トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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春を告げるイースターエッグ

イースターといえば、なんといっても卵である。
これもパプリカ通信のために2004年に書いたものだが、
日本ではなじみのない風習を少しでも身近に感じていただけたら、と願って紹介してみたい。

春を告げるイースターエッグ
今年のイースター(復活祭)は4月の11日に始まり、一週間続きます。イエス・キリストの復活を祝うこのお祭りは、クリスマスに次いでキリスト教圏では大きな祝日となっていますが、その起源はそれよりももっと古く、一般に春を迎えるお祭りとして様々な地方で行われていたものです。
もうずいぶん早くから市場では卵形やうさぎ型のチョコレートが出回り、春が待ち遠しく思われることでしょう。今回はイースターエッグに焦点を当てて、家でも簡単に作れる飾り付けを紹介します。

イースターエッグとは?
女性達が丁寧に卵に模様をつけ、訪ねてきたお客をもてなす習慣は農村ばかりでなく都市にも息づいている。特に女性にとって大切なのは、お目当ての男性に取って置きの卵をプレゼントすることであろう。これはなんとも日本のバレンタインデーの本命チョコを連想させる。ある村では、器の中心に大きな卵を置いて、それを本命の相手に贈るという。
なぜ卵であるのか?それにはいくつかの説があるが、一般に恵みの季節である春を象徴するのが卵で、様々な民族の神話にも大きく関わっている。
例えばウラル民族にも、世界は卵から生まれたとする説がある。つまり卵の白身は月を、黄身は太陽を象徴するといわれ、それが一体となって宇宙を形作るという。恐らく卵の形自体が、地球を想わせるのも偶然ではないであろう(またシャーマンの太鼓も卵型である)。このように多産、再生を祝う春にきっても切れないものが卵なのである。
この習慣の起こりは定かでないが、アヴァール時代の女性の墓にも、この模様のついた卵が発見されたという。ちなみにウサギは、ドイツ語圏から広まったもので、卵とともに多産のシンボルとして知られている。
 
どんな文様が使われるか?
大きく分けて幾何学模様のものと、具象的な模様のものとに分けられる。それら文様のなか(主に前者)には、考古学的な遺産にみられるもの、東洋の呪術的な印と関連があるものもあるという。それは文様の名前にも表われていて、「悪魔のひざ」というものもある。
 例えば、最も多用されるモチーフの一つである「星」は、宇宙的な象徴であり、のろいや邪視から身を守るのに使われていた。また人の死を流れ星が知らせるように、生命や個人の象徴として、イエス・キリストを指している。
また、土の多産性を表すのが、農耕道具である。ほかにも、「手」や「指」を意味する文様があり、「モミの枝」や「ローズマリー」、「ウサギの耳」などと呼ばれている。これらは悪霊退散、占いに使われていたとされる。中でも「すき」は、春の儀式に使われる道具として、男性の象徴であるとされ、「すき」で大地を耕すことをもって、結婚と結び付けていた。
不思議な文様としては、「魚」、「カエル」が挙げられる。魚は昔からキリスト教の象徴である。謝肉祭からイースターまでの期間、断肉の時期を意味するのも魚であり、魚の肉は食べても良いとされていた。「カエルが歌うと、雨が降る。」といわれるように、春に(農業にとって)大切な雨を降らすものがカエルである。また若さや女性の象徴として、例えばエジプトや中世ヨーロッパで若返りの薬の材料として使われていた。
魚と関連して、イースターの時期に男性が女性に水をかける習慣(ロチョラーシュ)において「水」の果たす役割は重要である。女性を花に喩えて、生命である水をかけ、美しく育つよう祈願するのはハンガリーの習慣である。
花模様に関しては、もちろん春のものを描くのが原則である。これはどちらかというと新しい習慣であるという。ハンガリーの模様としてお決まりの「チューリップ」や「スズラン」、「カーネーション」、「野バラ」などである。

イースターエッグの作り方
ハンガリー語でいう、hímes tojásは「模様のついた卵」という意味からきている。もともと金曜日に模様をつけるのが習慣で、それを月曜日にプレゼントする。ろうで卵に模様をつける方法が一般的であるとされる。そのあと染色をするので、ろうで描いた部分だけが白く模様として残るわけである。
普通は卵を8つに区切って、それぞれに同様の形を描いてゆく。これが意外と難しく、まずイラストの平面と卵の立体の形とがうまく一致しない。また普段使い慣れている鉛筆やペンで描くのとは違って、このエッグ用筆を使いこなせるようになるには相当な訓練が必要となる。また、突然ろうがたれて染みになるというハプニングも起こりがちである。私も初めてしたときは、文字もかけない幼児時代に戻ったかのような自分の手に苛立たしさを感じたが、自分を責めずに根気よく続けたいものである。
最も起源が古いのは、単純な幾何学模様のものだといわれている。今では多色使いのもの、より複雑に凝ったもの、民俗衣装の飾りや刺繍などに見られる文様を使ったものなどもありますが、まずは直線を描くことから始めてみましょう。

道具…卵(ゆで卵)、割り箸、薄いアルミの板(例えば歯磨き粉のチューブ)、糸、ろう、木炭の粉、塗料(市販のもの、または玉ねぎの皮と酢)。あれば馬のしっぽの毛。

1.まず始めに絵付けをする筆を作る。割り箸の先に1cmほど切れ目を入れて、そこに針を巻いて形を整えたアルミの管を1.5~2cmにして差し込む(馬の毛を中に入れるとより描きやすくなる)。糸でぐるぐる巻きにして、よく補強をすればできあがり。
2.贈り物にはゆで卵、飾り用には卵の殻を使う。卵の中身を出すには、その両先端に針で穴を開け、中身をよくかき混ぜたあと、一方から口で中身を吹く。すると卵の殻がきれいに残る。
3.次にろうを溶かして、中に少しだけ木炭の粉を入れる。というのは薄く色をつけ、絵付けした部分が見えるようにするためである。
4.それではエッグ用筆を手に、先端に温めたろうをつけ、見本の型をよく見ながら絵を描く。始めに対角線を引いてから模様を描くとやりやすい。
5.全部に絵付けが済んだら、市販の塗料、または玉ねぎの皮を煮て酢を少々たらしたもの中に入れる。酢を入れるのは、色を残りやすくするためである。
6.しばらくそのままに置いて、色が十分ついたら取り出す。ろうは残したままでも、ふきんでふき取ってはがしても良い。
 この他にも、はじめに卵に色をつけて、後から針で削り模様をつけるやり方もある。もし面倒ならば、ストッキングを使い、葉や花といっしょに卵を包んで模様をつける簡単な方法もある。また最近では、小さいパスタやケシの実を接着させておくものもある。
 カロタセグ地方の村では、観光用にビーズで模様を作り、卵形のものにかぶせていた。職人技術を要するのは、馬の足にやるように卵に鉄製の飾りをつけるやり方である。このように卵の飾りにも色々な方法があり、保存状態によっては100年でももつというので、ひとつ出来のいいものを大事にとってみてはどうでしょうか。
 また頂きもののゆで卵でも、上手く保存すれば、卵の中身は乾燥して小さくなるという。以前、ルーマニア、モルドヴァ地方の美しい模様のついた卵を頂き、ひびが入った後もそのままにしておいたら、案の定、部屋中に卵の腐敗臭が広がった経験もあるので、保管にはぜひ気をつけていただきたい。

イースターエッグにまつわる習慣
ロチョラーシュという習慣が大きな意味をもつ頃はすでに述べたとおりである。イースターの月曜日に、昼間は子供達が、晩には男性達が知り合いの女性のところに次々と挨拶をしにまわる。この際、男性はお決まりの詩を読み、水または香水をかける。また女性はこのお返しに、卵を渡し、お菓子や飲み物を勧める。男性にとって、これは普段から親しい関係の所にはもちろんだが、なんとなく音沙汰がない人の所にも行くことができる、いわば交際関係を保つ上でなかなか便利な機会であると聞いた。私達が年賀や暑中のはがきを送るのと同様に、それでも実際に人を訪ねるのは人間関係をより円滑にする手段ではないだろうか。
 また卵に関して、いくつかの遊びがある。私がモルドヴァ地方の村にいたときに、朝食にと頂いた赤い卵に、誰かからガツンと別の卵で割られたことがある。ワイングラスをカチンと鳴らすように、卵同士をぶつけて割るのが習慣なのだそうだ。子供同士では、卵の強度を競い、ひび割れた卵を勝者がもらうという遊びもある。



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comments(2)|trackback(0)|文化、習慣|2008-03-21_03:17|page top

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あれはどこだったかな?
以前2人でルーマニアの村に行った時に、偶然出会った家族がイースターエッグを作っていたよね。繊細なデザインに心魅かれたのを覚えています。トランシルバニア地方の方は手先が器用な人が多いので、こういう伝統が続くのでしょうね。
No title
そう、カロタセグ地方のメーラという村だったね。
民族衣装で有名な地方。
なるみちゃんは、カロタセグの花嫁衣裳を着たけれど、
ハンガリー人もびっくり!というほど
よく似合ってた。
あの写真どこにいったかな・・。