてたけど・・・。
  背が高い人は、入ってこなければいいよ。」という返事。
のこぎりで、あの木の柱を少し削れないものか・・・・。

珍しそうに辺りをきょろきょろしていると、
窓が取り付けられた。
窓ってこんなに簡単に取り付けられるものか、と感心する。
もちろん、防寒のための雨戸もついている。

57788.jpg

見晴らしはこんな感じ。
イロンカおばあちゃんの家を見下ろす感じだ。
村で一番大きいクルミの木の向こうには、
「美しい畑」と呼ばれる平野が広がっている。

doboly 028

夏に葉が茂ってきたら、
緑が直ぐ目の前に飛び込んでくるだろう・・・・
などと想像していたら、
まだ内装も出来ていない屋根裏部屋はさすがに寒い。
手や足の先が凍るようだ。
見ると、屋根の下のほうには10cmほどの隙間が開いている。

ダンナが、屋根裏の掃除を始めたので
手伝っていたが、あまりの寒さに退散。
友人のバルニの家にいさせてもらう。

冬の間は、小さなキッチンとベッドの部屋だけを使うようだ。
薪で暖められた部屋は、寒い体をもみほぐしてくれるよう。
しばらくは動くことも出来ずに、
ただ温かさをかみ締める。

昼ごはんができたのでダンナを呼びに行くと、
今度は庭で木材の上の雪を払っていた。
雪解けで木材が湿らないように、
ビニールをかける。
そんな作業で、気がつくと昼も過ぎていた。

あたたかいスープを飲み、
いろりであたたまった後は散歩へ出かける。
隣のヤーノシュおじさんのところでお借りしたソリを持って、
さあ出発。

doboly 040

念のためバルニは飼い犬のトービヤーシュの鎖をはずした。
さすがに今の季節には、クマやオオカミは出てこないだろう・・・
家のはずれはもう森の入り口。
このように一日、太陽の光は差さなかった。
もう日没も近いようだ。

1566.jpg

登り坂をソリはのろのろと走る。

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やがて松林の中に入り、

doboly 065

森の中へ。
小道に敷き詰められた雪のためか、
裸の木々のせいか、思ったよりも明るい。
村人が森から木を運ぶために、
馬車の通った跡がはっきりと見られる。
森の木を切ることは、もちろん不法であるが・・・

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やがて森の中から一転して、
さっと目の前が開けた。
青から赤へと移り変わる空の色。
日没前後のほんのひと時の美しい色で、
山の谷あいは包まれていた。

466667.jpg

その色の正体をもっとよく見てみたい。
思わず足取りも速くなる。

こんなに有難い太陽の光を避けるようにして、
どうしてドボイの先祖たちは
あんな山の陰に身を隠したのだろう。
聞けば、
「 ドボイは1240年あたりに、今の場所に移ったんだ。
 それまでは、そこの谷間に集落を作っていたのが、
 タタール(今のモンゴル人)の襲来にあって、逃げざるを得なかった。」とバルニ。

右のほうに見える山を、「バルカーニュの穴」と呼ぶそうだ。
そこを通って、タタール族がやってきたといわれる。
さまざまな民族の脅威にさらされながら、
太陽に背を向けて生き永らえてきた
ドボイのご先祖たち。

オレンジ色のあたたかな光に包まれていると、
はるか昔へと想いも飛んでいくようだ。

123455.jpg

02844.jpg

この急な斜面をソリは、どこまでも下っていきそうだ。

533333.jpg

だが意外にも、途中の雪で何度も止まってしまい、
スリル満点・・・とはいかなかった。
長く日が照ったために、
雪は半分とけかかって、下のほうは氷になっている。

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夏には、アザミの様な赤い花をつけていたのが、
カラカラに乾燥してしまった。

doboly 054
何かのオブジェのよう。

doboly 055

やがて、辺りが暗くなってきた。
今度は山の北側へと、引き返していく。

8385.jpg

バルニの部屋であたたまっていると、
突然お客が訪ねてきた。
ソリを返しにいったら、隣のヤーノシュおじさんたちが遊びに来るといったらしい。
新年の挨拶を交わす。
エルジケおばさんは、
「あーら、どうして私のところへ来なかったのよ!
待っていたのに!」とその大きな体で
私を思いっきり抱き寄せた。

バスの時間が迫っていたので、
また直ぐに出発。
「 泊っていきなさい。」とのみなの誘いを必死で断って、
村の坂道を下っていく。
村は、寒さの中で身を寄せ合うようにして
ひとつだった。
ドボイを去るときは、いつも後ろ髪引かれるような思いになる。

バスに揺られていると、
オレンジ色の月が鮮やかに輝いていた。
それは、先ほど山の上で見たばかりの
あのオレンジ色の平野を思い出させた。



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comments(10)|trackback(0)|村に家を建てる|2009-01-16_19:14|page top

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ウワァ・・・もうまるで映画を見てるような…。
寒そうで暖かそうで、幻想的で。
もちろんただの現実よ!と言われそうなのですが 余りの写真の美しさと村のたたずまいに遠い目をしながら読むワタシでした。
モンゴルの襲来ですか、遥か前のことなのに そうしてその村は存在するんですね。
日陰の村、冬は寒そうですが 夏の緑の豊かさを想像するとその頃の写真が大いに楽しみです。 やはり木製の家ですね。
家の構造にも なるほど~です。
アザミに似た植物の今、素敵ですね♪
おはようございます♪
すごい風景ですね。
寒いんでしょうね。想像できませんよ。
そこで、手作りの家を建てる・・・これまた、とてつもないことのように感じてしまいます。
アザミもすてきですね。私はドライフラワーを作りますが、自然のドライフラワーですね。
自然の写真、また、楽しみにしておりますね。
霧のまちさん、ようこそドボイ村へ。
冬は、一日ずっと陽が照らない村ですが、
それだけに昔ながらの生活が営まれているようです。
モンゴルの襲来の後も、何百年と続いてきた村・・・
チャウセスク時代には村を壊す計画もあったそうですが、
政権崩壊によってまだ存続しています。
凄いことですよね。

トランシルヴァニアでは、木製の家がほとんどです。
藁やレンガもありますが・・・やっぱり木が本当のようです。
古いものでは、木で小さな瓦のようなものを作って、
屋根にしている家もあります。

春の芽吹きの季節が一番、美しいです。
それは、まるで奇跡のよう。
これから春の風景も、どうぞお楽しみに!
ほのぼの さん、わざわざご訪問くださって
ありがとうございました。
コウノトリの写真、それにしても美しかったです。
この村でも、秋になると
南アフリカに旅立つ前にコウノトリたちが
一斉に森に集まるそうです。

春になるとやってきては、近隣の村々に
大きな巣を作ります。
あのコウノトリの風景が懐かしいです。

色のないアザミも、雪景色の中には美しいですよね。
色のない世界だからこそ、別の美しさが見えてくるのかもしれません。
 柱は削っては駄目でしょうー(苦笑)でもあまり広く無い方が寒い地域では暖まるのも早いかもしれませんよ。我が家は無駄に空間が空いている所があって寒いです。
 写真の風景、意外に雪が積もらないのですね。草が見えるというのが意外でした。イメージとしてはもっと雪がふるかな?って思っていたので。
 
 少しずつ自分たちの家が出来上がっていくのはワクワクするのでしょうねー。
柱が気になるんです。
やっぱり柱はダメでしょうか・・・
ブダペストで住んでいたアパートは、
100年以上前のもので、天井は4mくらいもありました。
天井が高いって、気持ちまで広々と贅沢な気持ちになります。
ただ、やっぱり部屋が暖まるのに時間がかかりました。

こちらは寒いのですが、
降雪量は意外と少ないんです。
あまり寒くなりすぎると、雪も降らない・・・と聞きます。
雪が降って、解けて・・・また降っての繰り返しです。

家の完成、半分人事のようですが
楽しみです。今年の春にはまた、着工します。
 確かに天井が高いというのは独特の雰囲気がありますよね。今回利用したベラルーシ大使館が経営するホテルも天井が高くて不思議な空気が漂っていました。
 石造りの建物等は陰影が独特で素敵だと思う反面、日本人の私には使いこなせない空間のようにもかんじたり。やはり文化の差でしょうか。
 こちらも雪が降るのは-10度代か20度代前半まででしょうか、それ以下になると寒すぎて降りません。そしてこの冬は寒すぎて降雪量がなかなか増えず、スキーをまだ数回しか滑っていません。
 年末に一応ちゃんと積もっていたので早く週末になって欲しいです。
Re: タイトルなし
そうですね。
確かにあの昔の造りの建物は、
少し高すぎて落ち着かない感じもしますよね。
音響もよいようで、あの部屋でラジオを聴いていたのが
懐かしく思い出されます。
陰影の効果もありますよね。
夜明かりをつけると、それは不思議な雰囲気でした。
それでも日本人はやはり
低い屋根の方が合うのかもしれません。
・・・それにしても、平らならまだしも。
うちの屋根裏は三角形ですからね。

そちらはマイナス20度でも雪が降るのですか?
こちらは、たぶんマイナス10度以前でないと、
降らないようです。
雪の量も意外と少ないんですね。

スキーなんてかっこいいですね。
こちらはそり遊びがメジャーですが、
スキーなんてしたこともありません。




 たしかに…三角の屋根で低いと、間違えて頭ぶつけそうですね(苦笑)私なんか粗相がおおいからきっとたんこぶだらけになりそう。

 -20度だと雪とダイヤモンドダストの中間位の物が降る事があります。が基本的には10度代ですね降るの。おかげで真冬はほとんど雪ふりません。
 スキーといってもこちらは基本的にノルディックスキーなので歩くだけですよ~。昔はアルペンもやっていたのですが努力型で上手く無いのです。
 それに対してノルディックスキーはのんびり歩くだけなので気持ちがいいですよ。
Re: タイトルなし
ノルディックスキーというんですか!
全く雪とは無縁の土地で暮らしていたので、
知らなかったです。
雪の中で歩く・・・けっこう体力使いそうですね。
冬は特に、運動をすることがないですものね。
きのう息子に、マットの上でブリッジをしてみせたのですが、
背中がゴキッといって、かなり痛かったです。
もう若くないし、運動不足も祟っているようです・・・

三角屋根で頭をぶつけること、
一度や二度ではないかもしれません・・・。