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トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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「ひらけた眼で」

2月の終わりに、
私たちはクルージの町にいた。
今から20年以上前、大学生として
この土地を踏んで以来、私にとってここがトランシルヴァニアの門だった。
バベシュ・ボヤイ大学に編入し、
旦那と知り合ったのもこの町だった。
あれから、町は国際化、巨大化が進み、
学生時代の面影を残すのはわずかに旧市街しかない。

「ひらけた眼で」と呼ばれる、講演のシリーズがある。
世界各地で様々な経験をした人が、その個人的経験を語るというものだ。
90年からルーマニアも世界へ門を開いてから、
2000年代にはEUにも加盟し、
クルージには国際空港もできて、
世界を股にかける人も後を絶えない。
ユーラシア大陸、アフリカ、アメリカ、
さまざまな土地へ目的をもって赴いたトランシルヴァニアのハンガリー人が、
その経験を分かち合うというものだ。

友人のデメテル夫妻も、昨年の夏にこの場に呼ばれて、
ロシアのウドムルト共和国での日々や
昨年、町のダンスグループの学生たちとともに
ハンガリー人の遠い親戚であるといわれるウドムルトの地を訪れた経験を物語った。

司会役は、ラツコー・ヴァシュ・ローベルト。
友人によると、もともと劇団俳優の彼は
オペラ歌手としてもデビューし、
さては詩までも書くという多彩な才能の持ち主。
彼自身も、世界各国を訪れる国際人でもある。

彼が口を開くと、
とたんにその場はトークショーの空間へと早変わりする。
「皆さん、日本語が話せる人は少ないでしょうが、
日本発祥の言葉はたくさん知っているはずです。
アニメ、スシ、オリガミ、カラオケ、トヨタ、ヤマハ、スバル・・・。
スバルって、何を意味するか知っていますか?」
このように、遠く離れた国や文化をあっという間に
手の届く場所にもってきてしまう。
やがて、拍手に包まれて席についた。


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私がこの美しい記念館に初めて足を踏み入れたのは、昨年の秋だった。
ピアニストである友人が、ピアノのコンサートに誘ってくれ、
彼女の恩師であった、ジャルコシュ・マーニ・アルベルトについて話してくれた。
音楽教師でありながら、
シクやカロタセグなどフォークアートをテーマに絵を描いたという人物。
19世紀末の雰囲気さえ感じられるような、
幻想的な絵画はカロタセグの古い刺繍や織物の色である
紺と赤が基調となっている。
さらに部屋の一角には、彼の集めたカロタセグの調度品がしつらえてある。
そして記念館の責任者コーシュ・カティは、
トランシルヴァニアの偉大な建築家、文学者、政治家であったコーシュ・カーロイの孫である。


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カロタセグで暮らす、
ピアニストのレーカと画家のレベンテの子供たちも
はるばる駆け付けてくれた。


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トランシルヴァニアとのかかわりから、
トランシルヴァニアの手仕事にどのように興味をもったか、
日本で家族で暮らした日々に、再び日本の美を再発見したこと、
フィールドワークにあたって村でどのように日本人を受け入れてくれたか、など
二つの文化を並行した様々な質問が飛び交った。


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講演の最後には、サプライズもあった。
記念館の主催者コーシュ・カティや
司会者ラツコーの俳句詩集が贈れらた後、
観衆の中にいたシンコー・カタリンがカロタセグの教会の写真集を贈ってくれたのだった。
彼女は、80年代にイーラーショシュの図案集を収集した、村出身の民俗研究者。
かれこれ、7年ほど会っていなかった。


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風邪と長旅の疲れで頭はよく働かなかったが、
人々の温かな雰囲気に包まれて、1時間半が過ぎた。
クルージの町はすでにハンガリー多数の町ではなくなってしまったが、
その文化的生活は人々の努力によって支えられている。
今でも、ハンガリー人にとってトランシルヴァニアの中心地であることを再認識した。
こうして忘れられない夜は、幕を下ろした。


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