FC2ブログ

トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

08 ≪│2020/09│≫ 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

中島敦

7BookCoverChallenge  第6日目
中島敦(なかじまあつし) 1909-1942 筑摩書房

漢学者の家系に生まれた中島は、豊かな教養と格調高い文章で知られる。
ここに収められている小作品の数々は、古代中国のみならず、
オリエント地方や彼が晩年に赴任した南方パラオ島に着想を得たものなど、幅広い。

古代アッシリアを舞台にした「文字禍」という作品がある。
古代社会で文字を知ることによって、生まれる弊害に翻弄される人々が
ユーモアを混ぜて書き綴られている短編である。

「文字の無かった昔、歓びも智慧もみんな直接に人間の中にはいって来た。
今は文字のヴェイルをかぶった歓びの影と智慧の影としか我々は知らない。」

私たち大人が文字の力に頼ることの多いことに気が付いたのは、長男が幼稚園生の時だった。
日本のわらべ歌を教えにいったのだが、
幼稚園の先生は文字に書かないと日本語の歌詞が覚えられないのに対して、
まだ文字を知らない子供たちはいともたやすく耳から入ってくる日本語をインプットしたのだった。
6歳の長女はまだ文字を多くは知らない。
絵でどんなことも記号化して、彼女なりの思考で記録している。

中島がパラオの見聞した、または実体験の出来事を題材にした南方ものの作品も興味深い。
「夫婦」という作品の中では、痴情にからむ女同士の喧嘩(ヘルリス)について言及している。
村人が監視する中で、戦いを繰り広げる。
それも衣服が裂けて、ついに立てなくなって勝敗が決する。
勝者は村人から祝福を受け、正しき者との判断も下されるというのだ。
この話の中では、腕っぷしが強く、浮気者、しかし焼きもち焼きというどうしようもない妻と、
気の弱い彼女の夫、その恋人となった美しく、若く、強い女性との三角関係が
ユーモアたっぷりに描かれている。

「マリアン」では、中島と友人の人類学者、土方久功(ひじかたひさかつ)、
そして日本語、英語に堪能なパラオ人のインテリ女性マリアンとの交流が語られる。
ミクロネシア系の特徴をもつマリアンの中に美を見つける筆者の感性も素敵であるし、
彼女を通じて当時のパラオの風土や習慣がよくわかる。

池澤夏樹氏の論評のところで、一般に作家は性格の悪い人が多く、
親しく付き合いたい人間は少ないが、中島となら一緒に南の島々を回ってみたかった、
というのが印象深かった。
「山月記」しか知らない方々には、この南方の作品群に著者の意外性を発見することだろう。
ちくま日本文学シリーズは選出も良好で、装丁も美しく文字も読みやすいのでお勧め。
#7days #7bookcovers #7BookCoverChallenge

book6.jpg
スポンサーサイト



comments(0)|trackback(0)|その他|2020-05-14_13:50|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント