トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルバニアン・アート

旦那の古い友人に彫刻家がいて、展示会に誘われた。
4月18日の金曜日、夜6時に開会式がある。
町の中心に位置する時計の塔のある建物が、県立の美術館。
公園の横に位置していて、しずかな場所だ。

私たちが6時に着くと、ギャラリーの入り口には沢山の人が待っていた。
この美術館の常設展は、19世紀に活躍したジャールファーシュ・イェヌー、バラバーシュ・ミクローシュの作品が見ものである。どちらも貴族のお抱え画家として、その名を馳せていた。
その常設展のある部屋を横切っていくと・・・
廊下にはビニールが一面に張ってあり、上には水がいっぱいに入っている袋が4箇所もぶら下がっている。

そう、今回の展示会のテーマは「水」なのだ。
奥の小さな部屋に入ると、すぐに部屋の半分ほどの場所を閉める不思議な器具に目が留まる。水が流れている不思議な装置の横には、沢山のコップが並んでいる。
笛やらドラやらが並んでいて、これから何が始まるのか期待を膨らませずにはいられない。

その小さな部屋は人いきれでむせ返っているので、隣の部屋に移ることにする。
ビデオに映し出される時計、そこに少しずつ水がたまってゆく。
それを興味深そうに見つめる小さな女の子。
息子も興味を惹かれるらしく一心に壁を見つめる。
時計に水がいっぱいになると、再び少しずつ水が引いてゆく。
そして、画像が切れる。
砂時計のような、水時計。

ザラーンに住む、友人ペーテルの彫刻も部屋の真ん中に立っていた。
金色の鉄の光が突き差しているのは、キノコ雲のような木のような・・・
直線と曲線が美しく調和していた。

すると隣の部屋では開会の辞が始まったようで、写真家が大勢フラッシュをたいていた。
しばらくして、こちら側の部屋に白い衣装を来た男たちが入ってきて、隣の部屋に行った。
彼らがミュージシャンであるらしい。

やがて民族調の調べが聞こえ始める。
メディテーショナルな不思議なリズム・・・春雨を思わせるようなしっとりとした落ち着いた雰囲気がたちこめた。息子も気になるらしいので、人を掻き分けて前の方に通してもらい、じっと目と耳を傾けていた。

IMG_1914.jpg


それから、先ほどちょっと挨拶をした旦那の恩師が隣の部屋に移った。
何かを始めるらしい。ユーモアがあって学生に人気のある先生で、パフォーマンスアーティストとして活躍している。
カーテンの陰に隠れ、何かをしているらしいが残念ながらよく見えなかった。
すると突然、ペットボトルの水をあたりに撒き散らし(わっと声がおこる)、
白いカーテンから見える手だけが不思議な緊張感をかもし出す。
誰かが隣で「下品だ。」とつぶやいた。
手が不思議な動作をして、パフォーマンスが終わった。

IMG_1918.jpg


そして、先ほどのミュージシャンが白い液体の入ったコップを皿に人々のところをまわってゆく。水かパーリンカ(アルコール度数の高い蒸留酒)かという疑いがあったので、
「これ水よね?」と聞くと、何も言わない。が飲んでみると、やっぱり水である。
喉もさわやかに展示会が開かれた。

人が引いてから分かったのだが、息子が地面に血が何滴も落ちているのを見つけたので、
触らないように言った。「こんな所にどうして血が・・・」と不審に思っていたら、
「グスティだよ。」と旦那が言う。
「血!本当に切ったの?」と私が驚くと、見知らぬおじさんが「彼は以前にも反戦のパフォーマンスとして切ったことがあったが、こんなものじゃなかった。あの時は血が飛び散って、卒倒した人もあったよ。」と教えてくれた。
私には芸術家の考えはよくわからないが、人が言えずに心のうちにしまっておく事を、驚きを与えて表現することに意義があるのかもしれない。

旦那の元クラスメイトの母親が芸術家で、人々をパフォーマンスに招待した。
そしてやってきた人たちを外に、除いて見ながら笑っていたという。
この何もないことが、パフォーマンスという。私にはよく理解できないジョークである。

展示会から人々が引き始め、やっと隣の部屋に入る。
息子の目に留まったのは、古いトランクに水がたまっていて、そこに円盤が浮いている。
色とりどりの円盤には水、金属、木、土、火の文字がかいてある。
上には同じトランクに赤ちゃんが寝ている写真がおいてある。
知り合いの子供が、カラフルな円盤を手に遊んでいた。
母親の胎内そして、人間の始まりを思わせる。

中央には、木の大きな板の上に、水の入ったビニールをはさんだ木がいくつか置いてある。
小さな字で、「人間の体の約~%は水である。」とある。
他にも、眼、筋肉、骨、血・・などが同様にして記されてあった。
いかにも人間は水でできているようなものだ。

部屋にはほとんどの人がいなくなり、展示もそろそろ終わりのような雰囲気。
話をしている人々が何人かいる中、例のミュージシャンたちが再び音楽を始めた。
金属の音が、何重もの響きを持って伝わる。
ドロンブと呼ばれる口琴で、アイヌのムックリのような楽器である。
一見単純な楽器だが、リズムや音階が変えられ、特に何人かで演奏すると圧巻である。
すべて即興で演奏されるようで、独特の緊張感のなか眼も耳も釘付けになる。
思わぬ演奏会となった。

IMG_1920.jpg


廊下を出てゆくと、あの水の入った袋は予想通り穴があけられ、ろうそくの黄色い光の中で静かに音を立てていた。
部屋を出たら、机の上にワインとクラッカーがおいてある。
展示会の開会式といえば、食べ物や飲み物(アルコールが多い)がつき物である。
大学時代も、あのフワフワとした気持ちで絵画や彫刻、写真などを見たものだった。
日本ではとてもじゃないが、ヨーロッパでは大きな展示会でもよくあることである。
息子も、お腹いっぱいお菓子をほおばり幸せそう。
展示の部屋に戻って、人々に勧めたりしていたので写真にも収めてみた。

IMG_1925.jpg


トランシルバニアの若い芸術家たちに乾杯!

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comments(3)|trackback(0)|アート|2008-04-23_02:53|page top

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すごい面白そうな展示会だね!トランシルバニアのアート展行ってみたい!ドロンブにも興味が湧きました。あと1枚目の写真の不思議な楽器の演奏も聴いてみたいな。ワインを飲みながら芸術を堪能できるなんていいね~。
アーティスト
ぜひ遊びに来てね!

この町は、なぜかアーティストが多いところ。
夏には、アーティスト・キャンプが開かれて、講義やワークショップ、パーティなどで賑わいます。きっとsachieちゃんに気に入るはず。

あの楽器、気になるよね。
実は、人だかりのために実際には見ていないのです・・多分パイプに水をためて演奏するのだろうけれど。

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