トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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東欧蚤の市事情

ヨーロッパの週末といえば、蚤の市。
朝早く起きて、普段とは違うゆっくりとしたペースで流れる時間を楽しみながら、
蚤の市へと向かう。学生時代は、ブダペストでよく通ったものだった。
金銭的に恵まれず、目だけは肥えているので普通のものでは満足できない。
そんな私には、うってつけの娯楽であった。

元社会主義国だけあって、ものを大切にするという概念が骨に染み付いている世代の人が多い。だから「古いもの=良いもの」という価値観が存在するのであろう。

トランシルバニアでは、クルージナポカの近くにフェケテトー(黒い湖)と呼ばれる場所で毎秋9月ごろに大規模のアンティーク市が開かれる。
私も二度ほど行ったが、ある村はずれの広場で物と人で賑わうあの雰囲気は病み付きになること間違いなしである。

トランシルバニアといえば、さまざまな民族の文化の宝庫であるから、あちらこちらの村からの民族衣装や家具、工芸品、生活用品などが集まる。
無数にプリーツのよったスカートを着たハンガリーの村のおばさんたち、カラポシュ(帽子をかぶった人)と呼ばれる商人ジプシーの人たち、「色の洪水」のような目にも鮮やかな衣装を着たジプシーの娘たち・・・そしてバルカンのリズムのルーマニア民族音楽。
いろいろなものが混ざりあい、個々にしっかりと主張をしている、まさにトランシルバニアという地域そのものの縮図であるかのよう。

このフェケテトーの骨董市については、また後日詳しいレポートをすることにして・・・
まずは、ブダペストの蚤の市について昔書いたものを取り上げたい。
東欧の蚤の市の雰囲気を味わっていただけたら幸いである。


ブダペスト蚤の市案内

ブダペストにあるという3つの有名な蚤の市。
何か変わったものを見たい、欲しい、という方にはぜひともおすすめします。
たんすの奥底に眠っていた宝物から、ハンガリー人の普段の生活を反映する小物雑貨類まで、ありとあらゆるモノがごった返す。ただのモノ売り場ではなく、人と人との交流の場とでもいうべき都市の秘境の地。売り場の人とちょっと挨拶を交わせば、あなたももう仲間入りです。
週末の朝にちょっと早起きをして、活気あふれるハンガリー庶民の集いの場へと出かけてみてはいかがでしょうか。

DSCF1546.jpg

ネープ・シュタディオン

ここの魅力はなんといっても、安い、面白い、庶民的!
今月はちょっと贅沢できない・・という人や、何でもいいから刺激を求めたいという人はこちらへ足を運ぶとよいだろう。

日曜の朝早く、地下鉄の駅を出て行くと、すでにもう通りで店を広げている人の列が見える。これはいわば前座である。家にあるものをとりあえず何でも持って来ました、といわんばかりの品々を横目で観察をしながら、この細い通りをくぐり抜けると、やがて蚤の市の入り口が広がる。
人がごった返しているが、三列ごとに順序立てて見て周ったほうがよいだろう。そうすれば効率がよく、約一時間で見ることができる。

売り手には二種類があり、業者がモノを大量に安く放出するものと、個人が古い、または使い古しのモノを家から持ち寄るものとに分けられる。恐らく、私たちを引きつけるのは後者であろう。特に、臨時の台に店を構えているもの、地面にシートをひいて売るものは注目すべきである。掘り出し物は、このような所に多い。

入ってすぐアンティークの店舗が目に付く。古い家具や時計、絵画などもあるが、中には糸紡ぎ機や金属製のすりこぎなど、日本ではなかなかお目にかかれないような不思議なものも多い。とりわけ興味がそそられたのは、ハリネズミのトレイである。数枚に重ねられたものを手にとり良く見てみれば、なんと一つ一つが同じ形をしている。あの有名なロシア人形の要領で、次々と小さなハリネズミが現れるのだ。

有名なハンガリーの刺繍には、きっとファンが多いだろう。ここで見られるものはおよそ手の垢もついていないような新品ではなく、人の手から手へと伝わったようなものである。人へ贈るおみやげ物を選ぶには少し状態が良くないが、自分へのものを・・というならよいのではないだろうか。観光土産屋ではまず見られない、ハンガリー北部ブヤーク地方の刺繍で飾られた枕などもあった。

お婆ちゃんが売っていたのは、真っ白な糸からできるレース編みのテーブルクロスである。「チプケ」と呼ばれるハンガリーのレース編みは、二〇、三〇年代に世界的に有名となったが、これはそのような展示用ではなく、もちろん家庭向けのものである。ところどころ糸の途切れもあるが、そんな事は気にしない。これにもそれなりの味がある。

ハンガリー語の本なんて・・という方も、試しに少しのぞいて見て欲しい。私が手に入れたのは、一九〇九年ものの「ザ・ストゥディオ」というイギリス発の美術雑誌と三十年代のハンガリーの工芸雑誌である。カラーの挿絵や当時の写真も豊富で、見ているだけで飽きることはない。ハンガリーの古い工芸雑誌には、民俗衣装や刺繍との強い関わりが表われていて、この手のものに興味がある人にはお勧めである。

ここの名物は何といっても、3~4つの大ざるで大量放出される古着である。市場の奥に位置するその一角は、ハンガリー人女性で常に大にぎわい、異様なほどの熱気がある。みな黙々と、お目当ての洋服を探し当てるのに余念がない。それでも日本のバーゲン会場ほどではないので躊躇することはないが、残念ながら試着室はない。某洋服店の店長も通うということだから、掘りだしものも約束できそうだ。客層はほとんど女性だが、もちろん子供用、男性用の服も多い。

この市場では、ルーマニアからの人も多いのか、バルカンチックな音楽が聞こえてきて、異国情緒を楽しむことができる。お買い物を楽しむ際には、くれぐれも貴重品には気をつけて欲しい。洋服をあさるのに夢中で、精算をする際になって財布がない、という経験をしたことがある。複数で行き、常に誰かが見張りをするのがベターだろう。たいてい値切りがきくので、ねばって交渉する価値あり。

ペトゥーフィ・チャルノク

次は、「ペチャ」の愛称で知られる、通常はコンサートホールとしても有名な場所である。
市民公園の端にあるので、家族連れも多く見られる。比較的安全な環境なので、蚤の市初心者におすすめだ。

入り口に向かうと、すぐさま「フィフティー・フォリント」と呼びかけられる。有料であるが、その分の元は取れること請け合いだ。品物の状態も良いし、かなりの店の数である。骨董品を探すというよりは、大きなバザーに似ていて明るく活気がある。

入り口付近に、山盛りに詰まれた洋服の売り場を発見。ハンガリーの女性服はどれも化繊のものが多いのだが、こういう古着を当たれば涼しい木綿のものが手に入る。清潔で、すぐに着て外に出られそうなものばかりであるので、安心して選べるのが魅力だ。

さあ、奥に進んでみよう。階段状の広場に敷物がしかれ、所狭しとモノが並べられる。ハンガリーの地方から集められた民俗衣装や、陶芸器、刺繍や織物などから、ブダペストにいながら多様なハンガリーの造形文化に触れることができる。スロヴァキアやトランシルヴァニア地方からも品物が運ばれるのを見ると、ハンガリー文化圏の大きさがうかがえる。お目当てのものを見つけたら、その地方の名前を聞いてみるといい。

私が目を止めたのは、ルーマニアの女性の民俗衣装に属するエプロンである。この細長く、幾何学文様の織物は両側にレースがほどこされ、スカートの前と後ろにくる。色はやや暗いが、装飾は華やかで人目をひく。ルーマニアの土産物屋で、この両端を縫って紐をつけバッグに改造しているのを見たので、前々から欲しいと思っていた。さっそく値段の交渉に入る。始めは一つ1500FTであったのが、少し粘れば二つで2500となった。しばらく考える。やっぱり高いかなと思い、立ち去る。するとこの売り場のおじさんは、しつこく後を追い、値段を下げて私を誘惑しようとする。二千まで下げようとする私と、意地でも譲らないおじさん。結局、この強引さに押されて2100FTという中途半端な額で決着がついた。

音楽が好きな人は、レコード売り場で足を止めるに違いない。クラッシックから、ハンガリーのロックグループ、民俗音楽まで、かなり安くで買うことができる。ハンガリー語を勉強しようと思う方には、ハンガリー民話のレコードなんていかがだろう。

エチェリ・ピアツ

日本の旅行情報誌にも取り上げられた、中欧最大規模の蚤の市である。かなり郊外のほうに位置しているため、朝早くから出かけることをお勧めする。値段の安さより質の良いものを探すなら、ここへくると良いだろう。アンティークの家具類やハンガリー刺繍、民俗衣装がかなり充実している。

入り口には看板があるため、まず迷うことはないだろう。各店舗もそれほど詰まっていないため、余裕をもって見ることができる。入り口付近で、民俗衣装が山になって積まれていた。パローツ地方のチョッキは、黒地のベッチンに花の刺繍がなされ、後ろがひらひらになっているのが可愛らしい。

色とりどりの衣装に身を包んだお人形を売っていたのは、優しそうなお姉さん。有名なマチョーの民俗衣装を着た女の子は、顔が陶器でできているという。「ほら、ちょっとたたいてみて。」と言われたので、トントンとやると確かに硬い。やはり高価で、5000Ftである。

古いレースが垂れ下がる店があったので、覗いてみる。ヨーロッパの貴族のインテリアに相応しい、繊細なレースの模様が美しい。アンティークものだけあって、お値段はやはり高め。扇子もあった。
ヨーロッパでは、日本だか中国だか起源が不明の、いわゆる「東洋のもの」というカテゴリーが存在する。私たち、日本人の目から見れば奇妙なものである。着物姿の女性とお猿のちんどん屋の像があったが、これは正真正銘の日本のもの?

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買い物を楽しむ私たちのところに、どこからともなく不思議なメロディーが流れてきた。
何かと思えば、暇つぶしにウクレレのような楽器を奏でているコイン売り場のおじいさんであった。この市場の入り口付近には、高齢者が店を構えている例が多い。年金生活の足しに物を売っているのであろうが、なんとなく同情して買ってしまいそうになる。

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東欧国ならではのものといえば、レーニンやスターリンなど有名な社会主義独裁者を象った品々である。我々よその者にとって、これほどのインパクトを与える象徴はないだろう。とある店の前に、これらに混ざって19世紀初頭のハンガリーの英雄的詩人、ペトゥーフィ・シャーンドルの顔があった。

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暑さが厳しくなってきたら、市場の中にあるアーケードを通ってみよう。ありとあらゆる種類の骨董品が並べられ、ゆっくりと散策ができる。人ごみの中で物を探し回るのではなく、ぶらぶらと散歩ついでに何かに出合える。これぞ蚤の市の醍醐味であろう。

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使ったもの、古いものに関わらず、何か新しいものを探す欲求は誰の心にもあるだろう。貧富の差に関わらず、それを満たしてきたのが蚤の市である。こうして人の手から手へと
モノが受け継がれてきたということが実感できる、そんな場所である。

トランシルバニアを心の中に・・・
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はじめまして!
フォークアートに興味をもって検索してましたらコチラのサイトにたどりつきました。

9月初旬か中旬にルーマニアへ訪ねようと思っており、情報収集にもなりました!

この記事に紹介されている“フェケテトー”はいつ頃あるのですか?
9月と書かれてあったので運が良ければ訪ねられるかも・・・と思いましてコメントさせていただきました。

ルーマニアは都市間旅行ならそこまで不便を感じないのでしょうけれど、素晴らしい村々へは個人旅行しにくそうですね。残念ながら・・・。
UMEさん、はじめまして。

ルーマニアにご旅行されるとのこと、どの辺りを回られるのですか?

フェケテトーは、オラデアとクルージの間の村になります。ローカル電車でいくので、少しお時間はかかるかもしれません。

時期は、毎年人の口伝いで知るので、確実にいつかはその時期にならないと分かりません。(このいい加減さ・・・すみません、)

人に聞いてみますので、もう少し待ってみてくださいね。

一番美しい見所の村へ旅行者が行くのが難しいなんて、本当に皮肉ですね。いつか私もこの地で、村観光に携わりたいと思っています。
Tulipunさん、お返事どうもありがとうございました!

9月初旬頃にハンガリーからクルージ・ナポカに入ろうと考えておりますが、マラムレシュ地方と5つの修道院を効率よく周るには旅行社で手配した方がいいのかと思っています。
こちらのブログを読ませていただいたらますます手配した方が素晴らしい村々と出会えるのでは?と思わされますが、予算都合で都市間周りになってしまうかもしれません。
とりあえずマラムレシュ地方には訪ねたいです。クルージ・ナポカ周辺のMERAやシクなどにも訪ねてみたいです。
あとはシギショアラやブラショフでしょうか・・・。

旅行者が訪れにくいがゆえに素晴らしい伝統文化が残っているのかもしれませんね。

また情報がありましたらお知らせください!
こんにちは、UMEさん。

クルージナポカ周辺とマラムレシュ、モルドヴァの修道院とは、素晴らしい!
かなり旅の通の方ですね。

クルージナポカ周辺なら電車やバスでも大丈夫だと思いますが、シクは(セーク)までは交通手段は余りないと聞きます。

マラムレシュは、大きな町もあるのでそこを拠点に見て回られたらいいでしょうね。

モルドヴァの修道院には旦那が行ったそうですが、無料で泊まらせてもらえるそうですよ。

どなたかが「ツーリズムというのは、道が不便なところほどよい。」といっていましたが、その通りだと思います。
古くから残る人々の生活を、ぜひご覧になってくださいね!

フェケテトーはもうしばらくお待ちください。
Tulipanさん、お返事ありがとうございます!

マラムレシュ地方へ訪ねるのは長年の夢なので何が何でも訪ねようと思ってます。フォークアートと出会えるかドキドキします。
起点となる街はバイア・マーレかシゲット・マルマツィエイのどちらでしょうか?「歩き方」を読むとシゲットを起点にした方がいいのかな?と考えています。シゲットからタクシーチャーターするなどしてマラムレシュ地方を周ろうかな、と。
旅行会社に4日間マラムレシュと5つの修道院の個人手配代金は720ユーロとわたしの予算から出費だせそうにありませんでしたから個人で周ることにします(泣)。そうなるとモルドヴァ地方までの公共交通機関が遠周りになってしまうので泣く泣く削除してしまうかも・・・。
その代りにクルージ・ナポカ周辺に時間を割ければな~、とルーマニアへの妄想が膨らんでおります。

フォークアートとどれだけ触れ合えるのか本当に楽しみにしているんです!
ハンガリーではなくなってしまったフォークアートに出会えたら幸せかも!

Tulipanさんはハンガリーのフォークアートが残る村などご存知ですか?

フェケテトーの情報をお待ちしてます!
分かりました。
フェケテトーは毎年10月の第2週目に
あるそうです。
9月と書きましたが、すみませんでした。

こちらハンガリー語ですが、
画像が満載です。
http://www.kalotaszeg.hu/men_nepmuv_feketeto.htm
蚤の市情報について。
こんにちは、はじめまして^^東欧、とくにルーマニアとハンガリーの蚤の市に行ってみたいのです。蚤の市情報、楽しく拝見いたしました。開催している季節、月、曜日など、大事なところ教えて頂けますか?よろしくおねがいいたします。
Re: 蚤の市情報について。
はじめまして、
こちらの蚤の市情報ですが、昔の留学時代
2003年ころの記事をそのまま載せたものですので、
今はあるのか、いつあるのかなど確かなことはわかりません。
ハンガリー在住の方にお尋ねになったほうがいいかと思います。