トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

04 ≪│2017/05│≫ 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

クリスマス村の商人ジプシー

「 美しい衣装を着たジプシーを見たいなら、
カラーチョニ(クリスマス)村へ行くといいよ。」
まず誰に聞いてもそう返ってきた。

ここのジプシーたちは、
なんでも並みのハンガリー人やルーマニア人より裕福だという話。
きれいな家に住み、美しい衣装を着て、
ちゃんと学校も出ているという。

トルグ・ムレシュから車で
30分ほど行くと、そのクリスマス村へとついた。
その楽しそうな名前と似合わず、
土曜の朝の村は行きかう人もなく、
どことなくひっそりしていた。

この村のジプシーたちは、土曜日にミサをするという
情報を聞いていたので、
車をのんびり走らせて、人を探した。

karacsonyfalva6.jpg

ちょうど門からでてきた
民族衣装をひらめかせた女性に、尋ねてみる。
そのついでに、その衣装のすばらしさを褒めたたえた。

すると、ジプシー女性は真剣な表情になって、
「 あなた、こんな衣装がほしいのなら譲ってあげるわよ。」
と家の中へ招きよせた。

部屋に入ると、さっそく商談が始まった。
色とりどりの華やかなスカートを取り出して、
これはいくらで・・・という話になってきた。

「 まだジプシー村へきて、初日。
もちろん衣装に興味はあるが、
まだ買うつもりはない。」と伝えても、
しつこく迫ってきた。
ジプシーの太ったおばさんが3人だと、
それはものすごい迫力だ。

はじめの値段よりも、大幅な値下げ攻撃が
繰り広げられ、あまりの押しの強さにもう買う意欲も失われてしまった。
車のドアを開けて、乗り込もうとすると、
YUUMIさんが紙幣を出して
「 この値段なら買うから。」ときっぱり言った。

私の手にはすでに、ずっしりと重いスカートとエプロンがのっていた。
その倍の値段を言うジプシー女性3人、
半分の値段でしか買おうとしない日本人女性。
その間に立ち、行き場のないスカートを抱える私。

しまいには愛想をつかして
車に乗り込んで、スカートを返してしまった。
ひとりが表情を変えて、
「 今、お金に困っているから、この値段で仕方ないわ。」
とスカートを車の中へ投げ込んだ。

こうしてバラ模様の赤いスカートを乗せて、
私たちは村の教会へと向かった。

庭には、口ひげをはやした黒いスーツ姿の男たちが
立ち並んでいた。
これはアドベント派の教会。

ciganyi falvak 262

中の信者も、ほとんどがジプシーのようす。
色の洪水のような女性の装いと、
ぜんぶが黒の男性のそれは全く対照的。

ciganyi falvak 263

一時間のミサをなんとか克服すると、
恰幅のよく、礼儀正しい紳士が
「 これから、私の家族と昼食にお誘いしたいのですが・・・」
と声をかけてきてくれた。
車で後からつづくと、
白い鉄格子の大きな家へと行き着いた。

karacsonyfalva1.jpg

ピシュタおじさんは、穏やかで敬虔なキリスト教徒。
その丁寧で礼儀正しい口調は、いままで出会ったジプシーの
イメージをくつがえすものだった。

土曜日は、彼らにとっての大切な祝日。
午前中ずっとお料理をしていた奥さまにも紹介され、
ベランダのソファーでいすにかけていると、
息子たち、孫たちの
大家族がぞくぞくと集まってきた。

大家族がテーブルにつくと、
奥からはロールキャベツに、シュニッツェルにサラダ・・・と
ご馳走が次々に運ばれてくる。

karacsonyfalva2.jpg

お肉を食しないYUUMIさんのことを
主人に話すと、
「 なんてことない。肉なしのスープや野菜料理もあるよ。
 何を隠そう、私もベジタリアンだからね。」と笑顔で答えた。

karacsonyfalva3.jpg

食後のデザートは、10人分ほどある大きなスイカ。

ciganyi falvak 270

ピシュタおじさんは、若いころは
パラボナアンテナを作る仕事をしていたそう。
今では需要が減ったので、アトリエは売って、
革製品の取引をしているという話。

家の中を案内してもらう
すぐに目を惹かれたのは、
壁一面にかけてあるハンガリーの古いお皿。
Hollohazaというメーカーのもの。

ciganyi falvak 276

うすむらさきの壁には、
巨大なペルシャじゅうたんが飾られ、
棚にはデコラティブな磁器の人形が白くかがやく。

karacsonyfalva4.jpg

おくの部屋は、娘さんたちのもの。
きらびやかなカーテンの色がかかった
真っ白いフランスベッドには、
ジプシー女性たちがくつろいでいる。
中へ男の子が飛び込むと、
その様子はまるでアラビアのハーレムさながら。

ciganyi falvak 274

クリスマス村の豪邸を出てからも、
なんだかキツネにつままれたような
夢から覚めやらぬような気分だった。



トランシルバニアをあなたの心に・・・
              クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ

ヨーロッパ在住の日本人によるブログ

*ジプシー村のカラフルなインテリアについては、
 もうひとつのブログにてご紹介しています。

スポンサーサイト

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(6)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-07-30_20:09|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント

ふふ、本当にハーレムだね。
それにしても迫力ある方だね!存在感がすごい!

裕福なジプシーとしつこい商人ジプシー・・・
私達もルーマニアでジプシー少年に物を売られそうになったり、電車で演奏してる人にチップあげたら「少ない!」って言われたりしたねー。
懐かしいわーー。
Re: タイトルなし
なるみちゃん、ありがとう!
今回の旅で、
ひとまとめにできないくらい、
ジプシーの多様性を存分に感じました。

同じ村でも、これだけ違う。
ガーボルと呼ばれる、この村のジプシーたちは誇り高くて、
表情にもそれが表れているようです。
ここのおじさんも、ガーボル・ピシュタさんでした。

このハーレム写真、おかしいよね。
なんだかヨーロッパよりも、
アラブの香りがするよう・・・。
事後承諾の形になりますが、
オイラのブログのお気に入りに登録させていただきました。

よろしかったでしょうか?
Re: タイトルなし
リンク登録をありがとうございました。
サツマーレの素敵なお写真
今後とも楽しみにしています。

Impressive !!
はじめまして。

妻の故郷のルーマニアをこんなにも素敵に紹介してくれてどうもありがとう。現在私は単身赴任でアブダビに、妻と子供はクルジュで生活しておりますが、太陽と砂の中東からこんなにも綺麗なルーマニアの写真を沢山見ることができて嬉しくなりました。

これからも時々覗かせてください。
Re: Impressive !!
DKさん、はじめまして!
コメントをどうもありがとうございました。

中東の町から、トランシルヴァニアを訪問いただけるなんて
インターネットのすばらしさですね。
奥さま、子どもさんのお住まいのクルージュも素敵な町です。

近日、クルージュ周辺のカロタセグ地方についての
記事もお目にかけたいと思います。
また遊びにいらしてください。