トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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平松のぬしさま

心のどこかで求めていた風景に、
ふとした偶然から行きつくことができる、
そんな経験をした。

小さなときからのくせで
ずっと「智恵子姉さん」と呼ぶ親戚の人がいる。
関東に住んでいたときから、
彼女の暮らす場所はどこかおとぎ話の世界のようだった。
茨城の牧場や、八ヶ岳の森のそばなど、
大自然のなかで広々とした庭をもち、いつもたくさんの猫を飼っていた。

宮崎駿の「となりのトトロ」やますむらひろしの「アタゴオル玉手箱」など、
いち早くファンタジーものの情報をさずけてくれたのは
読書好きの彼女だった。

ある日なにかのついでで車で出かけた時に、
「ねえ、ちょっとだけ寄り道してもいい?」
そういうと、車は細い山道へと入っていった。
道は、やがて彼女の父親が生まれた平松へとたどり着いた。

この集落の八幡神社はクスの大木で有名である。
息子が小さかったころ、
同じようにここへ連れてきてもらったことがあった。
どこか心の中で引っかかっていて、
行きたいと思いつつずっと来ることのできなかった場所。

sakura 040

わくわくと胸が高まるのを抑えつつ、
まず神社でお祈りをする。
ここちよい春の日差しがこぼれ日となって降りそそぐ。
空気がなんともすがすがしい。

sakura 015

太く力強い幹を、ほれぼれと見上げる。
長く生きてきた樹木だけがもつ、霊力ともいえるような
パワーがみなぎっている。

sakura 021

時に木は、人の肉体を感じさせる。
その見事な腕はどこまでも続き、
今にも天をその手に収めんとするがごとく伸びている。

sakura 022

私たちの祖先は、
長寿の象徴でもある木に深い畏怖をいだき、
古くから崇め祀ってきた。
大陸から仏教が伝わってきた後も、
その新しい宗教を土着の信仰と融合させながら守りつづけてきた。

sakura 016

彼女が贈ってくれた本に、「トガリ山のぼうけん」というものがある。
息子が大好きな物語だが、
その中で森の動物たちが「ぬしさま」の話をする。
何か悩みがあったときに、森の動物たちが相談事をする
長老のようなものだ。
その正体があらわれると、長寿の大木だった。

sakura 034

宮崎のこの辺りによく見られる、自然石がある。
四つ角などに立てられ、
中には「二十三夜」や「月天子」と文字が彫られているものもある。
かつて、「月待ち講」が盛んであった名残だ。
私の曾祖母の時代には、
二十三夜の日になると村の人たちが集まって夜遅くまで
飲み食いをして宴会をする。
それは、腹の中にいる虫が天に昇って
その主人の悪い行いを告げ口しないように見張るためだという。
庚申信仰といわれるもの。

sakura 025

私たちの祖先は、
こうした自然石にいったい何の姿を見出したのだろう。
クスの大木の根元に、さまざまな信仰の姿がより集められている。
子供を身ごもる女性のような像。

sakura 030

平松は、宮崎市にありながら秘境を感じさせる。
山道をすすむと、今度は桜の名所の垂水公園へとついた。
桜をながめていると、
どうしてこころが晴れ晴れとしてくるのだろう。
その優雅な立ち姿は、他の樹木とはまた一味違っている。

sakura 049

もっと形に華があるものはあるし、
色が鮮やかなものもあるのにもかかわらず、
私たち日本人はいつも桜を特別なものとしてきた。

sakura 044

つぼみになると、いつ咲くだろうかとこころを躍らせ、
花がひらくと、もう花の移ろい散りゆくの思い病む。
花はたった一週間ほどの命であるといわれる。
たった一週間のその旬を楽しむがために、これだけの数の桜を植えてしまう。
日本人の桜の花を愛する心のなんと深いこと。

sakura 047

日本の春はうつくしい。
今回の里帰りでは、
いつになくその思いを強くした。

sakura 053
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Theme:史跡・神社・仏閣
Genre:写真

comments(0)|trackback(0)|その他|2012-05-13_03:34|page top

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