トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

04 ≪│2017/05│≫ 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

ビカルの教会

ちょうど市の開かれている間のこと。
お祭りの喧騒を逃れて、
カロタセグ地方の村へ散策にでかけた。

丘をひとつ越えると、
新しい世界が開けてきた。
眼下に広がっているのが、ビカルの村。

bikal.jpg

丘の斜面にひっそりとたたずむ村。
透かし彫りの扇の形が外に取り付けられた、
カロタセグの古い民家も見られる。

feketeto2010 091

村のシンボルといえる、
とんがり屋根のカルバン派教会。
入り口の門は、小さな木の板を張り合わせる
伝統的な技術が見られる。

feketeto2010 098

牧師さんの奥様の案内で、
教会の中へと通される。
かつてのカトリックの影を塗りつぶすように、
白く塗られた教会の壁。

feketeto2010 100

そのプロテスタントでさえ、
装飾をすべて取り払うわけには行かなかった。
美に対する素朴な欲求の表れなのであろうか。
天井にぎっしり敷き詰められた四角い板には、
ナイーブなタッチで植物や動物などが描かれている。

力強い筆使いは、
ひび割れた板や剥がれかけたペンキを通して、
なおもこちらに訴えかける何かを感じさせる。

feketeto2010 111

神の言葉を預かった牧師は、
「言葉の椅子」と呼ばれる台にあがって説教をする。
その頭上には王冠が輝く。

雛に餌付けするペリカンは、
カルバン派のシンボルとなっている。

feketeto2010 104

その台に向き合うようにして配置されたベンチ。
村の女性たちの手で縫われたクロスをひるがえすと、
天使の姿が現れた。

feketeto2010 102

二階のバルコニーにも、絵付けのモチーフが
一連の物語のようにして並んでいる。
「 そういえば、この地方の教会には
 鳥のモチーフがよく見られますが、
 その意味はなんだか分かりますか?」ダンナが尋ねる。

「 鳥は豊穣のシンボルだと思われます。
 その証拠に、刺しゅうや民謡にもよく登場しますから。」

聖書には、イブがリンゴの実を食べて
天上から追放されたが、
ここではたわわになった洋ナシの実が描かれている。

feketeto2010 121

「 教会の鐘つき台に上ってみますか?」
そういわれて、狭い木造の階段を
おそるおそる上っていく。

教会の尖塔のちょうど先の部分、
板で張り巡らされたところ。
強い風が真っ向から吹きつけてくる。
教会の木造の屋根の先には、
秋の草原が広がっていた。

feketeto2010 135

ビカルの小さな村も、
手の平のなかのように見渡せる。
そろそろ日が暮れそうだ。

feketeto2010 136

村では20世紀のはじめに、
木彫りの学校が開かれていたそうだ。
カロタセグの美しい木彫りを作ったのは、
こうした村人たちの手によるものに違いない。

feketeto2010 141

古い木造の家がだんだんと
新しい家に建て替えられている村の中。
木彫りの門や家を発見するのは、
まるで宝探しのように楽しい。
飾ることをこよなく愛する、
カロタセグの民の心が、
彫刻が夕日に照らされて浮き彫りになるように
ありありと感じられた。

feketeto2010 142




トランシルヴァニアをこころに。

にほんブログ村 海外生活ブログ 東欧・中欧情報へ


にほんブログ村

スポンサーサイト

Theme:ルーマニア
Genre:海外情報

comments(4)|trackback(0)|カロタセグ地方の村|2010-10-22_01:42|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント

No title
静かで美しい情景ですね。
何てきれいな木彫りでしょう。
だんだんと取り壊されるようですが
せめて その彫り物の部分だけでも
頂きたいほどですね。

素朴な教会内部を見て 何となく
北インドのダージリン付近の
教会の風景が浮かびました。
飾ってある絵などは違いますが
祈りの場の たたずまいが似ています。
Re: No title
村で生まれ育っている方には、
その価値や珍しさが分からないのでしょうが、
こういう木造建築は大切にしていってほしいものです。

友人のお母さんがこの地方出身で、
家に付属する小さな小屋を取り壊すときに、
この飾り部分だけをいただきました。
ドボイの家に、いつか取り付けたいと思っています。

北インドにもキリスト教会があるということ、
霧のまちさんから初めて教えられました。
キリスト教美術の影響力は大きいですが、
このように土着の文化といつも結びついていることを
忘れてはいけませんね。

ハンガリー人は、西暦1000年頃に始めて
キリスト教を受け入れたと言われています。
日本でいえば平安時代、
それ以前のことがあまり分かっていません。
それだけに、こうした土着の美術は貴重な遺産だと思います。
教会の分裂
雛の餌付けが、カルバン派のシンボルだったんですか?知りませんでした。カルバン派というと人々を火あぶりにした残酷な人たちですよね。どうして隣人愛を示せなかったのでしょうかね。でも、建物には罪はありませんよね。ただ、静かに人間の罪深さをあざ笑ってるかのようです。
Re: 教会の分裂
ヨーロッパの宗教戦争、
同じキリスト教同士でも争いあった歴史は、
本当に悲しいことですね。
問題なのは信仰する人々ではなく、
それを扇動した政治家たちだったのでしょう。
民族紛争にしろそうです。

トランシルヴァニアは
多民族、多文化、多宗教の地域として
誇りに思ってほしいと思います。