トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ウルクーの日常

4月の終わり頃。
ふとしたことから、
町はずれのジプシー地区へ行くことになった。
ふらりとやってこられた
旅の方は、日本で音楽をしているという。
インドからヨーロッパまで渡ってこられ、
各地の民俗音楽を吸収していくというのが旅の目的。

ジプシーを音楽から、
興味を持つようになったという人は少なくないと思う。
実のところ、彼らの生活と音楽が
イコールで結ばれるほどではないのだが、
ここウルクーでは
豊かな音楽と舞踊の文化がしっかりと息づいている。

子どもが多いジプシーの地区を訪ねるときには、
いつも小さなお菓子を持ってゆく。
その地域に足を踏み入れたなら、
すぐに好奇心いっぱいの視線が降り注がれ、
「 どこへ行くんだ?」
「 誰を探しているんだ?」と必ず声がかかる。

子どもたちはそれに輪をかけて、興味津々。
私たちはすぐに、わっと取り囲まれてしまった。
「 森の方へ散歩するだけよ。」といっても、
もう7、8人の子どもたちがずっとついてくる。

ウルクーとは、
見張りの岩という意味。
昔は、町を守る砦のようなものがあったらしい。

ここにジプシーの人たちが移住してきたのは、
18世紀の終わり頃のようだ。
昔はそれぞれに、レンガ作りやスプーン作りなど
職を持っていたのが、今では
ほとんどが生活保護で暮らしている。

10.04.2010 16-52-45

袋からお菓子を出して配ると、
その手が次々に伸びてきて、きりがない。
「 おじさん、こっちにも。」
「 まだ、もらっていないよ。」と口々に訴える。
しまいには、子どもたちは
袋を叩きはじめる始末。

いい加減、私も疲れて何もいう気力がなくなった。
音楽家のHさんは耳がいいせいか、
子どもたちの言葉をすぐに真似して、
オウム返しをして遊んでいる。
笑顔を見せながら、まったく気にならない様子。

きっと、このジプシー村の雰囲気を楽しむコツは、
この遠慮のない子どもたちと
どう接することができるかだろう。

10.04.2010 16-55-32

旅行者を見ると、すぐに
自慢の子ども、孫を腕に抱えてやってくる。
写真にとってくれと頼むから、
なかなかいやとは言えない。
子どもは、昔から弱い立場にあった
彼らにとっての強みであり、
大切な宝でもある。

10.04.2010 17-06-42

下水路がないために、
垂れ流された井戸の水が、絶えず
泥だらけの道を作っている。

坂の途中で、見知った顔を見つけた。
エルヌーおじさんの孫の、リベゼラ。
まだ二十歳の彼女の嫁入り先では、
小さな部屋に夫婦と二人の子どもとで
暮らしている。

10.04.2010 17-17-55

つい先日、近所で葬式があった。
夜から朝があけるまで、
弔いの歌を歌いつづけるという。
叔父さんも、のどが枯れるまで歌ったのだが、
少しだけその歌を披露してくれた。

10.04.2010 17-11-46

やがて、夫婦のダンスが始まった。
ほとんど身動きもとれないほどの空間なのに、
それを感じさせない。
スピードあふれるステップや回転の身のこなし、
指ではじくリズムは、
息もつけないほどの激しさ、強さ。
親の踊りを見ながら、
子どもは自然と学んでゆく。

10.04.2010 17-29-10

お姑さんが、帰り際に呼び止めた。
「 うちの亡くなったダンナの写真が、 
 ひとつしかないのよ。
 墓石にそえるのに、もう一枚作ってくれない?」

ジプシーの人たちは写真が好きだ。
数少ない写真を、大切に部屋に飾り、
嬉しそうに人に見せる。

キノコの壁絵と、最後の夫婦の姿。
思い出の詰まった写真を、しっかりとカメラに焼き付けた。

10.04.2010 17-36-00

白い馬を大切に抱いた少年。
彼らの生活に欠かせない馬。
ルーマニアの道路がほとんどコンクリートで塗り固まれても、
まだ彼らの生活の変わらない部分。
ひらりと背中にまたがって
野を駆けるその姿に、
彼ら独特のロマンを感じてしまう。

10.04.2010 19-28-22

めまぐるしく変わりゆく世の中で、
古いものに固執せざるを得ない生活。
その中に、きらりと光る美しさを見出すのは
きっと私たちだけでないだろう。


トランシルヴァニアをこころに・・・。

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comments(4)|trackback(0)|ジプシー文化|2010-05-06_07:26|page top

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非公開コメント

No title
お久しぶりです。いい感じのきのこの壁絵ですね。こういう図柄が生活の中にとけ込んでいるのが凄い。
Re: No title
もせてさん、お久しぶりです!
いつもキノコの写真をのせるたびに、
コメントをくださって
ありがとうございます。

ジプシーの人たちは、
とくに採集で生計を立てている人も多いので、
キノコや野草には通じているようです。

これからキノコの季節が
また始まります。
その前にまたブログで
予習をさせてください。

トランシルヴァニアのキノコ研究会の雑誌、
おかげさまで記事が載りました。
No title
きのこ以外でもコメントを寄せたいところですが、どういうところに「ツッコミ」を入れたらいいのか、分からないまま、結局、ワンパターンなきのこネタで申し訳ありません(笑)。
きのこ研究会の雑誌に記事が載るなんて凄いですね~。
Re: No title
もせてさん、どうもありがとうございます。
色々キノコ情報を提供していただきました。
また雑誌を手に入れたら、
ご紹介します。

どんなに小さなキノコネタでも
突っ込んでいただけて、嬉しいです。
またキノコ狩りに行きますね。


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