トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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アーラパタクのジプシー・アート

ハンガリー人、ルーマニア人、
ジプシーが共存する村、アーラパタク。

IMG_8036.jpg

機織機を探してぶらぶら歩いていると、
とても気になる洗濯物を発見。

IMG_7942.jpg

ご近所さんに尋ねてみた。
「 ここは、ジプシーの人が住んでいるのですよね?」
「 ええ、そうよ。
  ここの人は、信心深いからまだ大丈夫。」
安心して、その家の主人を訪ねることにした。

「 すみません。あの・・手芸が見たいんですけど。」
私たちの話すのを聞いて、ジプシーのおばさん。
「 ハンガリー語でも、大丈夫よ。」

IMG_8021.jpg

「 あの、奥にあった洗濯物を見て。
 とっても素敵なものをお作りになるんですね。」
例の手芸を写真に撮らせてもらうように、お願いした。

「 どなたがお作りになるんですか?」
「 私の嫁よ。今ちょうど、出かけているわ。」とおばさん。

蛍光色の鮮やかな花。
大きく手を広げたような、枝ぶりはダイナミック。
どことなく、メキシコっぽい色使い。

IMG_8006.jpg

花壇からのびた花のモチーフは、
ハンガリーのフォークアートによく見られる。
だけど、この色彩ときたら・・・
ジプシーのもの以外の何者でもない。

IMG_8004.jpg

サテンステッチなのだろうか。
びっしりと糸が埋め尽くされて、
しっかりとした厚みがある。
よそで刺しゅうか図案集から借りてきた図案が、
ジプシー風に味付けされたという感じ。

IMG_8009.jpg

「 他にも、まだあるのですか?」と尋ねると
おばさんが中へ通してくれた。
蛍光オレンジの壁に、緑のドアを開けて・・。

IMG_8013.jpg

扉の上にも、刺しゅうのクロスが見られる。
細長いクロスを、中心でチョウのように結んで飾るのは
ルーマニア風。

IMG_8014.jpg

「 手仕事をするお嫁さんは、いつごろ帰ってきますか?」
と聞くと、夕方ごろとの返事。
お花をつむ少女の描かれた、クッションカバー。
刺しゅうの仕方にしても、配色にしても、
配置にしても・・・常識やぶりで、どれも驚きにみちている。

IMG_8016.jpg




村で用事をすませて、帰り道。
再び、ジプシーおばさんのところへ立ち寄った。
門のところにいた、ひげの男性に
手芸をする奥さんに会いたいと告げる。

先ほどの家の、別の入り口を中に入ると、
小さな部屋にたくさんの子どもたち。
うつくしい眉をした若い女性が、そのお嫁さん。

IMG_8295.jpg

「 ローザという名前は、あなたのこと?」と聞くと、
「 いいえ。私のお母さんよ。ヘテに住んでいるの。」
そういえばここ周辺のジプシーたちは、
あの閉鎖されたジプシー村ヘテからやってきた、
と誰かから聞いたことがあった。

刺しゅうをする糸を見せてほしいと告げると、
棚の中から小さくなった糸巻きをいくつか出してくれる。
ウールのような、化繊のような太い毛糸。
どれも見たことのないような、鮮やかな色ばかり。

IMG_8296.jpg

「 これだけ作るのに、どれくらいの時間がかかる?」と尋ねると、
「 2、3週間よ。」との答え。

話をしていると、
またご近所さんが中へ入ってくる。
生地と糸を持ってまた来ると告げて、
人でいっぱいの部屋を後にした。

IMG_8298.jpg

ハンガリー人の几帳面な赤のクロスステッチと、
ジプシーの自由でカラフルなフリーステッチ。
どちらも別の魅力があって、
それでいい。

向こうの丘には、
人口増加であふれかえるジプシーの居住区が見られる。
アーラパタク村の将来を、
暗示するようである。

IMG_8300.jpg


トランシルヴァニアをこころに・・・。

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comments(10)|trackback(0)|ジプシー文化|2010-01-21_16:00|page top

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すごい…
 これまた規則正しいクロスステッチと違う醍醐味が味わえますね。配色と良い動きといい、なかなか出来ないです。
Re: すごい…
ジプシーの色彩感覚には、
驚かされます。
なかなか出来ない、その通りだと思います。

余計なものを見ていないから、
自分たちの色を素直に
表現できるのかな、とも思います。

たくさんのデザイナーを刺激するのも
納得できますよね。
私も驚きました。自由な図案ときれいな色。
伝統と言うより 心に自由と強いものを持っている
ようですね。 寒い 殺風景な村の 暖かな刺繍には 気持ちが和みますね~。
Re: タイトルなし
霧のまちさん、音楽にしてもこの刺しゅうにしても
よその民族からの影響が感じられるのですが、
その中に確かにジプシーらしさが
流れているように思われます。

寒い冬の夜長に
どんな想いをこめて、
刺していらしたのでしょうね。

どうやら、この若い彼女ではなく
お母さんが刺しゅうされるようです。
どんな方なのか、お会いしたいです。
元気が出てくる模様と色彩
お久しぶりです。
ずっと楽しみに読ませていただいているんですが、
日本の田舎でのん気に暮らす私には、
ショッキングな出来事が多くて、
でもそれがそちらでは日常で…みたいなギャップに、
中々コメントできずにおりました。
生きる…という事を、改めて考える機会を与えていただいて、ありがとうございます。

素敵な刺繍…手仕事。
これだけの量を手で刺繍するには、どれほどの時間がかかるのだろう…
一つ前のブログで、驚くほどのスピードで刺していく様子が伝えられていたんでした。

今年は日本では雪が多く、ここ北陸では、毎日どんよりとした曇り空が広がっていて、ちょっと気持ちが沈みかけていたんですが、この可愛らしくて明るい色彩に、元気をもらいました。
部屋の模様替えをしたくなりました…
Re: 元気が出てくる模様と色彩
ホリホックさん、コメントをどうもありがとうございます。

ここ半年は、
日常にいままで非日常だと思っていた
出来事がたくさん入りこんできて・・・
ここでご覧いただけること全てが、
トランシルヴァニアの一般的な日常ではないのかもしれません。

手仕事が生活のなかに根付くのには、
それなりの環境が必要だと思います。
そういう意味で、この忘れ去られた村には
昔ながらの時間の流れが
残っているのかもしれません。

日本の北陸地方、
ここトランシルヴァニアの山脈よりの地方より
きっと雪の量は多いのでしょう。
ジプシーの明るい色彩、
自由なデザインにはパワーが詰まっていますね。

春が待ち遠しいですね。
いつもこのブログを拝見しては
今自分のいる環境と全く違う生活に戸惑いつつも
やはり目にしたい気持ちの方が先に立ち
毎日のように訪れてしまいます。

この刺繍クッションたち・・
思いのままに刺されてあり
すばらしい と思いました。

どんな人が刺しているのか・・・・
続きを楽しみにしています。
Re: タイトルなし
shin さん、ご訪問くださって
どうもありがとうございます。

ジプシーの刺しゅうは、
テクニックがどうこうでなく、
こころを惹きつけてやまないですね。
手刺しゅうにこめられた力の
すごさを改めて感じてしまいます。

2、3週間かけて、丁寧に刺された刺しゅう、
色が密集して、ほとんど塗りつぶされているんです。
いつか、必ず訪ねたいと思います。

トランシルヴァニア地方の魅力は
村の生活、手付かずの自然、
古くて懐かしい雰囲気だと思います。
日本の都市生活で見失われた部分を、
少しでもご紹介していけたら・・と思っています。
viata mea
私も初めてジプシーの極彩色のスカートを見た時、ヨーロッパの異物を感じました。そして矢張中米インディオの色彩を思い浮かべました。そして、インドデカン高原南部の彼等ジプシーの源流の人々もまた同じスカートを履いていました。どんなに漂泊しても馴染まず、溶け込まず・・まさにジプシーですね。
Re: viata mea
costinさん、はじめまして。

ジプシーの色彩や音楽、
そしてあの気性には独特のものがありますね。
その土地土地の文化を取り入れながらも、
あれだけ孤立した共同体を作ってきたのは、
よそからの差別によるものだけでなく、
彼ら自身の意思でもあったのではと思わざるを得ません。

インドもいつか行ってみたいです。