トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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白いジプシースカート

その輝くような白いスカートが
目の前にあらわれたとき、
なにか運命めいたものが感じられた。

IMG_9231.jpg

夏にはじめてこの村を訪ねたとき
印象的だったのが、
この白いスカートをはいて葬式に参列した
おばさんの姿。

IMG_9233.jpg

ジプシー・スカートといえば
原色の花柄とばかり思っていたのに、
このスカートだけは特別だった。
シルクのように輝く素材は
しっかりと厚みがあって、
プリーツのひだの上を光りが優しくすべるようだ。
飾りはただ、ミシンでなぞられた赤いステッチだけ。

IMG_9239.jpg

昨日、村ゆきのバス停で
おしゃべりをしていると
「 あなた、スカートを買わない?」と話をもちかけてきた。
古いものにしか興味がないという私に、
「 ええ、それは古いスカートなのよ。」と彼女は微笑んだ。



カティおばさんの後ろを歩いて、
久しぶりに超えた境界線。
いつからか、私は下通りのジプシーと交流するうちに
上の通りは足が遠のくようになっていた。

IMG_9201.jpg

この村には、二つのジプシーが存在する。
お互いはあまり行き来がなく、
常に見えない壁があった。

「 いい?カメラを出しちゃだめよ。
 あとで厄介だから。」とたしなめるカティおばさん。
ぐるりと囲んで写真撮影をしたら、
後でみんなに配って回らないといけない。
その上、何度も何度もせがまれる。

たくさんの子供や大人が興味深そうに
取り囲んでくるものの、
きびきびした足取りで進むカティおばさんには
かなわない。
やがて、一軒のかわいらしい家の門を
押して入っていった。



「 ジプシーのスカートはね、
 昔はみんな無地で、サテンのように光沢のある素材だったのよ。」
その前の晩、
村の仕立て屋のマリアさんのところで
あるハンガリー人女性がそう話してくれた。
彼女の亡き母親が、仕立て屋さんだったそうだ。

その美しいスカートに
子供時代の彼女も魅了され、
母親が仕立てたばかりの色とりどりのスカートを
そっと身につけてみたりしたそうだ。
「 小さいころから、大好きだったわ。」と、
できたばかりのスカートを試着して
ファッションショーを見せてくれた。
美しいものに対するあこがれは、
いくつになっても変わらないもの。

素材や色の流行はあっても、
自分たちの美意識を貫きつづける姿、
変わらないファッション。
「 私はジプシーよ。」と胸をはって、
いつまでも身につけてほしい。

IMG_9243.jpg



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comments(8)|trackback(0)|ジプシー文化|2010-03-08_09:55|page top

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 何時見ても綺麗な色彩です。決して自分の家に有ったらくつろげないのだけれど、見ているとその独特の調和に心は和むのですよね。
 これは好みの差であるので自宅に同じ様に取り入れることは出来ないけれど、なにか手芸などで取り入れるには丁度良いのかもしれないと思います。
 こちらも外観は素っ気ないのですが、中は華やかに彩る家庭が多いです。村はどうしても冬くらい時期が長いので家の中を明るくするための工夫でもあるのだろうなって思いながらそこでくつろいでいる自分に、ロシアに来たらロシアの色彩が落ち着くときも有るのだななんて考えます。
 何時見てもジプシーのスカートは見事ですね。いつまでも胸をはって着続けて欲しいです。
実際に着てみたいです。
遅くに失礼します。本当に触りたくてたまりません。写真撮影は大変なのですね。ありがたく拝見しました。ジプシーのスカートは柄ものとばかり思っていましたのでこちらもぜひ身につけてみたいですね。
Re: タイトルなし
その土地土地にあった
色彩って、ありますよね。
ロシアの風土には、その色が一番よくにあうから
きっと落ち着くんだと思います。

冬は色が失われてしまうから、
家の中は自然とあたたかい色で埋めつくすように
なるのでしょうね。
ジプシーのインテリアの色使いって、
やっぱり独特です。

ジプシーのスカートは
女性の誇りだと思うんです。
どんなに貧しくても、
美しいスカートを身につけていたいという価値観、
ずっと変わらないでいてほしいですね。
Re: 実際に着てみたいです。
あまり古いものを大切にする習慣がないせいか、
なかなか見ることがないんです。
普段に民俗衣装をきているのは、
ルーマニアでも本当にわずかな地方だけです。

トゥルグムレシュのジプシーの衣装、
どんな風にこのスタイルができてきたのか気になります。

旅をするのにはこのロングスカート、
とっても便利そうです。
冬は下にパンツをはいて、重ね着もできますし。
夏にはぜひ、このスタイルでイェッドを訪れてみたいです。
ジプシーの方の部屋の飾り、本当にすごいですね。
バラバラのようだけど総合的には一つにまとまっていて。   スカートの美しさには前のお写真から感激していました。  白のスカートはやはり葬儀に着るんでしょうか。  光沢がとてもきれいですね。

私は普段は紅茶に砂糖を全く入れないのですが 以前トルコで甘いチャイに驚き、一瞬拒否反応でした。
ところが何日も経つうち その甘いチャイが手放せなくなりました。あの空気や乾燥の具合が甘さを要求するのでしょうか。
それと同じで長い伝統はいろんなものを根付かせますね。 きっとジプシーの心には 掛け値なしの華やかな色合いと可愛さが必要だったんですね。
お部屋の色の美しさに目を奪われました。
スカートも絹のようにかろやかで美しく
まさに文化だと思います。

まるで自分が迷い込んだように思えてくるから不思議です。。。
Re: タイトルなし
プレートを並べたり、
プレートの間にバラもようのクロスを差し込んだりするのは、
ハンガリー人やルーマニア人の習慣なのですが、
色の選びかたや組み合わせに
ジプシー独特のふんいきが感じられます。

おっしゃる通りだと思います。
彼らの日常にどうしても
必要だった、とびきりの華やかさ、可愛らしさ・・・
ファッションやインテリアに
凝縮されていますね。

白が喪のいろというわけでもなさそうです。
日常と変わらない服で参列していました。
古いスカートは光沢があって、
プリーツのよさが最大限に活かされていますね。
Re: タイトルなし
色彩の渦のなかに
迷い込んだような気持ちになりますよね。

家のそとには
塀や門もなかったり、
粗末だったりするのに、
家の中だけは驚くほど華やかなんです。
彼ら独特の価値観を感じますね。