トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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村がダイヤモンド色に染まった日

どんよりと重たい雲が空を支配し、
時折つめたい雨を降らせる。
なかなか冬へと移行しない、寂しい晩秋の日々が続いた。

ある日、ねずみ色の空から降るものがきらりと光るのに気がついた。
雪だろうか。
スキースーツに娘を包むと、雪だるまのようになった。
やっとのことで着替えをさせて、表へと飛び出す。
厚いガラスのドアを開けて、
耳に入ってきた音がいつもの雪とは少し違う。
地面に落ちているのは、白い塊ではなく、
透明に光る氷の粒だった。

みぞれのようだ。
指の先で、その塊に触れてみる。
小さなザラメ砂糖が、次から次へと降ってくるみたいだ。
その珍しい光景をしばらく楽しんで家に帰った。



翌日の朝、外は見るものすべてが凍りついた。
はだかの木の枝も、道路や車も、草も・・。
それは、まるで壊れやすいガラス細工のようだった。
つるつるとした木の枝に触れてみると、
厚い氷の中でしっかりとした植物の手ごたえがした。
普段見慣れた景色も、氷の魔法にかかって
これまで見たこともない表情を見せていた。

IMG_8790.jpg

週末は、村の友人の家に行く約束をしていたので、
後ろ髪引かれる思いで駅の方へ向かう。
二人の子どもたちとローカル列車に乗ること、
わずか10分で村の駅についた。
プラットホームは雪で真っ白。
町よりも、雪が多く降ったらしい。

IMG_8794.jpg

家族ぐるみの付き合いをしているブラ-ガ一家は、
9回目の引越しをこの秋に済ませたところだった。
紆余曲折あって、ようやく望みの場所に落ち着いたのだ。
内装はまだ未完成のようだが、
丸テーブルを囲んで家族が団らんする様子を見ているだけで心が和む。
夏の終わりにここを訪ねた時は、
壁はコンクリートがむき出しで空っぽだった。
「少しずつ整えていくしかないわ。」と、いつもマイペースのエンツィは微笑む。
生活をしながら、少しずつ家を作っていく。
いかにも彼ららしいやり方だと思った。

昼食の後で、子どもたちを庭に連れ出した。
スキースーツで雪だるまのように膨らんでいるから、
万が一そりから落ちても大丈夫。

IMG_8868.jpg

庭には、リンゴやクルミなどの木のトンネルが続いている。
みぞれに打たれた側だけが氷の厚い膜で覆われ、さらに粉雪がふりかけてある。

IMG_8836.jpg

林の向こう側は景色が開けて、左手に森が見渡せる空き地。
右手の遠くには、山々が真っ白な雪をかぶっている。
土地の終わりに柵があって、そこを越えると先はリンゴ園が広がっている。
春になれば、色とりどりの野の花が咲き乱れるだろう。

IMG_8881.jpg

子どもたちに昼寝をさせてから、
3家族で森に散歩に出かけることになった。
村は山手の方まで続いていて、村のはずれがすぐ森である。
突然、耳に心地よく鈴の音が飛び込んできた。
羊飼いと羊の群れだ。
こんな雪ばかりの時でも、放牧に出かけるのだろうか。

IMG_8851.jpg

6人の大人と8人の子どもたちが、
小さな小川を飛び越えて、凍った道を進んでゆく。

IMG_8919.jpg

通り沿いのさまざまな植物が凍っている様子を見ているだけで楽しい。
門には無数のつららが垂れ、
透明の氷は木々を煌めかせている。

IMG_8923.jpg

ローズヒップの赤い実も、氷漬けになった。

IMG_8856.jpg

苔むした枝も、

IMG_8879.jpg

秋の名残をのこした黄色い葉も、

IMG_8933.jpg

夏には紫の花を咲かせたアザミも、

IMG_8935.jpg

次の春を待つ木の芽も、
厚い氷の中に封印されているかのようだ。

IMG_8950.jpg

急な坂道をのぼり、森の入り口が見えてきたとき、
ひとりまたひとりと脱落者が出はじめた。
先ほどより、木々に張りついた氷の膜も厚く、そして透明度を増している。
「ダイヤモンドの森だ。」とそのとき、誰かが口にした。
私たちはまるでおとぎ話の、魔法使いのいる森の中に迷いこんだようだ。
太陽の光なくとも、きらきらと明るく輝く、
氷と雪の魔法をこの目で見てしまった。
その魔法は永遠ではないことは知っている。
だからこそ、美しいのだ。

子どもたちが、小さな雪だるまを作った。
一人が目を、別の一人が口を、そして髪の毛を。
しばらく眺めてから、茶色く枯れたハコベを頭につけた。

IMG_9016.jpg

森の妖精のような、雪ウサギのようなものができた。
子どもたちの無垢な心が生み出した妖精も、
雪と氷の魔法がつづく限り、家の前に立っているはずだ。
明日の朝、目覚めたら一番に確かめてみよう。

IMG_9010.jpg
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comments(4)|trackback(0)|自然、動物|2014-12-13_01:41|page top

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No title
雪だるま状態になった子供さん、可愛いですね~~。
本当にダイヤモンドの森! きれいです!
毎年思うのですが、聖子さんの冬の写真 とってもきれいです。
凍り付いた木々や草、窓の氷の絵のような柄。
おそらく氷点下の気温の中、よく外に散歩に出られますね。
ヨ^ロッパではそんな方々が多いと聞いています。
日本だと なぜか室内に籠ってしまうんですよね。(笑)
Re: No title
霧のまちさん、日本も寒波のため各地でおお雪が降っているそうですね。
子どもたちは小さいころからスキースーツを着せられています。
何枚も重ね着をして、雪だるまのように膨らみます。
寒くはないのですが、動きづらそうですね。

冬の風景は、南の方で生まれ育った私には新鮮です。
写真だと青みがかかり寂しいように見えますが、実際には真っ白なので
雪のない風景よりずっと明るく見えます。

こちらも室内にこもる人は多いですよ。
若い人や子連れの家族は雪が降ると、すぐ遊びに出ますけれど。
凄く寒そうに見えますが、実は-1,2度くらいなんです。
雪が降るのは割りと温かい時で、
本格的に寒くなると(-10度以下)雪は降りません。

もうすぐクリスマスですが、雪は全部溶けてしまいました。
やはり冬は雪がないと寂しいですね。
素敵、素敵‼︎‼︎
なんと美しいのでしょう。
木の葉っぱや実が氷に包まれてるなんて、、
子どもさんたちも可愛らしいこと。
いつも素晴らしい風景の写真をありがとうございます。
厳しい寒さでもあると思いますが、みなさん、元気にお過ごしくださいね。
Re: タイトルなし
愛さん、どうもありがとうございます!
これまでの雪景色の中でも、一番美しかったと思います。
大人は寒いのが嫌いですが、
子どもは寒さ以上に雪や氷に楽しみを見出すのでしょうね。
私もこの時ばかりは子供のように夢中になりました。

素敵なクリスマスカードをどうもありがとうございます!
ゆっくりお返事しようと思っていたら、もうクリスマスがやってきます。
そちらも例年以上に冷え込む冬となりそうですが、
どうか温かくしてお体をお大事になさってくださいね。
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