トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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アールコシュの貴族屋敷と郷土博物館

日曜の朝10時すぎ、
スフゥントゥ・ゲオルゲから
6km離れたアールコシュ村へと出発した。

アールコシュの村の誇りのひとつが、
セントケレスト家の貴族のお屋敷。
ライオンの彫刻が座った門をくぐると、
細長いポプラ並木が屋敷へと誘う。

その日は、屋敷の庭にあるギャラリーで
20世紀を代表する報道写真家ロバート・キャパの展示会が開かれた。

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たくさんの来客でにぎわう会場。
ロバート・キャパは、
本名をフリードマン・エンドレという
ユダヤ系ハンガリー人。
スペイン市民戦争など数々の戦場の写真で有名だが、
ハンガリーの博物館の協力もあって
40年代のハンガリーの様子を伝える写真なども多かった。

doboly20106 062

キャパの半生と、
40年代50年代の激動する世界のすがたが
絵のように美しい
モノクロの写真を通して映し出されていた。
地雷を踏んで、片足をもがれた後も
カメラを手に持ったまま生涯を閉じたという。

ところでこの素敵な趣のギャラリーは、
もともと納屋だったもの。
レンガがむき出しになったところや、
家畜のえさを入れる桶のかたちが
そのままに残っていて、面白い。

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ちょうど向かいに貴族の屋敷が
構えてある。
20世紀の歴史のなかで
その所有者もめまぐるしく変わった。
今はまだ国に管理され、
クラッシックのコンサートに使われている。

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第二次大戦後には、
村の住民たちによって貴族の家具はすべて破壊され、
取り除かれてしまった。
そして社会主義時代には、
故チャウセスク大統領の別荘としても使われた。

がっしりとした石造りの建物。
二回には、リビングルーム、ベッドルーム、
バスルームがある。

内装はすべて、
チャウセスクの嗜好によって新調され、
そのままの形で残っている。

doboly20106 080

ネオ・バロックと呼ぶのだろうか、
豪華な飾りのソファーやベッド。

doboly20106 083

農村の貧しい家庭で生まれ育った
チャウセスクの、貴族に対しての憧れやコンプレックスが
こういう物を生み出したのだろう。
チャウセスクとエレナ婦人の
ベッドルームとバスルームが別々にあり、
格段に夫のものの方が豪華であったのが印象的である。

doboly20106 091

こちらは、国の文化遺産に登録されている
バスルーム。
自然の絵が描かれたタイルの間のなかで、
どんな想いをめぐらさせていたのだろう。

doboly20106 088

噴水にはカラカラに枯れ、
草が伸びきった庭。
それでも、まだこの屋敷は恵まれた環境である。
まだトランシルヴァニアには数多くの屋敷が、
所有者に返されないまま、
朽ち果てているという。

doboly20106 092

巨大なクマの剥製の敷物があったので、
ここでもクマ狩りをしたのかと案内役に聞いてみた。
「 いいえ、クマ狩りにはハルギタ県に行っていたそうですよ。」
他にも、数々の屋敷を所有していたようだ。

応接間では、先ほどの展示会の来賓たちが
テーブルを囲んでいるところだった。

doboly20106 097

貴族屋敷の見学が終わったあとは、
庭を散策する。
池にはボートが浮かべてあり、
豊かな緑が生き生きと映し出されている。

arkos1.jpg

誰もいない、静かな庭。
リンゴの果樹園もあり、広々とした敷地のなかには
風化に身を任せた彫刻が
ぽつんぽつんと置かれている。
70年代に、ルーマニア中のアーティストたちによって設計され、
アールコシュの大工さんが作ったという作品。

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村の中心にある、
ユニタリウス派教会。
青空にくっきりと浮かぶ
真っ白の鐘つき台と岩でできた城壁が
中世の趣を伝えている。

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かつて国境であったトランシルヴァニアの東側では、
戦火が激しかったために
教会が砦として使われていた。

塔のひとつは、
友人のバーリント・ゾルターンによって
郷土博物館として使用されている。

急傾斜の階段を登るのも、
スリル満点。

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ここセーケイ地方で収集された
骨董品がずらりと並ぶ、薄暗い室内。

埃をすったような小さな小箱が開かれて、
キラキラと輝くキッチュな色があらわれた。
古いクリスマスのオーナメント。
中には、19世紀のものもあるという。

doboly20106 146

かつて高価だったプラスティックやアルミニウム。
この輝きが、当時の人たちにとって
どんなに珍しいものだっただろう。

かわいいキノコのロウソク立て。
ロウソクの光りの下に映しだされた
クリスマスツリーは、人々のささやかな
贅沢であっただろう。

doboly20106 151


今もなお使われている、鐘つき台を登る。
丸くくり抜かれた窓からは、
緑の丘と村の家並みを見渡すことができる。

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二階に登ったところで、
上にぶら下がっていたのは・・・
なんとベーコンやソーセージ。

セーケイデルジにある世界遺産に登録された
要塞教会は、村中の人々が
冷蔵庫や倉庫代わりに今も使っている。
友人がそれを見て試したところ、
実に保存がよく効くというのだ。
神様の威光で守られているため、
盗まれる心配もない。

doboly20106 159

貴族と教会の伝統、
そして村の生活が息づいている村
アールコシュ。
そこでは、今もゆったりとした時間が流れている。

doboly20106 165




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comments(2)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2010-06-14_02:37|page top

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No title
こういう建物が残っているというのは其れだけでも幸せな方ですね。全てを破壊してもおかしく無い時代の激動があったことを考えると。

天然の保存庫として使える建物素敵です。
あ、我が家も冬なら間違いなく冷凍庫よりきっちり冷凍出来るけど(汗)
Re: No title
本当に、長い年月を経て
何かが残るって凄いことですよね。
20世紀だけでも、
ルーマニアは国境の線が何度も引き直され、
支配者も変わり、激動の時代でした。

石造りの家って驚くほど
冷たいですよね。
世界遺産のセーケイデルジでは、
今でも小麦粉やその他の食料品まで貯蓄しているそうです。
教会があるという安心感は、
計り知れないものだったのでしょうね。