トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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永い秋の日

太陽は北の方へと移動しながらも、
その恵みを日々こちらへと傾けてくれる。
トランシルヴァニア地方には、
これまで私が経験したことのないほどの
永い秋がもたらされた。

町のはずれは
もうすっかり枯れ野原となってしまったが、
小麦色の毛で包まれたヒツジたちは
今年最後の草の味をかみ締めていた。

halottaknapja2010 135

丘の途中で、
ぽつんと影をつくっている木を見つけた。
その木陰でに横たわる。

halottaknapja2010 146

見上げれば、
裸の枝にはちいさな種が無数についている。
まるで藤の花のようだ。

halottaknapja2010 133


揺らしてみよう。
バサバサバサッと音をたてて、
まるで蛾のように
くるくるとプロペラのついた種が舞っては落ちる。

halottaknapja2010 127

こんな遊びを繰り返すうちに、
いつしかヒツジの群れが
上へと上がってきたようだ。
カランカランと鈴の音をたてて、
ただ一心に草を食み、ゆっくりと歩みを進めてくる。

水気を失った草の色と、
それを食べて育つ動物のそれが同化していた。

halottaknapja2010 144



もう誰も住むものがいない、
ツォーファルヴァの家。
部屋のなかには、
しっとりと冷たい空気が篭っていた。

かつては、働き者のおじいさん、おばあさんが耕した土地も、
今では寂しく荒れたままにしてある。

Folkart2 082

トウモロコシも、
植えたものの放置されたために、
実をつけたまま朽ちてしまった。
まるでカマキリの手足のような葉。

Folkart2 086

平野の真っ只中にあるちいさな村は、
県道沿いの家の裏はすぐに原っぱが広がる。

「雄牛のよだれ」といわれる、
長くのびた白い糸が見られたら、
その年は秋が長いという。

Folkart2 094

いたずらものの蜘蛛は、
枯れ枝を自由に操るアーティストでもある。

Folkart2 105

乾いた空気の中に、
そっと浮遊する白い糸の塊りを見つけた。

昔の人のいわれの通り、確かに今年は秋が長い。
澄み切った青空ばかりが続く毎日だ。

Folkart2 107



春の訪れのような、土曜日のこと。
とうとう上着までぬいでしまった。

「 ねえ、これから冬が来ないで、
 また夏になったらどうする?」と息子が笑う。

町のはずれのリンゴ畑へと招かれた。
もう霜が降りたので、
リンゴの実はほとんど残っていないが、
たまに木にしがみついている赤いのをもいで食べると、
みずみずしい甘酸っぱさが口の中に広がった。

halottaknapja2010 058

この低木は、
子どもたちの木登りにちょうどいい高さ。

halottaknapja2010 059

子供たちは何をして遊ぶかというと、
枝にまばらに生った真っ赤な実をちぎる。

halottaknapja2010 075

その艶やかな丸い実を、
私の方めがけて投げ飛ばす。

halottaknapja2010 077

うまく命中すると、大喜び。
腹がよじれるほどの大きな笑い声が、
ちいさな果樹園に響きわたった。

halottaknapja2010 078

土曜日の午後がゆっくりと暮れはじめると、
桜色の闇がリンゴの木々をそっと包みこむ。

halottaknapja2010 088

あれだけ濃い青色だった空には、
オレンジ色の光が入り混じった。

halottaknapja2010 103

永遠につづくかのような、
永い永い秋の日々。



トランシルヴァニアをこころに。

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comments(6)|trackback(0)|自然、動物|2010-11-19_14:31|page top

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林檎の畑
林檎の畑、興味深いですね^^
ほとんど、あのような風景を目にする機会ないですよね。
青森だと、私のブログのようなのが当たり前ですけど、
同じ手間ひまをかけるなら、高く売れた方がいい、
という結果が、あのような林檎になったんでしょうけどね。
また、お邪魔します^^
Re: 林檎の畑
thomas さん、
こちらのリンゴは放ったらかしで、
小さくて野菜のような味がします。
これが自然の味だと気づくと、
日本ではいかに甘く大きな果物に慣れているかがよく分かりますね。

九州出身の私には、
リンゴは高級品のイメージでした。
こちらではそこら辺に落ちています。
不思議なものですね。
No title
ほぼ野生のりんご、無いものねだりですが いいなぁと
思います。 仰るように 日本の果物はどれだけ
工夫と改良がなされているか ですね。

いろんな場所のスーパーで ホテルで リンゴなどを
見ると 不ぞろいで小さく、均一な日本の商品に
驚きます。

ここ静岡では 落ちているのがミカンです。
けっこうほったらかしなんです。
Re: No title
リンゴのいいところは、
形が悪くても甘くなくても
料理できることですよね。

ジャムやコンポート、ケーキに、焼きリンゴ。
すべてが凍ってしまう冬に
摂取できるビタミンCは、リンゴが主です。

野生のままの果物や野菜、
そして植物の姿にもそれを感じます。
人間の体や心にやさしい自然が、
このままずっと残ってほしいと思います。
長い秋
ルーマニアの秋は短いと聞いてましたけど、今年はめずらいいことなんでしょうか。
日本の秋は短かったような感じですが、紅葉はきれいです。

子供達楽しそうですね♪

Re: 長い秋
8月の終わりに寒くなった時期もありましたが、
今年は青空つづきの、穏やかな秋でした。
暖房もつけなくていいので、
今年は恵まれていました。

子どもたちはどんな季節でも
楽しみを見つけるのが上手です。
いつまでもこの心を大切にしてほしいです。
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