トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ハライ-ワイン樽職人の村

朝早くおきて、村に住む友人の家に遊びに行くことになった。

コバスナ県の中心地セントジュルジからローカル電車がゆっくりと南のほうへ走る。
この電車は、いつか「世界で一番遅い電車」と私が名づけたことがあるほどで、車で30分ほどの町まで優に1時間はかかって行く。(もちろん回り道はするけれども・・)
小さな村々で止まることに加えて、自動車道路との交差点では、かつては踏切が手動であったからだ。つまりその交差点に差し掛かると、いったん電車が止まって車掌さんが降りて踏み切りを下げる。そして電車が出発して交差点を超えると、また停止して踏み切りを上げる・・・という風である。
今回はやっと自動に切り替わったらしく、割とスムーズであった。ただし、やっぱり交差点の前では一時停止をしていたが。

窓の外には春の田園風景が一面に広がっている。
畑を一面に花を咲かせたタンポポの黄色、まだ植えたばかりの麦畑の若草色、畑の茶色、そして村をすっぽりと真っ白く包み込む果物の花、りんごやプルーン、さくらんぼ、洋ナシ・・・まさに春真っ盛りの風景。ルーマニアを象徴するヒツジの放牧も見られる。
この平原を土地の人たちは「美しい畑」と呼ぶ。地図にもそう記されている。
だだっ広い平原の中にぽつぽつと村が点在し、そして長い長い山脈にぶつかる。カルパチア山脈だ。その山並みに沿って、また美しい村々が見える。その一つがハライである。

駅に着くと、辺りは村はずれの畑。
隣村まで歩いていくと、遠くからシカが畑を走り回っているのが見える。「静かに、人がいると怖がるから。」と言われるので立ち止まって眺めていると、颯爽と道を横ぎって見る見るうちに遠くまで駆けていった。
そうしている内に友人の車が到着。6kmの道のりを歩かなくて済んだので、安心した。

山に面したその村につくと、入り口には5mほどの巨大な門が出迎える。
「セーケイの門」と呼ばれ、普通は民家の門として立てられる。16世紀から王国の兵士としての特権階級を与えられたセーケイ人は、それを示すために木製の大きな門を作ってきた。右上にある円形の文様でその地位などを表すという。ちなみに大きな入り口は馬車用(今は車である)、小さなほうは人用である。

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斜面にある家に到着。
「モチョク!(汚いもの)」と呼ぶのを見ると、毛が真っ黒く長い犬である。
これはハンガリー固有の犬の種類で、Puli(プリ)というもの。ヒツジを追う犬として飼われていた種らしい。まるでドレッドヘアーのようなカチカチのながい毛が、目や口が見えないほどに覆われて、掃除のモップさながら。旦那といい勝負だ。
人懐こいので撫でていると、所々大きなドロの塊がたくさん付いている。可哀想に、さぞ重いことだろう・・・そう見ていると、「散髪したあとは、それは嬉しそうで元気いっぱいに走り回る。」と話した。

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息子と同じくらいの年頃の甥っ子がやってきたので、辺りを散策することになった。
隣の家の庭から森のほうへと歩くことにする。家の主人はハンガリーに移住したそうなので、彼かが代わりに管理しているとのこと。庭はタンポポで黄色のじゅうたんのよう。そこから35度ほどの急斜面に、たくさんの果物の木が花を咲かせていた。
少し上ればもう景色が開けて、村全体が足元に広がっている。

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庭を過ぎると、今度は平らなタンポポの丘に行き着く。
子供たちは大喜びで、原っぱを走り回っている。
反対側の風景もまた美しい。隣町のゲレンツェもすぐそこだ。日本ではあまり知られていないが、世界遺産に登録されたフレスコ画で有名な教会がある村である。遠くのほうに、友人の通う会社のある町も見える。

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風が強く吹きつけて、太陽は照っているのに肌寒い。
山道を通って、村のほうに引き返すことにした。

森でまた美しい花を発見。
輝くような紫色は花が開いているとき、深い青色はつぼみのときのようだ。

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家に着くと、友人の父親が森から帰ってきていた。
「ここは気に入った?」と聞くので「美しいところですね。」と言うと、「世界で一番美しい村だよ。そうだろう?」と笑った。

ハライは実に美しい村であるが、ワインの樽作りというもう一つの特徴も持っている。彼の父親もそうだ。仕事場を見せてもらうことになった。

何に使うのか分からないが、いろいろな道具が置いてあった。
そして作りかけの樽も見せてもらった。見ると内側が黒い。
使う木の種類によって、そして内側を木で炙ることによっても、保存をするワインの味が変わるそうだ。内側を炙るのは、赤ワイン用であるという。主にしいの木を使っている、と説明をしてくれた。

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昔はほとんどの人が樽作りの職人であったらしいが、今は数えるほどであると言う。以前は、注文が遠くフランスからも着ていたという。
だんだんと自家製のワインを作る習慣が少なくなっていること、そしてワインを良い状態で保存しようという需要があまりなくなってきているという事実もある。

友人も樽作りはまだ半人前らしいが、この伝統を引き継がせるために「樽作りのホームページ」でアピールすることに成功している。今のところ、ハンガリー語、ルーマニア語であるが、英語を今製作中である。HPでは美しい写真と、樽作りの歴史、そして注文も受け付けている。ぜひ覗いてみて欲しい。今後の目標は、村に樽のミュージアムを作ることだ。
こうした故郷の村を活性化させようという若い世代が育つのは、実に頼もしいことである。

90年代以降、経済の停滞で多くの若者が故郷を捨て、外国に流出しているというのはルーマニアの大きな社会問題である。
美しい村々はルーマニアの宝であり、文化のルーツであるという意識をそこに住む人たちに芽生えさせ、村という共同意識を持って、新しい可能性を探してゆけば、この遺産はこれからも生き残ってゆけるだろう。



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comments(1)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2008-04-28_15:29|page top

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こんにちわ^^
あちこち見てるうちに おじゃましちゃいました^^;

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