トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

09 ≪│2017/10│≫ 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

トランシルヴァニアに家を建てる(1)

これから私たちは、二年前にトランシルヴァニアの村フェルドボイに買った土地に家を建てなければならない。
いわゆる別荘であるが・・・ここ東欧諸国では、別荘というものは別にお金持ちでなくても
普通に誰でも持っているものである。ただし、家は自分たちで建てるが基本。まさにDO IT YOURSELFである。

その日は、朝早くに家を出発した。
車の中からの景色は、毎回違った表情を見せてくれる。
6月中旬の「美しい畑」(この周辺の平野の名前)には、紫がかったピンクと白のジャガイモのお花が一面に咲き乱れていた。
皮の赤いじゃがいもは紫ピンクの花、普通のジャガイモは白い花の花が咲くそう。

falubn 008


おばあちゃんの家に着くと、犬たちがお出迎え。

falubn 007


そして、すぐに裏の畑に直行。
ジャガイモの成長がが気になる。よそよりも気温が低いといわれるツォーファルバでは、ジャガイモの育ちはあまりよくなかった・・・がちゃんと花が咲いている。

私は最近、このジャガイモにつく害虫「ジャガイモ虫」を駆除することに生きがいを感じている。
注意深く、ジャガイモの葉っぱを観察すると・・・いるいる。
あの白と黒のストライプ模様をした派手な虫が。
しかし手にとって見ると、なんだか元気がない。どれもこれも虫の息である。

きっと農薬をまいたに違いない。
せっかく意気込んでバケツも持ってきたのに、ふっと肩の力が抜けた。
つまらなそうにブラブラしている私に「仕事はまだこれから。ドボイで家を壊さないといけないから。」
と旦那が声をかける。

まもなく私たちは車に乗り込み、ドボイを目指した。
ツォーファルバからは、二番目の村である。車でおよそ10分ほど。

遠くから見ると、森にすっぽりと埋まっているように見える。
これがドボイである。

falubn 014


村の北側には、なだらかな線を描いた丘が4つ続けて横たわる。
ここで走り回る息子の姿を思い描きながら、これから始まるであろうこの村での生活を思い浮かべると、胸がワクワクする。

村の入り口の大きな木の門をくぐり、舗装のない道をひたすらに上へ上へと登っていく。
私たちの土地は村の上のはずれのほうにある。
車から降りて、小さいほうの土地へ。
以前、旦那が買った材木がネコの額ほどの土地に積み上げられていた。

falubn 017


これは先週、隣村のザーゴンにある民家から持ってきたもの。
家畜小屋として建てられたものを壊した材木を、三台の馬車でニ往復してやっとのことでここまで運んだらしい。
本当は私も同行して馬車に乗りたかったのだが、邪魔になるということで遠慮した。

そして今日の仕事は、この小屋の屋根をはずすことである。
まず旦那が屋根裏に上り、瓦をはずしていく。それを私が受け取り、おじさんのところへ運ぶ。
受け取ったおじさんは、その瓦をきれいに並べる・・・という具合。

ヨーロッパの手作りの家は、見たところ簡単なつくりのようだ。
驚いたのは、瓦は手で簡単にはずせるということ。裏を返すと、出っ張りのようなものが一箇所ついていて、ただそれだけが瓦を屋根にくっつけているのである。地震の多い日本では、とてもじゃないが考えられないつくりである。

falubn 031


だから作業も三人がかりでうまくはかどった。
私も鉄の瓦を一度に4枚運んだ。
これでも力には自身がある。根性もあるほうだ。
そして、半分ほど瓦をはずしたところでお昼休みになる。

息子はその間何をしていたかというと、庭に咲く花を摘んだり、カタツムリ採集に夢中であった。ほら、この喜びよう。田舎では、子供をほったらかしでいいので安心である。

falubn 021


井戸から冷たい水を運んできて、土地の上のほうへ行ってお昼ごはん。
この土地は上の部分と下の部分に分けられ、真ん中は崖になっている。
下は大きいくるみの木が日陰を作り、上の方は手付かずの美しい芝生となっていて、日当たりも良好。優しいうす紫色の「鐘の花」が風に揺れている。

falubn 027


食事はパンとパテだけの粗末なものだが、何よりも風景がご馳走。
「以前春に来たときには、ここで杉の木が風に揺れてざわざわと音を立てていた。その音しか聞こえなかったんだ。」と旦那。彼もここが気に入っている。

さて、昼食の後で再び作業開始。
向こう側はレンガの瓦でできていて、劣化は激しいようだ。瓦の表面には、1979年という年号が刻まれる。約30年、この家を守ってきたのだ。

特に、劣化の激しいのはモミの木の下。
どうして?と考えても、南国育ちの私にはピンとこなかった。
するとおじさんが「モミの木に積もった雪が落ちてきたからだ。」と教えてくれる。
このドボイの冬の厳しさが、どれほどのものか・・・考えるだけでも恐ろしい。

やがて、屋根からは完全に瓦が取り払われた。
あとは屋根の骨組みだけである。珍しく早起きをした私は、もう疲れきっていたので、後は男性たちに任せることにした。

falubn 033


息子を連れて、大きいほうの土地へと向かう。
先ほどいたところから、ひとつ家をはさんで隣がそうだ。
日当たりがよく、羊に草を食べてもらったので、芝刈りをしたあとのようにきれいにさっぱりとしている。
やっぱり、私は断然こちらが好きだ。

falubn 040


どんどん斜面を上に上がると、景色が開けてくる。
やがて教会のとんがり屋根、村へと続く道や遠くの村々が薄いもやの中で見え始めた。

falubn 042


これが、自分たちのものだなんていまだに信じられない。
まだ数えるほどしか、この土地にきたことがないから当然だ。
実際お金で買ったのだけれど、この素敵な場所は誰かからの贈り物のように思えてならない。
こんな気持ちをずっと大切にしたいと思う。

戻ってみると、こんな風に家の半分はすっかりと姿を消していた。
今日の仕事はこれまで。

falubn 051


falubn 052


初夏の天気は変わりやすい。
毎日のように、不意に雨雲がやってきては、夕立のように冷たい雨が降り注ぐ。
おばあちゃんの村につくころには、ゴロゴロと雷の音も聞こえてきた。

雨が洗った後の村の道路。
首に鈴をつけた、茶色と白のジャージー牛たちが、野原から家に帰ってきたようだ。
私と息子は、道路の脇で牛の群れを見守る。

falubn 057


そのゆったりとした歩みは、後ろに車が待っていようが変わらない。
車よりも牛優先。こんなところが、まだまだトランシルヴァニアのよさである。
ずっとこれからも、こんな姿が見られるといい。

後ろでは、私のカメラの存在に気づいてか、牛使いの男性が勢いよく鞭を道路にたたきつけていた。

falubn 058


falubn 061











スポンサーサイト

Theme:東欧
Genre:海外情報

comments(6)|trackback(0)|村に家を建てる|2008-06-22_06:19|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント

こんにちわ
がんばって 前にすすんでください。
楽しみにしています。
ありがとう、お母さん。

ぜひこの風景を見せてあげたいです。
はじめまして。mixiでうろうろしている時に、Tulipanさんのブログに出会いました。もう10年ほど前ですが、4年ほどブダペストに住んでいて、その時からトランシルヴァニア地方は、訪れてみたいところでした。まだ叶いませんが・・・素敵な写真がたくさんですね。これからも時々寄らせてくださいね。
はじめまして、JYさん。
MIXIからはるばるお越しいただいて、ありがとうございます。

4年もブダペストに住んでいらしたのですが。私も学生時代に二回留学したので、通算2年半すんでいました。

トランシルヴァニアへ、ぜひ一度お越しください。ハンガリーよりも、よりハンガリーらしさが残っている所だと思います。
緑について
昔から、よりどり緑というように緑の
多さから生まれたそうです。
為になる格言をありがとうございます。
やっぱり、緑は奥が深い色なのですね。

ショップの特集の名前を、これにすればよかった・・・。