トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルバニア最大のお祭り―セントジュルジ祭

トランシルバニア最大の祭りとして知られるセントジュルジ祭は、私たちの住む町シェプシ・セントジュルジが舞台となる。
毎年、4月の終わりから5月の初め、一年のうちでもっとも美しいとされる時期だ。
町の中心の公園はやっと新緑が吹き出し、公園は緑の屋根で覆われる。
太陽の日差しも暖かく照らして、外に飛び出したくなるような気候。
・・・そんな絶好の条件の下で、一週間にわたって町がお祭り騒ぎとなる。

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もちろんお祭り騒ぎといっても、リオのカーニバルのような熱く激しい祭りではない。いたってローカルな、子供から年配まで幅広い年齢層に、そしてそれぞれの嗜好に合わせてプログラムが組まれている。展示会やコンサート、子供のプログラム、出店・・・。

町の中心に位置する公園の周辺では、通りは歩行者専用になり、ありとあらゆる人とモノとで埋め尽くされる。
これから土日にかけては、近隣の町村から人々が集まり、この町の人口は二倍にも膨れ上がるということだ。そして最終日の夜の花火大会でクライマックスを迎える。ちょうど、4年前息子が生まれる前のように・・・
セントジュルジ祭を見ることのできない皆様に、その見所を解説していきたいと思う。

まず、展示会は今週にわたって、美術館、セーケイ民族博物館を主に行われる。
今年は、月曜日に“NOT FOR SALE”というタイトルで、様々なアーティストのポストカードが展示、配布された。開会の言葉のあとで、小さなギャラリーではショッピングカートが2,3台置かれ、中にはポストカードが山と押し込まれていた。見物客は、カートめがけて殺到していた。まさに今の社会の日常が、非日常である美術館で目の当たりにすることになる。ポストカードは最高の品質で、面白いアイデアが満載であった。この展示会は、自宅にも運べるし、日本の友人に送ることもできる。
いくつか、ご紹介しよう・・・

・“Meat”という作品(Szabo Lehel作)
女性の首から下の部分が、四つん這いになっている。体の各部分が点線で区切られ、数字が打ってある。下の解説を見ると・・・
 “背骨部分をそのまま焼きましょう。ラードを少し塗って、または輪切りにしましょう。少したたいてから、熱いラードですぐに柔らかくなります。・・・”とこんな風に、料理のレシピが記されている。人間も所詮は動物。そういうメッセージであろうか。

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・“Ties”という作品(Uto Gusztav作)
コミュニストを皮肉ったパフォーマンス。セーケイの紋章をネクタイにつけた男性が、顔にルーマニア共産主義時代のスカーフを巻いている。共産主義、ルーマニア愛国主義、セーケイというアイデンティティー・・・あらゆる思想を強いられてきたこの土地の人々のことを物語っているのか。そして敬礼をする男性は、盲目である。旦那の恩師、グスティの作品。

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・“Untitled”の作品(Wanek Ferenc作)
のどかなトランシルバニアの風景・・・の下にはゴミの山が広がっている。この地方の美しさと醜さが写されている。このポストカード、面白いのは中央下が切り離すことができることだ。そうすると・・・ゴミの山は消え、美しい村の風景だけが残る。

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・“Untitled”の作品。(Eltes Barna作)
中でも異色なのは、木の彫刻のこの作品。メッセージ性、強烈さはないが、シンプルな造形美を味わうことができる。柔らかな曲線と、意思のある力強い直線が織りなす美。複雑な模様をもつ木目が、木というマテリアルの生命感を物語る。私は片足を上げた人の下半身のように見えるが、皆さんはどうでしょうか。旦那の親友バルニの作品。

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次は、コンサート。もっとも、まだ一つしか参加していないが。
今年は、ルネサンス音楽がクローズアップされていて、セーケイ民族博物館で4夜に渡って開かれた。中世の衣装を着た肖像がいくつも飾られる格調高い部屋である。
ちなみに写真に写っているのは、私の敬愛するトランシルバニズム運動の主導者であった、建築家兼作家のコーシュ・カーロイ氏である。何を隠そう、1902年に建てられたこの博物館も彼の設計によるものである。

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日本では、あまり馴染みのないヨーロッパの古典音楽。
今年は、ルネサンス・イヤーだそうだ。
ハンガリーでも、15世紀のマーチャーシュ王の頃が黄金期であったこともあり、ルネサンス文化が花開いた。当時のヨーロッパ貴族社会の共通語はラテン語であったから、耳慣れないラテン語の響きの音楽であった。が、そのシンプルな音と、混声合唱の響きが美しく、充実した一時間だった。
当時の楽器を見ているだけでも面白い。リュートや様々な形の笛、太鼓など・・・特に普通のクラッシック音楽と違うのは、太鼓のリズムである。ルネサンス音楽は、踊りと切っても切れない関係にある。
演奏が終わり、会場は拍手の渦に。少ない聴衆だったが、演奏には大満足のよう。そしてアンコールが始まる。すると、聞きなれない響きが・・・そうジプシー語である。ルネサンス時代の音楽をジプシーが演奏したところは想像も付かないが、間奏の時にはあのジプシー特有の口でするリズムや指先ではじく音が聞かれた。

演奏会の後はルネサンス舞踊の時間となった。
男女がペアになって、女性の差し出す手の先を男性は下から優しく受け止めてリードする。
そして、簡単な足のステップが始まる。私は息子といっしょに踊った。踊っているうちに、ルネサンス音楽と一体になるような気持ちになる。足のステップが、このエキゾチックなリズムを生み出しているかのような錯覚・・・これが心地よい。

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ここまでは、よしとして。
その後に教わったのは、あまりに難しかったのでさすがに落脱者も多かった。
もちろん息子もすでにリタイアし、ペアは旦那と変わっていた。
先ほどのゆったりとした歩みとは打って変わって、激しい踊りになる。
まず右、左、右、左、右と足を前に突き出し飛び跳ねる。それが2秒ほどの間になされるから、絶えず飛び跳ねていなければならない。上級者には、さらにそのステップの後、大きく跳ねて両足をつけたり、ぐるっと飛んで回ったりというバリエーションも用意されていた。これを15分間ずっと踊り続けるというから、たまったものではない。
(もちろん全く形にならないステップであったが)踊り終わったら、肩で息をしていた。
これをあの時代の貴族の衣装で踊っていたというから、奇妙である。
旦那に不思議だと伝えると「当時の貴族は体がなまっていたから、こうした運動が必要だったんだよ。」といった。なんだか、民族舞踊のさきがけのような感じだ。

私たちが醜態を振りまいている間に、息子は隣で踊っていた女の子の世話になっていた。
こういう打ち解けた雰囲気の中で、見知らぬ人ともよい間柄になれるのは、このお祭りのおかげである。

プログラムの言葉にもあった。
”・・・この慌ただしい世の中で少しペースダウンをして、同じ場所にどんな人がいっしょに生きているのか、何をしているのか、それによって何を私たちに伝えようとしているのかを見てみましょう。”
そう主役は、私たちここに住む人なのだ。
そして同じようにここに住む人に対して心を開くこと、それによってきっと何かを得ることができるはずだとこの祭りの委員長は述べている。

まだまだセントジュルジ祭はこれからが本番である。


トランシルバニアをあなたの心に・・・
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