トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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セントジュルジ祭のフィナーレ

週末は、あいにくの空模様・・・朝方は雨が降り、重苦しい灰色の雲が広がっていた。

私たちが外に繰り出したのは、昼を過ぎて、夕方近くになってからだった。
土曜日よりもはるかに人が多かったので、しっかりと息子の手をつないだ。
もう夕方7時ともなると、店もそろそろ終わりの気配。

今回の祭りで不本意だったのは、民族舞踊が見られなかったことである。地元のハーロムセーク舞踊団が一日に何度か舞台に立ったのだが、ちょうど息子の昼寝時間だったり、悪天候もあって見そびれてしまった。そんなことを思っていると、ふとヴァイオリンの音が聞こえてくるので、ステージのほうに行ってみることにした。いろいろな民族楽器が並ぶステージに興味をそそられ、しばらく待ってみる。ちょうどテスト中のようだ。聴衆はそう多くはない。

ヴォーカルとギター、ドラムまでは普通のロックバンドだが、ヴァイオリン、アコーディオン、ツィムバロムが加わってフォークロア調になる。ちなみにツィンバロムとは、ハンガリーの民俗音楽に欠かせない楽器で、ちょっと鉄琴のようなものである。

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バンドの紹介によると、このNAPRA(ナプラ)は昨年のハンガリーの音楽祭のワールドミュージック部門で金賞になったという。ナプラは”太陽に向かって”という意味である。

演奏が始まると・・・迫力のあるバンドサウンドに、張りのある民謡調の(でも可愛い)ヴォーカルが加わって徐々にフォークロアの味付けが濃くなってゆく。そこに、ヴァイオリン、アコーディオン、ツィンバロムが入ると、今まで聴いたことないような不思議な世界が広がる。時にハンガリー民謡、時にジプシー音楽、時にバルカン音楽、またユダヤのイディッシュ音楽・・・様々な要素がミックスされているようだ。

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あまり音楽に詳しくない私でも、テクニックの高さはよく分かる。
ギターは、ヴィオラやヴァイオリンのパートも軽く弾きこなすほどうまい。
ヴァイオリンもふだん民俗音楽で聴くそれよりも、洗練されたアカデミックな音のようだ。私の大好きな楽器である。
特に、ツィンバロムの素晴らしいことといったら・・・やさしく物悲しい音が、耳に心地よい音階を奏でる。後でクレジットを見たらバローグ・カールマーンという有名なジプシーバンドのミュージシャンだ。
ロックの味付けに関しては、好き嫌いが分かれるところであろうが・・・私は70年代のUKロックの雰囲気が感じられるようで好きである。
また、一曲一曲の終わり方が素晴らしい。沈黙という楽器をも使いこなしているかのように、さっと音がひくと思わず鳥肌がたつ。

このステージを前にした聴衆の反応がまた面白かった。
ステージの前は、ほぼウルクーと呼ばれる地域のジプシーで占められていた。
不意にちょうど私たちの前にいた、ジプシーのおじさんがリズムに合わせてステップを始めた。
私たちがびっくりして見ていると、その踊りがまたこのモダンフォークロア音楽にちゃんと合っている。ステップから、今度は足をたたいてリズムをとったり、その踊りのうまいこと!

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しばらくこの老人の踊りに目が釘付けになった。旦那は興奮してビデオに撮っている。
するとステージの反対側でも、ジプシーの夫婦が踊り始めた。私は寒さに震えているというのに、婦人は上着を脱ぎ捨てダンスに夢中である。まったく音楽を楽しむことにかけて、ジプシーの右にでる人はいないだろう。旦那はこちらでもビデオを撮りつづける。
そして舞台ではヴォーカルのハンガリー人の女の子が、リズムに乗って踊っていた。

ステージも後半の盛り上がる会場で、酔っ払ったジプシーのおじさんは私たちに絡み始め、よく分からないことを口走る。ルーマニア語、ハンガリー語、ロマ語の他にも5ヶ国語を話すとか、カラテの選手権で優勝したとか・・・大人しく踊っていればいいのに。
そして気が付くと私たちはジプシー集団に囲まれ、息子はジプシー女に顔を触られて硬直している。
なんだか彼らの間でも喧嘩の始まりそうな気配を感じ、おびえて後ろに下がる。あー、怖かった。

szentgyorgynap 258_convert_20080505195658写真は、ジプシーのおばさんのエプロンが可愛かったから。

すると後ろでもハンガリー人のおばさんがステップを踏み、ジプシーの子供たちといっしょに踊っていた。

ナプラのレコードによると、「もしジミ・ヘンドリックスがトランシルバニアの民俗音楽を聴いたら、どうだったでしょう?もしバルトークがジミ・ヘンドリックスを聴いたとしたら?そして、あなたがもしNAPRAを聴いたらどうでしょう?
NAPRAのメンバーの共通の出発点はカルパチア盆地の民俗音楽です。それを現代文化で新しく解釈をして、現代のサウンドに埋め込んでいます。・・・」とあります。

この素晴らしいステージを披露してくれたナプラに感謝。日本でもブレイクすることを願って。
彼らのレコードも買いに走り、サインもしてもらった。ブダペストでは頻繁にライブをしているらしいので、ぜひ聴きに行って欲しい。

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NAPRAのホームページ

この興奮のステージの後には、地元のグループが味気なかった。TRANSYLMANIAというその名の通り、トランシルバニアのミュージシャンが名を連ねている。
あの水の展示会で演奏をしたミュージシャンも姿を表したので期待をしたが・・・ヴォーカルや音楽全体が野暮ったい感じで、先のブダペストの洗練された音には歯が立たない。

やがてステージがすべて終了すると、セントジュルジの市長があいさつをした。ハンガリー語とルーマニア語での演説だった。そして明かりが消えて、花火が始まる。

日本の音をも楽しむ花火の味わい方とは違って、こちらは音楽付きである。フレディ・マーキュリーやBONOの歌声を聴きながらの花火である。夜の公園に、火薬のにおいと音楽、花火のとどろきがいっしょになる。

この花火を見ながら思った。
祭りの醍醐味は派手なアトラクションやショッピング、食べ物等にあるのではなく、普段とは違った環境の中で見知った人々と出会い、会話をするという“人”中心の関わりであると思った。よその町で長年暮らしていた旦那の友人も、久しぶりに故郷の空気を吸い、懐かしい知人友人と接するうちに、また地元に帰って来たいと告げた。
こんな風に地元に人々をひきつけるきっかけを与える、そんな祭りをこれからも続けて欲しいものだ。


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