トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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ジメシュのツーリズム計画

エーヴァたちは、チャーンゴー協会から派遣されたハンガリー語教師である。
始めは半年のつもりできたのに、この地が気に入ってもう4年目になる。人口が600人の村だから、子供の数も少ない。その数少ない子供たちと深く関わってきた。

ルーマニア一般の教育事情として、村の教師の水準は低い。教員免許を持った力のある教師はほとんどが都市部を希望するから、農村部には古い体制の教師たちが多いという。そこにエーヴァたちのような、一流の教育を受けた意欲あふれる教師たちが来たのだから、村にとっては思ってもいない贈り物だろう。ただ、エーヴァの話を聞いていると村の住民はまだその価値に気がついていないと見える。

民族舞踊を得意とする二人は、地元に学生の民族舞踊グループを作った。ちなみにエーヴァの兄は、町の民俗舞踊団で踊っている。まだよそに公演はしていないものの、かなりのレベルにまで達しているようだ。
そしてこの春休み中には、村で伝統的な結婚式を催し大成功を収めたそうだ。本当の結婚式ではなく、子供たちが衣装を着て、古い習慣を再現したものだ。花嫁をもらう時のせりふを言ったり、もちろん音楽や踊りもあった。二人とも大学で民俗学を専攻していたから、きっと本格的なイベントだったであろう。
いかにして地域の特徴を生かし、自分達のものにするか。それを心から考え、実践してみせた。その影響力は大きいだろう。

そしてもう一つ、村のために貢献していることがある。
よそから隔離され農業に適しない環境のコーシュテレクでは、主な収入源は林業と牧畜業のみである。若者たちは村から離れることを余儀なくされている。
それで、考え付いたのはツーリズムである。
交通の不便は悪いが、その分未開発の自然の美しさ、何よりも村の人々のメンタリティー、伝統的な生活習慣は昔のままに残っている。それを生かして、村の人々に新たな生活の道が開けることになる。

私たちの滞在の間に、ちょうどハンガリーからの旅行者のグループがやってきた。今週の週末がちょうど、キリスト教の聖霊降臨祭にあたることから、チークセレダの隣村チークショムヨーで大掛かりなカトリックのミサが開かれる。トランシルヴァニアにおいて最も重要な巡礼地である。彼らは、それを目的にやってきた巡礼者たちである。

その旅行者たちは、このコーシュテレクの民家に泊まり、翌朝には徒歩でチークショムヨーを目指すという。ちなみにその距離はなんと25km! 子供づれの私たちにはとんでもない距離だ。これは巡礼という宗教的な儀式であるから、道が険しければ険しいほど、遠ければ遠いほどいいのかもしれない。

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この宿泊地についても直前まで決まらなかったようで、彼らは頭を痛めていた。まだ、村の人たちには新しい可能性を受け入れる準備ができていないようだ。

次の朝、村のカトリック教会でハンガリーの旅行者たちのためにミサが開かれた。
私たちも行ってみることにした。この村の神父さんは、モルドヴァ地方のチャーンゴー人である。以前遊びに行ったときには、ニコニコとやさしく微笑む、権威を感じさせない謙虚なおじいさんであった。ただ難点は、言語障害があるらしく言葉に何度も詰まって、話が聞き取りにくいことだった。これで村の住民の信頼は得られるのだろうか、ミサでは話が聞き取れるのか心配だったが、驚いたことに、ミサではすらすらと言葉が流れ、威厳あふれる神父さまだった。

ミサが終わると、民族衣装をまとったうら若き乙女二人と少年が立っていた。
男性は丈の長いシャツに帯を締め、女性は刺しゅうの鮮やかなチュニックに黒っぽい織りのまきスカート姿。ちらりと長いチュニックのすそを見せるのがポイントである。美しい刺しゅうがここにも。
チャーンゴーの衣装は、ルーマニアのそれにそっくりである。女性のブラウスのそでは膨らみ、ハンガリーのものに似ている。

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まず男の子がはっきりとした大きな声で詩を暗誦した。ペトゥーフィ・シャーンドルの長い詩を堂々とそらんじた。拍手が起こる。
一方で女の子たちは微笑んでいるだけなので、その内に見物客が「歌でも歌って。」と声をかけ出した。予想外のことに少し戸惑いの色を見せたが、少女たちはひそひそと相談を始め、やがて大きな声でチャーンゴーの民謡を歌った。しっかりとした歌声だった。きっとエーヴァかアンドラーシュの教え子たちだろう。

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彼ら次の世代の者たちは、この村の問題に新しい解決法を見出してくれるだろう。

アンドラーシュの作った、コーシュテレクの案内文はこのように綴られる。
“残念ながら、グローバル化の進む現代の社会の中で人々は自然から遠ざかり、健全なる人間関係も失われつつあります。コーシュテレクでは、この地理的に閉鎖しているために、この危険性は今のところまだありません。この地を訪れた人は、ふだん私たちが本や博物館の中でしか見ることのできないような伝統的で、原始的な文化に出会うことでしょう。なぜなら、この地の住民はまだ自然とともに毎日の生活を営んでいるからです。
旅行者の皆様は、村の住民と生活する内にきっとこの忘れ去られてしまった生活習慣を味わうことができるでしょう。・・・どうぞコーシュテレクにいらしてください。きっと後に再びこの村に帰りたくなることでしょう。“

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Theme:東欧
Genre:海外情報

comments(1)|trackback(0)|その他の地方の村|2008-05-14_06:31|page top

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こんにちは。
突然の訪問すみません。

通りがかったもので、コメントだけでもと思い
チラッと残させていただきました。
ブラブラしているので、またお邪魔するかもしれませんが、
その時はしっかりコメントさせていただきます。
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