トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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晩秋のトランシルヴァニア

11月1日は死者の日。
日本で言うと、お盆に当たる。

グレーとほんの少しの水色が溶けあった空に、
裸の木が寒々しい。
墓場では、赤々とロウソクの光が
静かに燃えていた。

IMG_5474.jpg



つぎの日の日曜日。
私たちは、クリズバに来ていた。
亡き舅の生まれ故郷に、お墓がある。
すでに親戚、知人もいない寂しい村。

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冷たい風がからだを容赦なく吹きつけてくる。
空からは、パラパラと粉雪がふりはじめる。
大きなかごや荷台いっぱいに
花をのせて、運んでくる人たち。

IMG_5504.jpg

IMG_5510.jpg

最後の光をあびて育った花々で、
お墓をきれいに飾りつける。

IMG_5506.jpg

シェレシュ・アンドラーシュの墓。
民俗学者と書いてある。
小さな菊の花を置いて、
ロウソクに火を灯した。

IMG_5512.jpg



その翌日は、空気が凍るように冷たかった。
冬の風が、街路樹の葉っぱをたたき落とすかのように、
赤や黄色の葉っぱが
通りをすっかり覆っていた。

IMG_5527.jpg

落ちたての葉っぱの色。

IMG_5528.jpg

子どもたちにとっては、格好の遊び場。
どうか、道を掃いてしまわないように。

IMG_5526.jpg

紅葉をみる、最後のチャンス。
しっかり洋服を着こんで、
町はずれの森のほうへと繰り出した。

空気にふれる部分、
特に頬と手が冷たい。
もう昼が近いのに、水たまりには氷の膜がはっていた。

歩いて15分ほどで、もう森の入り口に着ていた。
ブナの木の葉が、太陽の光をあびて
黄金色にかがやく。

IMG_5532.jpg

フカフカのオレンジ色の落ち葉をふみ、
森のなかへ。
ときおり風に吹かれて、
上からは木の葉がふってくる。

IMG_5545.jpg

ブナの大木の幹のところに
腰をおろす。
しばし、その色彩の渦のなかに身をおいてみる。
秋がいかに華やかな季節であることが
しみじみ感じられる。

IMG_5548.jpg

ブナの葉っぱ。
若い葉も年寄りの葉も、おなじく落ちて、
そして冬の間は、雪の下にじっと身をひそめている。

IMG_5555.jpg

落ち葉の中に、木の目。
木はいかにも、人に似ているような気がして
はっとするときがある。

IMG_5575.jpg

ブナの林の向こう側は、
もう裸の山だった。
ほんの少し前までは、
あんなに鮮やかな色をしていたのに。

IMG_5586.jpg

銀色の穂が揺れている。

IMG_5587.jpg

山を降りて、道路まで出た。

IMG_5592.jpg

これから数ヶ月は、
雪に閉ざされるトランシルヴァニア地方。
枯れてゆく植物を見て、
彼らは死者を想い、供養する。
そして再び、植物が力を取りもどして緑をつけるとき、
イースターという復活の行事を祝う。

道路から見えてきたのは、
緑の葉っぱを食んでいる羊たち。

IMG_5597.jpg

エステナと呼ばれる、羊の小屋のなかに
大人しくおさまる羊の群れ。

IMG_5598.jpg

羊たちもやがて、草を求めて
羊使いとともに旅に出る。
来年の春、また緑が地面を覆いはじめる頃、
また山脈を越えて戻ってくる。

緑の葉っぱとも、羊たちとも
しばらくのお別れ。


トランシルヴァニアをあなたの心に・・・。
              
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comments(8)|trackback(0)|自然、動物|2009-11-08_01:00|page top

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今日ふと外を見たときに
街路樹の葉がすっかりなくなっていることに気がつきました。
ついこないだまであったはず・・・・
いつに間にか季節が進んでいます。

先日までトランシルバニアの美しい花を見ていたと思ったら
もう美しい落ち葉の季節なのですね。
あっという間に過ぎる季節。
ゆっくりと楽しんで過ごしたいものです・・・

いつも素敵な文章と写真。
ありがとうございます。
Re: タイトルなし
shin さん、いつもコメントをありがとうございます。

ほんとうに季節は、
気をつけて見ていないと
過ぎていくのはあっという間。
ふだん忙しい生活の中で、
気が付かない方もいらっしゃるかもしれません。

今年は秋を存分に楽しむことができてよかったです。
その季節それぞれの美しさがあって、
それを楽しむ心のゆとりを持っていたいものです。

これから雪の世界に入りますが、
その色のない冬のうつくしさも楽しめたらと思います。
本当は寒いのは、苦手なんですが・・・。
いつも綺麗なお写真とエッセイを楽しませて頂いております。
なかなかこういう風景は見る事が出来ないので、
世界を旅しているみたいな幸福感で満たされます。

又更新を楽しみにしています。

Re: タイトルなし
Blue Roze さん、どうもありがとうございます。

世界のあちこちに転がっている日常が、
ときに新鮮に見えたりしますよね。
一歩足を踏み入れると、
全く別の世界が見えたり・・・。

ここトランシルヴァニアの素敵な出来事、
皆さまと共有できたらと思います。

音楽と美しい写真のブログ、
素敵ですね。
また訪問させてください。
金色の秋
確かに貧しい場所かも知れませんが、何と美しい風景でしょう。
町並みも 遥か昔に読んだ絵本を思い出すような可愛さ。
落ち葉ひとつ取っても 今の日本ではすぐに掃かれてしまいます。
陽を浴びて金色に輝く落ち葉は何者にも替えがたい景色。
そう言う中で育つ子供たちの心には 絶対に美しく懐かしいものが刻み付けられますね。
もうかなり寒いようですね。 いつも寒さに負けずに外に繰り出される暮らしに素敵だなぁと思います。
長い冬も 楽しくお元気に過ごされますように。
また、冬ならではの暮らしの歳時記…楽しみにしています。
Re: 金色の秋
霧のまちさん、いつも素敵なコメントを
どうもありがとうございます。
周りには、特別な風景って
あまりないんです。
それでも、その何もなさが安心できて
そして季節によって違った表情をみせてくれます。
子どもたちは、
秋には落ち葉や野クリを拾ったりします。

最近はそれでも大分変わってきて、
公園でも芝生を植えたり、
必要以上に通りを清掃したり・・・。
昔はなかったことなんです。

静岡の温暖な地域からしたら、
考えられないような寒さがこれからやってきます。
私も冬の楽しみ、うつくしさを一つでも多く
見つけたいです。

美しいですね~
こんにちは~

晩秋のトランシルヴァニアは、ため息のでる美しさですね。

曇天をバックにした、冬枯れの木が、とても美しく、これから雪に閉ざされる日々が、なんとなく想像できる感じです。
私の今住んでいる富山も、これから北陸独特の曇天が続くので、ちょっと親近感もあります。

墓地のある町の景色は、いつの時代の町なんだろう…とつい思ってしまいます。
昔ながらの街並みを歩く、スカーフとコート姿の女性たちは、歴史の中から飛び出してきたように見えます。
日々はどんな暮らしなんだろう…

黄色い落ち葉の広がる街も、また素敵です。
落ち葉の中で遊ぶお子さんの姿を見ていると、カサコソと葉がすれる音が聞こえてきそう。
落ち葉焚き…はしないんでしょうね。
この辺りで街の中でこんな風景は、大きなお寺さんくらいでしか見られません。
街路樹も葉が落ちる前に、すっかり剪定されてしまっています。
豊かという言葉の概念を、考えさせられます。

すぐそばに、歩いて出かけられる距離に、豊かな森があるんですね~
冬枯れの山は、淋しいけど、その色合いからでしょうか、眺めているとほっと落ち着く感じがします。
ただ、実際にその場所の寒さを感じていないからの、思いかもしれませんが…
Re: 美しいですね~
ホリホックさん、
こちらは日本海側に比べたら、
降雪量はそう多くはないみたいですよ。
あまりに気温が低すぎると、雪も降らないようですね。
太陽の力が、日に日に衰えていくのが感じられます。

ここの村は、もともとドイツ系の住民の影響をうけて
できた町並みなんです。
かなり不便な場所なので、過疎化が進んでいて、
もうハンガリー系の住民も少なくなっています。
だから、どことなく寂しげな雰囲気がするのでしょうね。

こちらは落ち葉焚き、そういえばしませんね。
秋にあの草を焼く香り、良いですよね。
お芋を焼いたりして・・。
大きな葉っぱのじゅうたんを歩くのは、
秋ならではの体験です。

裸になってしまった山を見て、
春の草木が出る前を思い出しました。
こちらでは、緑が茂っている期間が半年。
草木が生えない寒さの時期も同じく半年です。

南国育ちの私としては、なんだか損した気分になりますが、
だからこそ、春の訪れが輝かしく、
まるで奇跡のように思えるのでしょうね。


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