トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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セーケイの花模様-バルジャシュ村

高くそびえる屋根をもち、
デコラティブな装飾で彩られたセーケイの門。
それは、トランシルヴァニアの国境を何百年と守りつづけた、
セーケイの民にとっての誇りともいえる。

コヴァスナ県とハルギタ県の境にある、バルジャシュ村。
ひときわ目をひく、豪華なセーケイの門がある。
それは、1568年以来
14世代にわたって家具の絵付けを職としてきた
シュトゥー家のものである。

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屋根の下には、ハトの小屋。
ぐるぐると円を描く植物のつるとチューリップ、
鳥はハンガリーの土着のモチーフとして
よく知られている。

erdovidek 345

右側は乗り物用の入り口、
私たちは左側の
木の扉を開いて中へ。

erdovidek 346

この門は、1975年に
亡きシュトゥー・ベーラが作ったもの。
木製の鳥がしっかりと鍵をかけ、家を守っている。
こんなところにまで、
ユーモアのあふれる仕掛けがしてある。

erdovidek 351

そもそもシュトゥー家のご先祖が
この村に住むようになったのも、
貴族であるダニエル家の屋敷のために
家具の職人が必要であったから。

この自然豊かな環境には、
いくつかの鉱山がある。
彼らが代々、染料として使用している石も
そこから掘られているという。

ニスを使わずに自然な光沢が得られ、
その色合いは深みがあり、
使えば使うほど味わいが生まれてくる。

セーケイの住文化を伝えるのが、
この「髪結いの椅子」。
そのうつくしい形は、
髪を結い上げた女性に喩えられる。

背もたれの部分が取りはずしがきき、
その家庭の、とある秘密を
伝える役目もあるという。

vargyas.jpg

二つ並んだ椅子の顔が向かい合わせになっていたら、
その夫婦は仲がよい状態で、
もし反対向きにひっくり返されていたら・・・。
来客はすぐに、その空気を読んで
退散しないといけない。
いかにも、セーケイ人らしいユーモアである。



「 いい感じの古い家があるから、見てみよう。」と誘われていったのは、
古びた赤レンガの民家。
ブドウのツタが白い壁の上を這い、
涼しげな影をつくっている。

erdovidek 365

中を見たいと伝えると、
家の主人らしき女性が快く通してくれた。
大きな家なのに、驚くほどがらんとした
家具のすくない室内。

鉄細工のうつくしいアンティーク・ランプ。
小さな電球ひとつで照らされた、
古い家の夜の生活はどんなにか
静かなものだろう。

erdovidek 353

隅に置かれたたんすは黒光りして、
花模様をいっそう鮮やかなものに見せている。
かつては華やかな嫁入り道具で、
いっぱいだったであろう。

「 昔は古い刺しゅうなどもあったのだけれど、
お客さまにあげてしまったわ。」と家のご主人。

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振り返ると、
部屋の隅からじっと視線が注がれている。

erdovidek 355

「 こんにちは。」と挨拶をすると、
やさしい微笑みが返ってくる。
おばあさんは
その古い屋敷にふさわしく、
まるで少女のように生き生きと澄んだ瞳をしていた。

erdovidek 362

おばあさんの年は、90歳。
多くの言葉を交わさなくとも、
その表情から人生の足跡が
何となしに伝わってくるようだ。

erdovidek 361

「 神さまが、保ちつづけてくれますように。」
その古い屋敷と、そこで暮らすおばあさん。
ふたりに心をこめて、家を後にした。




トランシルヴァニアをこころに。

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comments(2)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2010-07-10_04:56|page top

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No title
共通して言えることは 古くなるにつれて素敵に
なること ですね。
木や石、安くても本物が使ってあれば
時代を経て美しくなりますね。

人間(自分・・・)もそうなりたいものですが。
Re: No title
霧のまちさん、本当にそう思います。
家にしても、洋服にしても・・・
昔のものは、古くなるにつれて
素敵になっていきました。

今、私たちの身の周りにあふれているものの
どれだけが、100年耐えていくに値するものでしょう・・。

そして何よりも、私たち自身が
年をとっても美しくありたいものです。
このおばあさんの瞳、
これだけ長い間生きていながら
こんな風にいられるなんて・・・素敵です。