トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ウルクーのジプシーダンス(後)

「 ウルクーには、どれだけ踊り手がいるんですか?」とたずねたら、
「 千も万もいるよ。」と返ってくる。
小さいころから、音楽をきいては
自然と体を動かすことが身についてきた人たち。

エルヌーおじさんと孫のリベゼラとの、
カップルダンスがはじまった。
マネレと呼ばれる、
演歌とダンスミュージックの合いの子のような音楽で
ふたりは楽しそうに踊る。
普段、彼らが日常に聴いているのはこの手の音楽のようだ。

orko 191

しばらく踊ると、おじさんはすぐ疲れが出るらしい。
ふと踊りがとまった。
その後をつないだのは、ウルクーの舞踊団で踊っているレームス。

軽やかな身のこなしでステップを刻み、
指ではじく音も並外れに大きい。
やがてチャパーシュといわれる、
膝や腿をたたいて音を鳴らすときには、
その手の平から生まれるリズムが部屋全体に響きわたった。
まるでひとつの楽器である。

orko 283

大きくかぶりをかぶって、
足を振り上げ、平手でたたきつける。
そのアクロバティックな動きと激しいリズムは、踊りというよりは
むしろ武道のようでもある。

orko 251

「 誰か歌える人はいるんですか?」と尋ねると、
「 ああ、レームスが歌えるよ。」とみなが口々に言う。
先ほど踊ったばかりで
疲れているにもかかわらず、
「 じゃあ、ひとつ何か歌をやるよ。」と快諾してくれた。

張りのあるうつくしい声が響くと、
辺りは水を打ったようにしんとなる。
哀しい物語が、抑揚のある歌声でつむぎだされる。
驚くことは、24歳の若者がこんな民謡を知っていることである。

orko 195

今度は軽快なリズムを膝でたたいて、
ジプシーらしい歌がはじまった。
するとレームスの息子さんがステップを踏みはじめる。
ものすごい速さで足と手が動き、
大人顔負けのチャパーシュが響いた。
しかも履いているのは、ゴム長靴。

ciganytanc1.jpg

一通り踊りを踊って、みんなが疲れてくると、
誰かが「 おい。君も踊れるんだろう?」と私にふってきた。
「 いや、踊れないんです。」と私。
リベゼラが「 大丈夫よ。すぐに覚えるから。」と私の手を引く。
マネレとやらで、ジプシーダンスのステップを真似してみる。
けれどもリズム感だけは、どうにもならない。

今度はレームスが、腕をまわしてきた。
ステップを踏みながら、メリーゴーランドの馬のように一方方向にまわる。
手を上にあげたので、くるりと回ると
「 違うよ。反対向きに。」と指摘される。
やがて、CDの音がフリーズしたので安堵した。

ダンスをしてくれたお礼に、ビールを買いに店に走った。
エルヌーおじさんにも、コップをすすめると
「 いいや。ビールは好きじゃないんだ。
それよりも、あのお酒をくれよ。」としつこくせがんでくる。
私のかばんの中に入っている、あの消毒用アルコールのことだ。

「 いいえ、だめです。あなたの健康のために言うんですよ。」
「 俺は、あの酒を20年間飲んでいるけど、
 何てことないよ。」
すると、ほかのジプシー男性が
「 外に効くんだったら、中にも効くはずさ。」と
無責任なことを言って笑う。

結局、おじさんはいくつか民謡を聞かせてくれる条件で、
その飲み物を手に入れた。

orko 325

また活力が戻ったらしく、踊りをはじめるエルヌーおじさん。
ガーボルという、ジプシー語を話す男も
軽快なステップを踏み、踊りに加わった。

orko 339

「 約束どおり、歌を歌ってくださいね。」とダンナ。
おじさんは、母親から学んだジプシー語を
低い声で歌いはじめる。
その歌の意味が分かるのは、おじさんとガーボルだけである。

orko 368

手ですこしリズムをとりながら、
顔には微笑みを浮かべて。
しばらくすると
「 続きはまた今度。」と言って、歌声がやんだ。

orko 369

帰りにレームスが、
「 家の方まで、俺の馬車で送ってあげるよ。
 あっちの方に用事があるから。」と声をかけてくれた。
息子は大喜び。
雨でぬかるんだ道を馬車は走る。

orko 371

「 日本はどうだい?」と興味深そうにたずねるレームス。
彼らのように、ゆったりとした時間で生き、
大きな家族が寄り添うようにして生活する人たちには
きっと想像もできないだろう。

「 俺は15歳で結婚したんだ。
 俺たちは、みんな早くで結婚するからね。
 それは、いいことだと思っている。」

朝はあつい雲が覆っていたのに、
太陽の光も差してきた。
いつもと同じはずの風景なのに、
どこか違う。
さわやかな風を体で受けながら、
広々とした丘に向かって馬車にゆられていると、
気持ちが開け放たれたようで心地がいい。

 orko 373

また彼らの歌やダンスが
恋しくなったら、きっとあそこへ戻るだろう。



レームスと、9歳になる息子さんのダンス。
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comments(2)|trackback(0)|ジプシー文化|2009-11-21_03:14|page top

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ハンガリー永久
なぜジプシーだけを紹介していますか?ハンガリーとハンガリー人のことももっと詳しく紹介してください!その地域は大昔からハンガリー民族の国です。
ジプシーの村に行く時 注意してください!
Vigyázz, ha cigányok közé mégy! Ki tudja, hogy épségben kijöhetsz-e?
(Csaba)
Re: ハンガリー永久
チャバくん、お久しぶり!
ブログを見てくれて、ありがとう。

最近は、よくジプシーのことが話題になるけれど、
ここのジプシーは、セーケイ・ジプシーとも呼ばれ
実は古いセーケイの習慣を守っている人たちなんです。

次は、古い民謡をお見せしますね。
うつくしいハンガリー語の歌です。

ジプシーの村では、ちゃんと注意しているので大丈夫。
知れば知るほど面白いです。

Udvozlom Tonchant!
Jossz-e karacsonyra hozzank?