トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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カティおばさんのお部屋

こうして、ジプシーの村での生活がはじまった。

朝7時まえ、
コーヒーの香りで目が覚める。
カティおばさんは、大のコーヒー好き。

子どもたちを起さないように、
ベッドをそっとぬけ出す。
おはようとあいさつする。

いつもはスカーフで包まれたヘアスタイルが、
うしろで丸くゆった白髪まじりの髪。
「 ジプシーの女性の髪は長いけれど、
一度も切らないの?」とたずねると、
「 切ったりしたら、だめよ。
長い髪が、きれいなんだから。」

話をしながら、その長い髪をほどいて
あっという間にお下げを編む。
その長くうつくしい髪を
すぐにくるくると巻いて、アップにしてしまった。
それからは一日中、スカーフを巻いて取らない。

ciganyi falvak 618

井戸で冷たい水をくみ、
顔にかけると目がすっきりと覚めてしまう。
朝早くから、馬車を引いて畑にでかける
村のジプシーのおじさんおばさん。
どこの村とも変わらない風景。

ciganyi falvak 620

そうしている間に、
カティおばさんは家の周りを掃きそうじをしていた。
きびきびとしていて、
明るくしっかりもののおばさん。

道でどこに泊まっているのかと尋ねられ、
おばさんの名前を言うと、
相手はいつも
「 ああ、それなら安心だ。」と笑顔で応える。

おばさんとゆっくりコーヒーを飲みながらおしゃべりをする。
それが気が付くと、日課となっていた。

「 私たちジプシーにとって、
 井戸は大切なものなのよ。
 女は子どもを産んだあと6,7日間は
 井戸に近づいてはいけないの。
 そうすると、井戸に虫がわくといわれているからね。」

薪をくべて、大きなお鍋たっぷりの水を沸かす。
きれいなものが大好きなおばさんは、
キッチンだってこんなに華やか。

ciganyi falvak 598

朝から、鶏肉のピカタを作るおばさん。
「 皆がたくさん食べられるようにね。」

ciganyi falvak 606

それでも食事のときは、いっしょには食べない。
私たちが買ってきたものをすすめても、
なかなか手をつけてくれない。
みなが考えているジプシーとは違う、と主張するかのように
おばさんはいつもきっぱりとして断った。

毎日きまって、ご近所さんが
訪ねてくる。
「 テー・バフタリ!(幸運でありますように)」
ジプシーの挨拶から、おしゃべりがはじまる。
ジプシー語で話すから、ここからは全く分からない。

ムンドラのお母さんが、カティおばさんのお友達。
いつもニコニコとした、素朴な感じの方。

ciganyi falvak 592

ムンドラと息子さん。
近くの町のハンガリー人のもとへ嫁いでいたのが、
子どもをつれて実家に帰ってきてしまった。

ciganyi falvak 590

カティおばさんの手仕事で囲まれた部屋は、
壁もピンクとグリーンで染めてある。
自慢の刺しゅうの作品の数々を
目の前に広げて見せてくれた。

ciganyi falvak 586

「 私のところには、ハンガリー人も遊びに来るのよ。
 村のハンガリー人の出していたレストランで、働いたこともあるからね。」と
誇らしげに話していた。

ジプシーとして、よその民族に受け入れられるということは
相当なハードルだろう。
ここトランシルヴァニアでも、根強い差別がぬぐいされずに
まだなお残っている。

それでも、そうした壁を努力で乗り越えていく人たちもいる。
その一人が、カティおばさん。
ジプシーとしての誇りを失わず、
そしてハンガリー語、ルーマニア語をあやつり
明るく誠実に人と接する。

この村で出会い、
こうして彼女のもとで5日間生活できたことは
ただの偶然ではなかったような気がした。



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・カティおばさんのインテリアは、こちらで詳しく紹介しています。

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comments(2)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-08-29_12:31|page top

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カティおばさんのお部屋は素敵ですね。清潔で、温かいものに囲まれていて。
それ以上におばさん自身が素敵な考え方の女性ですね。
私自身、ルーマニアでジプシーの人に嫌なことを多々され、ちょっと偏見を持っていたのですが、ココを見ているとその偏見が間違っていたことに気づかされます。
やっぱり人種でなく、人で見ないといけないですよね。
Re: タイトルなし
Marichikaさん、素敵なコメントをどうもありがとうございます!
よく分かります。
ジプシーの人たちの中には、
好奇心というか興味本位で
東洋人をからかう人も多く、私も何度もいやな思いをしました。

ジプシーと一言ではいえないくらい、
地域によっても、また同じ村の中でさえ
メンタリティーが全く違います。
ここイェッドの村の人たちの間では
そんな思いは全くしませんでした。

ほんのちょっとした見方の違いから、
誤解が生まれます。
相手を理解しようと思うことが
一番だと思いました。
ジプシー文化にも素敵なものがたくさんありますから、
まだまだよく彼らのことを知りたいです。


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