トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ジプシーのほうき職人

それは冬のはじめのある日のこと、
ジプシーの家の小さな扉をたたいた。

横並びになっている玄関の扉の、
手前が若夫婦の住まいで、奥が老夫妻のものだ。
家族が多いジプシーの家では、
一軒にニ家族が住んでいることも普通だし、
小さな子どもたちがひしめくように身を寄せて暮らしているのもよく見かける。

台所から居間に入れてもらうと、
その部屋の真ん中におじさんの背中があった。

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そういえば、秋にはまだ
家の軒先でほうき作りにはげんでいた。
もう寒くなったから、
家の中を作業場にしたのだろう。

おばさんはソファーベッドに腰掛けて、
じっとおじさんの仕事を眺めていた。
「さ、ここにお座りなさい。」

刺しゅうのピロカバーのとびきりカラフルな色使い、
自由で屈託のない絵の世界が見るものの目を奪う。

ICIRIPICIRI46 103

ソファーに腰掛けて、
しばらく取りとめのない会話をしていたものの、
気がつくと目の前で労働するおじさんの姿に見入っていた。
勢いよくナイフで削ると、
小さな木の欠片がさっと舞いあがる。

ICIRIPICIRI46 112

静かな部屋に、ただナイフで削る音だけが満ちていた。
おじさんは次々と、木の枝を同じ大きさに並べていく。
労働の気配の何ともいえない心地よさを感じていた。
おじさんは独り遊びに熱中している少年のように、
ときどき笑みをうかべるのだ。

ICIRIPICIRI46 114

赤茶色の細く枝分かれした木の枝を、
床にたたきつける。
部屋の中は、木の葉や枝でいっぱいになるが、
そんなことには頓着しない。
家の中であることさえも忘れさせた。

ICIRIPICIRI46 117

刺しゅうのクロスの上に、
白をむき出しにした枝が束になって重なっていく。

冬には女性が針仕事をし、男性は木を掘ったりする。
むかし親の仕事を身近で目のあたりにしながら、
子どもたちは育っていったのだろう。

ICIRIPICIRI46 118

木の葉がじゅうたんとなり、
木の枝が山となる。
冬の日の労働は、旅人の心にも穏やかな気持ちをもたらした。

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comments(2)|trackback(0)|ジプシー文化|2011-04-21_05:42|page top

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非公開コメント

No title
ジプシーの家に頼んで入れて頂いたのでしょうか?
なるほど・・・な家の中ですね。
もの凄い思い切ったデザインのししゅうや
カラフル過ぎる色の食器など ジプシーの
伝統生活が垣間見えますね。

戸外でするような仕事を家の中で・・・。
驚きますが そんな風習なんでしょうか。
男女の仕事の分担がはっきりと区別されて
いるんですね~。
Re: No title
霧のまちさん、
今ジプシーの手芸を集めているのですが、
そのために今回は家を訪問しました。

ジプシーというと流浪の民、
いかにも旅をしているというイメージなので、
物質文化に乏しいと一般に言われていますが、
ジプシーの手芸というのは珍しいと思います。
インテリアも他に見られない独特なものです。

家の中に持ち込まれたほうきつくりの仕事。
部屋中に枝や木の葉が散らばって、
なんだか異空間にいるようでした。