トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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イェッド村のふたつのジプシー

おだやかで好意的なジプシーの人たちに囲まれて、
イェッド村で生活をはじめた3日目。
ジプシー語でのあいさつを覚え、
村の人たちとの距離もどんどん近くなっていったように感じられた。

ciganyi falvak 600

そんなとき、思わぬ出来事があった。

お昼ごろに、写真を撮りに出かけて行ったYUUMIさんに
誰かが石を投げつけたということ。
事情を聞いてみると、前に撮った写真をどうしてくれないのかと
誰かが怒ったそうだ。

それを聞くと、すぐにカティおばさんは顔をしかめ
「 あの上の人たちの方へは、もう行ってはだめよ。」と言った。
そういえば、以前にも先へと行こうとしたら
あちらには行かないほうがいいと言われたことがあった。

そう、あそこが境界だったのだ、とやっと気がついた。
どうして彼らは違うのかと問うと、
カティおばさんも少し困惑したようにこう話しはじめた。

あの境から奥に住む人たちは
昔は森の近くに住んでいて、その中には家族代々、
足が不自由な人が生まれる人たちもいるという話。
その森が誰かの所有地になったために
こちら側に移ってきたという。

「 それに、家の中もきれいじゃないし。
 規律を好む人たちじゃないのよ。」
民族衣装をまとって、きれいな家に住む下のジプシーたちと、
ふつうの古着を着て、清潔とはいえない小さな家に住む上のジプシーたち。
この小さな村には、ふたつのジプシーが存在する・・・。



これ以上、もう上の方へは行かないべきか。
そう考えていると、
「 やっぱり、誤解を解いてもらいましょう。」とYUUMIさん。
カティおばさんに同行してもらって、
彼女の口から説明してもらいたいと頼むと、了解してくれた。

手にはたくさんのお菓子を抱えて、
カティおばさんのあとをついていく。
例の境を越えると、向こうから
わっと子どもたちが駆け寄ってきた。
子どもたちにお土産をふるまっていると、
やがて大人たちもやってきた。

写真はどうなった、と尋ねてくるごとに
いますぐにはできないということを説明してもらった。
そして石を投げたという青年にわけを尋ねると、
「 ただ写真を撮ってもらいたかったから、
 注意を惹こうとしただけだよ。」ともらした。

この橋の向こうに、足の不自由な家族が住んでいる。

kopjafa 264

イヌもちいさな日かげを探してやすむ。

kopjafa 273

まるで古い映画から抜け出してきたようなジプシー少女。

kopjafa 279

写真を撮ってという姿は、
子どもが親に自分を見て、と望む欲求にどこか似ている。

jeddiek2.jpg

「 また写真を撮りに来ていい?」と尋ねると、
皆が、「 もちろん。」と答えた。
胸につかえたものが取れたように、
晴れ晴れとした気分だった。
カティおばさんを見ると、
彼女もまた同じように、うれしそうな笑顔を浮かべていた。




夕暮れ時、近所に牛乳を頼むついでに、
カティおばさんとふたりで村を散歩した。
ジプシー少女たちの精一杯のおしゃれが、
あの長くうつくしい髪。

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澄んだ瞳をおおきく見開いて、
外の世界を見つめる女の子。

jeddiek.jpg

こんなにちいさな赤ちゃんでも、
髪を三つ編みに結っている。

kopjafa 341

ジプシー女性は、子どもを抱いている姿がうつくしい。
母親としての喜びに満ち溢れている。

jeddiek3.jpg

ほら、もう日が暮れてしまった。

kopjafa 347

世界のどこにでもあるちいさな誤解や偏見、
その中のひとつがすっと解けていくような
奇跡を目にした一日だった。


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comments(2)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-08-30_00:16|page top

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非公開コメント

いい経験をしたんだね。
誤解や偏見って沢山あるけど、
一つずつでも解けていくと
すがすがしい気持ちになるよね。
良かったね。
Re: タイトルなし
なちゅさん、どうもありがとう。
私たち、日本人のようにジプシーと接したことのないものには、
こんな偏見や差別が良く理解できないけれど、
どのにでも同じようなことがあるはず・・・

上のジプシーのひとたちは、
貧しくても素朴でいい表情をしています。
その一方、私たちの考えるような常識や礼儀は
通じない部分もあります。
違いをふくめて、相手を理解すること。
分かってはいても、難しいことだよね。