トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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田舎に住もう!-トランシルバニアのカントリーライフ

二年前に偶然にも、村で土地を買うことになった。
私たちの住む町スフントゥゲオルゲから車で20分ほどのところにある、上ドボイという村だ。なぜそこに買うことになったかというと、ちょうどその村に家を買った友人の家に遊びに行ったときに、たまたま近所の土地が売りに出ていたからだ。

もちろん私たちは土地をそう簡単に買えるようなお金持ちではない。
土地の持ち主のおばあちゃんが一人暮らしで、子供たちは村に帰る意思もない。内の一人はハンガリーに移住するので、急にお金が必要だったのだろう。そういう訳でついた値段は、小さなほうが10万円、大きいほうが20万円だった。(値切った結果)
これくらいの値段なら・・・と思って、大きいほうを私が、小さいほうを旦那が買った。

当時でも破格の値段で、この額で土地を買ったことを話してもなかなか信じてもらえなかったほどである。そして「じゃあ土地の大きさは?」と聞かれても首をひねるしかなかった。何ヘクタールとか計ることもなければ、ただほんの何分か見ただけなのである。
それからまもなく日本に帰ったので、次にこの地を踏んだのは今年の3月になってであった。

そして今日、私はドボイの土地にやってきて三度目になる。
町から「美しい畑」と呼ばれる平野を南下していくと、やがてレーチと呼ばれる地元で有名な美しい湖に着く。さすがにまだ海水浴をする人はいなかったが、釣りをしている人が多く見えた。湖の向こう側は、白樺の林が美しいことで知られる場所だ。開いたばかりの若草色の葉が風でなびいていた。

レーチを越えてしばらく行くと、T字路が見えてきてそこから右に二つ目の村がそこである。遠目にはただの森のようであるが、よく見ると教会の尖塔や家の屋根がちらちらと顔を出している。山の斜面に面し森に隠れるようにしてあるのが、上ドボイである。

村に近づくと、大きなセーケイの門が出迎える。
村の入り口からはアスファルトは姿を消し、だんだんと山の斜面を登っていく形になる。中心のプロテスタント教会の前には並木があり、ベンチでは村の人たちが話している。先に馬の水のみ場が見えてきたら、左に曲がる。この突き当たり、ちょうど村の左上端にあたるところがバルニの家だ。

ここで車を止めて、友人を訪ねるとちょうど朝食の最中だった。
三月に来たときとうって変わり、まるで庭は彫刻の公園のよう。ふわふわとした黄緑のカーテンが庭を覆い、急な斜面の先あるまっすぐに伸びた杉の木の深い緑が対照的である。
仕事の途中の彫刻作品が、生きているオブジェとしてあちこちに立っている。

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この蛇がとぐろを巻いている石の彫刻は高校一年の時に作ったものだそう。

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バルニはブダペストの美術アカデミーを卒業後、故郷のトランシルヴァニアに戻ってきた。
大学を首席で卒業し、数々の賞もとっていた彼にとって、どんな国でも生活はできたはずだろう。良い職の話もあったそうだが、それよりも故郷で生活をすることを望んだと言う。そして、町よりも村の生活を選んだ。
都会の人の望む便利さというものが、いかに人の生活ばかりでなく、精神も変えてきたか。
どこまでも妥協を許さずに美を追求する姿勢が、彼のライフスタイルにもきちんと現れているようだ。
そしてこのドボイに家を購入し、一人暮らしをしている。引っ越してから3年ほどたち、もう村の人にも顔なじみのようだ。いつか自宅に世界中の彫刻家を呼んで、彫刻の森を作りたいと語っている。

今回私たちが村に来た目的は、小さいほうの土地に立っている小屋を修繕することであるバルニの家の隣の隣に、その小屋つきの土地がある。小屋の壁に向かって斧を振り下ろすと、真っ白いペンキとともに内側の土がボロボロと崩れ落ちた。そして中の木の枠組みが見えてくる。斧は意外に重いので、私は畑を作るためにスコップで土を耕すことにした。

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息子は、耕した土の中からつやつやと光るミミズなどを見つけて嬉しそう。バケツに集めて土をかけ、住まいを作っていた。日本でポピュラーなダンゴムシはいないらしい。息子のお気に入りの虫だったのだが・・・。

すると「この壁はもうだめだ。」と後ろで話す声。壁の柱には、ありの巣ができているようだ。では、この小屋は壊してしまうことになるのだろうか。
「納屋か家をどこからか持ってきたほうがいい。」と旦那。「ジメシュでは、丈夫な木の家が安いらしい。ハンガリーにも持っていくというから。」と話す。では、売りに出ている家をまたジメシュで探さないといけない。結局作業はこれまで。

私たちは、その間にも可愛らしい野の花を発見しては摘んでいた。
湿気の多い土地らしく、「カエルの花」と呼ばれる花が咲いている。花びらは光沢のある黄色である。まるでプラスティックか何かできているかのよう。

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こんな不思議な形の花も発見。深い紫のような茶色のような色合い・・・そして繊細なおしべや花びら、どれもが一級の芸術品。

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昼時になったので、持ってきた野菜を洗いに井戸へ向かう。
この井戸は、この付近ならではのゲーメシュクートといわれるものだ。巨大なモニュメントのような迫力がある。普通の井戸ならいけるが、これは初体験である。てこの原理で動くのだろうが、この木の腕はなかなか上に上がってくれない。

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私が井戸のそばで考え込んでいると、先ほど道具を貸してくれたおじさんがやってきて、軽々と木の腕のさきにあるバケツを持ち上げてくれた。冷たい水が手に注がれる。私は野菜を洗い終えると、「つい先ほどまで仕事をしていたので、水を汲んで持って行きたい。」と告げる。おじさんは、快くペットボトルとコップを持ってきてくれた。いい人だ。
セントジュルジにも家があるという。そして偶然にもうちの近くだったので、「村でも町でもお隣さんですね。」と言って笑った。

急斜面には、前回取り付けた階段がついていた。高さは2メートルほどある。
その先は、高い場所で日当たりもよく眺めも最高。車も通らないので、聞こえてくるのは家畜の声か鳥の鳴き声である。ここで昼休み。パンに肉のパテを塗って、簡単な食事となった。

以前に植えた木が気になるので、一軒はさんで隣にある大きな土地の方へ行ってみる。先ほどよりもずっと日当たりが良くて、広々とした土地だ。小さな倉庫がおまけについている。

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庭の右すみに植えた、杏の木やビルシュアルマ(かりんのような果物)の木から小さな芽が生えていた。旦那は大喜び。

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私は、一人で上へ上へと登る。
緑の芝は心地よく、プルーンの木々が心地よい日陰を作ってくれる。その枝の間を通り抜けていくと、だんだんと視界が開けて遠くの村までがうっすらと浮き上がってきた。
なんて素晴らしい眺め。この辺りが村の中で一番高いとこだ。もうここは村のはずれである。

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しかし、この美しい景色には代償がある。私の庭の右端に倒れている木が一本・・・これ実はクマの仕業なのだ。
そう、ドボイの周辺にはクマが生息している。秋の実りの季節になると、村に下りてきてはこのように果実を食べに来るそうだ。
バルニの家の前の持ち主も、村にクマが出ることを聞いて、すぐに売りに出したという。

ただ、ブラウンベアーはヨーロッパでもだんだん数が減っているらしい。確かルーマニアが一番多かったと思う。そのため、クマを攻撃することは禁じられている・・・。でも身を守るためにも、武器を取ってはいけないのか。
昨年、村の子供がクマに殺された。自転車で突っ込んだところにたまたまクマがいたからだというが、それにしてもひどい話だ。親の身にもなってみたら、どうしてクマの保護など言っていられるだろうか。

もちろん、私もこの美しい村を気に入っている。
ただ(村が北むきなので)冬が寒いことと、クマのこと、そして子供の教育のことが引っかかる。村には学校がないので、隣村のナジ・ボロシュニョーへ行かないといけない。そこは村の人口のほとんどがジプシー系で、この土地の人々も敬遠している。教育水準はいうまでもなく、高くない。

村にも良い面と悪い面があるのは仕方がない。そこで平日は町で生活をして、週末になると村へ帰ってのんびりとする。そういう別荘感覚のライフスタイルを選ぶ人が多い。
とりあえず私たちもこの「いいとこ取り」の生活をするべく、まずは家探しである。
















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Theme:東欧
Genre:海外情報

comments(2)|trackback(0)|セーケイ地方の村|2008-05-19_04:19|page top

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こっそり
ホームページに注目ブログとして、
紹介されていたのでクリックしてみました。

と~ってもカワイイ、ステキなブログですね。


ありがとうございます!!
これからもトランシルヴァニアの魅力をたくさん紹介しますね★

また遊びにお越しください。
ぜひトランシルヴァニアにも・・・。