トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルヴァニアに家を建てる(3)

古い大きなたんすを積んだ車は、いつもとは逆方向から村に入った。
砂ぼこりの中を、村の入り口にある大きな門をくぐる。

Doboly 2 070


急傾斜で舗装なしの道をどんどん上へ上がって、友人宅の家の前で止まった。
家ができるまでの間、バルニの家でこの大きなたんすを預かってもらうためだ。
なんとも迷惑な話だ。

たんすを運んだ後は、やっと今日のメインである家作りにとりかかる。

計画変更-旦那からこの知らせを聞いたのは、昨日のことだ。
いまさらもう驚かないが、まだ知り合ったばかりの頃はよくこの予告なしの変更に振り回されたものだ。
この地の人々にとって計画というものは、当てにならないものである。

つまり私たちが二日がかりで取り壊した小屋の場所ではなく、
土地の反対側の日当たりのよいところに家を建てようというのだ。
第一に木を切らなくていいし、日当たりもよい。

すでにその場所には、板で区画がなされていた。
この板と板の間に60cmの溝を掘るのが、今日の仕事である。

Doboly 2 037


早速張り切って大きなスコップを片手に取り掛かろうとすると・・・
「ダメ、ダメ!」と留められる。
これは正確を要する仕事で、ただ単に穴を掘ればいいというのではないと説明される。

Doboly 2 039


邪魔者扱いをされた私は、大きな土地へ行って木を植えるようにといわれた。
それは友人宅で赤紫色の葉を茂らせていた、杏の木の苗であった。
大きなスコップと水いっぱいのバケツを持って、息子を連れてもうひとつの土地へと向かった。

粗末な門を開いて中に入る。
と近くで「メェー」という声が聞こえた。
声のするほうを見ると、ヒツジが4匹屋根裏の中で涼んでいた。
これがうちの庭の掃除やである。

Doboly 2 071


雑草を刈らなくても、全部きれいに食べてくれるから大助かり。
ただたまにヤマダニをつれてくる可能性もあるから、芝に座るときには注意が必要だ。

以前に旦那が植えた木に水をかける。
すると・・・
カサカサという音がして、隣の柵の辺りに小さな茶色い動物の姿。
リスである。
息子に注意を呼びかけ、私たちはじっと目を凝らしてこの小さな森の住人を観察した。

Doboly 2 073


リスはフワフワとした大きなしっぽを上下に揺らしながら、軽やかに庭を横切っていく。
息子が駆け寄ろうとしても、そう気にかける素振りも見せず、やがて隣の柵の下に隠れてしまった。

リスを捕まえたかった息子は残念そう。
私はスコップで土を掘って、さて息子に木を植えさせようと待っていた。
すると息子の手に木はなかった。
「どこにやったの?」と聞くと、首を振って「ママがたいきに持たせたからだよ。」と私のせいにした。

私たちが帰ってくると、溝堀り作業も順調にすすんでいるようだ。
私が「仕事がなくて暇だ」といい続けて、ようやく仕事があてがわれた。
スコップで穴を掘った後の土をさらうことだ。
この大きなスコップは結構な重さで、土を乗せるとさらに重くなる。
スコップの端に足をかけて土の山をすくい上げ、向こう側に放り投げる。

大変なのは、土に混じって石や木の根っこが混ざっていることだ。
固いものに突き当たると、スコップでは歯が立たないから、オノのようなもので砕かなくてはならない。

Doboly 2 043


気がつくと、カサカサになった手の平には赤く固いものができている。
そして指の先には、きらきらとしたラメのようなものが輝いているのが不思議だ。
これは石の中に含まれる鉱物のようで、昔は教会の窓を飾るのにも使われたという。

Doboly 2 044


半分仕事が片付いたところで、バルニが昼食ができたと呼びにきた。
料理をしていたのは、このためだったのだ。
私たちはありがたく、昼食を頂きに友人宅へむかった。

家には村のおじいさんも呼ばれていたらしく、一緒に昼食を食べる。
野菜のいっぱい入ったスープと、豚肉とジャガイモの煮込みをあっという間に空にした。
仕事の後で、そして新鮮な空気の中で食べる食事は最高に美味しい。

食事の合間に「ここは森のすぐ横だから鳥の声が美しい」と話すと、
村のおじさんは「朝早くに来ると、鳥たちの声が騒がしいほどだ。」と話してくれる。
森が鳥の声で騒がしい・・・どんな光景なのか見てみたい。

今日は来る途中で、コウノトリを100羽近くも見たことを話す。
するとおじさん「9月の中旬、コウノトリが渡っていくときに、ちょうどここの森に泊まるんだよ。」
そんな話を聞いていると興奮してくる。
さぞすばらしい眺めであろう。
コウノトリにすっかり夢中になったので、今年の秋にはぜひ見にこよう。

食事の後は、仕事を再開。
私は息子に昼寝をさせるため、友人宅にひとり残る。
やがて目覚めてからいってみると、もうすでに90%は出来上がっていた。

Doboly 2 056


通りでは、この前であった三つ編みのかわいいおばあちゃんが来ていた。
こんな風に村の人たちが立ち話をする光景がいい。

Doboly 2 053


みなに見送られて、ドボイの村を後にした。
私は半日労働だったので、手のひらにマメを作らずにはすんだ。
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Theme:東欧
Genre:海外情報

comments(0)|trackback(0)|村に家を建てる|2008-07-07_21:15|page top

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