トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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秋の夜とかぼちゃのランプ

子どもは、知らず知らずのうちに親の手を離れていくものかもしれない。

長男は家で過ごすより学校の時間が長くなり、
帰ってきても近所の友達の呼びかけで外に出ることが多くなった。
暗くなってもなかなか帰ってこないので、
散歩がてら下の子ふたりを連れて表に出ることにした。

アパートの扉を開けてみると、
10月とは思えないほどの暖かな空気が体を包み込んだ。
夕暮れどきの道を歩いて、公園の方に向かって歩いていくと、
どこからともなく賑やかな子どもたちの笑い声が聞こえてくる。

7,8人くらいの子どものグループがアパートの下の芝生に輪になって腰かけて、
楽しそうに遊んでいた。
子供の頃に遊んだ、ハンカチ落としの遊びに似ているようだ。
一人の子どもが輪の外を回りながら、ふと誰かの方をたたき、
たたかれた子どもがその子を追いかけ捕まえる。
無邪気に笑い戯れる長男を見ていると、あたかも幼稚園時代に戻ったかのようだった。
同い年の11歳の子もいれば、中には幼稚園生くらいのちいさな子までいる。

まるで夏の夜の、それも町ではなく、
どこかの村で過ごす夏休みのような夜だった。
すでに日は沈み、もうすぐ夕闇が迫ってくるのだが、
その姿をいつまでも見ていたい気持ちでいた。
すると、隣で旦那がつぶやいた。
「かぼちゃを持ってきて、ここでランプを作ろうか。」

子どもたちに提案をしてみると、
案の定、飛び上がらんばかりに喜んだ。
アパートに走って、旦那が8キロくらいはある大きなかぼちゃと
ナイフ、マッチとロウソクを持ってくる。
かぼちゃの頭のところを切って、
「種を取るのを手伝ってくれる?」と聞くと、
みんなが嫌な顔ひとつせず手を突っこんで、種をかき出してくれる。

今度は、「誰か、顔を彫りたい人いる?」というと、
一斉に手をあげて、「私は目!」、「僕は鼻!」と主張する。
よく考えてみると、かぼちゃが予想以上に硬かったので
子供の手にナイフを渡すことをためらった。
旦那が器用に、三角形の目と鼻、
ギザギザに長くのびた口をナイフで切り抜くのを皆でじっと眺めていた。

いよいよ、なかにロウソクを入れる時がきた。
群青色の闇に包まれ、アパートの周りはすでに電灯が点っていた。
かぼちゃの顔に明かりが灯ると、
子供たちの間からどっと歓声がわき起こった。
町の明かりの中では、そんなに明るい光ではない。
それでも、目や鼻、口からこぼれ出るオレンジ色の明かりを眺めていると、
秋の夜にふさわしい情緒を感じられる。

しばらくの間、その明かりに吸い寄せられるように眺めてから、
私たちは解散した。
自分の子どもが幼いこと、無邪気なことに安心し、
そしてこれほど誇らしいと思ったことはなかった。

無理して肩肘はって、大人にならなくていい。
今のうちに、子どもでいることを存分に楽しんでほしい。
大人にならなければならない時は、すぐにやってくるのだから。




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comments(4)|trackback(0)|ルーマニアの育児|2015-11-09_06:07|page top

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非公開コメント

ハロウィン
かぼちゃのランプは、ハロウィンですね。
日本では、近年ハロウィンが、異常な盛り上がりを見せています。 若者が大騒ぎしたり、家族親子で行うイベントらしく、本来の農業祭なんて、知らなーい!と、言ったところです。
こんな日本の、お祭り騒ぎとは違った、子供たちの純粋な喜びは、心和みますね。そんな魅力がルーマニアだと思います。個人旅行でルーマニアに行った方々のコメントを聞くと、みんな村や町の人々の、純粋さに感動しているのが分かります。 ルーマニアは、ずーっとそんな国でいてほしいです。

私は北スペインの旅行を終えて、旅の疲れも取れてのんびりしています。 スペインは、マドリッドやトレドといった町しか行ったことが無かったのですが、今回の、カンタブリア、バスク、といった田舎は、これまで知っているスペインとはまた違っていて、とても良かったです。
わがやは、どこに行っても、やっぱり田舎が好きなんだと、夫婦で笑っています。
No title
本当にそう思いますよ。 子供の時代を精一杯楽しんで欲しいこと。
それが豊かな大人になる事に結びつきます。
カボチャをくりぬいてランタンを作るって素晴らしいアイディアでしたね。
くり抜いた穴から漏れてくるオレンジの輝き、素敵です。
Re: ハロウィン
Kiyaさま、お帰りなさい。
スペインのバスク地方のご旅行、充実していたようでうれしいです。
日本の友人がサンティアゴの巡礼の旅に行きましたが、
田舎風景がルーマニアのそれとよく似てるといっていました。
いつか、旅のお話をゆっくり伺いたいです。

こちらでするかぼちゃのランプは、ハロウィーンの影響もあるのでしょうか。
11月1日の死者の日ともかかわりがあるのかもしれませんね。
ルーマニアらしい純粋さを、大人も子どもも持っていてほしいというのは同感です。

南九州の実家のあたりでは、10月15日に一五夜さまといって
家の軒先にお菓子を置いて、子どもたちが食べにくる習慣がまだありますが、
そういう古い習慣を大切にしていってほしいですね。
Re: No title
霧のまちさん、私もそう思います。
子ども時代は早く大人になりたいと思うものかもしれませんが、
長く子どもらしさを楽しんでいてほしいです。
秋の風物詩カボチャをくりぬいたランプ、
こういう単純な遊びでも子供たちは目を輝かせてくれる。
いつまでも、そういう心を持っていてほしいものです。