トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ドイツ文化の足跡-ヴィスクリ城砦教会

ブラショフから北へ。
山をひとつ越えると、
そこはザクセン人の土地である。
赤レンガに石造りの門の並ぶ小さな村は、
まさにおとぎ話の世界さながら。

どこかしら現代から忘れられたかのような、
古ぼけた寂しさを感じさせるのは、
この村々のもともとの住民が
はるか遠く、ドイツへと移ってしまったからだろうか。

国道沿いに見られる、
そんな美しい村々を横目で見ながら、
今度は小さな横道へとそれた。

地図で見ると、
国道から20キロほど離れた奥まったところに
ヴィスクリと呼ばれる村があるらしい。
ルター派の古い城砦教会は、
世界遺産にも指定されている。

やっと舗装されたような小さな道を進むと、
すれ違う車も見られず、
多少不安な心持になってくる。

6月の豊かな緑に包まれて、
車を先へと走らせる。

Heviz 231

やがて、村の入り口が見えてきた。
ドイツ系のほかの村のように、
パステル色にお化粧したかわいらしい家が、
きっちりと向かい合わせに規則正しく並んでいる。

3m以上はある大きな石造りの門は、
中の様子がうかがえないから、
本当に住人がいるのかどうかも分からない。

こんなに奥まった村だから
さぞ閑散としているのだろうと思っていたら、
大通り沿いには歩く村人たち、
お店やバーやレストランまで見られるから驚いた。

イギリスのチャールズ皇太子が
村に別荘を買ったこともあり、
外国からも観光客が多いそうだ。

大通りをつきぬけて、
丘を登ったところに城砦教会への入り口があった。

松林の中の歩道を進むと、
古びた赤レンガに黒ずんだ木のベランダ、
真っ白い壁の建物が姿を現した。

Heviz 074

白い壁の上を、ピンクのバラが這っている。
そのゆったりとした雰囲気は、
どちらかというと貴族の屋敷か古城。
ドイツ系の住民がほとんどいなくなった今、
教会としての役目は果たしていないようだ。

Heviz 077

教会の番をしている
ザクセン人のおばあさんは、
ドイツ語なまりの英語で案内をしている。
他にもイギリス人観光客の姿が見られた。

重厚感のある
木造の扉を開いて中へ。

heviz1.jpg

古い木の柱や壁の染料が、
まひるの光りに照らし出されていた。

Heviz 080

立派な外観からは意外なほどに、
こじんまりとしたささやかな空間。
かつては、ここに住む人々の
生活の節目節目を彩る舞台であった場所。

今では呼吸を止めてしまったかのように、
ただ沈黙している。

Heviz 086

奥の扉は、教会の塔へと導いている。
積み上げられた石の塔は薄暗く、
ひんやりとした空気が流れている。

Heviz 100

途中の窓からは、
外の光りがもれている。

Heviz 103

何階ほど上ったのだろうか。
ようやく天井部屋に到着。
明かりの方へ。

Heviz 119

暗さになれた目に、
鮮やかな緑が飛び込んできた。
まるで空を飛んでいるような感覚。

村の周辺には、
なだらかな野原が広がっている。

Heviz 129

戦争の激しかったトランシルヴァニアでは、
教会に村人たちが立てこもり、
戦いを重ねた。

教会をぐるりと囲む防壁も、
相手を威嚇するような強さが込められている。

Heviz 121

今いる足場は、
このように木が張ってあるだけ。
板と板の間からは、
はるか下にある下界が透けて見られるから、
自然、足取りも慎重になってしまう。

Heviz 143

干からびた瓦の赤は、
いくつもの戦争を見てきた
この教会のたどってきた足跡が
伺えるようだ。

かつての住民が去ってしまってからも、
生き永らえてきた教会。

30年ほどの間、
主人を亡くしながらも、
ずっとこの村を守りつづけてきた。

Heviz 145

帰り道、
振り返って車を止めた。

緑の丘にそびえたつ、
ヴィスクリの城砦教会。
中世の記憶が、
この人里はなれた小さな村に痕跡をのこしている。

Heviz 229




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comments(2)|trackback(0)|ザクセン地方の村|2010-08-09_06:55|page top

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No title
古いほど風情が残る西洋の典型的な景色ですね。
日本では「古い」=良くない と言うのが どうも根付いていて
少し古くなると取り壊してしまいますね・・・。

地震もあるけど、土地の高さもあるのでしょうか。
有効利用しないと やって行けない・・・。
怪我などあってはオオゴトだ、など。

小さい頃に童話で読んだ魔女屋敷や古い城など
今の世の中にも実在するって、なるほどなぁと
思います。
Re: No title
霧のまちさん、
ヴィスクリの村は、
煌びやかさはないけれど、
古い味のあるところでした。
有名なシギショアラよりも、
ずっと素敵だと思います。

西欧諸国ならば、
きっと観光客やお土産やさんで
あふれ返っていそうですが、
こんな風にひっそりと残っているところが嬉しいです。
電車も通らない、バス路線でもない
不便さのおかげなのでしょう。

日本では考えられないほどの
ありのままの見せ方で、
教会の上の方は
ちょっとしたら危ないところでもありました。

日本の城下町、城というものにあこがれますが、
明治時代にたくさんの城が壊され、
城跡ばかりだったり、
全く新しい城が建てられたり・・。
本当に残念です。