トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-

古きよきヨーロッパの面影を残す、トランシルヴァニアへの扉をそっと開いてみませんか?

::自己紹介::

谷崎 聖子

Author:谷崎 聖子
1978年宮﨑生まれ。
大阪外大、ハンガリー語学科卒業。
ブダペスト大学で民俗学を専攻。
ルーマニア、トランシルヴァニア地方のフォークロアに惹かれて、セーケイ地方に移住、結婚。
三人の子育て中。

伝統手芸研究家。
トランシルヴァニアの文化、手しごとを広める活動をしています。主な著書「トランシルヴァニアの伝統刺繍 イーラーショシュ」、「カロタセグのきらめく伝統刺繍」。

東欧雑貨ICIRI PICIRIFOLK ART Transylvaniaのオーナー。

詳しくは、森の彼方-トランシルヴァニアへの扉をご覧ください。

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トランシルヴァニアに家を建てる(6)

ドボイの家作りの記事を最後に書いてから、もう半月にもなるのに一体どうしたのだろう・・・と思われても仕方がない。
ここトランシルヴァニアだけでなくルーマニア全土で大雨が降り続き、作業が中断してしまったからである。

家の区画に沿って溝を掘り終えたので、次の作業はセメントで土台を作ること。
ただ雨が降ったらだめなのである。
だから今回の雨は、私たちにとっては有難いものではなかった。

家を建設する私たちだけではない。
農作業をする人たちにとっても、冬に家畜のえさとなる干草を運ばなければならない大切な時期に思わぬ雨の連続。
それどころか、村のご近所のヨーシュカおじさんは雨の中で作業をしたために肺炎になって一週間入院したという話だ。
誰にとっても、よくないこの雨・・・

やがて、ある朝。
いつものような白く厚い雲の間から青空がでてきたので、私たちは作業を再開することになった。
まずは、町の資材やさんでセメントを買う。
40kgのセメント袋を38コ買って、およそ10万円。
経験のない私には、安いのか高いのかよく分からない。

ダンナは先に、トラックに乗って村に向かった。
私たちも後を追う。
広々とした平野に出ると、空はもう青く光っていた。

私たちの車がドボイの土地に着くと、だんなの乗った車はまだ到着していなかった。

土地は雨が続いたので、しっとりと黒く湿っているようだ。
春にクリーム色の花を咲かせたボッザは、すでに実がなり始めている。
この実が黒くなると、ジャムになるらしい。
ボッザは野生だから手はかからないし、お花はジュース(こちらを参照)に、実はジャムにと便利な植物だ。

eskuvo 024

そしてダンナとセメントを乗せた赤いトラックがやってきた。
今までのんきに散歩をしていたガチョウは、車を見ると血相を変えて一目散に駆け出した。
息子は大笑い。

eskuvo 023

そして、これから作業が始まる。
あの40kgもの袋を抱えて運び、雨を防ぐようにビニールの上に置いていかなければならない。
運転をしていた資材やさんがコンクリートの袋を渡し、ダンナたちが次々に運んでいった。
袋からは、真っ白な粉が煙のように舞っていた。

eskuvo 026

この40kgという大きさ、相当なものである。
日本では、だいたいお米の袋も20kgだと記憶している。
それでも大変なのに、40kgはその倍だ。
私も一度は手をかけて、持ち上げようと試みたがビクともしない。
・・・仕方なく、あきらめて息子と遊ぶことにした。

水を汲みに来た、近所のおばさんが息子を見て「うちの孫のジョンビカと遊びなさい。」と声をかけてくれたので、遊びに行く。
ここは、数世帯の家族が一緒の土地に家を建てているらしく、誰と誰がどんな関係なのかよく分からない。
私たちはおばさんの家に通されると、女性が何人かテレビの前に座っていた。

先ほどのおばさんが、ダンナたちが2人で作業しているので、息子に電話をして応援するように話してくれた。
こういうところが村のよいところだ。

息子は外で虫探しを始めたので、仕方なく私もテレビに注目する。
ブラウン管の中では、ルーマニアの南部オルテニアや東部モルドヴァの風景が写されていた。
どこも水、水、水・・・
そうルーマニアの平野部ではこの大雨のせいで洪水が発生し、大変な被害をこうむっているのだ。
話は聞いていたが、テレビがないのでこんな映像を見たのは初めてだ。
民家は、屋根が見えるだけですっぽりと水の中につかっていた。
ボートで救助されるお年より、避難所で過ごす人たち、水に囲まれる家畜の姿・・・・
一同はそれを見て、険しい表情でため息をついていた。

これら被害にあったのは、ほとんどが村に暮らす人たちである。
私たち町に住むものにとっては仕事場がある限り生活は維持できるが、彼らにとっては家畜や土地が仕事であり財産なのだ。
同じように村で生活する人には、それがどういうことか痛いほどよく分かるのだろう。
「生涯ずっと働いてきて、全てを失ってしまった・・・」と誰かが言った。

「ドボイは、こんなに高いところにあるからよかったですね。」と私が言うと、「もちろん。ここが水につかった時には、他の村はまず残っていないはずよ。」と返ってくる。山に面した村の利点である。この辺りには、氾濫したとしてもそれほど大きな川はないのでよかった。

皆が朝食の支度を始めたので、私は庭に出た。
息子は6歳になるジョンビといっしょに遊んでいたので、私も加わった。

ジョンビが家の家畜を見せてくれる。
立派な馬や豚、コブタ・・・と次々に見せてくれる。
コブタたちは私たちの姿を見ると、ブーブーと叫びだした。
「隣にいるお母さんのところへいって、おっぱいが飲みたいんだよ。」とジョンビが説明してくれた。
息子はコブタがなくのが面白いらしく、そこを離れようとしない。

ジョンビは子犬を探しているようで、庭を歩き回っている。
「あそこにあるのは、馬の肉だよ。」というほうを見ると、確かに肉のようなものが遠くに・・・
「子馬が怪我をして、殺さなければならなかったんだ。ほら、あの犬がくわえているのが馬の頭。」と、全く慣れたもの。
私は思わず目をそむけた。

ダンナも語っていたが、村の子供たちは小さな頃から動物を通じて、生や死を目で見て学んでいる。
だから町の子供たちにはない、独特のたくましさがある。
ダンナは半分、おばあちゃんの村で育ったようなものだから、村のよいところ悪いところはよく分かるようだ。

やがてダンナが呼びに来て、作業が終わったので帰ると告げた。
私たちは挨拶をして、ジョンボルたちの家を後にした。
私はまだ別の仕事があると思ったのに、半日遊んだだけでドボイを去るのは不本意だったが仕方がない。

帰りがけに隣村ナジ・ボロシュニョーに寄って、家に取り付ける窓を見ることにする。
家を建てるときには、色々なものを買わないといけないので大変だ。
1.5Mほどの窓だが、小さな仕切りで細かく分けられているのは余り気に入らなかった。
中古なので2つで1万円という値段だが、これも相場はよく分からない。

家から出ると、家の主人がコブタを見せてくれた。
ピンク色の肌のきれいな体。まだ生まれたばかりのせいか、ブタなのに清潔である。

これから、予防接種をするという。
ネコほどの小さなコブタを持ち上げて、針で耳の辺りを刺す。
ブタはちょっと鳴いたが、すぐに止んだ。

eskuvo 032

それから、あるコブタを机の上に置いて押さえつけたので、何だろうとカメラを構えると・・・
ブタのまたの辺りにハサミを持ってきたので、思わず顔を背ける。
オスブタの、あそこを切ってしまうのだ。
そうすると育ちがよくなるのか、お肉が美味しくなるらしい。
この儀式を免れたブタたちは、きっと「あー、メスでよかった。」と思っているだろう。

eskuvo 031

今日は夕方まで、おばあちゃんのところで過ごして町へ帰った。
一日、野原で草を食べていた牛たちも帰宅をするところ。
明日から、本格的な作業が始まる。

eskuvo 039

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Theme:ルーマニア
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comments(2)|trackback(0)|村に家を建てる|2008-08-05_06:12|page top

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 そちらも雨だったのですね、白樺細工を習っている芸術家さんの親戚がモルドバにいるのですがそちらも屋根から下が全部水に使ったそうです。
 毎日ウクライナとモルドバの洪水の様子がニュースで流れる度に気になります。
 村は日本の感覚なら一級河川に相当する大きな川(ロシアでは大きく無い)が流れているうえ、高台が少ないのでもしあふれたら?と心配になります。
 こちらは7月上旬は雨が多かった物の、ここ数日は穏やかです。

 そうそう、ヴォーグの雑誌楽しみにしています。絶対に買わなきゃ。って一般発売雑誌ですよね?都賀は10月に帰るので確保しておかなきゃ。
シベリアの芸術家さんのご親戚が、モルドバにお住まいなのですか?
それでは、ご心配でしょうね。
連日テレビでは、洪水の話題ばかりのようです。

洪水が何度も起こった場所を、整備しないでそのままに放置している、という現状もあるようです。
堤防をきちんと整備することが最優先ですね。

私の実家の近くでも、数年前の台風で堤防が決壊して大災害が起こったので、このような被害を見ると、記憶がよみがえります。
ほんの少しの警戒で、最小限にとどめることができたかもしれません。

はい、雑誌は10月発売です。まだまだネタ探しの段階ですが・・・良いものができるように努力いたします。
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