トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

カテゴリー

FC2カウンター

カレンダー(月別)

02 ≪│2017/03│≫ 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

これまで書いた記事は・・・

全タイトルを表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Feed Me!

トランシルヴァニアへの扉  - Erdely kapuja-のRSSフィード

ブログ翻訳

セーケイ民族博物館

普段なかなか会うことのない友人と、久しぶりに会うことになった。
待ち合わせの場所は、セーケイ民族博物館。

最後にここに来たのは、セントジュルジ祭のルネサンス音楽のコンサートを聴きに来たときだから、もう大分たつ。

この博物館のある通りは、建築家の名をとってコーシュ・カーロイ通りと呼ばれる。
背の高いクリの並木通りで、厳かで静かな雰囲気がある。
私も町の中で一番好きな通りである。

セーケイの門と呼ばれる、丹精に彫られた木の門が出迎えてくれる。
もともと13世紀ごろに、ハンガリー王国の国境を守る兵士として移住してきた、セーケイ人の大切なアイデンティティである。
この門こそが他の民族とセーケイ人を区別させるシンボルであり、豊かさの象徴であった。
博物館の庭には、それぞれ模様、形の異なるセーケイの門がいくつか展示されている。

そして中に入ると、ここが博物館の入り口である。
印象的なとんがり屋根はコーシュがもっともよく用いたスタイルで、トランシルヴァニアの北部に多い木造教会からとったものだ。
当時流行していた、ハンガリーのジョルナイ工房のセラミックを屋根に用いている。
太陽の光を受けて、黄色と深緑がキラキラと輝く。
美しいばかりでなく、持ちがよく汚れないという機能性も兼ね備えているそう。

kos karoly3

さて入り口のドアに手をかけると、
ここでもコーシュ・スタイルの美しいドアノブが見られる。
細部まで、このこだわり方!
100年も前から使われていたドアノブをひねると、重い扉が開かれる。

kos karoly

展示室は一階と二階にある。
常設展では、セーケイ人の歴史。主に19世紀の自由戦争についての展示が一部屋。
自然科学、考古学、民俗学に関する展示がある。

二階に通じる階段の途中に、建築家コーシュ・カーロイの像がある。

sekelyi muzeum 009

20世紀はじめにヨーロッパ全土で流行したアール・ヌーヴォー様式の影響を受けながらも、コーシュの関心はハンガリーのフォークアートに向かった。
トランシルヴァニアのカロタセグ地方に住み、農村の建築を研究してこのスタイルに至ったといわれる。

私はコーシュの書いたものも大分読んだが、彼が素晴らしいのは建築家という枠を乗り越えて、トランシルヴァニアの文化的な象徴になったことである。建築家、イラストレーターであるとともに、歴史家、作家、政治家として、ハンガリー系トランシルヴァニア人の、まさに精神的な柱になった。

日本語で読めるのは、トランシルヴァニアの歴史を書いたもの。
本の後ろのほうには、コーシュのデザインする美しい版画が載っているので必見である。
トランシルヴァニアの有名な建造物や、村の風景が彼の独特のタッチでノスタルジックに描き出されている。

階段部分にも、フォークアートのモチーフであるチューリップと農民の姿。

kos karoly5

一階の展示室へと結ぶ柵。

sekelyi muzeum 097

常設展では、文字入りの刺繍のタペストリーの展示がされている。村の民家からそのまま持ってきたような、部屋の内装がよくできていて面白い。

sekelyi muzeum 012

falivego.jpg

sekelyi muzeum 014

ベッドの下にはこんなものが。
さて何でしょう?

sekelyi muzeum 017

答えは、おまるとネズミ捕り。

このタペストリーの面白いところは、民俗モチーフではなく、20世紀の都市化された時期に流行した独特のスタイルが図案化されていること。
女性と男性の恋愛がテーマになっていたり、キリスト教の教え、日常生活など・・・村の人々のユーモアや素朴な感性に触れることができる。

例えば、こちら。

「 焼いたり、煮たりは大変じゃない。
           もしも、お金が十分ならばね。 」

falvedo.jpg

本当に、現代の主婦も共感できる言葉。

思わず笑ってしまったのは、これ。

「 男らしくないのね、ベルツィ。
          私を抱くこともできやしない。 」

sekelyi muzeum 013

いかにも気の強そうなお嬢さんに、たじたじのベルツィ。

セーケイの博物館、お楽しみいただけたでしょうか?
セーケイ地方へ来られる際には、ぜひ覗いてみてほしい。
素晴らしい歴史的建造物と、地元色あふれる展示が待っているはずだ。

スポンサーサイト

Theme:東欧
Genre:海外情報

comments(6)|trackback(0)|文化、習慣|2008-07-22_06:59|page top

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

非公開コメント

博物館楽しめました♪
最後のは私も笑わせてもらったよ。

今まで布や土地や建物とか色々見てきたけど、繊細な部分と大胆な部分が上手く組み合ってるところが素敵だなぁって思いました。

いつか必ず行ってみたいと益々思うようになりました。
トランシルヴァニアの魅力がうまく伝えられたか分からないけれど、そういっていただけると嬉しいです♪

繊細な部分は貴族文化の影響でしょうね、そして大胆な部分はきっと農村文化・・・・トランシルヴァニアではその二つがうまく融合しているところが魅力だと思います。
こんな題材で刺しゅうをしようと思いつくところがお茶目です。
東ヨーロッパの人達って本当にユーモアにあふれていますね。といっても映画とウルルン滞在記で見ただけで勝手にそう思い込んでいるんですが、思わずクスッと笑ってしまうような言動が多いような気がしました。tulipanさんは実際そちらで生活をされていて、そう感じることはありますか??

あと、壁紙がきのこ(壁に直接書かれているんですかね)ですか?!可愛すぎます(笑)
あちゃー。きのこの壁紙のことを書こうとしたら先を越されていました。
見る人はみているということですね。
すごいです!
たったあれだけのキノコの絵なのに、気づいていただけるなんて!

もせてさんは、キノコ博士さんだからきっとコメントしてくださるかなーと思い、あえて本文では言及しませんでした。

そう、こちらでは壁に直接、絵を書くんです。お花の図案などは見ることはあっても、キノコは今回この展示ではじめてみました。

こちらの人、特にセーケイ人にとってはユーモアはかなり重要なようです。大阪人みたいですが、村で人が出会うとちょっとひねりの利いたセリフを一言、二言いうのです。
・・・頭の回転の遅い私なんかは、かなり遅れてから気がつくことが多いのですが。

「日本人のジョークは?」なんてよくきかれます。
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです